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フォンセ・カガチの編集履歴

2023-10-31 19:17:41 バージョン

フォンセ・カガチ

ふぉんせかがち

フォンセ・カガチとは、TVアニメ『機動戦士Vガンダム』の登場人物である。「木星帰り」であり、独自の思想をもってザンスカール帝国を興した。

「抵抗分子たちは、子供を使うことを何とも思っていない異常者の集まりなのです」


CV:大矢兼臣

概要

ザンスカール帝国宰相。女王マリア・ピァ・アーモニアに仕える身ではあるが、事実上の帝国の首魁である。65歳。

かつてのシャリア・ブルパプテマス・シロッコらと同じく木星船団公社に所属していた経歴を持つ「木星帰り」である。

人生の半分以上を惑星間航行に費やし、木星圏から地球圏を俯瞰してきたカガチは、果てなく戦争を続ける人類によって地球が荒廃していく様に深い絶望を覚え、その絶望を人類全体に対する不信へ成長させていった。

そして様々な策謀の中で、自らの“理想”を具現化させた巨大サイコミュ要塞エンジェル・ハイロゥを完成させる。


人物・経歴

宇宙世紀0145年に地球圏のサイド2首都(当時はアメリア)へと本格的に帰還したカガチは、前年にサイド1の首都・アルバニアンにおいて「マリア光の教団」としてマリア主義を唱え、他サイドにまで急速に信奉者を増やしつつあったマリア・カリン(マリアの本名)に接触、翌0146年にはサイド2において政治結社「ガチ党」を結党し、アメリアの第三勢力となる。


そして宇宙世紀0147年、贈収賄で起訴された首班グループをギロチンによる公開処刑で罰して見せた事で、ガチ党の勢力は一気に高まった。


スペースコロニーという人工環境に慣れすぎ、畜産物の解体ですらほとんどをオートメーションに頼って目にする事の無くなっていた当時のスペースノイドにとって、「血の粛清」は人間の内側に眠る狩猟本能を刺激し、同時に生命が持つ意味を改めて己のロジックに乗せる事となった。ゆえに、ガチ党が同時に唱える、血と痛みを伴って次代を産む「母なるもの」、母系社会を中心とするマリア主義を受け入れる土壌を形成し、結果、ガチ党の『政治犯の粛清』はむしろ諸手を振って迎えられる事となる。これを受けて同年、マリア主義の広まりと共にガチ党はアルバニアンの第一党に躍進するのであった。

そして宇宙世紀0149年、カガチはサイド2でザンスカール帝国建国宣言を行い、宇宙戦国時代に入って既に弱体化著しい地球連邦政府から独立を果たした。


上記の通り、地球圏への帰還から僅か4年でサイド2を独立に導いた政治的手腕は驚異的であり、宇宙戦国時代におけるスペースノイドの自国防衛の気運があったとは言え、サイド2のサナリィを協力的な形でスムーズに接収して、ベスパを設立・最新鋭モビルスーツ開発による軍事力の増強を急速に進めた点も特筆に値する。

更に、古巣であるとはいえ完全中立のNGOである木星船団公社との取引を行い、本懐であるエンジェル・ハイロゥによる作戦(後述)を準備しつつも、武闘派のガス抜きのために地球降下部隊のアースノイド虐殺をある程度許容し(ファラが無許可でギロチンを使った際は、相応の処罰を与えたため、無制限ではない)、カイラスギリー地球クリーン作戦といった、過去の覇権者達が使って敗れた手法をあえて採択して見せ、アースノイドを適度に恫喝し、頃合いを見てなし崩しで独立した国家でありながら、地球連邦と正式に休戦協定を結んでみせた。この協定により、連邦軍がエンジェル・ハイロゥに向かう気勢を完全に削ぎ(宇宙世紀120年代以降の地球連邦軍は「可能な限り何もしないで給料をもらう」スタンスだったため)、作戦の成功率を大きく上げている。

劇中においてタシロ・ヴァゴの叛乱を許したが、本件はリガ・ミリティアの抵抗による影響や、シャクティの帰還、クロノクルの(矮小な)保身など、複数の要因が重なった偶発的なものであり、本来的には彼に造反の隙を与える事は無かった(事実、タシロはマリアに「あなたには帝国を動かす力量はありません」と指摘を受けている。)。むしろ、マリアを喪ってすぐにシャクティを新たなメイン・ユニットとして見出し、作戦を続行するなど、老齢ながら柔軟性は健在である。


ミクロ視点においても人心掌握術に長けており、高度な感応力とヒーリング能力を持つサイキッカーであるマリアに対して、一定の強制力を確保するため、産まれて間もないマリアのを金で雇った誘拐犯に出奔させ(この際、マリアに心を読まれる可能性すら視野に入れ、自分は出奔先を知らないままにした)、ゴロツキに過ぎなかった弟・クロノクルに才覚以上の立場を与えてやるなど、女の心の弱さを巧みについている。

これに加えて小説版では更に、市井生活時代の三件隣の住人全てをそれなりの職業と共に首都へと移住させ、マリアに『安心』を与えている。


彼の目的は「争いの無い新たな地球圏の創世」であり、エンジェル・ハイロゥを用いて現状の人類の過半数を抹殺した上で、母なる地球に相応しい種――エンジェル・ハイロゥの思念増幅ユニットとして冷凍睡眠カプセルで「保存」したサイキッカー達を次世代に残すというものであった。

自身がシャクティに「老人に野心などありません」と語った通り、自らも“新たな人類”に相応しくないという滅私の信念は本物であり、マリアやシャクティに語った言葉も真実であった(真実の全てではなかったが)ため、彼女たちも最終的にはカガチの言葉を受け入れ、一時は自分達の意志で協力している。


しかし、混乱を極めるエンジェル・ハイロゥ攻防戦の最中、カガチはウッソと邂逅。「(生物は親を超えていくという)真理を忘れたこの作戦は、最初から敗れるものだったんですよ!」という糾弾を受けた上、シャクティの祈りが生んだウォーム・バイブレーションを目にした事によって、己の半生を費やした信念に迷いが生じる事となる。

この迷いがカガチの悟性を崩す要因となり、核爆発の激震に巻き込まれた際には、既に故人となっていたマリアに助けを求め、エンジェル・ハイロゥ中心部で彼女の幻影に答えの無い問いを投げかけながら、エンジェル・ハイロゥの昇天に巻き込まれて命を落としたのだった。


なお、上述の通りギレン・ザビパプテマス・シロッコとは異なり、自らは選ばれた人間では無いと心底から考えており、アニメ版とはやや展開が異なる小説版では、ウッソもカガチの一面に称賛に近い感想を述べている。


ボンボン版では配下のゾロアット隊の猛攻を受けて突っ込んできたオデロ・ヘンリークガンイージの爆発に巻き込まれて絶命した(子供向けに大幅に脚色されたボンボン版では全くといっていいほど出番が無く、ほとんど出オチである)。


漫画『F90FF』では若かりし日の姿が描かれる。

後頭部に黒髪を残してはいるものの、頭頂部の毛髪は既に一本もない。

この時点で若干29歳。刈り上げているのでなければ尋常ではない老け方である。

既に片目が義眼らしく、アニメ本編と似たような機器を付けている。


劇中ではカロッゾ・ロナとハウゼリー・ロナの前にディミアン・カラスと思わしき人物と共に登場。地球と木星の縁談についてカロッゾと連絡を取っていた。またボリノーク・サマーンに搭乗して戦闘のデータ収集を行ってもいる。


クロスボーンガンダムゴーストにおいて

富野監督非監修の非映像作品である本作においては、旧木星帝国の総帥クラックス・ドゥガチを恩人としているという設定が追加された。

その縁で、ドゥガチが地球との政略結婚を受ける以前(宇宙世紀0110年頃と推定される)に、ドゥガチと彼の内縁の妻の間に生まれたキゾを引き取った上で、彼に権力を与え育てている。

キゾを引き取った当時のカガチは25歳と若く、良好な義父・義子関係があるいは結べたはずであるが、カガチはキゾを引き取って以降も30年以上木星船団公社に所属しており(ジュピトリス級大型輸送船による惑星間航行に人生を費やしており)、そのような閉鎖環境で育ったせいか、キゾは最終的には主張の相違により袂を別つ結果となった。

両者は所属する組織は異なるものの、木星という接点があり、ドゥガチは木星のトップでもあるため、彼を恩人と思うことにそれほど違和感はない。

ドゥガチはのちに「地球不要論」とそれに伴う核攻撃というカガチの理想とは真逆の思想を抱くが、これは政略結婚後の晩年に至っての妄執であり、キゾをカガチに預けた当時のドゥガチは(隔意は抱いていても)地球を破壊するまでの思想ではなかったと思われる。

まあ、このあたりはストーリー創作上の都合に依るところも大きいと思われるが。

後に発表された『F90FF』を考えると、カガチとキゾが良好な関係を結べなかった理由の1つとして政略結婚にカガチが一枚噛んでいたという事実があるのかもしれない。


余談

上述の通り歴代の宇宙世紀を舞台にしたガンダムシリーズの黒幕の中でも「全世界の人類滅亡」という最もえげつない野望を抱えた人物であるが、視聴者からの印象は非常に薄い。


それもそのはず、カガチ自体の出番が非常に少ない。公衆の面前に出てくるのは大抵儀式でマリアと一緒の時のみである。

初登場こそ17話と早かったものの、次ぐ26話でウッソ達をギロチンにかけようとした時に中央広場に展示されていたVガンダムガンイージがいきなり動き出した瞬間まっ先にそそくさと退場しており、このエピソードを最後にエンジェル・ハイロゥが出てくる終盤まで一切登場しなくなる。この点からも非常に用心深く危機回避能力が高い人物であることがうかがえる。上記の詳細な彼の半生や思想は設定はあるが、本編内では僅かな一端しか明かされていない。自身の野望やその正当性への主張も作中で堂々と唱えることは無く、部下ですらその真意を察していた様子はない(部下を含む、ほとんどの人間から到底賛意を得られるものでない以上、真意を知られることを極力避けていた節がある)。


さらに後のアナザーガンダムシリーズでカガチと似たような野望を持ったキャラの立ったラスボスやライバルが次々と登場したこともあり、相対的に彼の存在はますます薄まることとなってしまった(これらのアナザーガンダムの敵役達はカガチと違って、ラスボスのポジションを占めている上、「誰かに理解してほしい」という欲求が強めだったり、あるいは野望の動機となった絶望の発散を優先したがったりなどで、自身の野望やその正当性を主張してくるため、良くも悪くも印象が強めである)


関連項目

機動戦士Vガンダム


黒幕 全ての元凶


ザンスカール帝国 エンジェル・ハイロゥ 木星船団公社

シャクティ・カリン ウッソ・エヴィン


機動戦士クロスボーン・ガンダムゴースト

キゾ中将

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