初期クラス:ロードナイト
概要
第一部の主人公。青髪碧眼の青年。聖戦士バルドの直系の血筋であるシアルフィの公子にして、聖剣ティルフィングの継承者。一人称は「私」、稀に「ぼく」。
妹のエスリン曰く向こう見ずで、父子揃ってだらしがない。そして困っている人を放っておけない性分。
4章の台詞から年齢はレヴィンとあまり変わらない。さらに死別した母親の記憶がないらしく、妹ともそれほど年は離れていない模様。少年時代に王都バーハラの士官学校で出会ったキュアンやエルトシャンとは、設定資料集によると同級生。
蛮族(みたいな王族)にさらわれた美人の幼馴染を助けるために、わずかな兵を引き連れ進軍したら、親友や彼に嫁いだしっかり者で気立てのいい妹を始めとする仲間たちが駆けつけてくれて、いつの間にか精鋭揃いの一軍の長となり、その功績から王国聖騎士に叙され、互いに一目惚れした美少女の巫女さんをちゃっかりお持ち帰りして、未来のシアルフィ当主をもうけたところで彼の人生は幸福の絶頂を迎える。
…しかし、そこからが壮絶な転落人生の幕開けだった。
勇敢で心優しく正義感の強い騎士でありながら、あまりにも報われなさ過ぎるため、『ファイアーエムブレムシリーズ』どころかRPG有数の不幸な主人公として名高い。一方でほんの少し言葉を交わしただけのディアドラと再会して「私は…きみを愛している…」と電撃告白をしたり(しかもある条件でさらに熱烈な口説き文句に変わる)、結婚後色々あって傷心している最中に、妻以外の美女に向かって(女性として求めたわけではないものの)「そうだ、きみがほしい」と大真面目に宣言したりと、やや天然気味で、その言動はファンからもしばしばネタにされる。
また公子という立場でありながら、根っからの武人気質であるが故に政治には非常に疎く、彼が陥れられてしまったのも政治的な駆け引きができなかったことも要因となっている。とはいえ開始時点で既に黒幕の陰謀はユグドラル大陸各地に根を張っており、シグルドや彼の味方の立ち回り次第で切り抜けられる問題だったかは定かではない。
シリーズ初の騎兵主人公。スキルは追撃(攻撃速度が敵よりも早ければ再攻撃)のみだが、最初から上級職騎兵のロードナイト(ほぼ全ての剣とある程度の槍使用可)、ステータスが魔法防御以外まとまっている、序盤の敵は斧兵中心で剣が主な武器なシグルドは相性良し、などなど恵まれた点が多くなかなか強い。
FEの中でも珍しい、序盤から積極的に暴れられる実力を持つ主人公である。
『覚醒』のDLC追加キャラに入り損ねた主人公の一人。こんなところでも不幸。いつのまに通信におけるクラスはパラディン。
『サイファ』には第6弾から登場し、スターター「聖戦の系譜編」ではメインとなっている。原作では初期上級職だが主人公としても使えるよう、下級職のジュニアロードのカードも存在する。
結末
親友エルトシャンと死に別れた(進め方次第では自ら彼を手にかける場合もある)後に妻ディアドラが息子セリスを残して行方不明と発覚。更に父バイロン共々主君のクルト王子を暗殺した反逆者の汚名を着せられ、グランベル王国から追われる身となってしまう。ラーナ王妃の好意でシレジアに逃れるも、追っ手はシレジアまで迫っており、自分たちの潔白を証明するために王都バーハラへの進軍を決意する。
その道中で瀕死の重傷を負った父バイロンと再会するも、父はティルフィングを託して息を引き取る。そして自分たちの挙兵を知り再び駆けつけようとしてくれた親友キュアンとその妻である妹エスリンも、トラキアの奇襲によって殺されてしまった。身内を立て続けに失い深い悲しみを抱きながらも、シグルドは自分と父を陥れた者たちを倒し、ようやく国王の側近であるアルヴィスと謁見することに成功した。
しかしその瞬間、アルヴィスはシグルドたちの処刑を宣言する。そして混乱するシグルドたちを他所にアルヴィスが自分の妻として紹介したのは、クルト王子の遺児にして、記憶を失っている消息不明の妻ディアドラだった。ここでようやく一連の事件は全てアルヴィスが裏で糸を引いていたことを悟るも、周囲は既に敵兵に囲まれ、仲間たちと共に為す術もなく一斉に集中攻撃を受けてしまう。シグルドは傷付いた体で宿敵に向かって剣を振るったが、神器ファラフレイムの前にその命は燃え尽きてしまった。
祖国のためにと信じて戦ってきたシグルドの行き着いた先は、父も妹も親友たちも失い、反逆者という汚名をそそぐことも、苦楽を共にした仲間たちに報いることも叶わぬまま、妻を寝取った男に殺されるという最期であった。
グランベル帝国の成立後は、父バイロンと共に王家転覆を企てた反逆者とされていたが、彼ら親子を知る者たちの中には二人の無罪を信じる者も決して少なくなかった。やがて帝国の圧政に人々が苦しめられていくにつれて、「皇帝アルヴィスの悪行をいち早く知りながらも、口封じのために無実の罪で殺されてしまった悲劇の英雄」という事実とは異なる人物像(外伝『トラキア776』では、この点について「何者かが公子(セリス)を英雄に仕立て上げようとしている」と軍師アウグストが示唆している)が吟遊詩人に歌われ、民衆の認識も次第に覆っていった。
特にグランベル王国と敵対していたイザークの民の間では、本国から反逆の疑いをかけられていた状況下でもイザークの王子シャナンを「子どもは戦争に関係ない」という思いで匿い続けたことから、大恩のある英雄としてその名は知れ渡っている。
バーハラに向かう直前、親族の少年オイフェとシャナンに2歳間近のセリスを託してイザークに逃がしており、シグルドがその真っ直ぐな人柄で築き上げた人脈は、セリスにとって大きな助けとなった。そして父の死から17年後、セリスは帝国の支配に苦しむ人々を救うための英雄として立ち上がることになる。
ヒーローズ
聖騎士 シグルド
「私はシグルド。
シアルフィ公国公子
聖戦士バルドの血を受け継ぐ者だ。」
属性 | 赤 |
---|---|
兵種 | 剣/騎馬 |
武器 | 聖剣ティルフィング(専用) |
奥義 | 祈り |
A | 近距離防御3 |
B | 聖騎士の加護(専用) |
C | 速さの紫煙3 |
2017年10月から登場。特徴としては聖剣ティルフィングで魔法の敵からの初撃半減、聖騎士の加護で2距離の敵からの2撃目以降を8割減と魔法の敵に対してかなり強く、不利がつく赤属性でありながらダイムサンダすら受けられる程に魔法耐性は盤石。
……というより実際、当時長きに渡って猛威を振るっていたダイムサンダ対策のために持たされたスキルである可能性が高い。
さらに近距離防御まで所有しており、耐久面よりの騎馬ユニットとなっている。
「数値上は致死ダメージを遥かに上回る攻撃を連続で受けながら、何故か生存する」と言うその性能は傍目にもインパクトが強く、シグルド算とネタにされた。原作における脳筋めいたイメージから、もっと直接的に「シグルド様は算数ができない」と言われる事も。
ステータスは総選挙英雄同様の補正を受けて高水準にまとまっており、魔防は低いが上述のように2距離に強く出られるため、魔道書相手であればそこまで致命傷になりにくい。近接の特効(ホースキラー・斬馬刀)にだけは注意。
また、あくまで軽減するのは魔法のみであり杖には軽減効果が発動しない為、「神罰の杖」持ちにも注意が必要。
なお、総選挙英雄以外で専用スキルを持っているのはシグルドが初で、上記のように総合値も高めに設定されている。総選挙とは無関係の実装でありながら、総選挙の座を勝ち取った英雄よりも(当時は)強い性能を持っていた事については、一部ユーザーの間で物議を醸した(アイラショックの陰に隠れていた感もあるが)。
2020年10月のアップデートで錬成武器対象に。武器効果自体に変化はないが自身のHPが半分以上だと戦闘中、攻撃守備+5が加わった。特殊錬成効果は敵のHPが半分以上だと戦闘中、自分の攻撃守備+5かつ絶対追撃する。条件はさらに加わってしまったが火力と耐久がさらに上がり、追撃可能とさらなる個性を得た。息子のセリスも聖剣ティルフィングを錬成していれば同じ効果が使える。
聖なる運命の比翼 シグルド
「案内をもらった舞踏会はこちらかな?
私はシグルド、こちらは妻のディアドラだ。
どうかよろしく頼む。」
属性 | 赤 |
---|---|
兵種 | 赤魔/騎馬 |
武器 | 黄金のゴブレット(専用) |
補助 | 踊る |
A | 攻撃魔防の絆4 |
B | 攻撃魔防の凪3 |
C | 魔防の相互鼓舞 |
2020年9月に舞踏祭の超英雄としてやっと登場。ディアドラとの比翼英雄で初の(そして2022年1月に双界アクアが登場するまで唯一の)騎馬タイプ再行動ユニットである。
通常版とステータスを比べると攻撃が上がり、苦手な魔防はかなり上昇したのだが得意の速さと守備が激減した。
専用武器は攻撃3と敵から攻撃された時か敵のHPが満タンで戦闘中、攻撃魔防+6、かつ敵が魔法のみ受けた範囲奥義のダメージと戦闘中に攻撃を受けた時のダメージを半分軽減するといった魔防壁に特化した構成に。
比翼スキルは自分と隣接している味方を自分の反対側の位置に移動させる。味方の避難、壁、攻めなどに役に立つユニークなスキル。奇数ターン開始時に自分が比翼スキルを使用済みなら、再使用可能に。
魔法での軽減や再行動で味方を援護するサポート型兼魔法壁と言った構成になっている。
一方、守備は16と通常版のように物理壁には全く期待出来ない。弓や暗器の遠距離の物理武器や高火力の近距離武器は効果が発動しないので、すぐに致命傷か即撃墜の可能性も。同じように騎馬特効の弱点もある。速さも超鈍足でほぼ確実に追撃されてしまう。
魔法に関しても、魔法特効のギネヴィア、魔法相手に強い特効の伝承ミカヤなどの登場や、そもそものインフレの進行もあり、実装当時より油断はできない。
再行動ユニットは基本戦闘力は低いので、一部を除いて魔法ユニットを受けられる、と言うだけで十分なのだが。
それ以上に何よりも、「移動力3の再行動ユニット」と言うのが最も重要かつ強力な点であり、騎馬が活かせるマップならば、縦横無尽に戦場を駆け回ってサポートが出来る。
また、移動3+射程2=攻撃範囲5の広さを持つ再行動ユニットである事は飛空城防衛のAI仕様と非常に噛み合っており、俗に「セイロストラップ」と呼ばれる強力な防衛に使用されている。
運命の聖騎士 シグルド(伝承英雄)
「シアルフィのシグルド、それが私の名。
亡き父、親しい友、命を賭した部下たち……
数多の無念を抱え、私はここに立っている。」
属性 | 赤 |
---|---|
兵種 | 剣/騎馬 |
武器 | 聖裁ティルフィング(専用) |
奥義 | グランベルの聖騎士(専用) |
A | 攻撃守備の機先4 |
B | 聖騎士の加護(専用) |
C | 不治の幻煙3 |
2021年4月に念願の伝承英雄として登場。
通常版とステータスを比べると攻撃守備魔防は上がったが、得意だった速さはなんと23とかなり劣化してしまう。先に登場した息子の伝承セリスとほぼ似たステータス。
専用武器「聖裁ティルフィング」はキラー武器効果と敵のHPが75%以上の時は戦闘中、自分の全ステータス+5、かつ絶対追撃。もう一つの効果は自分から攻撃した時か遠距離武器との戦闘中は最初に受けたダメージを40%軽減する。通常版よりも耐えやすい効果で弓や暗器である程度のダメージ軽減ができるようになったのは大きい。より武器効果を活かしたいなら遠距離反撃に継承するのも悪くない。
専用奥義はまず無条件でターン開始時に移動+1。奥義発動なしに奥義カウント操作以外の効果を得るのは、これが初となる。また、これまで騎馬は移動力バフを得る事ができなかったため、移動力4を得る事が出来る効果もこれが初。
普段通りに発動した場合は攻撃の25%を加算しつつ、ダメージを与えれば、戦闘後は自分と味方全員に攻撃+6と移動+1(こちらも全兵種に有効)。伝承マルスのように奥義発動後に全体バフを付与することが出来る。
デフォルトではCに不治の幻煙を持っているので、「真っ先に特攻して奥義を発動しつつ不治をばら撒き、移動力の増加した後続で敵を壊滅させる」と言うのが主な動きとなる。
自身の移動+・攻撃力加算・移動力含めた全体バフのどれか1つでも十分強い効果を3つ兼ね備えている、破格の効果。これほど強いのに奥義カウントはたったの2(武器のキラー効果と合わせて1)なので、恐ろしく発動しやすい。
また、「聖騎士の加護」も健在であり、久々の「専用スキル持ち2つの伝承英雄」となった。ただし機動力を重視するなら、加護を捨てて「近影」スキルを継承するのも手(継承必須と言う訳ではなく、どちらでも十二分に強い)。
そしてこの伝承シグルドが最も真価を発揮するのは、飛空城の防衛である。
防衛の場合は特にノーデスを目指す必要がなく、逆に攻撃側である相手が少ない犠牲を目指す必要がある。
そんな状況で、移動力4で敵陣にかっ飛んでいく→仮に自分が死んでも奥義を発動、後続の移動力を上げる→後続も連続でかっ飛んでいって攻撃側を薙ぎ払う、というムーブがあまりに凶悪。一回のアンブッシュで致命傷になるのも日常茶飯事。
かといってデフォ移動力4な上に聖戦士の加護で硬いので、先攻で全滅させられる事は少なく、一体でも生き残れば反撃で弱めの支援ユニットを落とせる。
防衛神階であるノートや、双界英雄である正月ダグ&ノートの神器が持つ「天駆の道(自分のマスを通過する時移動力を消費しない)」も組み合わせると、5マス6マス先から突っ込んでいけるので、とにかく手がつけられない。
総じて、単純に強力な性能である上に、前例の無い効果持ちと言う事もあり、2021年中期の環境では覇骸エーデルガルトや総選挙ヘクトル(武器錬成)と並んで、多くのプレイヤーにバランスブレイカーとして認識されていた。
ただし、強力な受けユニットとして相手を完封出来る他2体と違い、こちらは軽減も有るとはいえ本質的には攻め・サポート型のユニットであり、1体で相手を全滅させられる訳ではない。そのため、ただやみくもに突っ込ませるだけでは、その実力を発揮出来ない。
例えば単体性能で言えば、低い速さが仇となって回避系スキルで確実に相手にもダメージ軽減されるのも弱点。かなりの固さを誇る総選挙ヘクトルやセイロスなどが主な天敵となる。
また反撃不可効果またはその状態異常にされてしまうと、軽減できても一方的に殴られる。ダメージ軽減無効や見切り・追撃効果も弱点。
何より、いくら軽減出来た所で何回も殴られれば落ちる。
基本的には、移動力4を活かして相性の良い相手を殴りつつ奥義を発揮、後続の味方に自身の天敵を任せる、と言う戦い方がメインとなり、シグルド一人でなんでも出来る訳ではない。
だが、適切なパーティを組めば他2体よりも反則的な布陣を築く事が出来るだろう。
あまりに凶悪だと判断されたのか、「移動力+1バフを移動力1に反転する」と言うデバフ「空転」が登場。その対策として「空転の奇策」が実装したがあまりに弱く、特に問題にはならなかった。しかしステータス次第だが簡単にマップのどこからでも武器効果で全ステータスのデバフ+空転または弱点露呈を付与してくるアーヴと水着トール。十字方向にターン開始時スキルを確実に無効化と圧倒的に強力なメタ効果のエリミーヌが登場。後者は天の神界英雄で限定的な立場となるが理の防衛パーティにおけるシグルドだと戦力が落ち、実装当時よりも安心感は大きく低下する事になった。
なお、聖戦のキャラは超英雄の実装が非常に少なく、それゆえにシグルドも主人公にしては実装数が少ない。
だが、その埋め合わせか否か、とにかく毎回異例かつ強力な性能を持っている。
- 総選挙英雄でもないのに専用スキル持ち、長期に渡り騎馬最強の総合値であった恒常
- 実装から丸1年以上、「唯一の騎馬再行動」と言う立場を維持し続けていた舞踏祭超英雄
- とにかく前例の無い性能だらけで、完全に壊れている伝承英雄
と言うように、環境トップクラスの性能で無かった事がない。
実装数の多いリンやカミラとはまた違った形で、優遇を受けているキャラである。