荷電重粒子砲
かでんじゅうりゅうしほう
以下、『GAMERA-Rebirth-』の非常に重要な内容のネタバレなので注意。
本作に登場するガメラとバイラスが備える能力であり、バイラスのプロフィールでは「荷電重粒子ビーム」と形容されている他、設定資料集によればプラズマエネルギーも用いていると判明している。
本作に登場する「怪獣」には、オリリウムに関連する特性やエネルギーシールド、プラズマや電撃や電磁波の生成、重力の操作、人間や他の怪獣の血肉の摂取により急成長などの類似した特性や能力が散見されるが、「荷電重粒子砲」に関してはガメラとバイラスのみが備えている。
劇中では、与那国島にてバイラスが最初に披露した。
バイラス
バイラスによる物は、通称「ヘムデンの雷」と呼ばれ、10万年前の「浄化」の際には人類に多大な被害を与えたとされており、多くの人々の命を奪ったことがうかがえる。
バイラスは、ユースタス財団の「秘密基地」がある月へと向かう子供達、とくに「コード」の現保持者の和多大輝(ボコ)を狙い、彼等が乗るスペースシャトルを撃墜しようとして「ヘムデンの雷」を発射した。
しかし、ガメラが寸前で海中から火焔弾を発射し、「ヘムデンの雷」の弾道を逸らしたことで、スペースシャトルに命中して操縦者こそ死亡し、ジェームズ・タザキも失神したものの、子供達とタザキはビームの直撃を受けずに済んだ。しかし、スペースシャトルの墜落は免れず、松田了(ジョー)の自己犠牲とガメラによって、残りの子供達とタザキは石垣島の崎枝半島に降り立った。
すでに「死に損ないの分際」とされるほどに瀕死に近い重傷を負っていたガメラでは、一度死んでいたとはいえ他の怪獣の血肉によって復活したバイラスに叶わず、ガメラを倒したバイラスがスペースシャトルを追撃するために反重力とプラズマエネルギーによって飛行をはじめた。しかし、ガメラが残された力を振り絞って(同じくスペースシャトルの様に)脚からのジェット噴射(「弾丸飛行形態」)によって急速発進してスペースシャトルとバイラスを追跡した。
ガメラの追跡に気づいたバイラスは、再度「ヘムデンの雷」をガメラに向って連射するが、ガメラが「エネルギーシールド」と「重力操作」の合わせ技による「シールドによる突貫」で「ヘムデンの雷」を無力化し、そのままバイラスを(ギロンと同様に)真っ二つに引き裂いた。
ガメラ
石垣島の崎枝半島にて、「オリリウム」のエネルギーと「古代の記憶」によって人間たちがガメラを治癒している際に、ユースタス財団の上層部の切り札であるエスギャオスの襲撃を受けて、治療が完遂できないままでガメラは戦わざるを得なかった。
人間からのサポートを受けて、回転ジェット(「火焔旋撃」)とエネルギーシールドとパルスエネルギーと電撃と電磁波の合わせ技の「火焔烈球」によってガメラはエスギャオスを撃破するものの、エスギャオスによって投与された特異な「RNAウイルス(virus)」によってガメラに施された「プログラミング」が「本来」の状態に書き換えられ、ガメラは殺戮兵器と化してしまった。
しかし、ボコとの「リンク」がガメラを支え、ガメラも何と精神力で「プログラミング」を克服した。
だが、もはやガメラに力はほとんど残されておらず、ユースタス財団の上層部による「浄化」を防ぐには心もとない状態であった。
そのため、ボコ達を守るために、また、自身が殺戮兵器として利用されることを防ぐために、そして、諸悪の根源であるユースタス財団の上層部を撃滅するために、最後の力を振り絞って自身の残存エネルギーとオリリウムから得た全エネルギーを口から一条の光線として発射した。
この光線はユースタス財団の月面の「秘密基地」を地上から狙撃し、文字通り「月そのものを完全に穿った」という規格外の殺傷力を体現している。
しかし、全エネルギーを使い切ったガメラは全身が炭化して霧散し、その跡地には青く光る小さな岩状の物体が遺された。
小説版によると、この攻撃は後に現代人類から「MOON BUSTER」と呼ばれるようになったとされている。
- バイラスの「ヘムデンの雷」は、昭和版のバイラスの能力として一部の資料に記載されている「10億ボルトの殺人光線」へのオマージュだと思われる。
- ラストシーンでガメラが披露した「荷電重粒子砲」は、間違いなく歴代でも最強の殺傷力と攻撃範囲を持つが、究極の諸刃の剣である。
- ただし、ガメラとバイラスでは「荷電重粒子砲」を使用した状況も目的も、何より健康状態も大きく異なっているため、ガメラが自身の能力として「荷電重粒子砲」を把握していることからも、ガメラもバイラスと同様によりリスクの低い技として「荷電重粒子砲」を使える可能性がある。
- 歴代の技では、新たに孵化した個体の登場もあり、アヴァンガメラの「自爆」とトトの「トト・インパクト」を再解釈しているとも取れる。
- この二つの能力は同じエネルギーに由来しており、「トト・インパクト」も企画段階では光線攻撃であることが意識された部分もあった。
- 諸刃の剣である点は「ウルティメイト・プラズマ」にも類似している。体が炭化するのも『ガメラ2』に類似している。
- バースト効果として光輪が発生するのは、『牙滅羅』で考案されていた、火炎噴射に付随する「ファイヤーリング」にも類似性がある。
- 「トト・インパクト」の最終候補の名前の一つが「牙滅羅魂」であり、漢字表記が一致している。
- また、 瀬下自身のゴジラの放射熱線へのセルフオマージュであることも明白である。余談ではあるが、昭和ガメラも一部の書籍では「熱線」を吐くと記載されており、本作にも強い影響を与えている「小中ガメラ」のプロットではガメラが「青白い火炎噴射」を吐く場面がある。
- 瀬下監督のアニメ版ゴジラの前日譚にあたる『怪獣黙示録』では、ゴジラ・アースが地球に接近する妖星ゴラスを地上から熱線で狙撃し、地球破壊の危機を回避するエピソードが存在する。
- ガメラとの公式コラボレーションを行った『戦姫絶唱シンフォギア』の劇中でも、天体を光線で穿つという類似性の強いシーンが存在する。
- ガメラがどうやって月の地下に建設された基地をピンポイントで狙撃できたのかは、厳密な理由は不明だが、歴代のガメラ達の一部は視力が30.0あるとされ、本作の怪獣は特定の対象を地球上のどこからでも察知することが可能とされている。また、ジグラも超遠距離からの狙撃が可能である。
- 今作のガメラには、海外では主に『ヒックとドラゴン』シリーズのトゥースレスといくつかの類似性を持つという感想を持つファンが散見される。そして、「荷電重粒子砲」の発射シーンは同じくドリームワークス作品である『カンフーパンダ』シリーズに登場する、最強クラスの聖者であり玄武信仰に影響を受けているウーグウェイの死亡シーンと似ていると思う視聴者も海外で散見されており、実際に以下の様なMAD動画も制作されている。
- 今作のガメラの「眼の色」や「荷電重粒子砲」は青緑色であるが、「翡翠」や「翡翠色」は『カンフーパンダ』シリーズにおける重要なキーイメージである。