曖昧さ回避
- タイトーが1991年に発売した業務用横スクロールシューティングゲーム。当記事にて解説
- RPG『サガフロンティア』に登場するキャラクター。⇒メタルブラック(サガフロ)、メタルアルカイザー
ストーリー
最終平和兵器。
戦闘準備完了。僕らは、もう、引き返せない。
西暦2042年、木星宙域付近に突如出現した伴星がオールトの雲に干渉した事によって流星雨が発生。一部は核ミサイルによる攻撃で破砕されたものの、多くは隕石となり地球に落下。地球の生態系は壊滅した。これと時を同じくして、突如地球上に出現した地球外知的生命体が侵略を開始し、地球文明は崩壊寸前の危機に陥ってしまう。
地球側は国連安全保障理事会の元、各国の陸海空の三軍を統合してこれに対抗したが、「ネメシス」と呼称された木星軌道上の伴星から飛来した推測される侵略者は、地球文明機器と融合する特殊能力を持ち、さらにある高エネルギー体を利用したビーム兵器を用いていたことで、地球軍は為す術なく敗北を喫してしまう。
科学者はこのエネルギー源となる物質を『NEWALONE』(ニューアローン)と称し、これを利用した対抗兵器『CF-345 ブラックフライ』を開発。このブラックフライ全2万機を軸としたネメシスへの大反攻作戦計画『メタルブラック (METAL BLACK); the Military Enforce Totalwar for Absolute Liberty(完全なる自由のための軍事的総力戦): Beam, Lesson, Aircraft, Carrier(作戦遂行のために必要なビーム兵器、パイロットの育成、戦闘機、母艦の開発): Kill off(今作戦の最終目的、敵の殲滅)』を推進した。
しかし、政府はネメシスに対する停戦和平協定を結ぶことで被害の拡大を逃れることを決め、同時に『メタルブラック』は永久凍結、ブラックフライの存在は隠蔽された。
そして、西暦2052年6月22日。地球が静寂の時を迎えようとしていた中、ブラックフライのテストパイロットの1人だったジョン・フォードはブラックフライを強奪し、全てを敵に回し、単身ネメシスに立ち向かっていった。
ゲームシステム
操作方式は8方向レバー+2ボタンで、Aボタンでショットの発射、Bボタンでエネルギー解放(後述)を行う。ショットはボタンを押したままで連射されるが、次第に連射速度が落ちていく(砲身がオーバーヒートして連射機能が低下するという設定)。
通常ステージ×6+ボーナスステージ×2のトータル8ステージ構成。ボーナスステージはステージ1クリア後とステージ3クリア後に発生し、画面内を飛び交う敵群に照準を合わせて誘導ミサイルを放ち、撃墜する内容となっている。時間内に敵を全滅させるとパーフェクトボーナスを獲得できる。周回要素はなく、最終ステージをクリアするとエンディングの後ゲームオーバーとなる。
画面内を浮遊し続けるパワーアップアイテム"NEWALONE"(ニューアローン)を集めると画面下にあるビームレベルが1(初期状態)~6(MAX)まで上昇。
レベルに応じてショットの威力が強化されて上下の幅が広がり、最終的に自機の上下幅をはみ出すまでに太くなることから、自機の周囲にいる上下の敵への攻撃することが可能になる。自機にはエネルギー解放しか後方や上下を攻撃する手段はない為、一部のシーンではこのショットの幅を利用した肉薄攻撃が攻略の要となる。なお、自機がやられてもビームレベルは維持されるが、コンティニューをするとビームレベルは1に初期化される。
エネルギー解放
Bボタンを押すと蓄積されたエネルギーを消費して自機の前方に強力なビームを発射するエネルギー解放を行う。
威力やビームの太さ、持続時間はビームレベルに応じて変化し、更に最大値に達している時は画面全体にビームを拡散し、敵にダメージを与えると共に敵弾を相殺する攻撃が使用可能で、Bボタンを押したままにすることで前方収束型に切り替えることもできる。ただし、一度エネルギーを解放すると自機がやられるか残エネルギーが尽きるまで発射を中断することはできない。
ステージの最後に待ち受けるボスは自機と同様のパワーアップシステムを備えており、ニューアローンを摂取することで放たれるショットが強化され、一定量摂取するとエネルギーを開放して強力なビームを放ってくる。
自機の攻撃とボスの一部攻撃は干渉する性質があり、自機ショットでボスのショットを相殺したり、ボスのビームをショット連射である程度押し返す事も可能となっている。双方のビームが激突した場合は干渉演出の後に自機とボスとの間に巨大なエネルギー球が発生する。自機のビームレベルがボスを上回っていれば、エネルギー球は青く変色した後ボスへ突進し大ダメージを与えることができる。逆にボスのビームレベルが上回っていた場合はエネルギー球は赤く変色し自機に迫ってくる。これに接触するとミスとなる。ビームレベル最大時の拡散攻撃では、上記の干渉は発生しない。
このエネルギー干渉のアイデアは後にタイトーが開発する『Gダライアス』をはじめ、様々な作品に受け継がれた。
家庭用ゲーム機への移植
セガサターン版
1996年にビングより発売。タイトル画面やスタッフロールに若干の変更が加えられ、ラスタースクロールや一部の効果音に差異があるものの、概ね良好な移植となっている。
PlayStation 2版
2005年に発売された『タイトーメモリーズ 上巻』に収録。セガサターン版では省かれたクレジット投入画面が再現されているが、開放したビームを収束させられない不具合がある(タイトーメモリーズの廉価版「エターナルヒッツ」では修正されている)。
イーグレットツーミニ版
2022年にタイトーから発売された家庭用ゲーム機に収録。メタルブラックに限らず全てのゲームに若干の遅延が発生するとされるが(ゲームによっては気にならないレベル)、付属の液晶ディスプレイを使わず外部モニターに出力する、推奨電源(ACアダプタは同梱されていない)より電圧・電流が高めのアダプタを使うなどで改善するとの話もある(Nintendo Switch用のアダプタで改善したとも)。
ただ、タイトー側も遅延への対策を講じ、2022年9月より実施された本体のアップデートにより改善されている。
アーケードアーカイブス版
2022年11月17日より配信。海外版も収録。PlayStation 4とNintendo Switchに対応。キャラバンモードは1面スタートと6面スタートが用意されている。配信決定が発表された日と、配信当日は「メタルブラック」がTwitterのトレンド入りし、WWE所属のASUKAも反応を示した。
ちなみに、ASUKAの後者の反応には本作のBGMのコンポーザー、渡部恭久もリツイートしている。
Sトリビュート版
2023年2月2日より配信のシティコネクションによる上記セガサターン版の移植。アーケードアーカイブス版配信から間もないためか、PlayStation 4版とNintendo Switch版は販売されずXbox版とSteam版のみ。
クレジット無制限化や、ニューロン取得時のエネルギー取得量、およびエネルギー解放攻撃時のエネルギー解放量がそれぞれ設定可能になっている。
裏技
- ゲーム開始直後のデモをキャンセルするタイミングで1面の街頭モニターの映像が変わる。
- 最初のボーナスステージでブラックフライが上昇していくデモの間に『上・上・下・下・左・右・左・右・B・A』と入力すると、残りタイムと敵の数が増える(敵が増殖し過ぎてパーフェクトボーナス取得が実質不可能になる)。
- セガサターン版のみだが、タイトル画面で『L、R、B、Y』を押しながらスタートを押すとクレジット数が倍に増える。
- ネームエントリーの文字入力で色々仕込まれている(例:『M.B』と入力すると一瞬赤文字で『メタルブラック』と表示されるなど)。
小ネタ
- ラウンド1開始時に出現する『POW UP』と書かれたニューアローンを取らずにそのまま残しているとアパルトヘッド(ボス)に真っ先に食べられてしまう。
- 最終面でラスボスを仕留められずにゲームオーバーになった場合(最終面道中でのゲームオーバーも含む。また最終面でもコンティニューは可能)はバッドエンドとなり、ジョンの死に触発された地球側が決起し、2万機ものブラックフライが母艦と共にネメシスの本拠地へと飛び立っていく演出が展開される。
- ボス戦突入時の警告音は「アマイヨウメチャン」という音声にエフェクトをかけたもの。これは空耳ではなく、本作の開発スタッフの中にいたゲーム雑誌「ゲーマガ」の編集長・梅田浩二の友人が彼の仲間内で流行っていた「甘いよ梅ちゃん」という合言葉を本作にこっそり仕込むという賭けをしていたことに由来している。
- 本作の重く暗いストーリーが、果たしてタイトーの経営陣に受け入れられるか否かを危惧した開発陣が、目くらましとして『過去に制作した作品ガンフロンティアとの物語的接点があるかのようなダミーストーリー』を社内で提示したと言う経歴がある。そのダミーストーリーは本来社内のみで留まる筈だったが、当時のゲーム雑誌に紹介され、結果的にプレイヤー間にもそのまま広められてしまう事となった。後に主幹スタッフである仙波隆綱自らがコミカライズを手掛けた漫画や、 アレンジCDのインナー等にて前述のストーリーが解説される事で、ようやく本来の物語にスポットが当たる事となる。なおアトラクトデモ中にPROJECT GUN FRONTIER 2と表示されるが、やはりガンフロと話の上での接点はない。移植版の取説にも記載されたダミーストーリーは以下の通り。『宇宙侵略軍ワイルドリザード。奴らの非情な攻撃の前に、妥協と言う名の平和を選んだ政治家たち。そのために開発の最終段階だった〈メタルブラック〉も、一度は闇に封印されたのだった。 そして再び、地球が死に絶えようとしているその時、闇を解き放ち〈メタルブラック〉が甦った!!』
- 本作のメインプログラマー・たらばー(堀崇真)が友人へのプレゼントとして寄贈した「たらばーエディション」なるものが存在する。アイテム取得により自機のスピードアップが可能になっている他、敵の攻撃の激しさに上方修正が加えられている。最終ステージ前にはエキストラステージが追加されており、BGMも通常版には無い新曲が追加されている。このエキストラステージに於いては、ボーナスステージ中やネームエントリー時などに登場する見慣れた機体が意外な形で登場したり、お正月をモチーフにしたと思われる雅な曲が流れたりと、シリアスに徹していた本編と比べてやや遊び心が感じられる内容となっている。
- 2013年9月には往年のシューティングゲームの自機をフィギュア化した『シューティングゲームヒストリカ4SP』のラインナップとしてゲーム中プレイヤーが操作するCF-345TDと最終面でのゲームオーバー時に登場する量産型仕様のCF-345IDの2種のブラックフライがタカラトミーアーツより発売。更にCF-345TDに新造パーツを追加し、ステージ1クリア時に切り離す大気圏離脱用ブースターを追加したバージョンも単品で発売されている。デザインの監修は仙波隆綱が担当。
関連イラスト
関連動画
プレイ動画
バッドエンディング
クロスオーバー
太鼓の達人
2面BGM『DUAL MOON』が収録されている。
ダライアスバーストクロニクルセイバーズ
『gigazine Ch.』の動画
2016年1月14日に角川ゲームスより発売された『ダライアスバースト クロニクルセイバーズ』のDLCモードで使用可能なタイトーの歴代STG『ナイトストライカー』と『レイフォース』の自機と共に参戦(PlayStation Storeにて324円で発売、3種セットのタイトーパックは777円)。
ゲームシステムは概ね原作の物を再現しており、ショットのパワーアップは勿論ニューアローンを取得して行われる(敵を撃破することで出現)。
ボスが放つバーストビームに対してはエネルギー解放でカウンターすることが可能だが、発射のタイミングを合わせる必要はなく、双方のビームを干渉させた時点でカウンターが成立し、より強力な黄色いビームへと変化する。また、原作ではエネルギーを使い果たすまで止まらないエネルギー解放が任意で中断できるようになっている。
関連タグ
個別
関連人物
- 仙波隆綱:当ゲームの企画・演出・グラフィック等を手掛ける。タイトー入社前はアニメーターを務めており『機動戦士ガンダム逆襲のシャア』のメカ作監を担当した一人でもある。タイトーを退社した現在はイラストレーターとして活動中。
- 堀崇真:当ゲームのプログラマー。通称たらばー、ホーリーチェン。後にカプコン→ARIKAへと渡り、現在はARIKAの取締役。
- 酒匂弘幸:チェイスH.Q.やバトルギアなどの企画者。最終面に現れる猫(名前は「めんめ」)は、この酒匂氏の飼い猫。
関連作品
- ボーダーダウン:2003年4月にG.revが発売した業務用シューティングゲーム。G.revはタイトーの元社員が設立した会社であり、音楽担当も本作と同じYack.(渡部恭久)。謎を多く含んだストーリー、ビーム同士の干渉、レーザーにLvの概念を導入するなど本作のオマージュが随所に見られる。同年9月25日にはドリームキャスト版も発売されている。
- XEXEX:コナミの業務用シューティングゲーム。同時期に販売されたため何かと比較されやすい。
- ハイスコアガール:アニメOPに本作が映っている。ちなみに作中設定は本作の発売時期と同じ1991年。