※本記事では『ワンパンマン』の世界観に限定する。『とっても!ラッキーマン』に登場する同名の組織については会長(ラッキーマン)の記事を参照。
概要
怪人に襲われた際に通りすがりの男性に助けられたという孫の話を聴いた大富豪アゴーニが設立した一大組織。まさかの民営である。サイタマとジェノスが加入した時点で設立から3年が経過している。
主にヒーローの円滑な活動を支援するための後援組織として活動しており、各ヒーローの活動・生活資金の給付や住居などの斡旋。効率的な怪人退治を行うための各ヒーローに対する指揮・伝達。また怪人や悪の組織に対する調査や対策、災害レベルの認定などが一任されている。
ちなみに、女性のヒーローは本来「ヒロイン」と呼ぶ事が正しいが、本作では「ヒーロー」で統一されている。
あくまで民間団体であるため、活動資金は寄付金によって賄われている他、スポンサーやマンションからも収入を得ている。
所属しているヒーローはその働きに応じて報酬を受け取っているが、シルバーファングやイケメン仮面アマイマスクなどのように副業を持つ者もいる。
A市にある協会の本部ビルはメタルナイトにより建設された要塞で、異星人の攻撃でA市が破壊されても無事に残った。その後更に拡大され、内部にはA級以上のヒーローや富裕層向けのマンションも備わる要塞都市となった。さらに地下には大量の怪人が極秘に収容され、何らかの実験が行われている。
また、この世界にも軍や警察や自警団などが存在しているが、とくにリメイク版では、警察からヒーローやヒーロー協会は信用されていない節があると判明しており、協力するどころか互いに牽制し合う場面も見られた。
- 警察や軍は怪人退治どころか治安維持だけで手一杯としており、軍ですら翻弄されているという世紀末の様な社会情勢であることがうかがえる。ナリンキ私設部隊のトンガラも「人間の醜悪さ」や「地獄」を見てきたと述べており、彼の今際の際の走馬灯はおぞましいものだった。
後述の通りおざなりな部分が少なくないがヒーロー協会ではあるが、あくまでそれは人間の目から見た視点である。
怪人にとっての脅威であるのは間違い無いようで、黒い精子は「基本的に人類は総じて虚弱生命…いかに統率が取れても蟻の群れに負ける大怪獣はいねぇよ」としながら「ヒーロー協会の怖さはタツマキやサイタマみたいな暴れさせちゃいけない狂った怪物にもホイホイとライセンスを与えちまう規範意識の浅さだったんだ」と怪人に対抗できうる力を持つ特別な個人に現場判断で好き勝手正義を執行できる権限を与えてしまう点こそヒーロー協会の強みであると評し、協会の弱体化と新勢力の登場による正義の派閥争いにほくそ笑んでいた。
所属ヒーロー
なお、この世界における“ヒーロー”とはヒーロー協会に所属しているプロのヒーローたちの事を指しており、それ以外はいくら善意や正義感で怪人を倒し人を助けてヒーローを名乗ってもヒーローとは認められずに“妄言を吐くただの変人”として扱われ白い目で見られてしまうらしい(サイタマの知名度が恐ろしく低かったのはそのため)。
ヒーロー協会設立以前からヒーロー活動を行っていた者は既に存在しており、そちらはヒーローとして認められていた為かそのまま協会入りに繋がっている模様。
協会に入るためには体力テストや筆記試験などの認定試験の受験で合格(100点満点中の70点が足切り)する必要があり、合格後は個々の特徴から付けられるヒーローネーム(コードネームやニックネームのようなもの)を授与され、多くはその名前で呼び合っている。
また、ヒーローは戦闘能力や社会貢献度や影響力からS・A・B・C級のいずれかにランク付けされる。例え弱くても、社会貢献度が大きければランキングも上がり、いくら強くても実績がなければランクは低いままとなる。
但し、「S級」は例外で純粋な「戦闘力」のみを基準に選ばれている。
余談だが、作中での描写を見る限り、ヒーロー達は顔面や歯の矯正またはインプラントなども含めて、割と頻繁に医療機関のお世話になっているようだが、ヒーロー達の医療費の負担がどういう風になっているのかは不明。また、上記のことを考えると、本来の顔をしていないヒーローのほうが多い可能性もある。
協会の暗部
リメイク版でとくに描写されてきたが、発足してからわずか数年にもかかわらず、警察組織との軋轢や幹部クラスの腐敗などが随所に見られるなど、とても正義の防衛組織とは思えない一面が多い。
原作版でも童帝がヒーロー協会から決別する際に、スネックに「協会の利権や都合に利用されている」ことを教えて助言をしていたが、リメイク版でもフェニックス男が童帝に精神世界で見せた「協会の暗部」は想像を絶する内容だったらしく、後に童帝もフェニックス男の見せた内容が「すべて事実」だと把握していた。
また、世界を何度も救ってきたサイタマの能力を過小評価(本人の能力が人知を越えすぎているためでもあるが)したり、協会の体裁を守るために嘘の報道を流す、予測不能の事態で一度のミス?をおかしたメタルナイトの株と評価の低下を蔑む(協会本部からの招集命令無視などの行動で以前から悪印象を持っていた可能性はある)など、組織自体にもお粗末な点が目立ち、創立3年目にして組織としては末期の状態にある。それは外部だけでなく、職員らも指摘するほど。
- メタルナイトの評価を下げた件でも、メタルナイト以外に誰も監視カメラの記録をチェックすらしていないのに責任をメタルナイトに転嫁したという醜態を通り越して、怪人以上に意味不明で予測不能な対応をしていた。
- 実際には、サイタマの帰宅時に同行していた黒い精子と育ち過ぎたポチに怪人を感知するセンサーが作動(怪人と確定する前に再判別も行われている)し、サイタマの反撃によってシステムが破壊されたというもの。
- 監視カメラの映像は爆炎で阻まれてサイタマの行動は確認できず(監視役は防衛システム起動音に気づくまで居眠りしていた。ボフォイ博士は映像を確認できていたが、コンピュータでの解析・解像度処理を施した可能性もある)。ただし、イケメン仮面アマイマスクもサイタマを確認している。この点は、サイタマが深海王を撃破した際にアマイマスクが防犯カメラの映像でサイタマの活躍を確認していたことと似ている。
- 駆けつけた協会職員にサイタマが「なんかよくわかんないけど爆発した…」と苦し紛れに語ったところに現れたキングが話を合わせたことで、「防衛ロボットが誤作動で爆発」ということになった。
- ボフォイ博士曰く「A級ヒーロー全員分以上の働きを見せる」防衛システムをA級39位、それも、少し前までC級であり非常に速いペースで昇級しているという怪しげな経歴を持つハゲマントが破壊できるとは考えず、S級ヒーローの中でも一目置かれるキングの発言を信じたのも無理はないとも言えるのかもしれない。
その他、ガロウとの戦いでのデスガトリングの切った啖呵は、一見すると名誉欲に駆られた小物の様な描写が見られるが、協会側がS級にばかり傾倒し、A級以下への待遇とサポートなどを軽視し、市民からの注目と称賛もS級に集中してきたという「ヒーローランキングの弊害」が存在するのも事実である。
協会側の資金力と人材にも限度があるのだろうが、それでも、デスガトリングの指摘は的を得ており、A級以下のヒーローの生存率や装備の改善やモチベーションの維持などに割かれるべきものが、S級や協会幹部にばかり向けられ、上層部の腐敗にも拍車がかかり、シルバーファングなどが注力してきた協会の宣伝力と求人力を低下させ、結果として協会所属のヒーローや職員のネオヒーローズへの移籍を促したことになる。そして、市民の称賛がS級に集中するというのは実力主義の負の側面を後押ししてしまうだけでなく、サイタマがそうだった様に、ヒーローのモチベーションを大きく下げることにもなりかねない。
- ただし、アクセルをスカウトしようとした際に言及されたが、ヒーロー協会の予算の大部分がインフラの復旧や被災者への支援など協会の支持率の保持に使われており、タツマキの持ち家もごく普通の一軒家であるなど、一般的なイメージと実際の懐事情に大きな差があるのも事実だと思われる。
また、一部の上層部の腐敗は深刻であり、金銭面の不正にとどまらず、怪人の生体情報を裏取引して私腹を肥やしたり、そのために危険度の高い怪人を大量に本部の地下で飼育する、など、かなり悪どいケースも散見される。ただし、メタルナイトが裏から人事部に働きかけて追放する場合もある。
後に、戦力不足と人員の欠如に悩まされ、あげくの果てに犯罪者や裏社会の面々に手を出し始めた。つまり、裏社会との連絡手段と何らかのコネがあるという事である。倫理的な部分に目をつぶれば、戦力の確保と犯罪勢力の削減および裏社会撲滅へのステップアップになるが果たして…?
- ネタバレになるが、結果はどうあれ、裏社会の勢力の大幅ダウンには繋がった。
- ただし、確かにガロウによって怪人協会や裏社会に大きなダメージを与えたものの、ガロウが「ヒーロー狩り」を行ったことによって多数の怪人被害が防げなかったことも作中で実際に言及されている。
また、どう考えても異常な戦闘力を持つサイタマを、身体測定の記録を天井突破して更新しているという状況にもかかわらず、その事を上層部に報告しないし、試験の関係者が周囲と情報を共有すらせず、上記の黒い精子の言葉通りら、危険な程の戦闘能力を持ちながら素性も不明なサイタマに簡単にライセンスを与える、など、プロの治安組織としては危うい描写はかなり早い段階から見られた。
- 他のS級は万年C級最下位だった者も含めてS級に戦力重視で判断されて、人格や社会奉仕や社会貢献などの項目は軽視されて飛び級で昇格しているのに、既に「未知数ながらも過去最高の身体能力」であるというデータが取れているサイタマをS級どころかC級にに配属した理由も不明である。仮にサイタマのデータがインチキ臭くても、協会側には精査や再検査をするという動きすらなかった。
そして、昨今ではタツマキ自らが宣伝に乗り出さなければならないほどに求心力が低下しており、その隙を突いてネオヒーローズが急速に台頭、ヒーロー協力の職員や所属ヒーローが多数移籍するという事態に陥っている。
ヒーロー協会関係者
先述の通り、ヒーロー協会の設立者。
回想で語られたのみで本編では今のところ未登場、というか現在はどういう役職なのかも不明。
協力を設立しただけで、前述にも語られた協会の腐敗といった内部事情など触れていないか、野放し状態にしているとも見てとれる。
「地球がヤバい予言緊急対策チーム」のリーダー役を担う。
独断でプロジェクトを極秘に発動しヒーロー協会の施設に大人数を動員できるなど、謎の権限と行動力を持つ。悪人を利用しようとするなど、評価できるかどうかはともかく、比較的まともな正義感を持つ。ブラストからの信頼を得ている数少ない人物でもある。動揺すると頭を抱えてしまう。
ブショウ(CV:山本祥太)
無精髭の男。素性は不明だが、ヒーロー認定試験の体力試験で新記録を連発し、隕石を破壊した功績を持つサイタマに密かな興味を向けている。
ジンズレン(CV:上田燿司)
眼鏡をかけた男。ヒーロー認定試験の体力試験で抜群の新記録を連発したサイタマを「彼の肉体には神が宿っている」と最初に言わしめた人物で、サイタマの実績と実力を正当に評価している数少ない人物の一人。
機械化した義眼を持つ男。
出世欲は強いが、元々ヒーロー志望で比較的正義感のある人物で、怪人協会編で腕を切り落とされても即座に指揮に移ったり、戦闘不能となったヒーロー達を背負おうとしたり、活躍の場面も多い。
リメイク版の7巻に収録された番外編に登場。ヒーロー協会第2オペレーション室長。眼帯の上から眼鏡を掛けている男性。傲慢な性格で、怪人の襲撃を受けた警察の救助要請に対し、挑発的な態度を取り、ヒーロー協会の権限拡大を狙ったが、偶然諸事情で警察署にいたサイタマによってその計画は破れることになる。その後本編にも登場し部下の話を聞きつけてヒーロー協会の問題点を改善する議論を持ち掛けた(そもそも本人にも問題があるので明らかにダブルスタンダードであるが)。
さらに、協会本部で管理している怪人たちは、マッコイが裏取引をするための金づるだったことも判明しており、そのことを人質にフブキに交渉を持ちかけられ、タツマキが暴れた際の責任問題の隠蔽工作に協力することとなった。
その後、どういうわけかネオヒーローズに幹部として移籍したことが判明した。前述の会話は協会の問題点を洗い出し、それを移籍先での活動に活かすためのものとも考えられる。実際、協会時代の数々の情報をネオヒーローズに提供し、幹部としての地位を得ていたと判明している。
ゼイミート(CV:杉崎亮)
村田版にのみ登場。ヒーロー協会重役。協会の寄付金と自分の立場を私物化してキャバクラ遊びをし、偶然それを見たガロウに殴り倒された。その後、メタルナイトことボフォイ博士が裏から人事に働きかけ、ゼイミートを追放するように計らった。
予言者の老婆。その予言の的中率は100%であり、今まで何度も大災害を予言してきたため、ヒーロー協会から警護されていたが、ある予知をして動揺のあまり咳が出たためのど飴を口に入れたところ、「地球がヤバい!!!」という予言を残し、喉に飴を詰まらせて死亡。
今までの予言においてシババワが「ヤバい」と評したことは(多くの人命が失われるようなものであっても)ただの一度たりともなかったとのこと。
そして、彼女の息子が後に社会情勢に大きく影響を与えることとなる。
余談
- 幹部や営業などの一部をのぞき、女性オペレーターは独特のユニフォームを着用する。