概要
第126話から登場する、ヒーロー協会の大口スポンサーであるナリンキが擁する、傭兵や賞金稼ぎなどから構成される私設の武装集団。
怪人協会に息子のワガンマが連れ去られていながらも、突入準備に時間を掛けているヒーロー協会に痺れを切らしたナリンキの命により、正規のルートでは手に入らない特注のバトルスーツを与えられてワガンマの救出へ向かった。
バトルスーツは彼ら専用の特注品であるため、他の者は使用できない。バトルスーツの能力に頼る印象が強いが、彼らは全員が死線を潜り抜けてきたり「地獄」を見てきた猛者ばかりである。三剣士からも実力を認められており、エビル天然水の不意打ちをある程度対処できていたなど、彼らの実力を示す場面は何度か見られた。そして、「「正義」を語れるのは、並みのヒーローよりも、人間のおぞましさや地獄を見てきた自分たちのが説得力がある」と言うトンガラの言葉には、三剣士も反論できなかった。
また、怪人姫弩Sの支配下におかれた際には、一コマだけであるが、バトルスーツに自己修復機能がある描写がされている。
構成員
総勢7名。七味唐辛子に由来する名前を持つ。
- トンガラ
部隊長。キング似のいかつい中年男性。武器は銃。名前は「唐辛子」から。民間軍事会社を運営している。キリサキングによって顔にX字状の傷を付けられた。
- ソッシ
右目が前髪に隠れた端正な顔立ちの青年。武器は片刃の両手剣。名前は「シソ」から。
- チンピー
- アサミ
メイン画像左側の女性。紫がかった黒髪ロングの美人。スタイルが良い。武器は槍。名前は「麻の実」から。
- ノリア
メイン画像右側の女性。緑がかった金髪のショートヘアの、女子。瞳が大きくやや小麦肌。武器は薙刀タイプの両剣。名前は「海苔」から。
- サンション
- ゴマゴ
ヘッドバンドを付けた三白眼の中年男性。武器はトンファー。名前は「胡麻」から。
動向
ナリンキからバトルスーツを与えられ、怪人協会に乗り込んで怪人2体を討伐したが、機神G5の手によりあえなく捕獲される。アジト内で大勢の怪人に囲まれ、全員で涙ながらに命乞いをするも複数の怪人に襲われかける。更にキリサキングに殺されかけるが、奴隷を欲しがった怪人姫弩Sと、特注品であり他の者が使用できないバトルスーツの有用性を説いた機神によって辛うじて助命。しかし全員が怪人姫弩Sの洗脳により奴隷と化してしまった(本来は2時間おきにナリンキに連絡するはずだったが、この時連絡手段も絶たれてしまい、通信が来なくなったナリンキは身にもすがる思いでヒーロー協会にワガンマ救出を要請した)。
その後は怪人姫弩Sに操られ、アジトに突入したイアイアン・オカマイタチ・ブシドリルら三剣士と交戦。洗脳されながらもスーツの性能とこれまでの戦闘経験が消えることはなく、自分たちを生きて連れ戻そうと奮闘する三剣士たちを苦戦させる皮肉な事態に。
戦闘が長引く中、三剣士は突如乱入したアマイマスクに言われて別の戦場へ向かうことに。相手が変わっても洗脳されている以上は戦うしかなかった。しかし三剣士は別の戦場へ向かう途中にイアイアンがアマイマスクの異変(イアイアン曰く「生け捕りにされたダークマター盗賊団残党を八つ裂きにした時と同じ殺気がした」)に勘付いており、アマイマスクが部隊を引き裂く寸前、引き返してきた三剣士が不意打ちで部隊のメンバー全員を気絶させることに成功。部隊全員が正気を取り戻したことにより、アマイマスクの激情もある程度鎮静化。怪人姫弩Sもアマイマスクによって倒され、私設部隊は全員が生きていることに涙を流して安堵するとともに、助けてくれた三剣士に感謝するのだった。
そして正気に戻った私設部隊は、ついさっきまで自分たちを殺そうとしていたとは知らぬまま、大人気アイドルに会えたことに感激し、写真やサインを求めながらついつい地元の方言が出てしまうというなんとも和やかな光景を披露。アマイマスクも毒気を抜かれてしまう(直前まで「悪に与した者(操られた私設部隊)を助けたということはあいつら(三剣士)も悪か…?」等物騒な事を考えていた)のだった。
そして、私設部隊は三剣士とともに怪人と戦いながら、地上への脱出を目指すことになる。
武器は三剣士との戦いで破壊されてしまっていた為、バトルスーツのみで(トンガラは加えて予備の拳銃も使い)戦う羽目になっていた。
道中三剣士を捕虜にした風を装い敵陣を通り抜ける作戦を実行するも怪人のつまみ食い癖を前にあえなく失敗、結局怪人を皆殺しにしたりしつつ順調に道のりを進んでいく。
魔ロン毛の奇襲を受けたり、怪人を捕食中の豚神を化け物と勘違いして引き返したり、お互いをお互いの組織に勧誘したり、前述の命乞いを演技だといい始めたトンガラと「もしかしてガチ泣きしてたの自分だけ?」と全員が思いながら話を合わせあったり…。
彼等の愉快な道のりはしばらく続いた。しかし、堅物のブシドリルは、傭兵稼業を通して得た独自の価値観で動くトンガラとそりが合わなかった。
そんな中、怪人協会最悪の幹部と謳われるエビル天然水を解放せんとするマスター・ジョーを追跡し、トンガラが拳銃で致命傷を与えるも一足遅く、マスター・ジョーの手によってエビル天然水が解放されてしまった。攻撃の効かない相手に苦戦するうち、トンガラが負傷して身動きが取れない状態に。更に彼を助けようと駆け寄ったブシドリルにも攻撃の目が向く。
トンガラは咄嗟にブシドリルを庇い、致命傷を負ってしまう。
ブシドリルは彼を信じ切れなかったことを悔いるが、トンガラはあくまで傭兵としてドライに接する。最期に「昔は本当はヒーローになりたかった」「隊員たちを頼む」と言い遺し、自分を置いていかせて三剣士を逃がす。
トンガラは薄れゆく意識の中、今までの人生を思い返しながらエビル天然水に飲み込まれ、そのままマッドドクターフィッシュに食い殺されたのであった。
その後、残された隊員6名と三剣士はエビル天然水との戦闘を継続するが、物理攻撃が効かないエビル天然水相手には結局歯が立たなかった。しかし、タツマキの超能力によって三剣士と隊員たちは地上への脱出に成功。
地上に出た先でソッシがブサイク大総統によって左腕を引き千切られ重傷を負ったものの、豚神の体内に匿われてタンクトップマスターに投げ飛ばされる形でどうにか避難できた。
隊長のトンガラが怪人協会との戦いで殉職したのは大きな痛手であったが、それ以外の隊員6名は無事に生還を果たしたのであった。
余談
- 上述の通り数々の死線や修羅場を越えてきた猛者たちでありながら機神G5によって呆気なく捕らえられたが、これに関しては元々機神G5自体が災害レベル鬼の中でも卓越した強さを持つ上、戦闘データを学習して技をコピーする能力も持っていたこともあり、流石に相手が悪すぎたようだ(事実、トンガラは「変なロボット(機神G5)が現れなければ地上で逃げ切れた」と語っている)。
- エビル天然水に敗れ、倒れている私設部隊の隊員たちの地上への脱出要請の際、イアイアンは「ここに7人居る」と発言するシーンがある。この時点でトンガラは既に命を落としているため、一見すると矛盾しているように見えるが、「イアイアンを含めて7人」と考えれば矛盾は解消される。
- 出番は少ないが、アサミとノリアの二人は単行本21巻の背表紙でカラーのビキニ姿でさりげなく登場している。
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当初の末路と路線変更の舞台裏
実は145話が公開された当初は、怪人姫弩Sによってけしかけられた私設部隊がアマイマスクによって全員八つ裂きにされるという衝撃の結末を迎える展開であった。
依頼主の無茶ぶりに振り回された結果、怪人に操られてヒーローに殺されるという、「かわいそう」以外の感想が見つからないほどの仕打ちを受けた人たちであり、これによりアマイマスクへの好感度が下がった読者が続出した。言うまでもないが、彼ら自身に非は一切ない。
そのあまりに悲惨な末路から、『ワンパンマン』でも屈指の被害者との呼び声も高かった。
ところが公開日から一年以上たった2020年5月8日に驚きの展開を迎える。この日より前のONE氏原作版の更新により、イケメン仮面アマイマスクの隠されたる衝撃の裏事情が赤裸々となった。詳しくは彼の個別記事を見てもらいたいのだが、問題はそこではない。
彼の公開された新設定の影響なのか、或いはそのままの展開ではマズいと判断されたのか、
単行本化に際し既に公開されていた145話以降の内容が一部大幅に変更された。
つまり当初の死亡ルートから、現在の全員救出・隊長以外全員生存ルートへと変更された訳である。
まず第145話の序盤で、イアイアンがアマイマスクの異変に勘付くところから物語が大幅にルート修正され、上述の隊長以外全員生存ルートに繋がることとなった(トンガラは後にエビル天然水との戦いで殉職し、結局死の運命から逃れられなかったが、それでも洗脳されたままヒーローに殺されるよりはマシな最期ではある)。怪人姫弩Sがアマイマスクに倒される展開に変わりはないものの、後に偶然の出来事で復活している。
結果的に私設部隊のキャラクター性が掘り下げられると同時に、それまでの悲惨な犠牲者ポジションから一転、怪人協会編の名脇役と言えるまでに昇華することとなった。
この予測不能の公式路線変更に、安堵したファンは少なくないだろう。
この路線変更が行われた理由に対し、「操られていただけの人間を容赦なく八つ裂きにしておいてヒーローとは云々で悩むのはどの口案件では」とされたのでは、という考察が為されている。