概要
当初の災害レベルは「鬼」。
原作版ではほぼかませ犬的な役回りで、登場して3コマと立たないうちに童帝に瞬殺されてしまった哀れな存在。
しかし後述するようにリメイク版では何故かデザインや設定がかなり練り上げられ、出番が急増。出番も長く、中の人も上からかなり過酷な扱いを受けていた過去を回想するなど、かなり読者の印象に残る立ち回りをすることとなった。正に、リメイクで「フェニックス」の如き躍進を果たしたと言える。
また、リメイク版では単行本化に際して原稿の大幅な描き直しが行われ、改訂前後で展開や能力に大きな変更が加えられた。
※以降の設定は全てリメイク版参照
人物
中間管理職に位置し、怪人を指揮することもある。時には幹部を指揮することもあった。ギョロギョロから怪人王オロチの育て方を聞き、オロチから「怪人王」の名を奪う野心を持つようになる。
鳥の着ぐるみが脱げなくなり、気がついたら怪人になっていた。因みに鳥の体はあくまで着ぐるみであり、人の本体が存在する。また、着ぐるみ自体にも愛着があるようで、ボロボロにされた時は怒りを露にした。
その正体は作中のコメディ番組『アニマル帝国』のマスコット『ドンカンバード』の中の人。
ドンカンバードは名前の通りとにかく鈍感で、番組内で何度も死んでいるが、次の放送では何事もなかったかのように復活する。
勿論ギャグでの設定だが、フェニックス男はその設定を見事な形で引き継ぎ、これまた名前の通り死しても蘇ることができ、災害レベル「竜」である「転生フェニックス男」に進化した。
改訂版前では、死にかけるたびに強くなる設定があり、転生フェニックス男から最後はフェニックス・金剛イーグルモードにまで進化している。
改訂版では、その設定が削除された代わりに、「着ぐるみを着た者を強制的に呼び込む精神世界」や「死体を操る能力」の駆使が可能となり、童帝の子供ながらにS級ヒーローで奮闘する姿とブレイブジャイアントという心強い着ぐるみ(童帝は否定したが本人曰く同じようなもの)の存在に、彼を仲間に引き入れ着ぐるみ怪人の新組織を作ろうと持ちかける。
転生フェニックス男
前述した着ぐるみの特性により、フェニックス男が死の淵から蘇り、生まれ変わった姿。
元の面影を残しつつ、着ぐるみがスマートになり、背中と前腕合わせて4枚の翼が生え、人型になったりとより戦闘向きに変化する。くちばしから本体の顔を覗かせている。見た目は言うなれば鳥人。
フェニックス男だった頃とは何もかもが比にならない性能を誇り、生命力が高く、特殊能力もとにかく万能で、幾度となく童帝を驚かせた。
曰く、着ぐるみには意思があり、自分の能力の説明をしてくれるらしい。また、怪人としての本能でもあるようで、「しがらみから放たれ、全てを凌駕し輝く永遠の存在になる。今度は我々が世界の主役を演じるのだ。」という旨を本体に伝えた。
長年脇役として扱われてきたキャラクターと、スーツアクターとして苦渋を味わわされてきた男の意思は一つとなり、災害レベル竜に恥じない力を持つ怪人となる。
能力
フェニックス男
- クチバシ攻撃
凄まじいスピードのクチバシの突きを放つ。
災害レベル鬼相応の威力があると思われるが、童帝の開発した「イライラシールド」は1枚も破ることができなかった。
- 暴風
翼を相手に向かって羽ばたかせることで、S級クラスの実力者三人が飛ばされてしまうほどの暴風を起こす。
転生フェニックス男
最初の進化形態。元の鳥型の姿よりも鳥人や「着ぐるみ(スーツ)」の意匠が強くなっているが、攻撃の際には自由に鳥型にもなれる。
- フェニックス・エクスプロージョン・クチバシ攻撃
前述の「イライラシールド」5枚重ねであっても軽々と貫き、さらに童帝が装備していた盾を大きくへこませる程に威力が跳ね上がった。
- フェニックスフレア
無数のエネルギー弾を飛ばす。
改定前にデコイとして使用した。
- 暴風(仮)
上記の暴風を起こす技の転生ver。
転生前と違いこの技で起こる暴風は熱風。
- フェニックス空間
改定後に登場。
着ぐるみの中でだけ共有できる特殊な精神空間。
晴れた青空に広がる草原という清々しい光景で、周囲にアニマル帝国の着ぐるみたちが存在している。精神世界のため、肉体にダメージを与えることは不可能で、どう過ごしてもほとんど時間が経たない。
精神が近づき共鳴度が上がれば触れる程度の干渉は可能で、記憶や知識の提供等も出来る。
通常なら着ぐるみしか入れないし声も聞こえないがサイタマは話し声が聞こえてノックしたら入れた。
フェニックス・ファイアーファルコンモード
転生フェニックス男の異形態。
着ぐるみの色が変わり、翼の後方からジェットエンジンのように炎を出すことによりスピードをアップさせる。
- フェニックス・ヒートアップ爪攻撃
手に熱を纏って引っ掻く。
- フェニックス・ホーミング羽根攻撃
追従する羽根を飛ばして攻撃する。
- フェニックスフレア
エネルギーの塊を飛ばし攻撃する。改訂版で使用。
フェニックス・プロミネンスホークモード
転生フェニックス男の異形態。
全身に炎を纏う形態で、エネルギーを吸収することが出来る。吸収したエネルギーを放出し、跳ね返すことも出来る。
改訂版ではパワー形態と成っており、ブレイブジャイアントを正面から押し切り1万度の光熱を纏う。
フェニックス・金剛イーグルモード
改訂前にのみ登場した、転生フェニックス男がブレイブジャイアントの攻撃による瀕死を乗り越えたことによる最強形態。「金剛」は「ブリリアント」と読む。
転生フェニックス男の異形態。全身が煌めいており、他のモードよりも圧倒的にパワーがある形態。
- 新王・目覚めの光
目を瞑った状態でも眩しく感じるほどの光を全身から放ち、その光に当たった死体はゾンビ兵として敵を襲う。
曰く、不死鳥の面目躍如。着ぐるみ曰く、「極限まで活性化した転生フェニックス男の生命エネルギーを照射して擬似的な生命活動を励起するとかなんとか·····」。
本人も理解出来ていなかった。
この技はノーマル形態で改訂版でも使用された。
フェニックス・ペンギンモード
転生フェニックス男の異形態。
改訂版で追加された、蝶ネクタイをつけたペンギン。
高いジャンプ力と氷の投擲と口から発射するエネルギー弾と捉えどころのなさが武器。
全身がツルツルしており、ブレイブジャイアントで捕まえようとしても「ちゅるん」と滑る姿に童帝からは「うなぎか」とツッコまれた。
- フェニックス南極氷山攻撃
巨大な氷塊を生成し投げつける。
ひよこ男
転生フェニックス男の異形態……なのかは不明だが一応形態の一つ。
童帝にコチョコチョ虫3号をクチバシと顔の隙間から放り込まれ「着ぐるみという拠り所を放棄する」か「笑い死ぬ」かという選択を迫られてもなお着ぐるみを脱ごうとしなかった結果、拒絶反応なのか謎の爆発を起こし弱体化してこの姿になった。
怪人レベルとしては「狼未満」らしく、一般人の子供であるワガンマの踏み潰しからすらただ逃げるだけであった
その後
事件の終息後、再び全盛期の姿を取り戻そうと鍛えて力をつけたが、あろうことかひよこのまま元の大きさになってしまった(当然力もひよこのまま)。
しかし、現在は通学路の横断歩道で横断用の旗を持って立っている着ぐるみとして活動しており、子供には人気で本人も満更でもない模様。
余談
- フェニックス男は誰よりも着ぐるみを愛し、誰よりも子供を喜ばす事に生き甲斐を感じていた人物であり、怪人化して情緒やモラルが乱れる他の多くの怪人とは異なり、怪人になっても魂の根幹を失わなかったという例である。
- それはつまり、ガロウなど、力に溺れて怪人化した存在とのアンチテーゼにもなっている。
- 「力」を示すことによって贖罪を求められているガロウと、「力」を失っても生き生きと人間との共存を模索するフェニックス男は対照的である。
- 社会の理不尽さや不幸によって怪人化したという怪人は、フェニックス男の他にも何名かいるが、フェニックス男とは異なり、狂暴な存在と化した例がほとんどである。
- 作中でも珍しい「ヒーローをスカウトした怪人」である。童帝だけでなく、番犬マンもスカウトしようと考えていた。
- 「死線を乗り越えて強くなり続ける」という描写は、サイタマ、ぷりぷりプリズナー、ガロウ、オロチなど、他のキャラクターにも見られてきた特徴である。
- この設定が活かされていた段階では、ネット上では(フェニックス男の作中での台詞通り)「いずれは災害レベル神に到達するのではないか」という意見も見られており、ポテンシャルの面では作中でも屈指の強キャラであった。
- そんな彼が、(人を笑わせる行為である)「くすぐり」によって敗れ、作中でも前代未聞の「狼未満」になった事が皮肉である。
- 怪人協会編が終了しても生存している怪人としては、フェニックス男の他には育ち過ぎたポチ、黒い精子、サイコス、ガロウ、マナコなどがいる。
- 地底人の死体を操った際の呪言は、おそらくはゴーレムに関する「emeth」などの描写を意識していると思われる。
関連イラスト
関連タグ
不動明(漫画版デビルマン):当初の立ち位置は正反対だが、異なる存在と合体し異形になってなお、元の心を持ち続けた者繋がり。