概要
アニメ等において、ベテラン声優や人気声優が出演陣に揃っている事。
「チーム」や「グループ」を描く事を主眼に置いている作品や、多数のキャラクターがプレイアブルで登場するゲーム等、「全員が主役(候補)」的に登場人物達が横並びになる作品だと特に使われやすい。
相応の予算がかかった商業作品の場合、人気の若手からベテランまで声優陣が豪華なのは当然な事なのであえて言及はされない事も多いが、販促などでデカデカと声優の名前が強調される事もある。
転じて、事前の期待を満たせずに低評価を受けた作品を「豪華声優陣の演技が聴ける事ぐらいしか価値が無い駄作」として酷評する殴り棒に使われる事もしばしば。もし豪華声優陣が必要以上に強調されていると感じたら、それは地雷を嗅ぎ分ける判断材料になるかもしれない……。
一方、そういった安定策とは逆に、初々しい若手を集めた「新鮮さ」を強調する作品・企画も。上手くヒットすれば「未来の人気声優の出世作」となり、その出演者も「豪華声優」側の仲間入りを果たすだろう。一見した方向性は真逆に見えるが、その企画性自体がやはり「豪華声優陣が当たり前」という共通認識を前提にしているとも言える。
豪華声優陣な作品例
以下、「豪華声優陣」がなんらかの特筆性を持つ例。基本的に年代順表記。
「豪華」と評されるだけあって、声優陣の熱演・好演自体は定評のあるものばかりである。
過度な長文・煩雑化を避けるため、声優の個人名は省略して記述している。
アニメ
『夢想夏郷』
東方PROJECTを原作・題材とした同人アニメーション。
商業作品でも活躍多数の人気声優を集めたものの、「声優陣の豪華さに作画(主に第一話)や脚本が追いついていない」という厳しい声も。
うら若き女子高生達による、「部活動」としてのアイドル活動を描く人気シリーズ。
主役となるスクールアイドル達は、主にオーディションを勝ち上がった無名~新進気鋭の若手で固められる一方で、少女達の母親役には往年に大人気を誇ったベテラン声優が多く名を連ね、好対照を成す。そのためファンの間では新シリーズの度に「今度のママ達はどの大物声優が来るのか」にも注目される。詳しくはママライブ!も参照。
『彼岸島X』
ヤングマガジンの長期連載サバイバルホラーアクション(の皮を被ったギャグ)漫画を原作とするショートアニメ。
画面自体が(恐らく意図的に)低予算の作りで笑いを誘うものだが、加えて「大物声優が主人公から仲間達に敵側、モブまで老若男女の全てを一人で演じる」という極めて変則的な体制の配役であった。そのため声優「陣」という言葉を使うのは不適切に見えるが、3話毎に次の別声優に全役が引き継がれるため、「豪華声優陣(一人)」という矛盾した表現が成立している。
『ポプテピピック』
「クソ漫画」を自称するギャグ漫画のアニメ版。
原作同様に自ら「クソアニメ」を標榜しており、『彼岸島X』に近い声優陣の扱いも更にインフレ。主役の二人を演じる声優は、なんと3話どころかその週のうちにAパート→Bパート間で引き継ぎ交代してしまう。CM前後で基本的に同一映像を音声だけ変更して繰り返すという「最速再放送」形式で全話が展開され、その人選・演技をより贅沢に楽しめるだろう。
ほぼ全話に渡って危険なパロディが繰り広げられるが、各話ゲストキャラの声優は元ネタ本人ではなく代役。その一方で大御所や人気声優が普通に起用されており、パチモンキャラに対して不相応に格の高い声優が充てられたという「役不足」作品。「内容のヤバさにある程度は自覚的だったため、本人を呼ぶ度胸はなかったのでは?」とも言われるが、パロディとしては腰が引けた中途半端な姿勢と言わざるを得ないだろう。とはいえ「元ネタ作品/キャラへの愛着をまるで感じない」という評価の話数も多く、本人を呼んでいたら元ネタのファンを中心に炎上していた可能性も。特に封印作品となった第2話は、その措置に対して擁護・不満の声も乏しかった。
当然ながら低評価に終わったアニメ版の失敗は、アプリのサービス終了にも大きく影響したとされる。
『スパイ教室』
富士見ファンタジア文庫の小説を原作とする、美少女揃いのスパイチーム「灯」の活躍を描くアニメ。
業界でも中堅どころの地位を確立している人気アイドル声優を揃え、各キャラの当番回には通常EDに代わって専用のキャラソンと映像が流れる特殊EDも用意された。放映開始に合わせて声優ビジュアルブック誌『MY GIRL Vol.36』では表紙&特集で大きく取り上げるなど、「声優売り」的な面も強かったが円盤売上では振るわず。第一巻は、「BDは圏外で枚数計測不能&DVDは89枚」という不名誉な記録を残した。
ゲーム
最大3名まで同行できる自パーティの構成員を、性別・職業・声を自由に選んで作成できるのが大きな特徴。選択可能な声は男女各15種類と豊富で、有名所の合計30名がズラリと並ぶ。続編となる『Ⅱ』では更に10名の声優が新たに追加された。
週刊少年ジャンプで長期連載されたバトル漫画の歴代キャラが時代を超えて集結する格闘ゲーム。
独特の画風である原作絵が気合の入った3Dグラフィック技術で再現され、それらを全面に押し出したPVで大々的に宣伝された。発売前こそ大いに原作ファンの期待を煽ったものの、発売後は様々な問題点が露呈。約50万本超えとも言われる出荷数で2013年随一の大規模被害を出したクソゲーとして悪名を極め、凄まじい値崩れを起こした。
本作より後発となる3部以降のアニメ版や、続編的存在であるタッグ対戦アクション『EOH』ではほぼ全キャラが別声優に交代しており、悪評による傷の大きさが窺えるだろう。また、『ASB』自体も後にいわゆる「完全版」として『ASBR』が発売されているが、こちらも3~6部のキャラクターはアニメ版準拠に声優が交代。旧版の名残となる部分が黒歴史的に扱われているのを窺わせる。
平成仮面ライダーシリーズのアクションゲーム。
特撮原作のゲームは、俳優のギャラやスケジュールの関係からか声が代役になってしまう事も珍しくない中、かなりの割合で本人の声が聞ける。
一方でオリジナルゲストキャラクター達にも、3名と数は少ないものの数々の作品で活躍する有名声優を起用。が、背景舞台となる「クリスタルワールド」は「剣と魔法」系の異世界であり、現代日本を舞台とする実写特撮である「仮面ライダー」原作とは大幅に乖離している。異世界の住人であるゲストキャラクター達も同様に全く馴染んでおらず、「お蔵入りした別ゲームの素材を無理やりライダーゲーに流用したのでは?」と疑いたくなる程。結果、声優陣の演技には全く問題がないのに「仮面ライダー」(とプレイヤー)を置き去りにした茶番劇が展開される。
トドメにゲームバランスも極悪であり、ライダー側の原作理解/再現度に至ってはお粗末を通り越してミリしらレベル。2014年のKOTY大賞という負の栄冠に輝いてしまった。
声優陣の中に一人だけ本業ではないコスプレイヤーがメイン級ヒロイン役で参加。しかもその人物、キャラクターデザインを務めた作家と年の差婚約していたという身内縁故人事で炎上。「豪華声優陣(一名除く)」と揶揄された挙げ句、アップデートでキャラ別に声をON/OFFできる機能が追加される珍事に。
実際の演技力はさておき、「商業作品なら声優陣は(若手の下積みやオーディション突破も含めて)相応の実績があって当然」というユーザー側の意識が、逆説的に浮き彫りになった事例と言える。
好きなガンプラ部品を組み合わせて「俺ガンダム」を作れるアクションゲームシリーズの第4作目。
その名の通り心機一転を図った内容で、メインシナリオではヒロイン別のストーリー分岐が存在するギャルゲー要素を取り入れたのが大きな特徴。が、ヒロイン達は寒いガンダムパロディ台詞を連発し、人気声優の萌え萌え演技が逆に聞いていて辛くなってくる程。
ゲームシステム/バランス面でも新要素を中心に不評な点が多く、評価は散々。そのため発売当時は前作である『ガンダムブレイカー3』が再評価され、その市場価格が上昇した程であった。