小中ガメラ
こなかがめら
概要
脚本家の小中千昭と映画監督の小中和哉兄弟が構想していた、ガメラのリメイク作であり、岡田恵和の物と共に『ガメラ大怪獣空中決戦』の最初期の原案であった。
本作自体の実現はしなかったが、『平成特撮の夜明け』という書籍の金子修介の証言によると平成ガメラだけでなくのちに小中兄弟がかかわることとなる平成ウルトラマンや小中千昭がメインライターを務めた『デジモンテイマーズ』の雛型となっており、『ウルトラマンティガ』にも大きく影響を与えたという。
そして、長谷川圭一によれば平成ガメラが後の特撮界全体に大きな影響を与えたとし、特に平成ウルトラマンと平成仮面ライダーが大きく影響を受けたらしく、令和になってからも平成ガメラへのオマージュが時折見られるとされている。
そして、『ガメラ大怪獣空中決戦』だけでなく『小さき勇者たち』と『GAMERA-Rebirth-』は明確に「小中ガメラ」の要素を再現しており、とくに前者は「小中ガメラ」の焼き直しだと判明している。後者は「小中ガメラ」だけでなく、これまで実現できなかった様々な案や『牙滅羅』や『ガメラ対ガラシャープ』などの数々の製作中止作品などへのオマージュを意識しているとされており、その中には『ガメラ大怪獣空中決戦』をはじめとする平成ガメラで実現できなかった能力や描写(「シールド」「水中戦闘」「腕部と脚部のヒレへの変形による高速水中モード」など)も含まれている。
なお、『ガメラ大怪獣空中決戦』の初期案にあった「ガメラが古代インドの神である」という面に関しては、2015年の50周年記念映像において、ガメラ2015の別名である「地属神」に影響していると思われ、この記念映像も『GAMERA-Rebirth-』に大きく影響している。
内容
千昭氏自体はゴジラが好きだが和哉氏は昭和ガメラを愛好しており、一緒に書けるとすればと考えたのが「怪獣と子供たちのジュブナイル物語」だとされる。
- 海底で発見された古代文明の遺跡から、特殊な「遺物」が発見される。それらはガメラとギャオスと呼ばれる怪獣たちの「卵」であり、ガメラとギャオスの正体はそれぞれ敵対する2つの古代文明の守護神だった。
- 平成ガメラで古代文明の遺跡からの遺物が「勾玉」という形で導入され、『小さき勇者たち』のトトの「テレパ・ブレイン」や『聖獣戦記 白い影』の勾玉などにも影響をしており、『GAMERA-Rebirth-』のリバースガメラが残した「卵」の形状にも通じる。
- ガメラとの接触によって子供達にテレパシーなどの特殊な傾向が発現し、ガメラが子供達に「古代の文明の記憶」をシェアする場面が存在する。
- 『ガメラ大怪獣空中決戦』『小さき勇者たち』『GAMERA-Rebirth-』の全てにおいて、程度こそ違えどこれを意識した描写が存在し、とくに『GAMERA-Rebirth-』では強く意識されている。
- ガメラとギャオスは卵大⇒1メートル大⇒8-10メートル大⇒20-25メートル以上と大きさが変動している。
- この時点では後のプラズマ火球に通じる火球攻撃は持たず、あくまでも火炎噴射がガメラのメインの武器である。その中で、「青白い火炎」を吐く場面がある。
- 『GAMERA-Rebirth-』で導入された「荷電重粒子砲」は、この「青白い火炎」と『小さき勇者たち』のアヴァンガメラの「自爆」とトトの「トト・インパクト」、未制作に終わったがやはり『GAMERA-Rebirth-』にも影響を与えたアニメ作品『牙滅羅』における「ファイヤーリング」、瀬下寛之自身のアニメゴジラ三部作におけるゴジラの荷電粒子ビーム、平成ガメラとのコラボレーションを行った『戦姫絶唱シンフォギアXD』における「天体を貫通するビーム」、『ガメラ2』にてレギオン・プラントの種子の発射によって仙台で行動不能になった徳間ガメラなどへのオマージュであると思われる。
- ギャオスには翼を喪失した後の「陸戦モード」が存在し、ドラゴンの様な姿で非常に敏捷であり、全身から高熱を発するとされている。
参考文献
- 平成ガメラパーフェクション
- GAMERA -Rebirth- 公式設定資料集