概要
英語ではBond Vehiclesと呼称。
007の劇中でジェームズ・ボンドが乗る自動車で、作品ごとに違うが催眠ガスにミサイル、脱出装置など超兵器を満載している。
アストンマーチンを中心に現実の自動車をベースにしている。
だいたいカーアクションや銃撃戦の末に景気よくぶっ壊れる。
歴代ボンドカー
当項目では厳密には「ボンドカー」ではない車、その他特筆すべき車も同時に解説する。
007 ドクターノオ/007は殺しの番号
ジャマイカでのレンタカー。そのため、特殊装備はない。
007 ロシアより愛をこめて/007危機一髪
ベントレー・マークⅣ
特殊装備は自動車電話。当時はごく一部の車にしか搭載されていなかったもの。
007 ゴールドフィンガー
アストンマーティン・DB5
いい意味での全ての元凶。特殊装備が福袋の如く満載されており、この映画によってDB5は「世界一有名な車」へと上り詰めた。特殊装備は以下の通り。
・発信機ホーマーの受信機。ダッシュボードに格納されており、ディスプレイに位置が表示される。有効距離240km。劇中では他の車にも搭載されていた。
・防弾ガラス。
・回転式可変ナンバープレート。4711・EA・62(フランス)⇔BMT 216A(イギリス)⇔LU・6789(スイス)で、それぞれ正式登録がなされている。
・リアのせり出し式防弾版。
・機関銃内臓のフロントバンパー。
・車軸から飛び出すカッター。並走する車を破壊、タイヤをパンクさせることができる。
・煙幕。
・オイル散布装置。後続車をスリップさせることができる。
・シート下の武器格納庫。
・インジェクターシート。シフトノブにスイッチがあり、蓋を開けて押すことで助手席が飛び出していく。
最後はスイスのオーリック社の工場にて、前方にいた敵の車を避けた際に壁に激突、大破した。また、このDB5はのちのシリーズにも登場し(後述)、映画「キャノンボール」ではロジャー・ムーアのマシンとして登場。なおムーアは007の作中では唯一、一度もアストンマーティンのハンドルを握らなかったボンドでもある。
007 サンダーボール作戦
アストンマーティン・DB5
防弾板に加え、放水銃も装備。その他は不明。
007は2度死ぬ
ボンドが運転していないためボンドカーとして扱えるかは不明。特殊装備はソニー製テレビ電話。もともとトヨタから納車された2000GTはおなじみクローズドボディだったが、小さすぎるため長身のショーン・コネリーが乗れないことが発覚。急遽ノッチバックスタイルのオープン仕様に改造された。現在ボンドを演じているダニエル・クレイグは歴代ボンドカーの中で最も好きな車としてこの2000GTを挙げている。
女王陛下の007
アストンマーティン・DBS
冒頭の海岸シーンと、ラストの結婚シーンにのみ出演。次作「ダイヤモンドは永遠に」にも一瞬映り込んでいる程度だが出演している。装備に関してはグローブボックスに入れられたアーマライト・AR-7以外は不明。また映画を見る限りでは防弾ガラスも未装備だった模様である。2019年、アストンマーティンは映画の公開50周年を記念して、現行型DBSスーパーレジェーラに特別仕様を設定。劇中車と同じオリーブグリーンの塗装が用意された。
トレーシーの愛車。トレーシーによる雪上のカーチェイスは圧巻。
007 ダイヤモンドは永遠に
ティファニーの車。特殊装備はないが、ボンドが運転する。車一台分の幅もない路地に右側の車輪をつけたままの片輪走行で入り、(車一台分の幅はないはずなのに)ぐるっと回転して左側の車輪を地面につけた状態で出てくるという離れ技を見せた。このシーン、入るシーンと出るシーンで前述の通り車輪が逆になってしまっており、苦肉の策として回転するカットを挿入したとのことである。
007 死ぬのは奴らだ
ボンドカーは登場しないが、二階建てバスやモーターボートでのチェイスはある。
007 黄金銃を持つ男
アメリカンモータース・ホーネットハッチバック
敵を追いかけなければならなかったため、ちょうどそこにあったAMCのショールームから盗み出した車両。特殊装備はないが、敵を追撃する過程で壊れた橋をローリングしながら飛び越え対岸に着地する、というスタントを見事に決めた。この車の選定理由は当作のスポンサーがAMCであったこと、そして一回転ジャンプで最もバランスよく回れるウェイトバランスを持っていたからであった。
007 私を愛したスパイ
ロータスとの契約で登場。ナンバープレート裏からセメント射出が可能だが、この車の一番の特徴はなんといっても潜水艇モード。敵に追い詰められ海に飛び込んだエスプリは潜水艇に変形、ミサイルを放ちヘリコプターを撃墜。その後も小型魚雷や爆雷、水中煙幕の使用が確認された。
007 ムーンレイカー
ボンドカーは登場しないが、特殊装備付きのゴンドラやボートが登場する。
007 ユア・アイズ・オンリー
ロータス・エスプリターボ(白)
特殊装備は盗難防止装置。作中では先回りした敵が窓ガラスを叩き割って盗難防止装置を作動させ、あっけなく自爆して最期を遂げた。
ロータス・エスプリターボ(茶)
スキーキャリアを装備。現地への移動に使われただけだが、「勝手にスイッチをいじるな」というセリフから何かしらの装備が装着されていたことが窺える。
メリナ所有。エスプリの自爆によりこの車での逃走を余儀なくされた。途中で横転するまではメリナが運転するが、横転してからはボンドが運転。撮影車はシトロエンGSの4気筒エンジンに換装されていて、角型ヘッドランプに交換されていた。また、シトロエンは映画公開に合わせて500台限定の007モデルを発売。007のロゴと劇中で受けた弾痕のステッカーが貼られるモデルだった。
007 オクトパシー
公衆電話で電話中の女性から拝借。華麗なドリフトでBMW・518iパトカーを振り切る。ボンドがスピンさせながら飛び降りたが、その後は不明。
敵のオルロフ将軍の車。片輪走行などを見せながら列車を追おうとするも全輪がパンクしてしまう。しかし、線路のレールにホイールをはめて列車を追跡、最後は正面から向かってきた列車に正面衝突、吹き飛ばされて川に沈没した。
007 美しき獲物たち
ルノー・11
タクシー。ボンドが盗んで階段を駆け降りたり、バスの上を走ったりとアグレッシブな走りを披露するがバーに引っかかって車体上半分が切りとられ、即席オープンカー状態に。さらに、対向車に横から衝突されて車体後部も切り取られてしまうなど、シリーズでも一二を争う壊れ方をする。しかし、残ったエンジンと全輪のみで敵を追い続けた。
プロデューサーの私物。屋敷に潜入する際に使われ、ボンドが運転する描写はないが、湖に沈められた際にタイヤから酸素を補給するなどの活躍を見せる。
ソ連の諜報員の専用車なのになぜかボンドカーとして扱われている。ミニカーもある。
007 リビング・デイライツ
アストンマーティン・V8ヴァンテージ
DBS以来のアストンマーティンの登場。もともとはヴォランテでオープンカーだったが、Q課に持ち込んだ際に「冬支度」と称して屋根付きになった。秘密兵器は
・軍や警察無線も聞ける無線機。カーラジオにカモフラージュ。
・フロントバンパーに仕込まれたミサイル。
・フロントガラスに上記のミサイル用ディスプレイ。
・フロントホイール中央のレーザーカッター。
・氷上走行時に用いる出し入れ式スパイク。
・スキーアウトリガー。
・ロケットブースター。
・自爆装置。
最後はボンド自身が自爆装置を作動させ、爆発した。
アウディ・200
国境越えのシーンにて数秒ほど登場。
007 消されたライセンス
ボンドカーは登場しない。盗難タンクローリーでカーチェイスを繰り広げる。
007 ゴールデンアイ
Qによると全方位レーダーや自爆装置などなど搭載されていたらしいが、作中では一度も使用されていない。ティーザーキャンペーン的な登場であったが、その割にはイギリスで内外装を映画と同仕様にしたロゴ入りの特別仕様車が販売されるなどしている。本作以降、各自動車メーカーがそのメーカーの新車、プロトタイプを映画で披露してから販売というパターンが急増した。
アストンマーティン・DB5
MI6からの払い下げ車両で、プライベートカー。フェラーリ・F355GTSとカーチェイスをする。また、MI6からの情報を入手できるプリンター、シャンパンも装備されていた。
007 トゥモロー・ネバー・ダイ
BMW・750iL
空港にて、エイビスレンタカーに扮したQから受け取った車両。中盤の立体駐車場のカーチェイスシーンで使用した装備は以下の通り。
・低出力スタンガン。ドアを開けようとすると電流が流れる。
・防弾ガラス。
・指紋認証グローブボックス。中身は予備のワルサーPPKなど。
・催涙ガス噴射装置。
・リアバンパーから落とせるまきびし。
・サンルーフ部のミサイルランチャー。
・エンブレム部から飛び出すワイヤーカッター。
・遠隔操縦装置。スタンガンや指紋認証などが付いたエリクソン製携帯電話から操縦できる。
作中では激しいカーチェイスを繰り広げたのち、屋上から飛び出し、通りの向かい側にあったエイビスレンタカーの営業所に突入した。これは「車を返した」というユーモアとして描かれたもの。また、歴代の秘密兵器搭載ボンドカーでは唯一のセダン。後部座席の窓から飛び込むというシーン採用のために、この車が選ばれた。この映画によって7シリーズの売り上げが伸びた。なお、撮影に際しV12エンジン搭載の750iLではエンジンが長すぎてワイヤーカッターを格納できなかったため、V8エンジンの740iLに750iLのエンブレムをつけて撮影された。
アストンマーティン・DB5
プライベートカーとして登場。
007 ワールド・イズ・ノット・イナフ
BMW・Z8
特殊装備はキーホルダーによる遠隔操縦装置、対空ミサイルなど。劇中ではヘリコプターを一機撃墜したが、別のヘリコプターが吊り下げてきたチェーンソーによって真っ二つにされてしまった。ぶった切られた車は張りぼて。また、撮影には車の生産が間に合わず、コルベットにZ8のボディを被せたものが使用された。なお、今作以降はBMWの業績悪化、そしてタイアップ契約を延長しなかったことでBMW車が登場しなくなった。
アストンマーティン・DB5
未公開シーンにのみ出演。なお、本編においては一瞬シルエットが映る程度である。
007 ダイ・アナザー・デイ
アストンマーティン・ヴァンキッシュ
Qが「新しい車だ」と持ってきたが何も乗っておらず、ボンドに「冗談はよせ」と言われた車。特殊装備は以下の通り。
・光学迷彩装置。ポリマー加工の車体全体に超小型カメラを設置し、反対側の景色を映すことで透明になる。
・遠隔操縦装置。本作ではペン型のコントローラー。
・マシンガン。
・フロントバンパー部のミサイル。
・自動追尾ショットガン。ザオの乗るXKコンバーチブル(後述)から放たれた爆弾を全て撃ち落とした。
・インジェクターシート。2トン近くある車両を跳ね上げるほどの威力がある。このパワーを利用してボンドは横転したヴァンキッシュをもう一度復帰させた。
・出し入れ式大型スパイク。
・熱センサー。
・フロントガラス破壊機能。手を数秒当てていると割れる。
撮影者は秘密兵器部分のためにV12エンジンではなくシボレー製のV8エンジンを搭載。氷上を走るために4WDに改造され撮影車も存在する。
敵のザオが乗っていた緑色の個体。敵から身を隠すためのテクニシャン型の装備のヴァンキッシュに対し、こちらは火力重視のファイター型の装備。具体的には以下の通り。
・サーモグラフィー。光学迷彩で姿を消したヴァンキッシュを探す際に使用。
・ガトリング砲。せり上がってくるタイプで、ボンドのヴァンキッシュに向けて発砲。光学迷彩を使用不能に陥らせた。
・フロントバンパー部のミサイル。ボンドがバック走行で放ったミサイルを、こちらもミサイルを放つことで無力化。
・車体側面のミサイル。ヴァンキッシュに命中させて横転、滑走させるも、もう一発でトドメを刺そうとする瞬間にボンドがインジェクターシートで車体を跳躍、回転させて回避され、不発に終わった。
・トランク部の爆弾。全て撃ち落とされる。
・銛。バンパーから2本出てくる。
最後は壁際ギリギリに追い詰めたヴァンキッシュを、銛で突き刺して始末しようとしたが、ボンドが光学迷彩の復活したヴァンキッシュで姿を隠したままスパイクを使って背後の氷の斜面を駆け上がって間一髪回避、XKとザオは勢い余って壁を突き破り落下した。おそらくその後は水没したと思われる。あと、気温の低い雪の中、スキンヘッドでオープンカーを飛ばしているザオはかなり強靭な体を持っている模様である。
この対決シーンは好評を博し、のちのスペクターでもアストンvsジャガーのシーンが採用された。
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関連項目
バットモービル:同様に超兵器を満載した車両。