概要
「アニメージュ」誌にて連載された宮崎駿の漫画作品(1982年~94年連載)。
またそれを原作に構成された劇場用長編アニメーション映画作品である。1984年公開。
公開当時から高い評価と人気を獲得し、宮崎駿の名を一躍世に知らしめることになった。
上映から30年、連載終了から20年が経過しているが、Pixivでは未だにこのタグを付された作品がコンスタントに投稿されている。
企画の発端には、リチャード・コーベンのロルフを宮﨑と手塚治虫が映像化しようとして叶わなかったことがナウシカの前身として存在している。
そして、アルザックシリーズとデューン/砂の惑星と中尾佐助の思想の影響が非常に大きいのは宮﨑本人も認めている。他にも、パステル都市、地球の長い午後、ファンタスティック・プラネット、手塚治虫、諸星大二郎などとの類似性がある。
宮﨑自身の作品には、「グールの王女ナウシカ」、「風使いの娘ヤラ」、「サンド王蟲」といった本作のモチーフともいえる作品群がある。
物語
人類文明は「火の七日間」と呼ばれた最終戦争によって崩壊。それから1000年後の荒廃した世界は腐海と呼ばれる猛毒の瘴気を放つ森とそこに生息する巨大な蟲たちに覆われ、生き残った人類達の生存を脅かしていた。そんな世界で人々が穏やかに暮らす辺境の地「風の谷」の族長の娘・ナウシカは蟲と心を通わせていた。
そんなある日、ペジテ市の難民を乗せた輸送船が谷に墜落。ナウシカは乗っていた王女から謎の石を託された。それは旧世界の怪物「巨神兵」を操るもの鍵で、それを奪わんとクシャナ王女が率いるトルメキア軍が攻め入る。何とか追い返すも、トルメキアと土鬼との戦争が始まり、風の谷は同盟条約を理由にトルメキアの戦列に加わることになる。
戦いに旅立ったナウシカとその仲間達は大国の争いに巻き込まれながら、世界の真実を目の当たりにし、未来を生きるための戦いと真実に挑む。
映画版と漫画版
映画版の内容は、原作全7巻のうち2巻の半ばまでをまとめたものである。
当然ながら物語全体を収めるには尺が全然足りず、設定もかなり変更されており、セルムなど原作の重要なキャラが登場しない。
他にもナウシカと並び第二の主人公と言えるクシャナや、巨神兵などの重要キャラをしっかりと描写することができず、一種の狂言回しのような扱いになってしまった(監督もこうした出来に不満を漏らしていたらしい)。
後年、監督は本作の映画を指して「宗教映画にしてしまった」と述べており、完成した一時は達成感に浸っていたものの、後から終盤のご都合主義(ナウシカの復活とオウムの祝福)を見て「ちょっとやり過ぎた(ナウシカを持ち上げ過ぎた)」という結論に至っている。
結果、3巻以降は一気にダークファンタジーや軍記物語の色を前面に押し出すようになり、人類の陰惨さとナウシカを始めとする聡明な人物たちの対比を物語の軸として据え、より壮大で重厚なストーリーへと舵を切っていくことになった。
また、今ではスタジオジブリ作品として扱われている本作だが、ジブリ設立前の母体となったスタジオ「トップクラフト」制作である。
なお、当時徳間書店とのタイアップでいくつかのゲーム作品が出され、北米では再編集…というよりもズタズタにカットされたOVAも出されたが....その出来はお察し下さい。
宮崎駿がこの海外向け短縮版やTVゲームの内容に憤慨したため、ジブリは作品の改変や外部作家による商業作品を基本的に許可しなくなったと言われている。
ジョン・ラセターがアメリカにおけるプロデューサーを担当するのがもう少し早ければ、このあたりの状況は違っていたかもしれない。
なお例外として、ナウシカ参加時はアニメーターをつとめていた庵野秀明による特撮作品『巨神兵 東京に現わる』がある。
庵野はナウシカの続編を制作することを長年にわたり熱望しており、近年は実際に宮崎より「庵野がやるならいいよ」と許可を得ているのだが、鈴木敏夫曰く「あいつなかなか動かないの」とのことである。
歌舞伎版
2019年12月6日より、新作歌舞伎として新橋演舞場にて上演。
ストーリーは原作漫画版の方を下敷きにしている7幕構成(上演時間は休憩を挟みつつほぼ丸一日)となっている。
他作品からの影響
フランスの漫画家メビウスによる『アルザック』というセリフの無いバンド・デシネ(漫画)には強い影響を受けており、宮崎自身メビウスと対談した際に「ナウシカという作品は明らかにメビウスに影響されつくられたものです」と語っている。
評論家の岡田斗司夫氏は、王蟲のモデルが、宮崎氏が巨大なモスラの幼虫が渋谷の街を破壊する光景に衝撃を受けたという、1961年の映画『モスラ』に登場するモスラの幼虫だと語っている。
他にもSF小説『地球の長い午後』、アニメ映画『ファンタスティック・プラネット』、漫画家の手塚治虫や諸星大二郎などの影響も指摘されている。
登場人物
皇兄ナムリス
皇弟ミラルパ
動物
世界観
関連作品
PC・TVゲーム
『風の谷のナウシカ』PC-8801用。アドベンチャーゲーム。(徳間書店)
『ナウシカ危機一髪』PC-6001mkII用。シューティングゲーム。(徳間コミュニケーションズ)
『忘れじのナウシカ・ゲーム』MSX用。シューティングゲーム。(テクノポリスソフト、徳間書店)
ゲームブック
『巨神兵を倒せ! 風の谷のナウシカ』(徳間書店アニメージュ文庫)
ボードゲーム
風の谷のナウシカ --- 戦闘級(ツクダホビー)