CPU
しーぴーゆー
概要
コンピューターにおける中心的な処理装置(マイクロプロセッサ)。各種演算、メモリへのデータアクセス、各種出入力機器へのデータの出し入れといった処理を行う。
CPUといえば自作PC向けに単体販売されているパソコン向けCPU(インテル・AMDが製造販売しているx64系)のイメージが強いが、世の中に存在するCPUの大半は単体製品としては存在しておらず、メモリや各種周辺LSIなどを統合したMCU(マイクロコントローラ)やSoCとして、さまざまな機器に組み込まれている。
マイクロコントローラやSoCの分野ではARMが圧倒的に強く、したがって世の中のCPUコアの大多数はARMの系列に属する製品が占めている。ARMはスマートフォンやタブレット端末などの携帯機器でも支配的であり、近年(2010年代以降)はスーパーコンピュータにまで進出している。ARMはもともと6502の後継としてパソコン向けに設計されたのだが、アップルが出資して以来ライセンスビジネスに舵を切り、現在の隆盛につながった。
最近のパソコン用CPUではシステムコントローラ(ノースブリッジ)やグラフィックコントローラ(GPU)も一緒に集積されていることがほとんどである。
有名どころ一覧
CPUなどのマイクロプロセッサを自社で生産しているのはインテルのみであり、他は全て製造を他社に委託している(ファブレスメーカー)。
汎用
AMD | 一時はパソコン・サーバー向けを中心にx64に特化していたが、現在はARM互換製品にも力を入れる。GPU統合製品を得意とし、PS4にも採用されている |
インテル | 現在は主にパソコン・サーバー向けのx64で圧倒的シェアを誇る。過去にはi960など独自開発のRISCプロセッサやARM互換製品などを販売していた |
IBM | PowerPC・POWERシリーズ。主にIBMと日立のサーバ機に採用。過去にはPS3、Wiiなどの据置ゲーム機、Macintoshなどが採用していた |
オラクル(旧サン・マイクロシステムズ)・富士通 | 両社はサーバー分野で協業関係にあり、富士通の開発したSPARC64シリーズがスーパーコンピュータ「京」などに採用されている |
ARM | 組み込み用途におけるベストセラーCPU「ARMアーキテクチャ」を手がけ、ニンテンドーSWITCHにも採用。もともとパソコン用だったが長らく組み込み市場に特化しており、汎用CPUとしては他社がARMからライセンスを受け実装する形態をとっている。電力効率に非常に優れていることから近年はサーバー向けにも展開しており、「京」の後継機にも採用された |
RISC-V | 2010年に登場したCPUアーキテクチャの新星。オープンソースでライセンス料不要であることから注目を集めているが採用例はまだ少ない |
モバイル機器
マイクロコントローラ
ARM | 1990年代以降多くのメーカーへのライセンスビジネスを展開しており、ルーターやデジタルカメラのような高性能製品から単純なリモコンのようなものまで分野を問わず幅広く使われる。2011年には70億個、2015年には148億個のコアが販売され、世界で最も売れているCPUシリーズとなっている |
MIPS | 1990年代から2000年代のプリンターやネットワーク機器、ロボットなどによく使われていたが、競合するARMアーキテクチャに敗れ存在感が薄れつつある |
RISC-V | 上述のMIPSの設計者らが関わって2010年に立ち上げたオープンソースの命令セット。2010年代後期になってから、多くのメーカーがSSDコントローラなどでの採用を表明している |
NXPセミコンダクターズ(旧Freescale) | PowerPCシリーズ、ColdFire |
日立製作所 | SuperHシリーズ(SH-3,SH-4)。カーナビ、ワンセグ受像機、小惑星探査機はやぶさなど国産の組み込み機器にしばしば使われる。過去にはドリームキャストやセガサターンが採用していた |
過去の製品
(レトロPCなどに搭載された。互換品が組み込み向けに今でも生産されている場合がある)
ザイログ | Z80シリーズ | MSX、PC-6001/PC-8001/PC-8801など。過去の組み込み分野では最も多く使われていたCPUであり、パチンコ/パチスロ台では業界団体の内規によりいまだに多く使われる |
モトローラ | MC68000シリーズ | 過去にX68000等に採用され、後にApple、IBMと組んで開発したPowerPCに移行。その後Freescale(現NXPセミコンダクターズ)としてスピンアウトし、組み込み向けのPowerPCシリーズなどを手がける |
モステクノロジー | 6502シリーズ | 互換品がコモドール64、 Atari2600、ファミコン、PCエンジン等ホビーパソコンやゲーム機で広く使われ、組み込み分野でも普及した |
インテル | 8051シリーズ | 初期は単体のMPUだったが、その後は主に組み込み用として用いられる。ビット演算が多く高性能を要求されない用途によく使われ、特にキーボードやUSBコントローラに多く使われていたことで知られるが、ARM系に置き換えられつつある |
インテル | 80386(i386)シリーズ | 80286の後継としてPC/AT互換機、FM-TOWNS、PC-9800シリーズなどのパソコン用CPUとして普及した。そのアーキテクチャはのちにIA-32として定義され、x64に移行するまで広く使われた |
注:表内の企業については設計データなどのライセンス販売している会社や、現在では分社化・その部門のみ別メーカーとして合併しているところ、既に買収されたところがある。
- 【世界のSONYが半導体製造業の王様と業務提携、日本国熊本県に汎用CPU工場建設開始:2025年には日本国内で28nm/22nmプロセス・ルールの車載用CPU完全国産化が可能に!!】
※詳細は台湾積体電路製造(TSMC)と業務提携したSony Semiconductor Solutions Group 2021年11月9日公式発表『TSMC to Build Specialty Technology Fab in Japan with Sony Semiconductor Solutions as Minority Shareholder』(外部リンク)の公式英語情報を参照の事(日本では量産化不可能だった28nm/22nmプロセス・ルールのCPUが完全国産化できるようになるという『正月とクリスマスが同時開催され未来の国からドラえもんが本当にやってきた』ような夢のような嬉しい出来事が現実となったので追記しました)。