曖昧さ回避
何らかの音声を消してしまう装置。
銃火器の発射音を軽減したり二輪車や四輪車の排気音を消音する筒状の装置やエレキギターのノイズを防ぐための装置のこと。
本稿ではpixivでの主な用法、銃火器のマズルアタッチメントについて説明する。
二輪車や四輪車のサイレンサーについては→マフラー
概要
元々は発砲時の隠密性を高めるために開発された装置。
目的としては
・スポーツシューティングにおけるご近所さんにかける迷惑の軽減
・一般人には発砲音と思えない音に変化させることで発砲の事実を秘匿
・銃口=射手からの音と光を絞ることで射手の位置の割り出しを困難に
・射手の耳の保護
など。
一般人の所持規制は国や地域によりまちまちで、アメリカでも州によっては犯罪暦がなければいくつかの資格を習得し、相応の税金を支払う事で所持が可能。
一部の地域では射撃場のような限られた場所以外に、狩猟の際に用いる事も可能。
いくつかの軍事研究施設では実験施設の周囲にある住宅への迷惑を避ける為に戦車等の大型砲用のものが開発されているが、中でもドイツのラインメタル社とIfL社により開発されたものはその外見が特徴的なことで有名である。
効果
発射音の軽減と、副次効果として発射炎、反動の減少、銃身の放熱などがあるが、現代は発射炎の減少を目的に装着される場合もある。
発砲の際に発生する騒音源は
・銃口からの発射音
・排莢口など、銃口以外の隙間から漏れる発射音
・排莢、装填機構が動く作動音
・音速を突破した銃弾の衝撃波
などがある。
このうちサイレンサーで抑制できるのは銃口から発生するもののみで、それ以外の騒音については別に対処が必要となる。
銃口以外の隙間が大きいリボルバーには基本的に効果がなく、自動式拳銃やライフルにしても消音器だけでは効果は限定的。
そのため本格的に消音を求める場合、自動式の銃は可動部を固定して作動音を消し、発砲時に発生する隙間も失くし、通常弾が超音速で飛翔する場合は特別に亜音速弾を用意する必要もある。
.22LR弾のような小口径拳銃弾や.45ACP弾のような低速弾、装薬の量を減らした減装弾(弱装弾)、弾頭重量を重くしたサブソニック弾等を用いるか、減圧機構を搭載する(64式微声手鎗)等により銃口初速を亜音速まで弾速を落とし、さらに自動装填機構を持たない銃を使用する、自動装填機構を強制閉鎖するか、排莢口を可能な限り小さくするなどのいくつかの配慮を施すことで、スパイ映画に登場するようなほぼ無音の火器が出来上がる。
こうなると専用の設計が必要となり、M700のような稼動部を持たない銃、スタームルガーMk2のように減音化に適した銃ではない場合、Mk22、64式微声手鎗、VSSなど、改造を加えるか設計段階から適した構造とする必要があるが、ここまでして消音を徹底する銃というのは、多くの場合特殊部隊や諜報機関が用いる物となる。
しかしながら、消音器のみでも騒音対策、射手の聴覚の保護が目的であれば、十分な減音効果が認める。
特に室内戦を主眼とする部隊や警察組織などでは、普通に発砲すると銃声が反響して難聴間違いなしなので、半端な効果であることを承知の上で用いられることもあり、製造会社も効果は聴覚の保護程度で長寿命、という製品を出している所もある。
単なる減音だけでなく、音を変化させる効果も大きい。
消音器は特に高音域を抑制するため、銃声が消えないまでも音の質は大きく変化し、車両や航空機のエンジン音、戦場であれば砲弾の爆発音などに紛れることも可能で、仮に聞き取られたとしても音の方向を判断することが難しくなる。
対物ライフルなどの対物火器の場合、マズルブレーキを取り外してサイレンサーを取り付ける、もしくはマズルブレーキに被せてサイレンサーを取り付けると反動が非常に大きくなってしまうため、先端にマズルブレーキが付いたものが開発されている。
もちろん銃口に直に取り付けたものよりは効果は劣ってしまうが、あると無いとでは大違いである。
MAC10シリーズ等の一部の小型サブマシンガンはサイレンサー自体を銃を支える部品として使用する事も想定しており、連続射撃時に熱を持つ筒から手を保護するためのカバーが存在している。フルオート射撃を繰り返さない銃であっても過熱時の発光や火傷対策、陽炎や雨が当たって蒸気が発生することによる視界悪化を防ぐためにカバーが取り付けられる事も。
発射炎の抑制は銃口からの炎のみが抑制されるため、ガスレギュレータ(規整子)から放出される炎の抑制は出来ない為、軽機関銃等の場合はフルオート射撃時にあまり効果がないという事もありえる。
ガス膨脹室としても働くため、装薬量や銃の構造によっては発射速度を高める等の銃の性能を高める役割も果たすが、銃身内を発射ガスが逆流することとなり、排莢口や機関部の隙間から燃焼ガスが大量に噴き出す事となり、装薬の種類によっては燃焼で生じた刺激性のガスが大量に射手の顔へと吹き付けることとなる。
また、ガス圧を利用する作動機構を持つ銃では動作不良を招いてしまう事もある。
例えばガス直噴式のM4カービンの場合、想定より高い圧のガスがガスチューブを通して機関部内へと吹き付けることによる動作不良、ガスに押されてチャージングハンドルが(射手の顔面に向かい)飛び出す等のトラブルが生じる。
極端な例として示したがM4=AR15系の作動機構を始めとした諸々の設計が「お上品過ぎる」せいでもある
ちなみに、ガスブロック(銃身の穴からガス圧を導くための部品)やボルトキャリア、ボルトキャリーキー(ボルトキャリア内にガスを導く部品)等をレギュレーター(調整弁)有の物に交換して過剰にガスが流入することを防いだり、溝や穴を掘ることでガスの逃げる先を作っているチャージングハンドルといった対策部品もちゃんと存在している。
殆どの自動拳銃や一部のサブマシンガンでは銃身が稼動するショートリコイル方式を採用しており、この機構では銃身に重石を付ける事になるので動作不良を引き起こしやすくなる(発射ガスや反動が通常より少ない減装弾を使えばさらに動作不良を引き起こしやすくなる)銃もある。
MP5のように銃身が固定された銃であればこのような問題は起きず、稼動する銃身とは別に固定されたマズルカバー等を設置してそちらにサイレンサーを固定する構造にして作動には影響しない構造としたり(TMP等)、発射ガスを利用して動作を補佐するブースターとして働くよう専用設計されたサイレンサーもある為、全ての銃でこのような問題が起きるわけではない。
Mk23のように取り付けを想定した銃であっても許容範囲を超えて重いものや大型のものを取り付けた場合も動作不良を起こしやすくなってしまう。
一方ではその重量や重心の移動により反動を抑える効果も高まるため、重石であることは欠点ばかりではない。
動作とは直接関係は無いが、径によっては取り付けることでアイアンサイト(照準)の前を遮ってしまい、狙いが付けれなくなるという問題もある。
常に同じ位置に固定される専用品ではあればサイレンサー自体にもアイアンサイトを取り付けるという手もあるが多くの銃では現実的ではなく、偏芯しており視界の邪魔とならないものや径の小さいのものを取り付けるか、背の高いアイアンサイトへと交換するといった対策がある。
背の高いアイアンサイトに交換した場合、ホルスターによってはアイアンサイトとホルスターが接触してしまい差し込む事が出来ず、サイレンサーを取り付けていなくともホルスターが使えなくなってしまい新たに調達する羽目になることもあるため、注意が必要である。
偏芯したサイレンサーはその構造上フルオートには対応しておらず、フルオート機構を持つ銃には取り付けられないが、基本的にそのようなサイレンサーを取り付ける銃ではフルオート射撃をしないので問題とはならない。
ウェポンライト(銃に取り付けるフラッシュライト)と併用した場合、銃のデザインやライトの取り付け位置、照射パターンなどの条件によってはサイレンサーによって遮られて欠けた照射パターンとなってしまい対象に照射した際に欠けた部分が目にあたり効果的な目潰しが出来ない、サイレンサーで反射した光で自爆する、といった事が起きてしまう可能性があるため、取り付ける際には確認が必要である。
拳銃用や民生向け、ボルトアクションライフル向け等ではフルオート射撃を想定していないものもあり、使用の際には注意が必要。
数発程度のバースト射撃に耐える事もあるが基本的に連射での使用は使用不可能で、発射炎などの熱で歪んで発射された弾丸で破損するというのはましな方で、発射ガスで熔解した金属が飛び散る、破裂等により射手や銃付近にいた他者の怪我を招いてしまう。
構造
主流のものは、長い円筒の中にバッフル(隔壁)と呼ばれる仕切り状の構造物でいくつもの空気室を設けることで、発射音を小分けにして静粛性を高める構造となっている。最近では目的の変化やQD式であれば(発射ガスを横方向に逃がす)マズルデバイスへの対応の為からか隔壁前に膨張室となる大きな空気室を設ける構造を持つものもあり、全長の半分ほどがバッフルのないものもある。
隔壁の構造は各社により異なり、基本的な構造は同じであるものの、銃弾が通る穴以外の穴がバッフルに開けられていて別の空気室へと発射ガスが逃れるようになっているものもあり、中にはメンテナンス時に外装となる筒からカーボンをそぎ落とすスクレーパーを兼ねているものもある。
また、スチールウールや石綿、グラスウールなどの難燃性の繊維や、パンチングメタルなどを用いたもの、隔壁構造と消音材の両方を併用したものもあるが、消音材の焼損によって寿命が長くないことから主流では無い。
B&T社のVP9消音ピストルのものは交通事故や病気などで救命不可能と判断された動物の安楽死の為という対人ではなく対動物用かつ単発式であるためか、現在では珍しい十字に切れ目を入れたシリコン製の板をバッフルとして用いている。(バッフルは20発程度の寿命の為、訓練用としてアルミ製バッフルを使用したものも付属している)
ショットガン用は、散弾を発射する場合、通常の構造では散弾やサボットがバッフル等に接触して破壊してしまうため、銃身の延長となる穴あきパイプやそれに相当する部品からガスが空気室へと漏れ、バッフルや消音材によって音を抑える仕組みとなっているものが多い。
熱対策として内部に水を注入する事ができる製品もある。
取付部と銃口部位外に穴が無いものが殆どであるが、減音性能を高めたりガス膨張室として働くことを防ぐ為に外気を取り入れる穴の開いたものもある。
構造を問わず、基本的に中身は発砲炎や熱で焼損したり、発射ガスなどにより磨耗すると共にカーボン等の燃焼滓が蓄積していき、気密性の低下や構造が変わる事で減音効果を失っていく消耗品であり、連続して射撃を行った場合は熱により減音効果はより低下していく。
また、銃口に部品を取り付ける関係上、銃身長が延長されるので銃が大型化してしまうという問題もある。
取り付け方式としては、スターリングSMG、MP5SDなどのように銃自体に固定されたインテグラルタイプ、銃口に取り付ける取り外し可能なマズルタイプがある。
インテグラルタイプは銃自体に固定されており、銃身と一体となった減圧室へ銃身に開けられた穴などから発射ガスが漏れる構造となっている。
物によっては銃身と完全に一体として製造されたものもあり、銃口部にバッフル部が繋がった形状に銃身を削りだした後にカバーを被せるという構造となっている。
取り外しが可能であっても簡単には交換できない構造の為、熱で歪んで発射した弾丸に触れて内部構造が破壊されることを防ぐために強固に作られているものが多い。
マズルタイプの取り付け方法は銃身先端外周に切られたネジを使うものが主流だが、一部の製品は専用のマズルデバイス(フラッシュハイダーやマズルブレーキ等)やM16やMINIMI等に備えられている汎用的なハイダー(所謂A2ハイダー)を介して取り付けるものもある。(社外パーツにはA2ハイダー同様の寸法としたマズルデバイスもあり、そちらにも取り付け可能)
MP5やMP9等のように取り付け用のアタッチメントが最初から銃身や銃本体に備えられているものもある。
特にQD(クイック・デチャッタブル)タイプと呼ばれるものはねじ込む際に数回転で済んだり、差し込むだけ、従来同様にねじ込み式だがレンチ等で強く締め付ける必要がないと取り外しが容易となっており、工具不要で短時間での着脱が可能である
状況に応じて取り外すのでは無く、インテグラルタイプ同様に取り付けたまま使用することを前提としたハニーバジャーPDWのような銃も登場している。
映画など(特にスパイもの)ではスライドから飛び出した銃身外側にネジが切られているのが不格好だと考えられるのか、銃身内にサイレンサーのネジを捻じ込んでいくタイプのものがある。これをそのまま実銃で行った場合は発射された弾丸がねじ込んだ部分に接触してしまう。
銃口部を本来の銃口とネジ部の二重構造にして、サイレンサーが内部の銃口を覆うようにする(実際エアソフトガンでスパイ銃を再現したものではそのような構造となっている)、もしくは肉厚の銃身を用いて銃口内に銃弾の径より更に大きい径のネジを切れば再現可能だが、いろいろな問題があるので現実的ではない。
(余談ではあるがQD機構を用いて発射ガス及び発射炎を前方に集中させるブラストシールドの取り付けがされることもある。伏せ撃ち等の際に反動抑制のために横方向へと導かれる発射ガスにより銃口周辺の砂塵等が巻き上げられてしまう。それを抑制するためにマズルデバイスの周りを囲うように筒を取り付けるのだが、これは効果は限定的ではあるがサイレンサー同様に機能する製品もある)
民間型のモデルの場合は取り外し可能なQD機構を備えたマズルタイプであってもより高額な税金や規制を逃れるためにQD機構を使用できなくしてインテグラルタイプ相当に改造する事もある。(規制により扱いは異なる為、マズルタイプ自体は規制されていないがQD機構の禁止という規制の回避の場合もある)
地域によってはサウンドサプレッサー自体だけでなくそれが着く機構(マズル部のネジやラグ、マズルデバイス等)を有する銃の所有が規制されており、そのような地域ではマズル部がなにも付いておらず非常に物足りないか逆に過剰なマズルブレーキが付いていたり、銃身に穴を開けてマズルデバイスを装着したものと同様の機能を持たせた銃となっている事もある。
技術の向上や使用目的の変遷等によってインテグラルタイプ同様に扱える長寿命のマズルタイプが登場しており、状況に関わらず装着したままの戦闘が行えるようになっている。
さすがに冗談だろうが、QD機構を持つマズルタイプを複数携行し、効果が薄くなったら取り替えて射撃を継続するといったどこぞのゲームのような使用方法が提示されたこともあった。
(ノーメンテナンスでの寿命は例えばAAC社のものでおよそ3,000発、連続でフルオート射撃を続ける等により加熱状態で酷使した場合は1,000発程度まで縮まる。破壊されない限りは内部のバッフルを交換または清掃すれば機能は回復し、適切なタイミングでしっかりとしたメンテナンスを行なえば数万発の発射に耐えるとの事)
基本的には効果を最大に発揮するために各口径専用のものがあるが、目的が異なるために高い効果を望んでいない製品ではマルチキャリバーに対応したものも登場しており、取り付け部分を交換したり、共通のマズルアダプタを用いることで口径の異なる複数の銃に使いまわすことが可能となっている。
しかしながら、ネジの径は各社独自のものとなっており、
AR-10:5/8-24tpiRH
AUG:M15P1.0LH
M110:3/4-24tpiRH
AK47:M14P1.0LH
AK74:M24P1.5RH
とばらばらである。
更にはマズルアダプタの固定方法まで異なっており、例えばAR15であればクラッシュワッシャーやピールワッシャー等の厚さが変わるワッシャーを挟みレンチで規定トルクをかけつつ向きを合わせて固定するものが主流であるが、AK47ではバネで押し出されるピンがマズルアダプタとかみ合う事で固定、G3では銃身外周に刻まれた溝にマズルアダプタのバネがかみ合い固定、89式小銃やAR15の一部等ではダブルナットで固定、AR15やM700等では角度調整用のシムで調整後にロックセットなどのゆるみ止め剤で固定、と固定方法は様々で、銃身側が固定方法に応じた加工がされていることもあり、そのままでは使いまわせないという事もありえる。
その為、ネジや固定方法が異なる銃身や変換用のスレッドアダプタが登場している。また、ネジの異なる銃身や加工を前提としてネジの切られていない銃身も売られている。そのような銃身が無くとも口径や銃身の厚さ次第ではあるものの好きな規格のネジを切りなおす事も可能。
外見のみ
実際には機能しないことから正確にはサイレンサーとは言えないが、銃規制の為に長銃身となってしまっている銃の見栄えを良くする為の銃身を隠すサイレンサー型バレルジャケット、盗難による違法使用を防ぐために展示用のダミー、空砲作動用のブランクファイアリングアダプタとして機能するダミーサイレンサーといったものも存在している。
また、シムニッション弾やペイント弾等の発射音があまり大きく無い弾を使用する銃や取付操作訓練用、実弾用ではあるが機構を省略して発射音はそののままで訓練による損耗を防ぐ、等の理由から外見やQD機構等のみを再現した減音機能のないものもある。
遊戯銃の消音器
交戦距離が近く銃の作動音が聞こえてしまうため実銃ほどの優位性はないが、単なるなりきりにとどまらない程度の効果はある。
円筒内に消音材(スポンジ等)がみっちり詰まっているものが主流。
隔壁構造を再現したものもあるにはあるが、遊戯銃として実用的な初速とBB弾の重量では隔壁通過毎に起こるガスの拡散が弾道に与える影響は無視できず、集弾性に悪影響が出てしまう事から一部の製品でのみ使用されている程度である。
更に発射ガスが実銃ほどに高圧でないことから効果はスポンジと比べて低く、あまり実用的ではない。
その為、実用と言える隔壁構造は消音材を主として数枚の隔壁となる部品を入れた程度のものとなっている。
本来の目的とは逆に内部のバッフルの向きや組み合わせを変えることで発射音を増幅する事ができる物や増幅のみを目的としたものもあり、敵の気を引く、人数を誤認させるなどの効果も。
カスタマイズで長いものへと交換したインナーバレル(実際にBB弾が通過する内部の銃身)を隠す為の筒として使われるものもあり、実際に消音器として機能する製品もバレルジャケットとして使われることもある。
銃内部に手を加える必要なく、装着することでBB弾の加速用延長銃身として機能する製品もある。
蓄光素材を含んだBB弾と組み合わせることで曳光弾を再現するための機構を備えた製品もある。
フルオートトレーサー等と呼ばれており、中には発光部と検知部、電池が内蔵されている。
内部を通過したBB弾を検知すると短時間のみ光を当てることでBB弾を発光させる機能がある。
発射に合わせて銃口から洩れる一瞬のみの発光は発砲炎にも見えることからモデルとなった製品の機能とは逆の目的で取り付けるユーザーも居る。
フルオートトレーサーは内部の殆どが発光機能が占めているために減音機能は殆どないため、銃本体やマガジンに発光機能を追加してしっかりと機能するサイレンサーを取り付ける、減音機能のある短いサイレンサーをフルオートトレーサーと連結することで消音機能を持たせるといった事も行なわれている。
エアソフトガンでの取り付けネジは現在はM14ピッチ1.0の左ネジ(逆ネジ)が主流であるが、これは東京マルイがAK47で実銃同様のネジ規格を採用、以降の製品で同様の規格を採用したことから他社も追従し、主流となったようである。(ただし一部の製品はサイズやピッチこそ同じでも右ネジ(正ネジ)を使用していたり、銃身径の都合で小さいサイズのネジを使用していたり、実銃と同じ規格を採用したものもあり、購入の際には注意が必要である)
発火式モデルガンの場合は殆どの物がパンチングパイプまたは穴もあいていないパイプ等があるだけで仕切りも消音材も無いただの筒である。
消音材としてスチールウールを入れたものやバッフル構造を再現したものもあるが、商品としてはごく少数であり、殆どがユーザーによるカスタム品である。
どの製品も基本的に相性はあっても使用不可能というものはないため、実銃と異なり好きなデザインのものを取り付ける事が可能である。
偏芯したサイレンサーをSMGや軽機関銃に取り付けるだけでなく、突撃銃用のQDサイレンサーをモチーフとした製品を拳銃に取り付ける事も(実用性や使い勝手はともかく)可能である。
エアソフトガンへと取り付ける際は、銃身に切られたネジへと直接取り付ける場合はまず問題とならないが、QD式のように銃身に取り付けたマズルデバイスへと着脱する場合は注意が必要となる。
エアソフトガンの場合、簡単に取り外しができるように銃身へマズルデバイスを取り付ける際に実銃と異なり完全に締め込まず、角度を合わせて緩んだまま横からイモネジで回り止めをして固定とするものが多く、ダミーとなるワッシャーやマズルデバイス内にOリングを入れる事で多少はテンションがかかるようにはなっているもはあるものの、殆どがネジの噛み合いが中途半端なままとなっている。
更に、破損防止や誤差の許容量を多くとるためにネジ自体が余裕を持ったつくりとなっているので横からイモネジで押すことで斜めになってしまう。
余程のことが無ければ多少傾いていてもマズルデバイス単体ではまず問題とならないが、そのような状態で取り付け用部品としてしまえばまっすぐに着ける事はできず、BB弾が内部で接触してまっすぐに飛ばないといった問題が生じてしまう。
対策としては実銃同様にシムワッシャーを入れてイモネジに頼らずに角度が合うようにする、シールテープ等をネジに巻いてがたつきを減らすといった方法がある。
名称
Silencerは「沈黙させるもの」という意味であるが、先述したように発射音だけでなく発射炎の抑制を期待されることも多いため、最近は国内や例の銃大国、ヨーロッパ等の各地でSuppressorという名称が普及してきている。
日本のミリタリーマニアでもその点を考慮して「サプレッサー」と呼び、「サイレンサー」という呼称に疑問を呈する者も多い。
しかしながら英語圏の公的文書ではSilencerという単語が用いられており、製品名でも同様のものは多い。
要は消音効果をメインに語るのであればどっちでもいいということである。細かいことは気にするな。