中国人民解放军(中国語簡体字)
英語:People's Liberation Army
この軍隊は中国共産党の最高軍事指導機関である中国共産党中央軍事委員会の指揮下にある中国共産党の軍事部門であり、人民解放軍などと訳される(なお、この名称ではネパールや南スーダンに同様の名称の軍事組織が存在する)ことがある。
歴史
この軍隊の来歴として1927年8月1日の南昌起義(中国共産党が江西省南昌で起こした武装蜂起、これにより第一次国共合作は消滅。この時点では国民革命軍の第1集団軍第2方面軍第9軍、第11軍、第20軍の一部、この時点より中国工農紅軍と呼ばれる)を建軍記念日とし、軍の徽章には紅星に「八一」の字が、軍旗は紅地に黄色で星と「八一」の字があしらわれている。
その後、各地にあった紅軍をまとめ、第二次国共合作において中国国民革命軍第八路軍および国民革命軍新編第四軍となったのち、日中戦争後、再発した国共内戦のさなかの1947年に中国人民解放軍となった。
その後国民革命軍を打ち破り、朝鮮戦争に軍を派遣(中国人民志願軍)し、その後小さな軍事衝突は存在したものの、1979年に中越戦争(ベトナムがポル・ポト率いるカンボジアと紛争になりカンボジアの支援をしようとした中国がベトナムに戦争を仕掛けたもの、当時中国が敵対していたソ連との代理戦争の意味合いもある)を起こすが、ベトナムはベトナム戦争の余韻もあったこと、さらに文化大革命の影響により階級自体がなくなって指揮系統があいまいだったこともあり、格下であるはずのベトナムにフルボッコにされてしまう(ただしベトナムもソ連の軍事顧問の不適切な式によりかなりの損害を出した)。
その後、1980年代から1990年代にかけて、軍事力の質的向上のため大幅な古典的な兵力削減と軍の近代化が行われ、表面上は近代的な軍隊となった。
さらに、中国政府(中国共産党)は湾岸戦争、アフガニスタン紛争(断続的に発生している紛争、アフガニスタンの内乱をきっかけとしてアメリカとソ連の代理戦争となり、その後、イスラム過激派との紛争になった)、イラク戦争(第2次湾岸戦争、イラクの武装解除や同時多発テロをきっかけとした戦争)などでのアメリカ合衆国軍による軍事的成果に影響されたのか、近年は軍事兵器や軍事システムや戦闘スタイルの更新に注力し、通常兵器による軍事力も強力になっている模様である。
また、特殊部隊の育成も進んでおり、最近では世界最難関とされる(世界中の優秀な特殊部隊員が参加しほとんどが脱落する)International Special Training Centerの訓練課程関連の合格者も登場している。
兵士に関して
この軍隊は他国の軍隊と異なり、「自力更生」、すなわち「国家などの公的予算に頼らず軍が自分で自分の食料や装備を調達する」というシステムがあり、軍隊が商工業に手を出す(もっとも商業活動は1998年に禁止されたが、生産やサービス業は行っている)ということが発生している。
基本的にこの軍隊は志願兵であり、志願者である兵士には各種特権が付与される。
兵力
総兵力224万人、予備役約50万人、他に人民武装警察66万人(2007年)。アメリカ軍、ロシア連邦軍を上回る世界最大の兵力を誇るが、1997年に50万人、2003年に20万人、2019年に30万人と段階的に削減されている。
また、下部組織として中国民兵(軍事機関の指揮下により戦備勤務や防衛作戦任務、さらに社会秩序の維持と補佐を担う団体、2011年の時点で800万人)という組織が存在する。
軍隊の組織としては、中国人民解放軍陸軍、中国人民解放軍海軍、中国人民解放軍空軍、そして戦略ミサイル部隊である中国人民解放軍第二砲兵部隊、および公安組織である中国人民武装警察部隊が存在する。
近代化
兵力の大削減と並行して、陸海空とも(カタログスペック上は)西側やロシアと遜色ない国産兵器を揃え、最新兵器の増備を続けている。
陸軍は99式戦車を2000年から月産10両程度のペースで生産を続け、既に1000両以上に達している。旧式の「59式戦車」、「69式戦車」「79式戦車」も2019年時点でまだかなりの両数が存在するが、99式の配備と並行して削減が進められている。
海軍は従来の沿岸海軍から脱却し太平洋への進出をにらんだ増強を進めており、ウクライナから空母「ヴァリャーグ」を取得、「遼寧」として就役させた。潜水艦は原子力潜水艦と非大気依存推進攻撃潜水艦の両方を並行して配備しており、他のどの国よりも多くの艦を建造している。また、台湾の武力併合ができる実力を目指して揚陸艦の増備も急いでいる。
空軍はSu-27/Su-30(Su-27のタンデム)のコピー型であるJ-11シリーズは300機以上保有している。これは日本や韓国の新鋭機であるF-15保有機数を凌駕している。また、空軍が用いる兵器(戦闘機など)の取引においては、完成した機体を購入する時代は終わり、エンジンやレーダーなどのような装備単位で買う段階になったと言われており、その象徴がJ-10(独自開発した機体、西側のコードネームヴィゴラス・ドラゴン、ハイ・ロー・ミックスに用いる低価格機で、F-16にあたる機体)である。
中国人民解放軍は中国軍ではない
中国に存在する唯一の正規軍であるため、メディア上では「中国軍」と呼ばれるが、これは厳密には間違った呼称である。と言うのも人民解放軍の所属は国家ではなく共産党だからである(第二次世界大戦ごろまでのソ連の赤軍と同じ)この視点で見れば暴動鎮圧も当然の任務である事が分かるだろう。
党を守る事が彼等の任務なのである。