概要
砂漠に住まう女性だけの種族で100年に一度生まれるという男性を「王」(ないしそれに準ずる存在)とする。
砂漠の過酷な環境下で過ごすことから、弱肉強食の思想を持ち、敵対する者には容赦しない。一方でサバサバした姉御肌な人物も多く、一族で共通して細かいことにはあまり執着しない性格である。
蛇を砂漠の力強き生物として崇め一族のシンボルマークとしている。そのため、神殿などには蛇を模した像も何度か登場している。(ハイラル百科によるとキングコブラの背を模したらしい)
もともとは1987年発売の『リンクの冒険』に「ゲルドアーム」という敵キャラクターが登場しており、1991年の『神々のトライフォース』には「ゲルドマン」なる敵キャラクターが登場している。いずれも砂漠に登場する敵であり、その後のシリーズに登場する「ゲルド」はこれらに因むと考えられる。
時のオカリナ
初めて「ゲルド族」の名前が出た作品。
『時のオカリナ』では、ツインローバやナボール、そしてガノンドロフの種族として登場する。褐色の肌を持つが、姫川明の漫画版ではナボールとガノンドロフを除き白い肌をしていた。(トーンがめんどくさかったのだろうか?)また、尖った耳のハイリア人に対し、丸っぽい耳をしており、ほぼ全員が大人リンクでも見上げるような高身長である。目は黄色(金色)。
二刀流の剣技を得意としており、二刀を使って攻撃と防御を行う他、回転斬りとジャンプ斬りを組み合わせたような強力な必殺技を放つ。
また流鏑馬の競技場もあり、疾風の如く走る馬上より弓矢を撃てる、らしいが今作では馬上戦をすることはない。
盗賊(実際には義賊)として生活している。100年に一度生まれるとされる男性が王となり、それ以外のほとんどが女性で構成されている。
「だったらすぐに代が途絶えるじゃないか」という突っ込みが返ってきそうだが、ゴシップストーンによると「ゲルド族は時々ハイラルの街にボーイハントしに来るらしい」そうである。住民たちも「肉食なねーちゃん」的なイメージが強いが、旅人も容易に訪れることができないような砂漠の果てに砦を築いているので致し方ないといえる。
鼻が高く尖っており、化粧もかなり濃いめと、(ハード的な表現の限界もあって)少々好みが分かれるタイプの顔ではあるが、姫川明版ではかなりスッキリした顔にアレンジされている。
服装や生活様式など、全体的にアラビアンなイメージである。ほかの種族らとは違う宗教観を持っていること、文字も異なることなども、「異文化」っぽさを感じさせる。
ムジュラの仮面
『ムジュラの仮面』では、異世界ということもあってか海に棲むゲルド族が登場。
海辺に拠点を構えてる今作では海賊である。首領はアベール(イラストの女性)。
なお、グレートベイ近くにいるゾーラ族の青年(リンクに海に行くことを引き止める人物)が「とびきり美人らしい」と言及している。・・・実際には前作とそこまで雰囲気が変わらないので、美人かどうかはまた評価が分かれるところとなった。
ブレスオブザワイルド
『ブレスオブザワイルド』では重要なポジションとして登場。
今作ではハイラルの南西の砂漠地帯の中心に「ゲルドの街」を形成。
物語時点での族長はルージュ。100年前にリンクと共に厄災ガノンと戦った英傑ウルボザもゲルド族である。また、今作では肉体を失い「厄災ガノン」と成り果てたガノンドロフがゲルド族出身という設定も「伽話」という形で辛うじて伝わっている。
基本的な容姿は『時のオカリナ』あたりからそれほど変わっていないが、腹筋が6つに割れた兵士など、屈強な女性というイメージが強調されている。過去作と比べるとハイリア人のように耳が尖っていたり、目が青や緑色だったりするほか、中には肌が白っぽい住民もいる。
(直接戦闘する場面は基本的にないが)槍や両手剣を得意とする。しかし、街のよろず屋(矢を売っているところ)では作中で最も豊富な種類の矢を取り扱っているなど、弓術にも長けているようだ。
過去作の「賊っぽさ」はなく、宝石の加工や布織物の取扱に長け、ハイリア人とあまり変わらない生活様式を持った先進的な種族として登場する。
ゲルド語なる言語が存在しており、男性を「ヴォーイ」、女性を「ヴァーイ」と言い「ヴェーヴィ(赤ちゃん)」や「ヴァーバ(おばあさん)」など、現実世界における「B」の発音が「V」の発音になっているような発音も特徴。本人たちは「ゲルド語はわかりやすいだろう」とのことである。
ちなみに、こんにちはは「サヴァーク」、お店で聞こえる「ヴァーサーク」はいらっしゃい。
彼女らの住むゲルドの街は男子禁制の地であり、例え英傑のリンクでもある手段をとらない限り中に入ることは許されない。そのため、「ヴォーイハント」と称し婿となるヴォーイに会うため年頃のゲルドヴァーイは街を出て旅に行く風習がある。街中では理想のヴァーイになれるようアクセサリーショップや料理教室、エステなどに通い、女磨きに精を出す住民が多い。
結婚して街を出て行ったヴァーイたちはその後も外で暮らすが、時折出稼ぎで街に戻ってくるため繁栄が保たれているようである。また、新婚の女性や親子、さらには小さな子どもが街にいることから、砂漠からそう遠くないところに家庭があり、仕事のために通っているという住民も一定数いると考えられる。
ちなみにルージュを筆頭に今作のゲルド族の多くはコスメやアクセサリーなど、美や健康に関わるものに由来する。
ティアーズオブザキングダム
ティアーズオブザキングダムでは街の外で生まれたゲルド族は物心ついたころに親元を離れ、成人するまでゲルドの街で同胞と共に暮らすという掟があることが明かされた。また、最近の若いゲルド人は挨拶を短くするなど、現実でも見られるような若者言葉が流行っているとのこと。
ちなみに、相変わらずの男子禁制だがリンクはルージュの戦友という事で出入り自由。
その他の作品
ゲルド族のキャラクターが登場しない作品でも、「ゲルド族」という単語そのものが登場することがある。
『トワイライトプリンセス』では「ゲルド砂漠」と言う地名が登場するが、(ガノンドロフを除き)ゲルド族は一切登場しない。そのため、「ガノンドロフの反乱等が原因で一族郎党ハイラルから追放されたのでは?」と考察する声がある。
また、(作品自体の発表は前だが)『トワイライトプリンセス』より後の時代にあたる『4つの剣+』のハイラルアドベンチャーモードでは「ゲルドの村」が登場。ここでは「100年に一度生まれた男はゲルドを守る者になる」と設定が改められており、この村から新たな「ガノンドロフ」が生まれたが、村の掟を破り出奔したということが伝えられる。公式ガイドブック「ハイラル・ヒストリア」では、この時代にハイラル王国の許しを得て交流が復活したという記述がある。
外伝作品である『ケイデンス・オブ・ハイラル』にもゲルドの集落が登場。バリアラという部族のリーダーがオクターヴォに眠らされてしまったという経緯が描かれるほか、どこぞの魔王よろしくパイプオルガンを弾いている「ゲルドの王子」なる存在が登場する。
代表的なキャラクター
男として生まれ、ゲルド族の王となった魔盗賊。
後に力のトライフォースを手中に収め、大魔王と呼ばれるように。
何度倒されようと復活し、ハイラルを我が物にせんとする強大な野心の持ち主。
力の暴走により魔獣ガノンに変身することも。
ガノンドロフの育ての親である双子の老婆。炎の魔道士がコウメ、氷の魔道士がコタケ。
『時のオカリナ』において魂の神殿のボスとして登場。第二形態では合体して巨大な美女の姿となる。
『ふしぎの木の実』の時代においても、ガノン復活のため、異世界「ホロドラム・ラブレンヌ」で暗躍する。
ガノンドロフに不信感を抱く女性。
『時のオカリナ』の子供時代、リンクに魂の神殿に眠る宝(シルバーグローブ)の入手を依頼する。
だがツインローバに洗脳されてしまい、7年後の世界においては魂の神殿の中ボスとして立ちはだかった。
後に魂の賢者として覚醒、時の勇者をサポートする。
『ブレスオブザワイルド』に登場。神獣ヴァ・ナボリスを操り厄災ガノンに立ち向かったゲルド族の英傑。
しかし神獣はガノンの分身によって侵食され、彼女も力尽きてしまう。その魂は100年もの間、ナボリスの中に閉じ込められていた。
後にリンクによって解放され、彼に自身の能力「ウルボザの怒り」を授ける。
『ブレスオブザワイルド』の時代におけるゲルド族の族長。先代族長である母の死に伴い、幼くして族長の座を継ぐ事になった。
気丈に振る舞い、リンクと共に厄災ガノンの手に墜ちた神獣ヴァ・ナボリスに立ち向かう。
続編の『ティアーズオブザキングダム』ではウルボザのような雷を操る力が発現したがまだうまく扱えていない様子。ゼルダのことは親友と呼んでいる。
余談
『神々のトライフォース』から数百年後を描いた漫画『リルトの誓い』には砂漠の盗賊ハギスが登場する。時のオカリナの発売より前に描かれた作品であり、本家よりも先に砂漠の盗賊という設定が出た作品でもある。
関連イラスト
※実際にはないがゲルド族に扮したゼルダ姫
関連タグ
ゼルダの伝説のキャラクター一覧ゼルダの伝説 時のオカリナ ムジュラの仮面 ブレスオブザワイルド ティアーズオブザキングダム