DATA
別名: | 汚染獣 |
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身長: | 測定不能 |
体重: | 測定不能 |
出身地: | 東京朝木区のビル街 |
デザイン: | 川石テツヤ |
スーツアクター: | 高橋舜 |
概要
『ウルトラマンブレーザー』第18話「そびえ立つ恐怖」、第19話「光と炎」に登場する怪獣。
下顎部分にもう1つ逆さまの顔が付いている蛇かウツボのような姿の怪獣で、有害な気体を撒き散らす能力を持つ。しかしその反面、正常な空気を嫌う性質であり、この行動は自身の生存本能でもある。
後にGGFの調査で「地球外の生物である可能性が高い」と判明したため上記の性質は、地球をイルーゴの母星の環境に強制的に変える意図もあると考えられる。
なお、イルーゴガスの生成や成長にエネルギーを回したいからか、地上に出現したイルーゴはチンアナゴのように地面から体を出し、頭を下に傾けつつ直立不動の姿勢で待機している。
その正体はゲバルガの幼体である事実がブルードゲバルガの説明にて判明しており、劇中では実際にゲバルガに似た外見へと姿を変えている(端的にはコイツらのような関係)。
また、ブルードゲバルガの背面からも、2本のイルーゴの首が生えている。
能力・生態
口から所構わず「イルーゴガス」と呼ばれる特殊な気体を吐き出し、周辺一帯にガスを充満させる厄介な特性を持つ。このイルーゴガスの組成は地球の硫黄酸化物や硫酸塩に近いらしく、吸うと光化学スモッグのように目がチカチカしたり喉が痛くなるなどの症状を起こす。この症状は重症化するリスクが非常に高く深刻な被害を及ぼすため、イルーゴの出現後市民はマスクの着用を余儀なくされた。
しかし、下手に刺激すればイルーゴが反撃を兼ねて多くのイルーゴガスを放出する関係上、まともな攻撃さえも難しい。
これらのガスを放出するのは普通の空気中ではイルーゴの細胞の活動が弱体化してしまうためで、自分に都合の良い環境を作り出そうとしているのが主な原因であり、自身の縄張りを広げるための彼らなりの生存戦略にも見える。
イルーゴガスは真空放電などによるプラズマの発生で無力化してしまうため、幼生の段階はまだ電磁能力には頼らず数匹の群れで活動している模様(成体のゲバルガがイルーゴガスを使っていなかったのも、空気汚染がなくとも自力で活動できる程度に成熟しているからだと考えられる)。
これらの生態からも分かる通り、実はイルーゴそのものの防御力は高くなく、アースガロンのアースガンでも撃破可能な程度の貧弱さなため、イルーゴガスさえ攻略してしまえば親と比べ戦闘能力はまだまだ未熟な様子。それでもガスを放出している間は、防衛隊の攻撃を一切受け付けない強靭さ(レーザー砲の照射に耐える、アースガンも外皮であれば怯みはしたがすぐに持ち直すetc……)を見せ付けている。
細長い体を生かして敵に巻き付いたり、牙の生えた口で噛み付く攻撃を主とする。
また、成長するとそれまでの細長い姿から一転、丸くなった(差し詰め蛹か繭と推測)ゲバルガと同じ姿に変わって敵に突撃する(見た目の色は青いゲバルガと異なり、まだ黄色や橙色に近い)。ただ、ルックスこそ成体と瓜二つだが成熟したゲバルガとは異なり、まだ電磁パルス攻撃などは習得していない上、攻撃方法も空中を浮遊しながらの突進ぐらいと極めて原始的な攻撃しかできない。
なお、こちらのゲバルガに似た姿はテレマガネットによれば「球体状のイルーゴ」と記載されているため、一応ゲバルガに進化する前段階の状態である。
活躍
第18話
突如市街地の地中から出現し、口内からイルーゴガスを放出、都市圏を大気汚染の恐怖で追い詰める。防衛隊による攻撃も効果を見い出せずにいた。
その夜帰宅途中だったゲント隊長にテルアキ副隊長からの通信が届き、細胞構造が地球上のどの生物とも一致しない、即ち宇宙生物である可能性が高いと判明する。
SKaRDは対策に乗り出そうとするも、上層部から何故か待機命令を下される。そんな中、エミ隊員の独自調査で「イルーゴはV99案件の1つで、バザンガ、ゲバルガに続く“サード・ウェイブ”ではないか?」と疑われている内情が判明する。
ゲントは「何かあれば現場に出動させられる」と予想し、テルアキ副隊長に引き続き調査を進めるように指示を出す。
そんな中、防衛隊は航空機からのワイヤーで口を塞いでガスを食い止め、地上からレーザー砲を搭載した特殊戦車でイルーゴを切断する作戦を決行したが、イルーゴの顎は想定以上に強力だったためワイヤーを引き千切られた挙げ句、戦車を咥えて投げ飛ばされて作戦は失敗してしまう。これにより上層部は大混乱、レーザー砲の特殊車両内の乗員救出もままならない事態となる。
一方その頃、調査を続行していたSKaRDの方では……
- 実はイルーゴのガスは清浄可能
- 既存のフィルターにこれを吸い取れる物がある
- 清浄な空気内ではイルーゴの細胞が弱体化する
……等々、事態の打開策に繋がる情報を得たため、ヤスノブ隊員提案の、「アースガロンに大量のフィルターを搭載、メインエンジンによる吸気排気をフルパワーで行い周囲の空気を清浄化(=アースガロンを巨大な空気清浄機化)にし、大幅弱体化を狙う」作戦に出る。
テルアキ副隊長とヤスノブ隊員が搭乗するアースガロンによる「空気清浄化作戦」は途中まで順調だったのだが、突如イルーゴは丸まったかと思えばゲバルガに似た姿に変貌、直後に背後から別個体のイルーゴが出現し一気に窮地に陥ってしまう。
特殊車両の乗員と逃げ遅れたTVクルーを救出中だったゲントはブレーザーに変身、アースガロン救出に向かうがゲバルガに阻まれ、さらに3体目のイルーゴまで出現、足に巻き付かれ身動きが取れなくなる。
そんな時、EGOISSが「ブレーザーのチルソナイトソードは電気を操れるのですよね?」と尋ねると、搭乗する両人はその意図を察し「チルソナイトソードで真空放電を行い、人為的にプラズマを発生させてのガスの浄化」を発案。
自らとブレーザーに絡み付くイルーゴを振り解きつつ上記の策を伝えると、それを聞いたブレーザーはチルソナイトソードを天高く飛ばし、上空での放電から発生したプラズマでガスを一掃。これによりイルーゴの群れは一気に弱体化。
アースガロンもこのチャンスを逃がすまいと動き、腕のアースガンをイルーゴの口内に突っ込み、体内から撃ち抜き爆散。残った2体のイルーゴもチルソナイトソードに斬り裂かれ撃破された。
これにて事件は解決、事態は収束した……かに見えた。
後日、平穏を取り戻した首都圏に突如として無数のイルーゴが出現。
新たな脅威はすぐそこまで迫っていた……。
第19話
余談
- ゲバルガと同じくプレミア発表会ではお披露目されておらず、前半ダイジェスト動画で初出しされた。
- 何気にこれまで怪獣の単独撃破がなかったアースガロンが、初めて単独で撃破した怪獣である。
- 第18話を担当した越知靖監督によると、「イルーゴはデルタンダルのように操演だけでなく、スーツアクターを務めた高橋氏がパペット人形と同じように腕を使って演じている」ようである(出典)。
- また、実際のパペット人形よろしく顔を隠して芝居するために、アクターが無茶な体勢を取ったり、ビルに隠れてそれを合成で消したりなど、デルタンダルとはまた別方向での新しい挑戦となった。
関連項目
- ディプラス:細長い体を持つ海洋生物モチーフのウルトラ怪獣繋がり。こちらのモチーフはウミヘビ。
- グワーム:主である宇宙人の住み良い環境にするため、大気を改造するガスを吐くウルトラ怪獣繋がり。長い首を持つ点も共通するが、こちらのモチーフはドラゴン。
- アンチマター:こちらも地球の環境を自らの故郷の環境に作り替えようとした怪獣。尤も、こちらは物語の黒幕によって半ば地球に連れてこられた被害者である。
- ユーゼアル:同じく、地球の空気に悪影響を受けるウルトラ怪獣。こちらはイルーゴと違い善良な怪獣である。
- プラーナ:空気を変えるウルトラ怪獣繋がり。ただしこちらはむしろ人類にとって利益になる怪獣である。