CV:高橋広樹(『ONLINE』)、堤真一(『7』、モデルも兼任)
概要
東城会系三次団体「荒川組」若頭の武闘派極道。義理人情を重んじる組長・荒川真澄とは対照的に、シノギに厳しく、冷酷な性格。主人公・春日一番とはそりが合わず毛嫌いしている。
媒体によって詳細な人物像が変わっており、『ONLINE』と『7』でほぼ別人となっている。
経歴(ネタバレ注意)
龍が如くONLINE
ある時、直系組織である蓮岡組の若頭を殺害してしまうが、このことは、春日が沢城の身代わりになったことで事なきを得る。
その後、「神室町浄化作戦」にて荒川と共に近江連合へ寝返り、組を任される。その後は近江四天王の一人になり、17年後、出所した春日とミレニアムタワー前で再会、余裕で力を見せつけた。その後も組抜けを図ろうとした若衆の安村光雄を春日ごと殺そうとした。
決戦当日、神室町にいる近江連合の組員をミレニアムタワーに集結させて春日たちを迎え討ち、四天王やヘリまで用意する周到さを見せる。最上階にある組事務所で、荒川の不在を伝えると共に1人で春日の仲間たちを退け、尚も立ち向かってくる春日の強さに敬意を表して屋上で戦い、激闘の末、敗れた。その後、その場から行方をくらます。
龍が如く7 光と闇の行方
荒川組の若頭だったことと、荒川真澄と共に近江連合へ寝返り八代目近江連合若頭補佐となったことは同じだが、「『7』にのみ登場する真澄の息子・荒川真斗と深い繋がりを持ち、彼の望みを叶えることに執着している」「余所の組員を殺害してしまったのは真斗であり、沢城自身は無実(沢城が殺したというのは真澄がとっさについた嘘)」といった点が異なっている。
『7』の春日とは当初から険悪な関係であり、春日が人情を重んじる余り金を全く回収して来ず、真斗がバラまいた金でごまかそうとした時には指1本で落とし前をつけさせようとしたほど(事務所に帰ってきた荒川が止めたため未遂)。
そして18年後、出所してきた春日が荒川に無理やり会おうとするのを制止するが、春日の方からも「あんたのことが嫌いだった」と吐き捨てられ戦闘に突入するが、あっさりと春日に突破されてしまう。
その一方では渡世の親である真澄は勿論、彼の息子である真斗の事をとても気にかけて親身に接している他、仮に極道として嘗めた態度を取れば先輩ヤクザだろうと容赦はせず、近江の解散時に謝罪に赴いた際には東城会の裏切り者である近江の幹部の日和った態度に加えて敬愛する真澄を殺されて濡れ衣を着せられた事もあり「極道の端くれにもならねぇ片田舎のカスどもが」と吐き捨てて目玉を潰してのけた(裏を返せば、三次団体の下っ端といえども春日の事は極道としてきちんと認めていた事の示唆でもある)。
その後、物語後半に再登場。青木遼の要求を突っぱねた春日に対して部下をけしかけ殺そうとするが、失敗する。その後に起こった東城会と近江連合の解散によって、新たに新設された「東京近江連合」に身を寄せる。
そして、青木による真澄殺害の命令を拒否したことで、もはや捨て駒同然の扱いを受けてしまう。そして青木に命令された横浜星龍会の会長・星野龍平の殺害を達成した後、駆けつけた春日たちと対峙する。
殺害の直前に、コミジュル宛に星野会長殺害を予告する匿名の通報が入っていたが、通報元は沢城本人で、直接殺害を拒否すると青木への裏切りが露見してしまうためであり、春日に自分の行いを止めてほしかったという可能性が高い。そして春日たちは殺害までに間に合わなかったため、戦闘の前に「遅せえよ イチ」とボヤいていた。その後激高した春日たちとの戦いの果てに敗れるが……
以下、本作における重大なネタバレ
「俺に荒川真澄は殺せねぇ とっくに人でなしの俺にもただ一つ その命令だけは飲めなかった 飲めるわけがねぇ」
実は沢城こそが、青木及び荒川真斗の本当の父親であった。
彼は父親の性格が原因で荒んだ家庭に育ち、15の頃には喧嘩に明け暮れる行き場のない状態になっていた。やがて、偶然自分と同じような行き場のない少女と出会った沢城は彼女と同棲生活を送るようになり、彼女を若気の至りで妊娠させてしまうも、まだ20にもならない沢城には父親になる覚悟もクソも無く、「嫌なものは蓋をして目を逸らせばいい」という奇しくも自らが忌み嫌っていた「ガキ」そのものな価値観を矯正してくれる大人とも出会えなかった彼は、反対する彼女を押し切って赤子をコインロッカーに捨ててしまう。
しかし、同じ日の同じ時刻、全くの偶然でコインロッカーのすぐ隣にもう1人の赤ん坊が入れられていた。
荒川真澄が氷川興産の組長の娘との縁談を断ったトラブルから追われる身になっていた真澄の妻・茜は、追われながらかつて務めていたソープランド「桃源郷」で何とか出産。生まれた赤ん坊を真澄に引き渡す手段としてコインロッカーに入れておき、真澄が引き取りに来るという手筈を整えた。
この赤ん坊こそが本作の主人公・春日一番であり、ひいては本来の「荒川真斗」である。(真澄本人の項目も参照)
ちなみに、茜が赤ん坊を入れたコインロッカーは101番、沢城が自分の子を捨てたコインロッカーは99番。
なんとかロッカーに子供を引き取りにきた真澄は、聞こえた赤ん坊の泣き声を頼りに99番のロッカーを特定。まさか赤ん坊が2人も隣り合ったコインロッカーに入っているとは夢にも思っていない真澄は、その99番のロッカーの中にいる赤ん坊を自分の子だと断定し、拳を痛めながらなんとか強引にこじ開けて赤ん坊を救出した。これが現在の真斗であったのだ。
その後、二人の男性が現れ、どういう訳か鍵の開いたロッカーを開けて回り、101番のロッカーから赤ん坊を取り出すのを目撃、落胆しながらも大事そうに抱えていった男性を見送りながら、沢城は一つの確信を経た。
「赤ん坊の取り違えが起きた」のだと。
荒川真澄の妻・茜がソープ桃源郷で出産したことやコインロッカーを通じた受け渡しを計画していた部分などは沢城の想像で補完された話ではあるが、沢城が99番のロッカーに自分の子を入れたこと、荒川真澄がその99番のロッカーをどういうわけか必死にこじ開けて赤ん坊を連れていった事、その後桃源郷の店員らしき別の人物達が、片っ端から隣の鍵の掛かっていないロッカーを探して回り、101番のロッカーから赤ん坊を見つけている事は沢城が自分の目で目撃した事実である。
この事実を知っているのは荒川組関係者の中では沢城だけで、話したのも春日たちが唯一のため、真澄及び真斗はこの事実を終ぞ知る事は無かった。
こうして春日たちに、上記の若気の至りで子供ができてしまった際、当時の恋人と共に生まれたばかりの赤ん坊をコインロッカーに遺棄し、その子が荒川の息子と取り違えられたこと、つまり荒川真斗は荒川真澄ではなく自分の息子であり、春日こそが荒川真澄の本当の息子であることを打ち明けた。
一通り真相を明かした後は自分が捨て駒であることを理解しており、自暴自棄になっていたが、「本当ならこの手でぶっ殺してやりたいが全うに罪を償え」という足立宏一の説得により警察に出頭する。その後も、ブリーチジャパンの代表である小笠原肇同様邪魔と判断した青木の命令で、石尾田礼二とミラーフェイスに命を狙われたが、春日たちの手で未然に防がれた模様。
「”真っ当に”か 今まで…俺の人生にそんな言葉は…考えことなかったよ…」
なお、前述の通り春日は彼の事を嫌っていたものの、真実を知った後は真斗を非難する際に真澄に並んで沢城のことを引き合いに出している。仮にも自分を世話してくれた自身の思いを無碍にされて殺されそうになり、また鉄砲玉として星野会長を殺す羽目になった彼への同情、自らと同じく真澄への忠義、何より一介の極道として、そして父親としてのケジメをつけようとした沢城の事は嫌悪感を抜きにしても思う所があったのだろう。
エピローグにて、沢城は終身刑となったことが明かされ、かつての苛烈さからは想像もつかない、もの悲しげな表情を浮かべていた(日本の刑罰には終身刑は無いため、厳密には無期懲役だと考えられるが……)。実の息子と、忠誠を誓っていた渡世の親を失った彼の哀しみは計り知れないだろう…
また、続編である『龍が如く8』のティザートレーラーに「久しぶりだな、イチ」と彼らしき声が入っており、インタビュー記事にて総合監督の横山昌義が「PVで声が聞こえる人は全員出る」と発言しており、その際に沢城の名前を挙げているため、再登場が確定した。
戦闘
龍が如く7
1戦目
「18年ぶりに叶えるとしようか お互いの夢をなぁ!」
平安樓神室町支店で、会合中の荒川真澄を守っていた。
HPが減るとガラスの欠片を装備したり、カウンターを仕掛けて襲い掛かる。まだチュートリアル中のボスの為難度は甘め。
2戦目
「白黒つけようぜ イチ…」
横浜星龍会本部にて春日達一行と激突。流石に1戦目とは比べものにならないほど強い。
これについては戦闘の冒頭と中途に補足が入っており、春日曰く「最初に勝てたのは運、そしてカシラが気を抜いていたため」「カシラは武器を操らせたら最強で、刀は得意中の得意」との事。
また、ステッキ術などというマニアックなものを会得していたことから「どれだけの武術を習得しているのかわからない」とも評された。
序盤は刀を使った範囲攻撃、中盤は杖を使って攻撃してくる。
終盤は杖と刀の二刀流になるのだが、この時から「毎ターンHP1000自動回復」を行ってくるので、攻撃面を怠っていると泣きを見ることになる。
余談
『7』の沢城が用いる剣術の流派名は「慚愧流」であるが、「慚愧」という言葉は「自分の言動を恥じ、後悔する」等の意味を持つ。その意を持つ剣術を習得した辺り思うところがあったのだろう。
また、この流派は『見参!』に登場しており、主人公である宮本武蔵(桐生一馬之介)も習得することができた。
星龍会本部で用いた刀も過去作とゆかりのある品で、『維新!』に登場した沖田総司の愛刀「菊一文字」と瓜二つ(赤い柄糸と金色の太刀鍔という特徴が一致)である。
等の沢城自身は腐っても荒川に対する忠誠心はあったらしく、中華料理店で幹部の片目を潰した時に石尾田に「親ぁやられて黙ってられるほど 俺の器はデカくねえんだよ」
「親父を殺した奴のケジメ 絶対にとらせてらう」と石尾田に吐き捨てている。
また荒川の死後、他の東城会の親戚組織の幹部に加え、石尾田と天童が荒川真澄を呼び捨てにし、貶したのに対して沢城だけは「荒川の親父」と生前と変わらない呼び方を貫き、荒川真澄を侮辱する様な発言は一切なかった。さらに星野龍平殺害後に春日に敗北した後に自身が荒川組に入った馴れ初めを語り、その際に「もし、盃をくれる人間を選べるなら荒川真澄を置いて他にはいない」とも語っている。
関連イラスト
龍が如くONLINE
龍が如く7
関連タグ
龍が如く 龍が如く7 東城会 近江連合 元凶 哀しき悪役 毒親の被害者
だいたいこいつのせい…彼が父親としての責務から逃げ、生まれたばかりの息子を遺棄したことが『7』の物語の発端になった。この出来事は息子を消極的に死に追いやろうとした沢城と死に物狂いで息子を救おうとした荒川真澄、そして春日一番と荒川真斗の境遇の対比を描き出している。この点で言えば真澄と沢城もまたサブタイトルにある「光と闇」だったのだろう。
なお、沢城自身も息子や多くの人の人生を狂わせた自覚はある模様で、荒川組に入ったり、そこで下僕の如く真斗の言いなりになっていたのも彼なりの罪滅ぼしだった(18年前に春日に対して指詰めを迫ったのもこれが理由だろう)。
だがそれでも真斗を救ってくれた真澄には渡世の親として以上の大恩を感じており、如何に真斗の頼みと言えどそれだけは聞くことができず、全ては破綻へと向かうことになってしまった…