CV:斧アツシ
概要
村田氏によるリメイク版にのみ登場。
見上げる程の巨体と禍々しいその風貌は、怪人協会の首領に相応しいといえる姿をしている。
性格は冷酷そのもの。「敗者」に対して一切の情けがなく、有力な怪人が戦略的に撤退しても問答無用で捕食しており、怪人姫弩Sやフェニックス男といった一部の怪人達にも恐れられている。
参謀役の単眼怪人ギョロギョロを従えている。
首領と言ってもすべての怪人協会構成員がオロチに服従しているのではなく、ヒーロー協会を潰すために一時的に手を組んでいるだけである為、仲間意識等は希薄。さらに黒い精子のような一部の強豪怪人は事が終わり次第、オロチを倒して新ボスになろうと考えられている。
能力
作中で認定されている災害レベルはあくまでも「竜」であるが、その実力や能力は「怪人王」と呼ばれるに相応しく、レベル竜上位の猛者である協会幹部のゴウケツからは「地球上に彼より強い化け物は存在しない」と断言されている。育ち過ぎたポチをはじめとする他の幹部も、それぞれの思惑があるとは言え建前上は従っていることからも、オロチの非常に高い実力がうかがえる。
「怪人などいくらでも作れる」と述べており、人間を怪人化させる「怪人細胞」は彼から生み出されているらしい。
主に伸縮自在で触手の様な角を武器としている。
- ジェノスとの戦いで両足を失っているとはいえ、「殺気を読む事で、光の速さで撃ってこようと私には当たらない」と豪語する程の反射神経をもつ覚醒ゴキブリをあっさり貫いて、見せしめと言わんばかりに喰い殺す
- 「オーバーなほどに耐久テストを重ねた」とされるメタルナイトの自爆装置を起動させる前に貫いて破壊する
- すでに怪人化の兆候な見えていたガロウを易々と捕捉して胴体に風穴を上げる
などの威力を見せており、メタルナイトの残骸を視認した童帝はその殺傷力に恐怖していた。
この先ネタバレ注意
「望み通り恐怖を与えてやる」
怪人の王を名乗る見た目と常軌を逸した力を持つ彼であるが、もとは人間であったという。
彼は人間の頃から強い破壊衝動を秘めており、それに目をつけたギョロギョロの実験に付き合うことになった。
ギョロギョロが見い出した「怪人化の秘方」である「何度も何度も「死」を乗り越え、凄まじい執念で知能の低下や精神崩壊なども起こさずに次のステージに進みつづける」という方法により、彼は膨大な量の人体実験を耐え抜き、現在のような「オロチ」という名に相応し大怪獣へ変貌したという。
戦闘時は、全身を構成する怪獣らしき顔は一つ一つが大きなの蛇や竜に近い姿の怪物に変形し、ガロウのスピードに負けない速さで口の中から口を出現させたり、全身から岩や鉄を貫く超火炎を吐き散らすことも可能など様々な戦い方が可能。
おまけにガロウと同じ天才的な素質を持ち、一目見ただけで相手の技をコピーし、全身の怪獣すべてでそれを同時に再現するなど、凄まじいスピードで制限なく成長していく。
この時の戦闘力ですら、ギョロギョロの要望通りに、ガロウを「殺さない程度にぶちのめす」ための手加減に過ぎず、本気からはほど遠いと思われる。
また、全身が粉砕されても液体状の不定形になって生存可能であり、血肉が足りない場合は他の生物を瞬時に取り込んで力を回復させたり、この不定形の状態ですらありとあらゆる箇所から瞬時に火炎ブレスを発射できる。その領域はかなりの広範囲におよび、領域内にいる対象を見逃すこともなくすばやく処理をする。
まさに、ゴウケツからの評価に恥じない怪物である。
一方で、従者であるギョロギョロには基本的に忠実である。ギョロギョロ曰く「長い付き合い」があり「自分には絶対逆らえないように教育している」と豪語しているが…?
ヒーロー協と怪人協会の戦いが激化するなか、育ち過ぎたポチを撃退したサイタマとついに対面。
サイタマの謎の威圧感を感じ取り、Z市で噂しれている「ゴーストタウンの化物」の正体が彼であることを悟る。
この対面に歓喜した彼は怪人王としての素顔剥ぎ取り、真の姿を現す。そしてサイタマを地下深くへと案内する。辺り一帯を埋め尽くす溶岩と、その中に存在する謎の壁画と神殿。
その壁画には、まるで神が如く天に構えるオロチのような何かと、それに生贄を捧げる人々が描かれていた。
ギョロギョロの傀儡かと思われていたオロチは、実は既にギョロギョロの手から逸脱しており、彼が用意する生贄では飽きたらず、地球のエネルギーを直に得ようと地中深くを掘り進んだ結果、この神殿を発見した。そこで、自分にそっくりな壁画と、読めるはずのない古代文をなぜか解読できた事で、自身の正体は「神」であることを悟ったのである。
それ以降は、怪人王としてギョロギョロに従うふりをしながら、「ふさわしい生贄」を探し続けていた。今日この日まで。
サイタマというふさわしい生贄を前にした彼は、この神殿にて邪神として復活を果たすことを宣言した。
しかし、当のサイタマは全く話を聞いておらず、全裸で溶岩に浸かっていた。呑気に石鹸を要求する彼に激怒するも、「それでこそ生贄にふさわしい」とし、地球のエネルギーを直に汲み上げてぶつける渾身の一撃「ガイア砲」を使用した。
しかし、必殺マジシリーズである「マジ水鉄砲」のマグマでガイア砲を相殺され、騒音ばかり起こすなという「教育」として普通のパンチをお見舞いされる。
状況を理解できないオロチは、なんとか神殿まで身体を引きずり、祭壇へ乗り上げ壁画にすがりつき、最期はそこで息を引き取る。崩壊する地下、それに伴い壁画を覆っていた地盤がくずれると、その全容があきらかとなった。
「我々の神は遥かな時を超え地上に復活するだろう」
「この祭壇に捧げられた」
「ふさわしい生贄によって」
オロチのようなもののさらに上空、そこに立つ「何か」。
全てを見下ろすそれはまるで……。
その後、サイタマに撃破されたと思っていた彼は、なんと心臓部が生き延びており、血肉を求めギョロギョロもといサイコスのエネルギーを察知する。
そしてサイコスと一体化し、上半身がサイコス、下半身が蛇と蝶が合わさったような姿に変貌。意識を奪いあった結果、2人の意識が半々になる。また、これまでよりも大型でゴツい竜の首も複数生やしている。
その力は凄まじく、エネルギー波で地表を削り取るなど、タツマキすら驚きを隠せない程であったが、不可解に豊富なエネルギー量を持つため、何らかの領域から力を得ていて、「ただの融合ではない」と看破される。
実は2人が融合する際、謎の存在が接触しており、それにより現在の力を得て「天命」を悟ったという。
人類を抹殺するため、タツマキと激闘を繰り広げるも、駆けつけたジェノスの援護によりタツマキは他のヒーロー達を救助。それにより本気を出した彼女に感撫無きまでに打ちのめされる。
しかし、タツマキは突然吐血し拘束を解いてしまう。その隙に無事な部分を切り離し、街の人間を食らい力を蓄えようとするも、タツマキ渾身のバリアと、駆けつけた駆動騎士による追撃、さらにジェノスの援護より追いたてられ、さらにタンクトップマスターの投擲からのアトミック侍、ぷりぷりプリズナー、超合金クロビカリによる連撃を喰らう。
途中でサイコスが離脱し、そこへ追い討ちでバングとボンブの連携奥義に加え、タツマキのダメ押しにより遂に撃破し、地下神殿にて再び散った。
作者の評価
リメイク版の作者である村田氏は、2018年5月15日の配信にて「サイタマの攻撃でも一撃で死ぬことはない」「サイタマの普通のパンチを数発は耐えられる」、6月2日の配信にて「黄金精子と純粋な戦闘力でどちらが上かわからないが、技術はオロチのが上」としている。
- つまり、サイタマのマジシリーズも一発は耐えられるということである。
また、2018年6月2日の配信で、村田氏は「メルザルガルド・グロリバース・ゲリュガンシュプの三名が入念な準備をして全員で挑んでも、オロチ単体に勝てる見込みはほとんどない。」と述べている。
これらの判断材料や、オロチの成長速度や、ゴウケツからのオロチへの評価も踏まえると、サイコスと合体していないオロチでも「竜以上」に該当する実力を持つ可能性が高いと思われる。
修正前のプロット
サイタマとオロチの戦いは一度修正がなされており、修正前の150話では、その底知れない力を感じてサイタマをZ市の化物と察し、対峙した際には「霞んでいる自我を取り戻せるかもしれない」と述べ、体を変形させて無数の怪物や超火炎で攻撃している。
その余波は凄まじく、遠くにいたS級ヒーロー達にも影響を与える程であった。
だが、それでもサイタマには通じず、吹き飛ばされたサイタマは猛スピードで戦場へ舞い戻る。怪物たちを仕向けるが容易く薙ぎ払われる。彼からのダッシュしてからのパンチを一度は竜の頭で止め、頭上から超火炎を放出した。しかしサイタマには難なく耐えられ、しまいには「普通のパンチ」を喰らい爆散。
これまで体感したことのなかった「恐怖」という感情を垣間見ながら墜ちていった。
余談
- オロチの他にも、サイコスには他の「オロチ候補」が複数体いたが、怪人協会の本部が崩壊した際に全員がオロチに取り込まれた。
- ONE版のブラスト、サイタマ、村田版のオロチの人間型の形態は、全員が胸で留めたマントを羽織っているという奇妙な共通点がある。また、オロチの素顔にはブラストの「∞」マークにつながる「∞」模様があり、圧倒的な成長力や「公式で認定されているヒーローや怪人としてのランク」よりも高い実力を持つ点ではサイタマに通じるものがあると言える。
- 修正前のプロットで見せた「今までは恐怖と無縁だった」という心理描写は、S級ヒーローの面々にも描かれてきたことである。
- タツマキとの戦いで見せた「大威力の光線で地表を削ぎ取る」という描写は、ボロスの「崩星咆哮砲」にも通じる部分がある。
- コンセプトの段階では、「鉢植えから首を伸ばすチンアナゴ」というイメージがされていた(参照)。
関連タグ
ヤマタノオロチ…名前のモデルと思われる。酒呑童子の父親であるという伝承も、怪人を生み出す元となる怪人王オロチと似ている。
ビオランテ…2018年5月11日の配信にて、解放形態のモデルだと判明している。
テュポーン…解放形態との共通点が強い。多数の蛇や竜の頭や不気味に発光する目を持つ人型の姿をしている、強大な力を持つ、各々の蛇や竜の頭から火焔を吐く、無数の怪物を生み出す、最後は地下で倒される、などの特徴も共通している。
百頭・ラードーン・ヒュドラ…多数の頭部を持つ怪物の例。ラードーンとヒュドラはテュポーンの子供でもあり、多数の頭を持つ竜である、再生可能な頭を持つ、それぞれの首から火炎を吐く、などの点も似ている。
シン・ゴジラ…際限なく成長する、肉食爬虫類および人間の様な姿のバリエーションを持つ、全身からレーザーの様な火炎を発射する、様々に形態変化する (多数の頭を増やしたり翼を生やして空を飛ぶ構想もあった)、修正前も含めればオロチ同様に感情が希薄である、など類似性が目立つ。
奈落(犬夜叉)…元人間のラスボスで、数多の妖怪が体を構成しており、解放すると不気味な姿を表し、正体は無機質で不気味な目玉を持ち、幾多の分身を生み出したりできる、などの点が似ている。