キャリブレーションを取りつつゼロ・モーメント・ポイント及びCPGを再設定……
っ……!!なら擬似皮質の分子イオンポンプに制御モジュール直結…!!
ニューラルリンゲージ・ネットワーク再構築。メタ運動野パラメータ更新。
フィードフォワード制御再起動、伝達関数、コリオリ偏差修正。
運動ルーチン接続、システムオンライン、ブートストラップ起動!!
概要
アニメ『機動戦士ガンダムSEED』シリーズにおけるモビルスーツ(MS)用のオペレーションシステム(M.O.S.)。
コズミック・イラのMSは、複雑化した分散処理をスムーズに行う目的で各機体にOSを採用している。また、このソフトウェア立ち上げの際の起動画面にシステム名が表示される。
ザフトが開発して運用しているMSに採用されているOSは処理が複雑な上、開発時期によってはMSごとに仕様が異なるため、一部の例外を除けばナチュラルでは訓練してても作業用として使えるくらいしか扱えない(※)とされている。
※:このためにナチュラルでありながらコーディネイター以上にMSを乗りこなせるまでに至ったラウ・ル・クルーゼはコズミック・イラ中でも異常な実力を身に着け、それを成しえるほど世界を憎悪していたとも言える。
ナチュラル用のOS
地球連合軍はオーブ連合首長国のモルゲンレーテ社との共同開発の末にナチュラル用の新型OSを導入、初期GAT-Xシリーズがロールアウトされる。
しかし、実際に鳴り物入りの新型OSは機体本体の完成度の高さとは裏腹に未完成だったためまともに動作しなかった。その後、ザフトに強奪された4機はOSをコーディネイター用に最適化され、ストライクもキラ・ヤマトがOSを自分向けに最適化させたことで実運用可能なレベルとなった。なお、ストライクのOSに関しては連合のトップガンであるムウをしても「あんなもんが俺に……てか、普通の人間に扱えるかよ!」と評される代物となってしまい、ナチュラル用OSがインストールされるまでキラ以外に動かせる者がいなくなった。
開発経緯としては、ジンのOSをベースにして開発していた連合がナチュラル用に改良することができず暗礁に乗り上げていたためにオーブへの開発の打診を行い(その分野ではオーブの方が進んでいたため)、ウズミの意向で一度断られたものの、サハク家が連合に接近して再度協力の申し入れを行い許諾されたという形となっている。また、そうした中でキラが属するゼミの担当教員であるカトウ教授が開発の中心人物となっており、キラも知らず知らずのうちにその手伝いをさせられていた。
その後、ストライクの戦闘データをもとに開発された地球連合製と、キラが開発に直接関わったオーブ連合首長国製へ分岐した。
度々OSの最適化や開発を行っていたキラの台詞からして少なくとも
- CPG(中枢パターン発生器の略、歩行の意志運動と自律運動を生成する神経回路)
- 疑似皮質の分子イオンポンプ(この分子構造がパイロットとの神経接合の相性を決定している)
- 内蔵量子コンピュータを用いた専用ルーチン(これを弄るとシナプス融合の代謝速度が変化する)
- ニュートラルリンケージ・ネットワーク
- 伝達関数
- フィードフォワード制御
- コリオリ偏差(コリオリ効果)
- メタ運動野パラメータ
- 運動ルーチン
- エネルギー配分
- 脚部ダンパー
- 射撃兵器の照準
の設定に関してはOS上で管理していることがうかがえる。ちなみに『SEED』第2話のキラは、CPGの再設定に失敗したため、代わりに疑似皮質の分子イオンポンプを制御モジュールへ直結することでストライクをまともに動かせるようにしていた(つまり、自律制御を諦めてマニュアル制御する形で最適化した可能性が高い)。
また、高度に仮想化されているためかキラがブートストラップを仕込んだせいかは定かでないが、OS(システム)を再起動している間も姿勢制御やエネルギー配分等が可能となっており、ストライクはPS装甲の通電を維持しつつ自立までしていた。
C.E.72年の「空白のニ年」では、アンティ・ファクティスなる組織によって世界中に戦闘用MSが横流しされ、ナチュラル用のOSのザフト製MSや処理が改良されたOSの地球連合軍製MSなどが登場。
地球連合への不信から地球連合軍を脱走した元パイロットが民間施設への略奪行為に、地球連合の横暴な「交渉」で抑圧された市民たちが武装蜂起に走ると言った事件を発生させてしまっている。
- 大西洋連邦製(後期GAT-Xシリーズ、GATシリーズ)
地球連合軍では神経接合方式がナチュラルの手に余る代物と判断され、以降のGATシリーズではアークエンジェルからもたらされたストライクの実戦データを元にOSの処理の一部を自動化(パターン化)した半自動操縦方式を採用した新型コクピットに移行している。
しかし、この方式は複雑な操縦を行えないことに加えてイレギュラーな動きに対して弱く、反応速度にも限界があるという欠点を抱えている。このようなOSの癖はキラクラスのパイロットであればすぐに見抜くことができる。また、半自動化に伴うOSの複雑化による処理速度の低下を抑えるために最低限の動作プログラムとしたため戦闘パターンが単純化されており、それを集団戦闘によって補っている。一方、後期GAT-Xシリーズに搭載されているものについては、高性能な機体に応じた操縦負荷の高さからブーステッドマンの搭乗を前提としているためか、キラがOSの癖を感じられないほどの複雑な操縦と反応速度の速さを有しており、キラはパイロットに対して「それに…ナチュラルでもないみたいだ。」という中らずと雖も遠からずな所感を持つに至った。
- オーブ連合首長国製
オーブ連合首長国のモルゲンレーテ社はキラの協力で神経接合方式のまま完成させることに成功し、この開発したOSのパテント料(特許)によって復興を成しえる。
なお、大西洋連邦製ほどではないにしても、機体の動きの多くをコンピュータでサポートしている。それによる特徴の一つとして、拳法家の動作データを取り入れた高い接近戦能力や優れた機動性がある。なお、神経接合方式との間で不具合を起こしていたのか、完成直後は射撃戦闘中に格闘技の型を取るなどのバグが存在しており(キラが開発に関わっていた時期は徒手空拳でのテストしか行っていなかったため気づけなかったと思われる)、叢雲劾がデバッグすることで解決した。
ザフト製の新型OS
[MOBILE SUIT NEO OPERATION SYSTEM]
フリーダムなどに採用された新型OSは、ザフト製の新型MSのOSとして標準化され、ZGMF-Xシリーズ改めファーストステージシリーズに続くセカンドステージシリーズとサードステージシリーズ、さらにニューミレニアムシリーズにまで採用されている。
ニューミレニアムシリーズのみOSの起動画面の英単語が省略され、そのまま計器に切り替わる(「ZAKU」と表示するのが考えられていたが没になったとのこと)。
「GUNDAM」
初期GAT-Xシリーズとプロトアストレイに採用されたナチュラル用のOSの起動画面に表示される英単語の頭文字をとった略称が「GUNDAM」である。
明確にガンダムと呼んだのは主人公のキラぐらいだが、各勢力のコズミック・イラの1stガンダムである初期GAT-Xシリーズに倣ったのか、以降のガンダムもなんだかんだで勢力の枠を越えて略称が「GUNDAM」になるようになっている。
地球連合・モルゲンレーテ社共同開発
- 第1期GAT-Xシリーズ、プロトアストレイ、その他多数 ※
General
Unilateral
Neuro - link
Dispersive
Autonomic
Maneuver
(Synthesis System)
「単方向の分散型神経接続によって自律機動をおこなう汎用統合性システム」
ザフト以外が開発したモビルスーツは、このOSが採用され、操縦系統は標準化されている神経接合方式の共通コクピットシートとなっている。
起動直後の画面には勢力のシンボルが表示され、地球連合軍製MSには地球連合の国章、オーブ国防軍MSにはオーブ連合首長国の国章が表示される。また、勢力によってはMSに独自の機能を持たせる場合もあるため、OSも機能に応じたマイナーチェンジが加えられている事もある。
例として、フェイズシフト装甲を採用したMSやアルミューレ・リュミエールを採用したMSにはそれぞれに搭載した機能のON/OFFを切り替えるシステムが組み込まれている。
該当するMSは非常に多く、大西洋連邦の第1期GAT-Xシリーズ、その内の1機であるストライクのデッドコピーのストライクルージュ、ユーラシア連邦のCATシリーズ、東アジア共和国のライゴウ、モルゲンレーテ社で秘密裏に開発されたプロトアストレイ、オーブ国防軍のフラグシップ機アカツキに採用されている。
ただし、後期GAT-XシリーズとGATシリーズに関しては、同型のOSが採用されているかは明確に描写されていない。前者は改良型、後者は半自動操縦方式の導入がされている。また、ジンなどのコーディネイター用のMSにもインストールする事でナチュラルでも操縦できるようになる。
地球連合軍開発
Gigantic
Unilateral
Numerous
Dominating
Ammunition
(Fortress)
「巨大制圧火器集約要塞」
ザフト開発
Generation
Unsubdued
Nuclear
Drive
Assault
Module
(Complex)
「抑制されていない核駆動を使っている強襲モジュール複合体」
『SEED Destiny』第39話におけるキラの台詞からして、ナチュラル用OSと同様にCPGや分子イオンポンプ、メタ運動野パラメータの設定が可能なことがうかがえる。また、ニュートラルリンケージ・ネットワークや原子炉(核エンジン)の状態も確認できる。
Generation
Unrestricted
Network
Drive
Assault
Module
(Weaponry)
「無制限のネットワーク駆動世代の強襲モジュール兵装」
Gunnery
United
Nuclear
Maneuver
(SYSTEM)
「核・デュートリオン統合先進機動砲撃システム」
オーブ連合首長国開発
G.U.N.D.A.M
詳細不明。
アカツキなどに採用されているオーブ国防軍仕様の起動画面が確認できる事から、OSの下地にはいつもの共同開発OSが使われているものの、その中身はエクリプス専用の設計とされている。これはアカツキやハイペリオン、デルタアストレイのOSと同様にMSに搭載された機能を制御するためである。ちなみに、恒例のシステム名は「G.U.N.D.A.M」で省略されている。
余談だが、フリーダムを基にしているため、コクピットシートの仕様はZGMF-Xシリーズに準じている。
民間開発
Guider
Deployment
Autonomic
Manipulation
「無人・自律運用展開教導機」
コズミック・イラにおける「ガンダム」の名称について
実は、SEEDシリーズには「ガンダム」の名称は劇中において正式な機体名としては存在しない。例を挙げるならストライクガンダムについていえば、正式な名称は単に「ストライク」である。
強いて言うなら使用されるOSの名前であり、起動時にディスプレイに表示されたOSの頭文字「G.U.N.D.A.M」の文字を、キラが咄嗟に「ガンダム」と読んだことから彼がストライクにつけたニックネームのようなものである。
実際、ストライクガンダムはどの形態であっても劇中ではほとんどの人物から「ストライク」と呼ばれていた。
その他の「ガンダム」もザフト製であってもOSの頭文字が「GUNDAM」となっている(デストロイガンダムの「G.U.N.D.Am」等こじつけ臭いものも多いが……)ので、『頭文字が「GUNDAM」のOSを搭載しているMSが「ガンダムタイプ」』と一応定義できるものの、やはり「ガンダム」と呼ばれる事は基本的に無い。とはいえ、少ないながらキラ以外の人物が「ガンダム」の名前を使う場面もあり、俗称としての「ガンダムタイプ」は存在するらしい。
また、この定義をコズミック・イラのすべてのMSに適応してしまうと、今度はM1アストレイやムラサメと言った見た目が完全にガンダムタイプでガンダムとは呼ばれないMSもこの「G.U.N.D.A.M」のOSをインストールしている事が劇中で確認できるため、さらにややこしい事態を起こしてしまう。極論言えば、その気になればジンもシグーもOSをインストールしてガンダムになれてしまう。
現実で例えるなら、OSにAndroidを搭載しているスマートフォンないしタブレット端末を総じて「アンドロイド(端末)」と呼ぶ感覚に近い。
一方で、フリーダムの外見を見ただけのキラが「ガンダム」と呼んだことから、少なくともキラの認識では「G.U.N.D.A.M」OSを搭載した機体が総じてガンダム顔であったために、そうしたガンダム顔を持つ機体を「ガンダム」としている可能性が高い。
また、敵役のガンダムタイプとして登場した後期GAT-XシリーズはOSの起動画面は特に描写されていない。新型コクピットを採用したため内装が変更され、ダガーなどのGATシリーズと共通の構成になったのが原因なのかは不明。また、ダガーやウィンダムなどのOSもストライクなどに採用された「G.U.N.D.A.M」のOSを改良したものだとすると恐らく起動画面は同じである可能性が高い。
補足として、PS2ソフト「機動戦士ガンダムSEED 終わらない明日へ」に収録されているムービーでは、レイダー制式仕様のコクピットの描写がされている。しかし、初期GAT-XシリーズのようなOSが表示されるモニター画面は確認できない。
正式名称としてガンダムと付けられている機体にはインパルスガンダムブランシュがある。この名称はデスティニーの名の代わりに流行りのガンダムタイプにあやかって名付けた経緯がある。とされているが、正式名称としているのは現状この機体のみとなっている。
商品としてのガンダム
一方で、バンダイから販売される商品・キャラクターとしての正確な名称には「ガンダム」が付けられ、ストライクであれば「ストライクガンダム」なので、ややこしい話である。
この影響か、アカツキは公式での設定の通り「アカツキ」が正式名称だが、プラモデルなどの商品では商標などの問題から「アカツキガンダム」という名称である。
この他に、民間機のスターゲイザーも「スターゲイザーガンダム」である他、カスタム機のストライクノワールは「ストライクノワールガンダム」で商品化している。
例外としてストライクルージュとストライクEはそのまま商品化が出来ている。ストライクノワールは登場作品の主要な機体だからなのだろうか?
他のメディアでは混乱があったのか面倒になったのか不明だが、ストライクなどはストライクガンダムだが、アカツキはアカツキのままで通している事もある。
また、MSV関係の機体は大多数がガンダムを省略した名称でテレビゲームやソーシャルゲームに参戦する事が多く、本編中の機体が「ガンダム」付けながら、バリエーション機は劇中の名称そのまんまと言うケースが多い。
例えば、ソードカラミティとデスティニーインパルスは名称の省略がゲーム作品ごとに異なる。特に前者が「ソードカラミティガンダム」と記載される作品はトレーディングカードゲーム『GUNDAM WAR』くらいでしか見られない。
後者の「デスティニーインパルスガンダム」の名称は立体化などで使われるため、今後ソードカラミティの立体化次第とも思われる。などと言ってる内にカラミティのバリエーション機が「エールカラミティガンダム」として立体化されている。