概要
日本では1974年にタカラ(現:タカラトミー)から発売されたフィギュアシリーズ「ミクロマン」の、海外(主に北米)展開時のブランド名。
ストーリーはコミカライズ版オリジナルで、これを基にしたおもちゃも1976~80年に発売されたが、1982年に製造会社が倒産。2000年代以降は別の会社から引き続き展開されている。
また単体での映像化の企画もあったが、こちらは頓挫している。
このうち実写映画についてはJ・J・エイブラムスを監督に、同じくフィギュアが基で実写化された『G.I.ジョー』シリーズなどと世界観を共有する、という案も挙がっていたらしい。
アメコミ版
これまでMARVEL(1979~86年)、イメージ・コミック(2002~03年)、Devil's Due(2004年)、IDW(2016年)から刊行された。
以下、おそらく最も有名なバージョンであるMARVEL版について述べる。
ストーリー
極小世界「マイクロバース(Microverse)」を舞台に、独裁者・カルザー男爵に対抗すべく結成された正義のチーム・マイクロノーツの戦いを描いたもの。
正史に組み込まれており、時には普通の世界に訪れて(本物のフィギュアと同じサイズで活動する)、有名ヒーローとも共演した。
MARVELは1990年代後半に権利を失ったが、それ以降も世界に住む種族名を「マイクロン(Micron)」、チーム名を「エニグマ・フォース(Enigma Force)」に変え、一部キャラクターは登場し続けている。
舞台
マイクロバースは、特徴がそれぞれ異なる惑星(世界)「サブ・アトミカ(Sub Atomica)」がDNAのように連なった形をしている。
最大の都市は「ホーム・ワールド(Home world)」。
その起源はレイ・コフィンという人物が原初の宇宙の力「エニグマ・フォース」を用いて、悪魔を封じ込めるために創った世界。
ちなみに彼が名乗った「キャプテン・ユニバース」は以降、このエニグマ・フォースを扱う人物が襲名しており、ある世界ではピーター・パーカーが「コズミック・スパイダーマン」として活動している。
分類としては、同じマーベル・ユニバースの中にある別世界「ポケットディメンション」となる。
キャラクター
マイクロノーツ
- アークトゥルス・ラン司令官(Commander Arcturus Rann)
キャプテン・ユニバースを襲名したリーダー。
本職は探検家で、宇宙船はこれとこれを合体させた感じの「HMS-エンデバー」。
- アクロイヤー(Acroyear)
エネルギーソードを用いる王子。出身の岩だらけの星「スパルタック(Spartak)」には同じような戦士がたくさんいる。
原典では敵幹部ポジション。
- バグ(Bug)
植物の星「カリクラック(Kaliklak)」出身のバッタ型ヒューマノイド。徒手空拳で戦う。
- マリオネット(Marionette)
男爵に殺された前の支配者の娘(王女)。
- ミクトロン(Microtron)、ナノトロン(Nanotron)
ヴィラン
- カルザー男爵(Baron Karza)
ホーム・ワールドを支配する独裁者。全身黒色の身体は機械化されており、ケンタウロスのような姿に換装できる。
…外見が『鋼鉄ジーグ』の主人公ロボットの色違いだが、それもそのはず、本物を登場させたかったが原作者・永井豪に却下されたため、色を変えてダース・ベイダーの頭部と合わせたデザイン。
- サイコマン
支配者の1人。
相手の感情を操作する「エモーショナル・マニュピレータ」という武器を持つ。
- ガルガンチュア
サイコマンの次に支配を目論んだ女性。
- サイクロップ
元はアベンジャーズ、特にハルクの敵。
客演
蜘蛛サイズになってしまい、元に戻ろうとしてさらに縮小し、迷い込んだことがある。
惑星「カイ」にある、自身と同じ緑肌の人間たちが住む都市を救ったことで歓迎され、その王族の娘を嫁にもらっている。
また古代の技術を駆使する傭兵のクライラー(Krylar)と戦った。
マイクロノーツと共闘し、サイコマンと戦った。
ランと合体してキャプテン・ユニバースとなったことがある。
量子世界
別名:クァンタム・レルム(Quantum Realm)。
MARVELの実写映画を中心とした作品群「マーベル・シネマティック・ユニバース」の、特に身体を昆虫並みに小さくできる専用スーツを着たヒーロー・アントマン関係に登場するミクロの世界。
「マイクロバース」から変更された理由は明言はされていないが、おそらく前述した権利関係。
ただ、コミックにはすでにクエーサーが扱う「クァンタム・バンド(Quantum Bands)」や、それを介したテレポートで経由する「量子ゾーン(Quantum Zone)」が登場しているため、こちらを知っているファンからすれば紛らわしい名前になってしまった。
アントマン
初代アントマンことハンク・ピムから、小型化と巨大化を可能にしたピム粒子は危険な代物であり、限度を超えて縮小すると量子世界に閉じ込められることが説明された。
実際、冷戦期にハンクのパートナーのジャネット・ヴァン・ダインが、同じ機能を持つ「ワスプ」として行っていたミッション中の過剰縮小によって行方不明になっていた。
終盤、ダレン・クロスはハンクを模倣して開発したクロス粒子とスーツ「イエロージャケット」を自ら使い、当代のアントマンであるスコット・ラングと戦闘。
ダレンは無理に縮小したスコットが引き起こした誤作動により、スーツを極限まで圧縮されて消滅したが、逆にそのスコットは帰還に成功した。
アントマン&ワスプ
スコットの成功を受けてジャネットの救出作戦が行われ、30年ぶりにハンクや2代目ワスプとなった娘のホープ・ヴァン・ダインと無事再会した。
だがポストクレジットシーン、エネルギーを求めて量子世界に向かったスコットは、残ってモニタリングしていたホープ、ハンク、ジャネットが揃って消滅したため取り残されてしまった。
アベンジャーズ/エンドゲーム
偶然にも装置から帰還できたスコットは、自分の体感では数分間だったが元の世界では5年間経っていた(ウラシマ効果)ことをアベンジャーズに説明。これを応用してインフィニティ・ストーンを過去から拝借する作戦を立て、成功したが、7年前のサノスがこれを盗用して来襲し、最終決戦となった。
このように、量子世界を経由したタイムスリップが可能になっている。
アントマン&ワスプ:クアントマニア
副題"Quantumania"の"quantum"「量子」の通り、本格的に物語の舞台となる。
スコットの娘のキャシー・ラングが量子世界の人工衛星を独自に開発するも、それがビーコンとなって、その場にいたホープ、ハンク、ジャネットも合わせた5人は引きずり込まれてしまう。
予告では、近未来の都市や明らかに人間ではない生物が描かれている。
またクライラーも大きく設定を変え、「コミュニティの1つ・アクシア(Axia)のリーダー」として登場するらしい。
余談
原典では敵味方ともに謎の元素体「αH7(アルファ・エイチ・セブン)」によって縮小した、というストーリーなので、ピム粒子を用いて縮小・ミクロの世界に移動するMCU版と類似する形になった。