概要
シンガーソングライター・タレントの山本コウタローが在籍した日本のフォークバンド、「ソルティー・シュガー」の2枚目のシングル曲として1970年に発売。
ちなみにバンド名は、メンバーの一人佐藤敏夫(さとうとしお⇒「砂糖と塩」)に由来する。
曲の内容はギャンブル狂いが一発逆転の大穴狙いで人気の無い馬に賭けて、その馬が日本ダービーで一着になると言う、いわゆるコミックソングである。ちなみにコウタローはゴールする前に騎手を落馬させる(当然、カラ馬でゴールしても競走中止である)というオチが付く
(もっとも歌の中で順位には触れられていないため、ゴールした後に騎手を振り落とした可能性もなくはない)。
そのコミカルで明るい曲調や歌詞も相まって、「競馬の歌といえばコレ」といえるほど親しまれ愛されている曲。
登場する馬名が麻雀などの他の博打に関連する用語になっていたり、当時の人気ギャグ、早口の実況中継といった様々なパロディネタが盛り込まれているのが特徴である。
特に曲の中盤には、公営ギャンブル廃止に取り組んでいた当時の東京都知事・美濃部亮吉の声マネをしながら、麻雀の役の馬名に釣られて麻雀の役を言ってしまうという痛烈な風刺ネタ(「偉そうなこと抜かして、どーせ隠れて麻雀打ってんだろ」という皮肉)が織り込まれている。
元は善戦馬として知られていた競走馬「ミノル」の応援歌の予定だったが、「走れミノル」では語呂が悪いことと、山本コウタローがいつも練習に遅刻していたことから、山本の囃し歌として完成した。ちなみに本曲より年代は古いが「コウタロー」という活躍馬もいる(1962年阪神3歳S勝ち馬)。
ジャケットは針すなおが描いた。
翌1971年の1月にオリコン週間チャート1位を獲得。最終的に約60万枚を売り上げた。
なお、名前の元ネタとなった山本コウタローはソルティー・シュガー解散後も音楽活動を続ける傍ら、白鴎大学で環境学・社会学の教授として教鞭を執っていた。定年退職後の2022年7月4日、73歳で亡くなった。
当時の競馬界
1970年にタニノムーティエ、1971年にはヒカルイマイが2年連続で二冠馬となった。どちらも皐月賞と日本ダービーを勝利している。
また、3番の歌詞にあるような「レースで勝った勢いで騎手を振り落とす競走馬」は当時は居なかったが、2010年、2011年にオルフェーヴルがやらかしてしまっている。(しかも、2回目は騎手(池添謙一)の横腹を埒に叩きつけている)
カバー・替え歌
内容や曲調がアレンジしやすいのか、カバーや替え歌として採用されることがままある上に、競馬を題材にした大ヒットソングということもあって、特に競馬コンテンツのテーマソングとして採用されることが多く、五十年にも渡って愛されている。
プロ野球ロッテオリオンズ(現・千葉ロッテマリーンズ)所属時の愛甲猛の応援歌として使われた。
1996年には、アニメ『みどりのマキバオー』のオープニングテーマとして起用され、『走れマキバオー』と改題された。フジテレビ系列で放映されたため、歌も当時のフジテレビアナウンサー3人(うち二人は競馬実況も経験)が担当、中盤の語り・実況も担当している。
歌詞は「コウタロー」の部分を「マキバオー」に差し替え、歌詞も増えている。序盤と中盤のセリフ部分は実況パートや当時の東京都知事青島幸男をイメージした語りになっている。
2013年、スズキ自動車の次世代環境技術『スズキグリーンテクノロジー』のCMに起用された。
2018年には、ゲーム『ウマ娘プリティーダービー』のCMにも起用され、『走れウマ娘』となっている。
歌詞の一部はコウタロー(マキバオー)と変わらないが賭け事や騎手がいない世界なのでコウタロー(マキバオー)に合わない歌詞はウマ娘専用の歌詞へ大幅にアレンジされている。BGMや合いの手は走れマキバオーに少し近くアレンジされている。
伝統の都知事ネタも「たづなさんの好物」という形で残された(ラーメンは小池百合子の好物)。
2021年にはサントリー『BOSS』のCMにも起用されたが、改題はない(差し詰め『走れサントリーまたはBOSS』だろう)初の商品企業も出走。
歌手はウマナミでお馴染み淡谷三治氏でナレーションは杉本清氏を起用。
歌詞は今まで以上に短いが働く人達にエールを送る歌詞に大幅アレンジされている。そしてジオラマに競馬はもちろん、各職業の制服を着た人が走る姿が…。
そして珍しく都知事ネタが存在しない。やはり世界観と合わなかったのだろう
(もウマ娘カバーの時と都知事が変わってないのもあるかもしれないが)。
なお、途中で実際の名レースが挿入されるが、登場するのは
2008年天皇賞秋(ウオッカ&ダイワスカーレット&ディープスカイの三つ巴決戦)
2012年菊花賞(ゴールドシップ、ロングスパートの逆転で二冠)
1992年日本ダービー(ミホノブルボン、正確無比の逃げ切りで二冠)
1993年スプリンターズS(サクラバクシンオー、GⅠ初制覇[翌年も連覇])
1994年菊花賞(ナリタブライアン、三冠達成)
である。
マキバオーも含めば原曲が三回連続でアニメ、CMのカバー曲を作られるのはかなり稀である。
関連項目
(公式の替え歌としての派生曲)