悪魔将軍
あくましょうぐん
「悪魔超人たちよ……いつでもお前たちの安住の地に戻るがいい。この私……悪魔将軍の中にな!!」
概要
属性 | 完璧超人→悪魔超人 |
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出身地 | 天上界 |
身長 | 220cm |
体重 | 162kg |
超人強度 | 1500万パワー |
年齢 | 無始無終 |
主な必殺技 | 地獄の断頭台、地獄の九所封じ |
CV | 北川米彦(アニメ版)、柴田秀勝(劇場版)、稲田徹(ゲーム『キン肉マンジェネレーションズ』以降) |
『黄金のマスク編』から登場。悪魔超人の頂点に立つ人物であり、最高の戦闘頭脳と不滅の肉体を持ち、無敵の強さを誇る最凶最悪の超人。ファンからはそのカリスマ性から「将軍様」と呼ばれている。
当初は気が高ぶるとチンピラのような乱暴な口調になったり、パイプイスで殴り掛かるなど粗暴な振る舞いが見られた。アニメ版ではこれらの振る舞いはなくなり、一貫して悪の大ボスという威厳を醸し出すようになっている。
キン肉マンの故郷・キン肉星にあるキン肉大神殿に安置されていた「黄金のマスク」を強奪した首謀者だが、後にその正体が黄金のマスクそのものであり、ひいてはその前身である太古の超人神・ゴールドマンであることが発覚する。
かつて、実の弟・シルバーマンと意見の食い違いから対立し、決闘の末に相打ちとなり肉体を失ってしまう。以降は、同じく肉体を失ったシルバーマンと共に「黄金のマスク」「銀のマスク」としてキン肉族の祖先の手に渡り、宇宙の全ての正義超人たちに力の源として祀られ続けてきた。
しかし、ゴールドマンは死してなおも相打ちという当時の結果に納得できず、そこに目を付けた魔王サタンと結託し「悪魔将軍」に変貌、精鋭部隊「悪魔六騎士」らとともに超人大戦争を巻き起こす。
ご尊顔
「将軍」の冠名の通り、まるで中世の騎士のような重々しい鎧甲冑で全身を包み、顔には目元以外を完全に覆った鉄仮面を装着した威風堂々たる出で立ちをしている。なお、兜からは金色の長髪が露出しているが、前述通りその素顔は黄金のマスクであるため、あくまでも兜付属の装飾である模様。
その出で立ちも然ることながら、バッファローマンすらも上回る屈強かつ端正の取れた体躯も合わさり、「キング・オブ・デビル」に相応しい超然とした風格が漂う。
加えて、その肉体の硬度は全超人の中でも最高値である硬度10を誇る。これは後天的に体得したダイヤモンドパワーなる能力によるものとのことだが、その体から分泌される汗すらもダイヤモンドとなり、その汗でリングを巨大なダイヤモンドの塊にしてしまったことも。
さらに、両腕に装着されたガントレット(腕当て)にはダイヤモンドソードなる剣が収納されている。その切れ味は鋭く、キン肉マンの肉のカーテン(硬度4.5:鉄)、ロビンマスクの鎧(硬度9:サファイア)すらもいとも簡単に切り裂いている。
なお、ウォーズマンのベアークローやロビンマスクのユニコーン・ヘッドなどと同様、これらも「体の一部」と見なされるため、反則として扱われることはない。
能力
「わたしの体内でおまえたちのパワーが結束し
神をも破壊するわたしの偉大なダイヤモンドパワーとなるのだ!!」
スニゲーターの強靭さ、プラネットマンの宇宙的レスリング、ザ・ニンジャの技、ジャンクマンの残虐性、サンシャインの腕力、アシュラマンの冷酷非情な心を併せ持ち、パワー・スピード・テクニック、いずれをとっても超一流だが、何よりも脅威なのは、弱点らしい弱点を持たないその肉体である。
体の硬度を自在に調節する能力を持ち、硬度10のダイヤモンドボディになることであらゆる打撃技を跳ね返し、逆に硬度0のスネークボディになることで頭の通る場所ならどんな所でも鰻のようにすり抜けることで関節技や絞め技を無効化してしまう。さらに痛覚が存在しないため、どんな攻撃を受けても痛みを感じない。ダメージ自体はあるものの、ヨガのポーズを取って精神を集中させればそれも一瞬で回復してしまう上に、彼の肉体は彼自身の肉体では無く悪魔六騎士の集合体に過ぎないためどんなにダメージを与えようと、例え粉々に粉砕しようと何度でも再生してしまう。
その上砕けた鎧の破片を悪魔六騎士に変貌させたり、ダイヤモンドの破片として飛ばして攻撃することも可能。
始祖編ではダイヤモンドパワーをマトモに破壊できたのが真っ向勝負では最強のアビスマンだけであり仮に他の始祖が悪魔将軍を止めようものなら恐らくダイヤモンドパワーの前に歯が断たなかったと思われる。
それに加えゴールドマンの最高の戦闘頭脳により一度受けた攻撃は二度と食らうことは無い。
そればかりかその技をそっくりそのまま返してしまうといった芸当も可能。
作中ではキン肉マンが死闘の中編み出した必殺技サイドキン肉バスターを「サイドキン肉バスター返し」により切り返してキン肉マンにダウン寸前のダメージを与えた。
アビスマンとの死闘でもアビスマンの奥義を破り、その反撃でアビスガーディアンを粉々にしている。
更には体を構成する六騎士のパワーを全開にすることでただでさえ強力な戦闘力を6倍にパワーアップすることも可能。本人曰く腕の力、脚の力に加え、見る力、聞く力、嗅ぐ力も6倍となる。超人強度まで6倍となっていると考えると悪魔将軍のフルパワーは森羅万象の最高値である1億パワーを持つ超人の神にすら迫る9000万パワーに相当するということになる。
前述の通り、黄金のマスク編ではそもそも実体がないので、八つ裂きにされようが粉々に砕かれようが当然のように再生し、各部位を悪魔六騎士に変換・使役し、それらを再結合させることですぐに体を再構成してしまう。後の『夢の超人タッグ編』でも、アシュラマンとサンシャインが将軍の体の一部に変身して、その技の一部を再現している。
また、その気になればがらんどうの体を活かして相手のあらゆる攻撃を全てをすり抜けて無効化してしまうことすら可能。
偶然攻撃が「硬度調節機能」そのものにぶつかってしまうことでダイヤモンドパワーを失くすこともあるが、あくまで機能が停止するだけで全くのノーダメージである。
そんな不死身の肉体に加え、ダイヤモンドパワー、スネークボディ、最高の戦闘頭脳、6倍パワーアップ等、様々な強力すぎる能力を兼ね備えているのである。
まさに悪魔超人最後の刺客と呼ぶに相応しい超人で、その強さは作中でも最強クラスとの呼び声も高い。
実際、作者のゆでたまご先生も「あまりにも強く設定しすぎたためにどう倒すか頭を悩ませた」と語るほどで、作者公認の作中最強の超人として「スーパーフェニックスよりも強い」と明言されているほどである。
弱点と言えるのは唯一、「正義超人の友情パワーを認めてしまったときにゴールドマンとしての実体が蘇る」というものであったのだが、キン肉マンたちの友情パワーに圧倒されてピンチになった時に悪魔六騎士たちに自分の体を引きちぎらせるという荒業によりこれを克服していた。これに対してバッファローマンが自ら悪魔将軍のマスクをかぶることで「バッファローマン自身が悪魔将軍の実体になる」という更に無茶な方法でキン肉マンの新技「キン肉ドライバー」の攻撃対象を作り出している。辛くも勝利することができたものの、彼の援護がなければキン肉マンが勝つことはまず不可能だった。将軍戦が終わった後はダメージと疲労で1ヶ月寝込んだばかりか首に傷跡が残った(『キン肉マン2世』対リボーンアシュラマン戦)上に、後に将軍の体のパーツを見ただけで怯えて逃げ出してしまう(『キン肉マン』タッグトーナメント編はぐれ悪魔超人コンビ戦)ほどで、彼にとってもどれほど恐ろしい敵だったかがわかる。
必殺技
「矢継ぎ早の攻撃こそ最強」と言う持論を持ち、戦闘スタイルは怒涛の攻めを主体としている。
- スカルクラッシュ
スネークボディを活かして相手の頭部に絡みつき、締め上げる。相手は呼吸と視聴覚を封じられた上に頭蓋骨を粉砕される。
超人の持つ九つの急所を封じるための複数の技で構成される複合技の総称。
通常なら8ヶ所目を封じた時点で相手超人は息絶える。
同等の力を誇る始祖のアビスマンですら5箇所目を封じた時点で最早瀕死となっていた。
相手の警戒を解くための偽の九所封じも存在する。詳細は該当記事を参照。
- 地獄のメリー・ゴーラウンド
九所封じその四。またの名を「地獄のサイクロン」。
ダイヤモンドソードを構え、前転姿勢で高速回転しながら相手を強襲する技。ダイヤモンド硬度の刃に遠心力も加わりその切れ味は鋭く、キン肉マンはロビンマスクの鎧で防ごうとしたが、あえなく鎧ごと切り刻まれて重傷を負った。
九所封じその九(ラストワン)の大技であると共に、悪魔将軍最大の決め技。
ダイヤモンドの刃と化した膝を相手の喉に叩きつけるニードロップ。作中屈指の破壊力を持ち、直撃すれば最高レベルの実力者でも即死は免れない。ただし、ある理由から将軍本人は「私の求めるレベルには程遠い」と酷評していた。
その他の技
- ヨガポーズ
ヨガのポーズをとることでダメージを一瞬で回復する。
- ダイヤモンドダスト
体を無数のダイヤモンドの結晶に分解して攻撃する。
- 将軍透視(デビルスコープ)
目から放たれる透視光線。霊体の姿を現したり、相手のパワーの源を探ることができる。
正体の謎
原作では、戦いの神・ゴールドマンの化身とされていたが、サタンと同一の存在とも、その一部とも言われており、その実態は未だに明言されていない。まぁ、ゆでだから……。
現に『黄金のマスク編』以降も、劇場版アニメや『Ⅱ世』でたびたび復活しており、その際は別の超人の身体に憑依していたり、超人や人間たちからパワーを吸収するなどしていた。
2017年6月から始まった新シリーズでは、復活したサタンの口から『黄金のマスク編』当時ゴールドマンの自我を奪っていたらしき言葉が出ており、当時の悪魔将軍はサタンの要素が色濃く出ていた可能性がある。またサタンは正確には実体が無い存在らしく、戦う為には肉体を作り出すなどの方法を取らなければならないらしい。
よって作中の描写から推測するに、悪魔将軍は「ゴールドマンの化身」と「サタンが主人格・あるいは自分用に創り出した仮の肉体」が同じ姿でも別々のキャラクターとして存在しているのだが、どちらも悪魔将軍と区別されずに呼ばれている事や(実際キン肉マンが戦ったのはゴールドマンの方だが、Ⅱ世でミートの肉体を変貌させ現れようとしたサタンの方と同一視して全く区別していなかった)、配下の悪魔超人たちがどちらの悪魔将軍にも変わらない忠誠を尽した行動を取っている事がややこしくしている原因だろう。
アニメ『キン肉マン』オリジナル展開での悪魔将軍
アニメ劇場版『ニューヨーク危機一髪!』では、精神のみとなって宇宙空間を漂い、近づいた宇宙飛行士たちの生命力を奪っていた。やがてニューヨークに結集していたアイドル超人たちの超人パワー、ニューヨーク市民の生命力、そしてニューヨークの活気が生み出す大いなる力「大都会パワー」を奪い取り、2000万パワーの超人強度を得て復活。以前よりも棘が多いメカメカしいデザインになった上、キン肉マンとの決戦時にはより凶悪なマスクに変化した。
この作品ではサタンが主人格となっていると類推される。基本はシリアスな悪党だが、リングの上で煙幕を張るもキン肉マンの姿を見失い、探した末にお互い顔を合わせて驚くなどコメディ要素が見られた。
戦闘シーンは悪魔将軍とのバトルのみなので劇場版の中でも最長。
地獄の九所封じをアレンジした「地下鉄(サブウェイ)クラッシュ」「エンパイアステートボンバー」などの技を使うほか、地下鉄超人なる謎の一派を試合中にキン肉マンにぶつけたり、地獄のミュージカルと称してキン肉マンの視力を奪った上でリング上に多くの爆発を起こして苦しめるなど、卑怯な手段を総動員している。
上記の技と、奪い取ったアイドル超人たちのフェイバリット、とどめの「地獄の断頭台」でキン肉マンを瀕死に追い込むが、ミートの投げたテリーマンのテンガロンハットの涙に応えてキン肉マンが復活。そして、テリーマンらとの友情に応えようとするキン肉マンの態度に感銘を受けた、ニューヨークの守護神・ビッグアップルの呼びかけでアイドル超人たちの意識が目覚め、悪魔将軍のパワーを奪いキン肉マンに与える。
最期は、風林火山・キン肉ドライバー・キン肉バスターの3大必殺技を立て続けに喰らった末に投げ上げられ、大爆発して果てた。
なお、劇場版『晴れ姿!正義超人』にて「悪魔将軍の先祖」を自称する朱天超人軍団の首領・朱天童子が登場。外見がゴールドマンと似ておらず、一貫して悪人として描写されていたことから、ゴールドマンの先祖ではなくサタンの分身であることを匂わせている。
また、それ以前に劇場版『正義超人VS古代超人』では古代超人軍団のストーンサタンが「悪魔六騎士など部下の部下」と彼らを見下すシーンが存在することから、古代超人たちが立場の面では悪魔将軍より格上であるサタン直属の配下である可能性を示唆させている。
『キン肉マンⅡ世』での悪魔将軍
『Ⅱ世』の時代では、マンモスマン、スーパーフェニックスと並び、悪行超人きっての強豪として語られている。
本人は『悪魔の種子編』の黒幕「恐怖の将」として登場。
悪魔の種子(デーモンシード)を操り、ミートを生贄にして復活を果たそうとする。
世間に劣等感を抱える一般超人を唆し「ジェネラルストーン」なる石を与えて悪魔超人に変貌させたり、同じ手法でかつての配下であるアシュラマンを若返らせ、手駒に加えたりと、超人レスラーというより悪魔的な部分が強化されている。
また、負けた後にルール違反をしてでも蘇ろうとするなど往生際の悪さを見せ、初代では一度も放たなかった「バゴアバゴア」という謎の笑い声を発するなどから、一部のファンの間では「外見は悪魔将軍だが中身はサタンなのでは」という疑問が生まれている。後に描かれた新シリーズにおけるゴールドマンの化身である悪魔将軍の活躍を考えると、こちらはサタンがこの世に現れるために作らせた肉体であった様子。
ミートの頭を奪い、いよいよ復活せんとしたところで、アシュラマンの投げた脚(ジェネラルストーンで生成された悪魔将軍のもの)を受け体勢が崩れ、復活のタイミングを逃す。アシュラマンは自身も同じ悪魔超人であることを認知しつつ、勝敗によるルールは潔く守るべきだと主張するも、その言葉に怒った将軍は彼の肉体からジェネラルストーンを取り上げ元の老衰した姿に戻し、自身も肉体を維持できずそのまま消滅した。
新シリーズでの悪魔将軍
完璧超人始祖編
ゴールドマンの化身としての方が登場。弟のシルバーマン共々、その正体が元・完璧超人……それも太古の昔から地上の超人たちを監視し続けていた原初の超人とされる「完璧超人始祖(パーフェクト・オリジン)」の一角であったことが判明。
太古の昔、争いばかり起こしていた地上の超人たちが超人の神の怒りにより滅ぼされようとした際、超人の可能性を信じる一人の神が、超人という種を守るため自ら神の座を捨てて地上に降り立ち、10人の優れた超人を選抜し救い出した。
その後、超人となった元「慈悲の神」ことザ・マンの下で10人の超人たちは修行し、地上を守護する「完璧超人始祖」を名乗るようになる。その中で、最初に完璧と認められ“完璧・壱式(パーフェクト・ファースト)”の称号を与えられたのが当時のゴールドマン(後の悪魔将軍)だった。
しかし、ザ・マンは彼らをいくら指導しても「自身を超える存在」とするには至らなかったこと、自身の最高傑作と期待していたゴールドマンですら自分の劣化コピーの域を超える事はできなかった事に自身の指導力と超人の可能性の限界を痛感し、さらに別の手段で生き残っていた地上の超人たちが変わらず争いを繰り返すことに失望し、徐々に変節していく。
ゴールドマンも、そんな彼の態度にいつしか失望し、彼の指導方法である完璧の教えでは彼を超える事はできないと悟り、それまで下等超人と蔑んできた地上の超人たちの感情の力にこそ完璧の教えの限界を超えるヒントがあると確信して、自ら地上の超人を導くべく始祖たちと決別、後の悪魔超人の礎を築く(なお、この時ザ・マンから「もし私がお前の出した答えに聞く耳を持たないのならその時は私を討て」と言われていた)。
当時からかなり頑固で強情だったらしく、親しかった始祖の同志達からも心配されていた。
後に弟である“弐式(セカンド)”シルバーマンが、兄を連れ戻すべく地上へ赴くが、逆にゴールドマンの信念に感化され自身も地上に残ることに。彼の弟子や子孫が後の正義超人となっていく。
しかし、奇しくも兄弟がそれぞれ築いた派閥は思想の違いからより激しく争うようになり、事態を重く見た始祖たちから今度は“陸式(シックス)”ジャスティスマンが派遣され、首領である金銀兄弟の決闘による事態の収拾を図った。
この時、兄弟は地上の超人にこそ自分たちの理想に至る可能性があることを確信しており、互いにどちらかを斬り捨ててでもその可能性を育てようと考えていた。
結果は両者がお互いの首を斬り落とす相打ちとなり、その首はジャスティスマンによって回収され、紆余曲折を経てキン肉族へと渡ったという(元々、キン肉族はシルバーマンの子孫であるため妥当な判断と言える)。
この後で旧シリーズ黄金マスク編の悪魔超人と正義超人との争いに繋がるのであるが、このときの将軍らしからぬ椅子を使った反則攻撃などがよくネタにされる。
想像するに、このときの将軍の心境はかつてのザ・マンと同じような、ある種のヤケクソ状態にあったのではなかろうか。
自分が手塩にかけたアシュラマンら悪魔超人の精鋭ですら自分自身とは比べ物にならない状態(悪魔将軍視点ではいくら無料大数軍含む一般の完璧超人を倒せた所で始祖に勝てない様では意味がないからである)。
自身の指導力に対する落胆・超人という種自体に対する絶望に苛まされていたのではなかろうか(これによりサタンと一時的な契約を結んだとも言える)。
あるいは前述の通りサタンと肉体を共有していたためサタンの性質が色濃く出ていた可能性もある。
ここで弟シルバーマンの末裔ではあるが、全く歯牙にもかけていなかったキン肉マンとの対戦。個人の実力としては足元にも及ばないキン肉マン、しかし彼の持つ友情パワーによって脅かされ、最後には敗北を喫する。この想像もしなかった現実に将軍は超人という種に対する新たな希望を燃え上がらせたのではなかろうか。
そして現在。暴走を始めた完璧超人たちを前に、「過去の弊害と化した完璧超人という存在は不要」という結論に至り、再び悪魔超人軍を集結させ、完璧超人絶滅計画を開始。自身も、「完璧のマスク」となっていた弟シルバーマンと分離し、再び悪魔超人として復活する(ただし今回ばかりはシルバーマンも兄の計画に同調しており、お互いにパワーを分布し、それぞれ一超人として復活している)。
なお今シリーズではゴールドマンとしての肉体を持って復活している。その鎧の中身はがらんどうではなく、悪魔将軍の鎧が砕けたときにはその下に肉体が見えている。悪魔六騎士とは完全に別存在となっている。硬度0軟体ボディは健在であるが、相手の技を受けた時はその肉体に直接ダメージを受けている。
先んじて復活した将軍は、完璧超人の拠点「聖なる完璧の山(モン・サン・パルフェ)」に、部下たちを送り込む前に単身殴り込みをかけ、かつての同志・完璧超人始祖と対峙する。もっとも、再会した“参式(サード)”ミラージュマンからはその行動が“あやつ”のしたことと大差ないことを指摘されており、それは将軍自身も認めている。実際、苦楽を共にした恩師と同胞たちへの情は残っており、時折心苦しさを滲ませていたが、ザ・マンとの再会・決別の後は「道を踏み外した旧悪」と憎悪を隠さなくなった。
キン肉マンとの戦いを経てさらなるパワーアップを遂げており、同じ師の下で修行した始祖達がをものともしない強さを誇っている(実際、他の始祖が食い止めに入った所で悪魔将軍に勝つのはほぼ不可能だと言える)。
また、『黄金のマスク』編と違い精神的にも落ち着きがあり、何があろうと動じることなく切り返す冷静さを見せているが、これはサタンの呪縛から解き放たれた完璧超人・ゴールドマンの本来の性格であることが“肆式(フォース)”アビスマンから語られている。
彼の目的は、“零式(ゼロ)”ザ・マンを除く10人の始祖がそれぞれ持つ「絶対の神器」と呼ばれるダンベルの回収であり、10個の神器を超人墓場にある祭壇に捧げることで発動される、自らを含む11人の始祖の消滅を目論んでいた。すでに祭壇に捧げられた金銀兄弟のダンベルに加え、正義・悪魔双方に多くの犠牲を伴いながらもダンベルは着々と回収され、弟シルバーマンがその親友であった“拾式(テンス)”サイコマンを打ち破ったのを最後に全てのダンベルが揃う。
消滅を前に、最期まで生き残った配下の一人・サンシャインに自ら築いた悪魔超人軍の未来を託すと同時に、ダンベルを祭壇に捧げる役目を任じる。サンシャインは滂沱の涙を流しながらダンベルを祭壇にセットした。
……しかし、これにより始祖たちが消滅することはなく、唯一サイコマンだけが消滅し始める。実は、同志である始祖が全員消滅してしまうという盟約を内心受け入れられなかったサイコマンが密かに改造を施し、消滅エネルギーが自分だけに向けられるように設定していたのだった。
その後、弟シルバーマンの開いたキン肉族の遺恨でもあるキン肉マンとネメシスの戦いを見届けた後も結果的にザ・マンの暴走は続き、ついに最後の手段として自ら彼に引導を渡すことを決意。お互いの決戦の地に相応しい場所として、オーストラリアのエアーズロックに向かった。
かの地はかつてゴールドマンとザ・マンが修行に明け暮れた両者にとって思い出深い場所であり、曰く、元々は先まで切り立った岩山であったが、2人の激しいスパーリングにより岩が徐々に削られていき、現在の平坦な岩の形になったと言う。
チェンジ、硬度10♯!
「これが私の永年追い求めていた力、ダイヤモンドパワーを超える硬度を実現した硬度10♯」
「ロンズデーライトパワーだ!」
悪魔将軍がザ・マンとの最終決戦で発現させた新たな力。
その硬度は、悪魔将軍を上回る精度のダイヤモンドパワーを身に纏ったザ・マンが攻撃を仕掛けてもザ・マンが自傷してしまうほど。
さらにロンズデーライトパワーの硬度を理解した上でそれを粉砕すべくザ・マンが放った完璧・零式奥義「千兵殲滅落とし」をダメージを受けたものの耐え切り、仕掛けたザ・マンは膝を破壊されてしまった。
その正体は悪魔将軍=ゴールドマン版の友情パワーとでも呼ぶべき、感情によって湧き上がるパワー。
「いつか師を超える」という、ザ・マンと約束した弟子の務めを果たすため、下野し悪魔となってまで自らの理解を超える未知のパワーを模索していたゴールドマンがついに見つけたのは、下等超人でありながら自分を打ち破ったキン肉マンの友情パワーだった。
だが、感情を捨てた完璧超人であるゴールドマンにはその探し求めていた力は発現することができず、その時に完璧超人始祖全員の限界を悟る。
しかし、ザ・マンと対峙し、「いつか10人の中の誰かが師を超える」という、ザ・マンを含めた完璧超人始祖全員の願いを背負うことで、足りなかったものが埋まり、ザ・マンに対してのみ、限定的に友情パワーを発現することができたのだった。
新必殺技
- ロンズデーライトクローズライン
悪魔将軍の肩鎧「ジェネラル・ディスコス」を腕に装着しラリアットを食らわせる技。一見地味な技だがロンズデーライトの硬度で繰り出すため破壊力は抜群。
- 地獄の断頭台・改 神威の断頭台
ザ・マンを超えるべく、悪魔将軍が何億年もの時間をかけて生み出した奥義。
並の超人なら回避もできず即死する地獄の断頭台だが、元神にして最初の始祖たるザ・マンには外されてしまう。そこで、首を捕らえた左足に右足を乗せ、その右膝にさらに右肘を乗せることで、左足のロックを完璧にすることに成功、ザ・マンに決定打を与えた。
この技を受けたザ・マンは「いい技だった、よくやった…ゴールドマン」と、かつての弟子が編み出した奥義を称えて倒れ伏した。
ゴールドマンは「ザ・マンを倒すことができた技を壱式奥義としたい」と発言しており、神威の断頭台が壱式奥義になる可能性は高い。ただしロンズデーライトパワー自体が友情パワー抜きでは成り立たないものであり、悪魔将軍が友情パワーを発動できる唯一の相手であるザ・マン相手限定の必殺技であるためか、壱式奥義とは名乗らなかった。
ただし、『完璧超人始祖編』最終話Web掲載時のあらすじでは神威の断頭台を壱式奥義としており、本編での悪魔将軍からの明言はなかったものの公式で壱式奥義となった様子。
悪魔の言葉
黄金のマスク編
- おまえたちは悪魔超人全員を倒したと思っているようだが、まだもうひとり残っている…!! バッファローマン、サンシャインらをつくりだした、このわたしがな…!!
- 七人の悪魔超人および悪魔騎士たちを倒したおまえたちに、このわたし……悪魔将軍と戦う栄誉を与えよう。よみがえれ! わたしのかわいい兵隊たちよ!!
- パワーはサンシャイン、テクニックはザ・ニンジャ、スピードはプラネットマン!! 残虐性はジャンクマン、ボディの強じんさはスニゲーター、そして、その実体は! 悪魔超人最後の刺客、悪魔将軍!!
- 試合にやぶれた悪魔超人が、とるべき道はただひとつ! 死んでわたしの力となるのだ!!
- 知っているな! わたしのショーグン・クローが、どんなに恐ろしいクローかは…。
- 戦いを通じて真の友情が得られる……そんな甘い正義心が、この男をこのような姿にしてしまった!! 戦いの結末は生か死だけだ!!
- わたしは超人界では不可能といわれていた硬度10のダイヤモンド・パワーをもつ、ただひとりの超人だ――っ!!
- ククク…まともにぶつかれば、おまえは砕け散ってしまうぞ!!
- 兄が弟と引き分けるという屈辱が、そう簡単にぬぐいされるかーっ!!
- し…知らなかった。友情が、こんなに大切なものだなんて…。
- 戦いに情けは無用! 大切なのは怒りと憎しみの悪のパワーだと思っていたが、キン肉マン、おまえをみてそれは間違いだとわかった……。
- 戦いで大切なのは、だれかのためにという愛の精神だというが、キン肉マン、おまえはその、だれかという対象が多ければ多いほど自分の実力以上の力を発揮した…それが友情のパワーと知った時、わたしは、はっきり敗北を実感した!!
- こわしてくれ!! お前の手で、このわたしを!!
始祖(オリジン)編
- 時は満ちた。これより悪魔超人軍は、超人墓場への侵攻を開始する!
- 目覚めよ! そして我を受け入れるがいい、“裁きの門”よ!!
- では、笑えぬように言い直してやろう。おまえたち参式から拾式まで、残りの8名を殺しに来た。
- 超人たるもの、魂の生死は自らの責任で決めるべし。それが自然の道理であるはず。
- これで、もう誰も蘇りはしない。死んだら人はおしまいなのだ。
- そんな狂ったあやつを無に帰して葬り去ること、それが私の使命。まだ善良なる存在だったあやつが最初に“完璧”だと認めた、この私のな!
- だがそのような苦難の歴史を経て、そんなお前も含む新たな時代の後継者たちがこの時代ようやく、かつての我らに追いつこうとしている。何億年という進化の果てに、新たな力を手に入れてな!
- そうだ。私もシルバーもこの世から消える。だが同時に他の始祖たちもすべて消え、そして全ての根源でもあるあやつも一緒に消えてなくなる。
- 理念…か、確かに昔はそうだったな。だが、かつて崇高だったきさまの理念は今やただの怨念へと成り果てている。“完璧”という名の怨念にな。
- 私とシルバーマンだけではない。他の始祖も皆、きさまの名はザ・マンだと今でもずっと思っている。
- “超人墓場”なるくだらぬシステムを作り出し、“超人閻魔”などというくだらぬ名に成り果てたきさまを、誰が心の底から認めているものか。だから今は皆“あやつ”と呼ぶ!
- そうか。“超人の中の超人”ザ・マンはもうおらぬか。
- もちろんだ。師を超えるのが弟子の務め、そう私に教えたのはきさまではない。かつてザ・マンと呼ばれた男だ!
- 共に生き残ってしまった以上、仕方あるまい。貴様はこの私、自ら手を下す。
- 本当に貴様は変わってしまった。不老の肉体を持つはずの貴様も、魂の老いからは逃れられなかったようだ。
- ああ、私は超人の新たなる進化の可能性は、下等超人たちの“下等”の中にこそ潜んでいるのではないかと思い至るようになった。その推察が正しいかどうかはここにいても永遠にわからぬ。
- あの日の貴様はまだ老いきっていなかった。私の地上行きを最終的に許したのだからな。そして数千万の歳月を経てその判断が間違っていなかったことを…今日の試合でようやく確認できたのでは?
- 哀しいことだが、約束の日が来たようだ。ザ・マンよ、あの日のお前の言葉に従い、今から私がお前を討とう。この世から消え失せろ!
- 教えてやろう、ザ・マン。時代は常に動いている、止まっているのは貴様の周りの時間だけだ。錆びつき止まってしまったその時計を動かすために…私は再び貴様の前に現れたのだ――っ!!
- もし私の歩んだ道に反省すべき点があるとすれば、それは貴様にその現実をしっかり認識させてやれなかったことだ。積年のその憂いを払拭するため、私はここにやってきた。
- 貴様の“永遠”も今日をもって終わる。その区切りをつけてやること、それが神を降りた貴様に最初に救われた…この私にできる最大の恩返しだ!
- 我ら始まりの11人の誰もが皆、心の中では哀しみ嘆いていた。貴様が変わってしまったことを。そしてそれを最も嘆いていたのは他でもない、自らが変わりゆくことを許容せざるをえなかった“完璧・零式”ザ・マン…貴様本人だったはずだ――っ!
- 貴様だけは…この私が…私が、なんとかしてやらねば…いかぬのだ!
悪魔将軍さまぁぁぁ~~っ バンザァァァ―――――イ!!
余談
前述のロンズデーライトパワーの「ロンズデーライト」とは炭素原子の繋がり方が通常とは違う、より硬いダイヤモンドのこと。ロンズデーライトパワーが初登場した直後からとある科学系ブログのロンズデーライトを解説した記事のアクセス数が激増し、管理人を驚かせた。