概要
主人公は意思を持った魔剣(デフォルトネームはマキーナ(変更可能))。
ブレインジャックという魔剣の能力により、パッケージに描かれているケイや、後述するその他のブレインジャック可能なキャラクターの肉体を乗っ取り、必要に応じてキャラクターを変えながら、ワールドマップを進めていく。
キャラクターの強化要素は無く、ステージにあわせて強い肉体に乗り換えるかあえて相性が良い弱い肉体にするかといった戦略的な要素がある。
シナリオはマルチエンディングで、封剣士とともに人類を守る為に戦ったり、三業会と手を組んで世界を征服したり、あるいはケイを救う為だけに戦ったりと、選択肢や攻略順によってシナリオが分岐する。
ストーリー
日本、金沢総合学術研究所。
そこでは証明された別次元に存在する自我であるイマージュの研究、それに基づいたイマージュ工学による画期的な医療機器、人工生命体・魔剣の開発が進められていた。
しかし、魔剣のイマージュを覚醒させたその日、研究所は香港を拠点とする犯罪シンジケート・三業会に襲撃され、研究所所長・相模広光が連れ去られてしまう。
そして、相模広光の娘・相模桂は父を助ける為に魔剣を覚醒させるも、その精神を魔剣と融合させてしまうのであった。
連れ去られた父を救う為、桂は魔剣と共に、混沌に向かっていく世界へと踏み込んでいく…。
派生作品
移植版
『魔剣爻』
2001年にプレイステーション2用ソフトとして発売。
ドリームキャスト版からの移植。
特に追加要素などはないが、システム面や各キャラの毎の性能が改良され、一人称視点から三人称視点へと変更されている。
また、魔剣Xではキャラクターの強化要素は無かったが、魔剣爻では成長により強化されるようになり、最弱の肉体でクリアする事も可能となった。
但し、過去作で出来たアクションの削除を始め、攻撃アクションの全体的な劣化や、追加されたシステムによる弊害等から、全体的に難易度が高くなり、ライトユーザーは手を出さない方が無難。
漫画版
『魔剣X ANOTHER』
1999年から2001年にかけて『月刊マガジンZ』にて連載。
全3巻。林田球により漫画化されており、設定などが大きく変えられている。
2008年には、エンターブレインより『魔剣X Another Jack』(全2巻)と言うタイトルで再版されている。
小説版
『魔剣X アフターストレンジデイズ』
2000年にファミ通文庫より発売。
著・蕪木統文、イラスト・河崎淳によりノベライズ化されている。
本作の後日談を描いた作品。
魔剣計画の最終形態「魔剣Z」を中心に、同型機である魔盾Yやイマージュ・スラッシャーと呼ばれる新たな存在などが登場する。
登場人物
メインキャラクター
魔剣(デフォルトの名前はマキーナで、変更可能)
主人公。イマージュを切り離して修正する事が出来る、画期的な医療機器として開発されていた人工生命体。
しかし、それは表向きの顔、実際は人類浄化計画に着手する、天尊流星のレプリカとしての存在であり、オリジナルである天尊流星を滅ぼし、世界の秩序を保つと言う封剣士らの目的の為に開発された。
その為、天尊流星と同等の能力を持つ、互角の存在として作られている(その意味でも機械仕掛けの神でもある)。
ブレインジャックと呼ばれる、人間の脳を乗っ取る能力により、通常のRPGで人間が様々な武器を持ち替えてゆくように、様々なキャラクター達の身体を乗り換えながら戦ってゆく。
ブレインジャック時にイマージュ(=精神)が魔剣に取り込まれる為、乗っ取られた肉体は実質死亡する(ただし、イマージュが入れ替わるだけなので、元の人間の記憶は残っている)。
最初は両刃剣の形をしているが、肉体を支配した際にその肉体が得意とする、武器へと姿を変える。
その形状は扇、スタンロッド、フランベルジュ、大鎌、ジャマダハル、スピンクロー、鉄球など様々。
魔剣X(魔剣爻)
魔剣の精神と融合してしまっている為、精神体としてストーリーに登場はするが、彼女自身を操作すると言う意味では魔剣の器の1つに過ぎない。
生まれてすぐに母親と死別。父親に溺愛されて育った為、自己中心的な性格が強い。
武器タイプは両刃剣(諸刃の剣)。
シナリオのルートによっては、魔剣にイマージュを完全に取り込まれ消滅する。
漫画版(『魔剣X ANOTHER』)
主人公の一人。基本的な性格はゲーム版と差はないが、彼女の精神描写や漫画版オリジナルの展開がいくつか存在する。
武器タイプは両刃剣(諸刃の剣)etc…。
協力者
相模広光
魔剣を開発した金沢総合学術研究所の所長でケイの父親。三業会に襲撃を受けた際に連れ去られ、天尊流星にイマージュを抜き取られ、半死半生に陥ってしまう。
アン・ミラー
金沢総合学術研究所研究員でマキーナのイマージュの遺伝的アルゴリズムの開発を担当したアメリカ人女性。
J・J・ジョーンズ
金沢総合学術研究所研究員でマキーナの人工脳の制御システムの開発を担当したアメリカ人男性。口は悪いがアンと付き合っており、桂と弘の身を案じ協力する。
山城弘
大富豪の息子でケイの幼馴染。ケイを救うべく世界中を巡り、ルートによってはマキーナと敵対する。
後述のギネス博士と出会うブラジルルートの時のみ、プレイアブルキャラとして使用可能で、イマージュブースターを装着し、竹刀型に変形した魔剣で戦う(この時の魔剣は『逆ブレインジャック』と言う状態になっており、弘のイマージュは吸収されていない)。
ダブリン・ギネス
イマージュ理論を提唱した老科学者。しかし魔剣開発については反対しており、ブラジルの密林に隠居していた。マキーナの精神と融合したケイを救う方法を知っている。
封剣士
肉体の一部を失っており、自らのイマージュで補う事で超常的な能力を得て、世界の秩序を守ろうとする組織。
李護手(リーフーショウ)
表向きは華僑の大富豪であり魔剣開発のスポンサーであるが、その正体は暴走を始めた天尊流星に対抗する封剣士の長老である。特徴的な髪型に三つ目のサングラスをかけており、ルートによっては対立する事になる。武器は徒手空拳で、瞬間移動能力を持つ。
李飛爪(リーフェイチャオ)
ケイの家庭教師を務めている青年で、ケイからは「フェイ」と呼ばれている。本来の任務は封剣士としての研究所と魔剣の警護である。内臓を捨てるという苦行を課している。八卦アンドレイの襲撃の際ケイを守り命を失った。
李飛扇(リーフェイシャン)
李飛爪の妹であるカティの弟子の見習い封剣士。八卦シャージャとの戦いに赴く際にブレインジャックする。
X・爻共にボスのガード不可攻撃をガード出来る為、序盤は彼女のほぼ一択に近い状態になっている。
封剣士カティ
雑技団団長の仮面の女性で火を司る封剣士。目的の為には手段を選ばない苛烈さを持ち合わせている。子宮を捨てる苦行を課している。漫画版では原作以上に高圧的な言動を見せ、上記の飛爪の苦行の原因となっている
封剣士アキナス
アテネで学芸員をしている女性で風を司る封剣士。八卦ダルの居場所を知るバーリンカと接触していた。右腕を捨てる苦行を課している。
封剣士ラムロッド
DJを生業としている男性で氷を司る封剣士。八卦になってしまったマルガレーテの事を愛している。耳を捨てる苦行を課している。
封剣士バデレール
ジャーナリストの温厚な男性で雷を司る封剣士。実はケイの母の異母兄弟であり、電子ロック解除の為に、彼の力を借りなければならないルートがある。左足を捨てる苦行を課している。
三業会
天孫流星が自らの手足として興した組織。
ヒエラルキーは天孫流星をトップに、後述の幹部集団の八卦から、十六卦、三十二卦、六十四卦と下がってゆく。
上位階級の存在程、イマージュ注入の影響で異形化している。
八卦
それぞれが持っている悩みを付け込まれ、天尊流星により過去の人物のイマージュを注入され、異形と化した者達。肉体的に過剰な部分を持つ。
八卦アンドレイ
アンドレイ・チカティロのイマージュを口から注入された兌の八卦。パラノイアな旧ロシアの軍人で暗殺担当。メスが武器でバレエのような技を持つ。口が裂けており言葉が喋れない(魔剣爻の攻略本では、彼のモノローグらしき文章が記載されている)。最初に戦う事になるボスであり印象深いが、漫画版ではコミカルな姿も見せた。
八卦シャージャ
シャー・ジャハーンのイマージュを腕から注入された艮の八卦。国民的大スターでメディアを通じて、インド国民を無気力にする。国内版はシヴァ神モチーフの多腕姿だったが、海外版はヒンズー教信者に考慮して、サングラスにファンネル状の腕を持つ姿に変更された。
八卦ダル
ヴラド・ツェペシュのイマージュを耳から注入された坎の八卦。かつては伝染病の治療法を発見した、医科学者だったが、副作用で新たに生まれてしまった石死病を蔓延させている。杭が武器で透明化能力を持ち、ステージの4つの時計を止めないと姿が見えない。
但し、攻撃アクションは比較的単調で、X時代は上記のラムロッドを使用時に限り即死を狙える。
『X』のプレイヤー時は攻撃性能が低い代わりに、フェイシャンと同じガード性能に加え、感電・石化の完全耐性を持つ上、敵の飛び道具を無効化する鉄壁ぶりを誇ったが、『爻』では攻撃性能を据え置きで防御面を全て没収、一部では「最弱」扱いされる程に弱体化してしまった。
八卦マルガレーテ
フリードリヒ・クルップのイマージュを脚から注入された震の八卦。巨大な木馬を倒さないと戦う事が出来ない上、本体は非常に足が速く、エネルギー弾は反射するほど威力が上がる。BS(=完全たる恥辱)党を率い欧州にテロを引き起こしている。海外版ではナチスを連想するマークが、無に変更された。
八卦ドン・マルカラ
カラカラ帝のイマージュを股から注入された巽の八卦。マフィアのドンで飲み水に自身の部下・モスギャングをすり潰して作り出した毒を混ぜている。子を成せない体質が悩みだったが、爆弾人形を作り出す能力を与えられている。漫画版では恐ろしい姿を見せる。
八卦レイ
ジル・ド・レのイマージュを目から注入された離の八卦。次期枢機卿候補のメシア教の大司教で、人々に自殺する事を説いている。海外版ではキリスト教の天使的なデザインから、黒い翼に般若心経が書かれた姿に変更された。
八卦ユースフ
サラディンのイマージュを腹から注入された坤の八卦。アラブの石油王で、中国以外に石油輸出を禁止しエネルギー危機を引き起こしている。異形と化した腹から火炎弾や触手を出し攻撃する。海外版ではシンボルが炎の文字になった。
八卦ウィリアム
ビリー・ザ・キッドのイマージュを首から注入された乾の八卦。現アメリカ大統領で第三次世界大戦を引き起こそうとする。過去に暗殺未遂が原因で弱腰になった事により人望を失い、以降は人間を信用せずロボット好きな事から、ボディガードをロボットを製造・重用している……に留まらず、戦闘の際は自らの首を外し、専用のロボットに首を移し替える。
劉嘉伸(リュウカシン)/天尊流星(テンソンリュウセイ)
中国の若き総書記だったが、天尊流星によって操られている。人類を適切な数まで減らしユートピアを作る事が目的であり、ルートによっては和解も有り得る。
第1形態は寄生した劉嘉伸の肉体を用いて、第2形態では本来の姿・盤古虫に戻って戦う。
一般人
稲葉郷
三業会に襲撃された飛空艇リンカードンの副操縦士で、ブレインジャックするとスタンロッドで戦う。
Xでは腰が引けており最弱だったが、成長の要素がある爻では大化けする。
バーリンカ
石死病患者の少女。実は八卦ダルの娘で居場所を知っており、ブレインジャックすると鉈で戦う。ファンの間では可愛らしいと人気があった。魔剣Xは速度に優れた単発攻撃が強みだったが、魔剣爻では父親と同様の固有技を持つ代わりに、攻撃アクションが全体的に鈍化してしまい、総合的に使い難くなっている。
スミス議員
元欧州連合の党首でマルガレーテの夫。囚人として幽閉されているが、八卦ドン・マルカラの居場所を知っており、ブレインジャックすると鉄球で戦う。魔剣爻では固有技に攻撃力バフを習得する。
サブキャラクター
三業会ソードブレイカー
三業会バズーカ
三業会クロウ
三業会ローラーブレイド
三業会キャノン
三業会グレネード
三業会アマゾン
三業会ダンサー
三業会の構成員。それぞれ動物のイマージュを注入されており、上記の通り位が上がる程に異形と化している。クロウは女性型だが元は女性とは限らず、グレネード、アマゾン、ダンサーに至っては最早、人間の姿をしていない。
シヴァ歩兵
八卦シャージャに従うリンガの頭部を備え、大盾を持った甲冑の兵士。
ゴーレム
アイアンメイデン
八卦ダルに操られる石死病患者の死体から作られるゾンビ兵。
ゴーレムは大包丁を持った大男に、杭で繋がれた吹き矢を持った小男が乗り攻撃。アイアンメイデンは足が生えた鋼の処女の姿で、接近すると蓋を開きトゲが刺さった身体で攻撃してくる。
BS改造兵・男
BS改造兵・女
BS改造兵・犬(マッドドッグ) 全てイラスト中段
八卦マルガレーテの部下のナチスを思わせる制服を着た覆面の兵士たち。男は腹部からバルカン砲を生やし、接近すると逆卍型に手足を曲げ独楽のように回転攻撃をする。女は片手のアームを伸ばして遠距離から攻撃してくる。
犬はイマージュが装備した爆弾側に注入されており自爆攻撃を仕掛けてくるが、海外版では虐待にならないようにロボットに変更されている。
モスギャング
八卦ドン・マルカラの部下のスーツを着た蛾の姿をしたマフィア構成員。空を飛び毒鱗粉とマシンガンが武器。
メシア教信者
八卦レイに従う下半身が多脚のマネキンの姿をした異形の教徒。
モーターブラーク
八卦ユースフに従う車輪のついたメカに乗る兵士たち。海外版ではイスラム教風のシンボルが炎の漢字に変更された。
X‐66
八卦ウィリアムの警護を担当するロボット兵。動きは遅いが非常に装甲が厚くミサイルを放ってくる。ブレインジャックしたキャラクターによっては倒すのに時間がかかり苦戦することになる。
封剣士兵鉄弓
封剣士兵影脚
修行中の封剣士達。ルートによっては敵対する事になる。鉄弓は箱状の鎧、影脚はクラゲと呼ばれる小型の多脚メカに乗ると、敢えて身体の動きを制限する装備を身に付け、それを利用した体術で戦う。
関連イラスト
余談
- 1999年に発売されたゲームだが未来予測として、金沢市の寿星女学館の制服を含め、中国の経済的発展と世界への影響力から中華風なデザインが席巻しているという設定。
- ケイ(相模桂)の名は、本人は嫌がっていたがディレクターの橋野桂からとられてる。
- ちなみに、ディレクターの方の名前読みは『かつら』である。
- 八卦や封剣士以外の登場人物名は酒の銘柄からとられている。
- 漫画版は林田球の初期の傑作で、回想シーンなどコピーで済むところも細かく描き直されており、金子一馬をはじめとするゲーム版スタッフを驚愕させた。
- ATLUSからドリームキャストで発売されたのは、このゲームとデスピリアで、どちらもグロテスクな要素が多い。