概要
1991年3月に成田空港へのアクセス特急「成田エクスプレス」用にJR東日本が新製・投入した直流特急形電車。2002年まで増備が行われ、計111両が製造された。翌年には鉄道友の会のローレル賞及び第4回ブルネル賞を受賞している。
車内設備は空港輸送に特化しており、0番台は普通車はフランス製のクロスシートとハットラック式の荷物棚、さらには各編成の車端部に大型の荷物置き場を設置していた。
またグリーン車は定員4名の個室と解放グリーンの2つを備えていた。
しかし何を考えたのか向かい合わせ配置を導入。日本では特急=進行方向に向いたリクライニングシートのイメージが強いのでたちまちボッタクリ認定され、209系、701系と並び東日本三大不人気トリオを形成していた。
世界的に空港連絡鉄道は最新最高の設備を入れるのだが、その逆をやったのは珍しい。
2002年のワールドカップ用に増備された200番台の2編成は、普通車は通常の回転リクライニングシートになっている。複数編成を連結した場合でも通り抜けが出来る構造になっているが、非常時以外は乗務員しか通行できなかった。
2009年10月、新型スカイライナーへの対抗として後継車両のE259系が登場し、「成田エクスプレス」の運用からは2010年6月末で終了した。0番台の普通車は2003年から翌年にかけて固定クロスシートを集団見合い式の配列に変更していた。
このうち、車齢が若い200番台の2編成は、東武鉄道への直通特急「日光」・「きぬがわ」用に改造され、1000番台になった。塗装と組成の変更やシートピッチの拡大、VVVF化が行われた。
また3両編成の2本は長野電鉄へ譲渡され特急「スノーモンキー」用の2100系となった。かつての嫌われ者もいまや長野のエースとなった。
これら18両以外は新製から最大20年足らずでの廃車された。
一部の鉄道ファンからは「せめて185系の置き換えにでも使えばいいのに」という声もあったが、ボックスシートや固定クロスシートで185系の回転リクライニングシートよりアコモデーションが劣るから仕方ないのかな。 また、空港輸送に特化し、実験要素を多く含んだ設計のため、長編成運用前提で汎用性が重視される185系の運用に適合させるには、編成最小単位から接客設備まで大規模な改造が必要で、新造に近いコストが必要であっただろう。
……そもそも185系も当初は急行型としての計画で、153系の置き換え用で転換クロスシートだったとか、「新快速用の117系を無理矢理デッキを付けて特急用に仕立て直した形式」だの「お隣さんの特別料金いらないすンごい飛ばす電車よりショボイのに特急料金採られるボッタクリ電車」だの言われてたことは気にしちゃだめだ(1995年頃から改造が実施され現在の内装になった)。
ちなみにあまり知られていないようだが埼京線で160km/h走行試験をやったことがある。
ちなみにこの試験は単純な速度向上ではなく試作品のレールブレーキのテストがメインであり、253系を使った理由は「160km/h走行が十分可能な性能だったから」というものだそうで。
関連タグ
JR東日本 長野電鉄 成田エクスプレス E259系 N'EX 成田空港