概要
東京都においてモノレール路線(東京モノレール羽田空港線、浜松町駅~羽田空港第2ビル駅、17.8km)を運営する鉄道会社。
東京オリンピックを前にした1964年9月17日に開業。日本国内初の空港アクセスを主目的とした鉄道である。以来、東京国際空港(通称・羽田空港)へのアクセスを主目的として運行されている。
当初は日立製作所と名古屋鉄道(名鉄)が経営に参加していたが、経営難となったことで名鉄が早々と資本を引き上げて撤退、日立製作所は車両製造費などを回収できず(※)、会社倒産の危機にさらされたこともあった。
抜本的な支援策として日立グループが新たに出資、1967年に東京モノレールに日立運輸と西部日立運輸の2社が合併して「日立運輸東京モノレール株式会社」と社名を改め、会社再建にあたる。その後、経営が安定してきて、1981年には日立運輸が100%出資の「東京モノレール株式会社」に社名を変更。2002年よりJR東日本が本社株式の70%を保有する親会社となっている。この関係で全線でSuicaが利用可能になっており、独自の「モノレールSuica」も発行している(関東私鉄が導入しているPASMOはあくまでSuicaの共通利用相手として利用可能)。
長らく羽田空港へ向かう唯一の軌道交通だったが、1998年に京急空港線が羽田空港ターミナルへ乗り入れを開始して以降は首都圏では屈指の競合が始まることとなった。
JR東日本グループ入りしたのも、対京急を目的とした設備投資を積極的に実施したかったのが理由である。
なお、JR東日本では2029年度開業を目指し羽田空港アクセス線の建設を進めていることからモノレールの去就についても注目されており(廃線なんて極端な話も飛び出るほど)、これについてJR東日本側は「羽田空港以外の施設もあるのである程度の棲み分けはできるのではないか」としている。
(ちなみにこれは『ブラタモリ』(NHK)内でタモリが職員に質問したもので、公式見解ではないことを留意してもらいたい)
※現在は常識的なレベルの運賃であるが、開業当初は当時の物価(概ね今の1/10)に対しあまりにも高額な運賃であったのも一因である(大人250円・小人130円。当時の同距離の国鉄線の運賃は大人40円・小人20円)。
東京モノレール羽田空港線
全線が鉄道事業法による“鉄道線”。このため、
- 90km/hの高速運転
- 6両の(モノレール・新交通システムとしては)長大編成
が可能にとなっており、日本のモノレールでは唯一通過運転が実施されている路線である。
現行のダイヤでは、日中は浜松町駅から羽田空港方面へ直結で運転する「空港快速」と各駅に停車する「普通」の2種別の列車がそれぞれ10分間隔で運行(日中の列車はすべて全線通し運転)。このほか、主要駅に停車する「区間快速」も僅かながら設定されている。
朝夕ラッシュ時などはすべて普通のみの運転となり、入出庫の関係で浜松町駅~昭和島駅間の区間列車も設定されている。
特筆すべき事項は起点の浜松町駅で、全ての列車をたった1本のレールで捌いている。折り返し時間が短いのでレールを2本に増設する計画、新橋駅を介して東京駅方面への延伸計画もあったが、JR東日本の羽田空港アクセス線整備に前後してこれらの構想は事実上の凍結状態に。
停車駅一覧
◎:停車、レ:通過。なお、「空港快速」臨時列車の一部は天王洲アイル駅に停車する。
駅番号 | 駅名 | 普通 | 区間快速 | 空港快速 | 乗り換え | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
MO 01 | 浜松町 | ◎ | ◎ | ◎ | JR東日本(山手線・京浜東北線)、都営地下鉄(浅草線・大江戸線:大門駅) | |
MO 02 | 天王洲アイル | ◎ | ◎ | レ | 東京臨海高速鉄道りんかい線 | 1992年開業。りんかい線の2001年開業まで単独駅だった。 |
MO 03 | 大井競馬場前 | ◎ | ◎ | レ | 大井競馬場厩舎地区の真上に駅ホームがある。 | |
MO 04 | 流通センター | ◎ | ◎ | レ | 東京流通センター最寄り駅。 | |
MO 05 | 昭和島 | ◎ | レ | レ | 車庫駅。 | |
MO 06 | 整備場 | ◎ | レ | レ | 旧名羽田整備場駅。かつて日本航空・全日空本社は当駅近くにあった。 | |
MO 07 | 天空橋 | ◎ | レ | レ | 京急空港線 | かつては当駅近くに旧・羽田空港ターミナルが存在し、整備場駅直後に地下に潜り羽田駅という終着駅があった。 |
MO 08 | 羽田空港第3ターミナル | ◎ | ◎ | ◎ | 京急空港線 | |
MO 09 | 新整備場 | ◎ | レ | レ | ||
MO 10 | 羽田空港第1ターミナル | ◎ | ◎ | ◎ | (※京急空港線:羽田空港第1・第2ターミナル駅) | |
MO 11 | 羽田空港第2ターミナル | ◎ | ◎ | ◎ | (※京急空港線:羽田空港第1・第2ターミナル駅) |
車両
跨座式であるが、東京モノレールは「アルヴェーグ式」を採用。かつてはよみうりランドモノレールや名鉄モンキーパークモノレール線などで見られた方式だが、いずれも廃止されたため、日本で唯一現存するアルヴェーグ式モノレール路線となっている。
製造は全て日立製作所が担当している。
100形
開業時に導入された車両。車体長は先頭車でも10mそこそこと小型の2軸車であった。
中間車の200形や流線型の先頭車である300形と組み合わせて1978年まで使用された。
500形
1969年に登場した世界初となるモノレールのボギー車。
赤と白のカラーリングを採用した最初の車両でもある。1991年までに引退。
600・700・800形
1977年から登場した車両。
従来の流線型から一変し、箱型の実用本位なスタイルに変わった。
700形は冷房車として落成し、600形ものちに改造された。
1997年までに引退。
1000形
1989年に登場。
アルヴェーグ式の欠点でもある車内に出っ張ってしまうタイヤハウスを逆に利用し、一段高い「展望席」に変更。これによりダイナミックな車窓風景を楽しめるようになり、以降の形式にも影響を与えた。
塗装も落成当初のものや2代目塗装、東京モノレール開業時のもの、500形復刻塗装などバラエティに富んでいる。
2000形
1997年に登場。
羽田空港ターミナルビルへの路線延長に伴う増発分の補充として導入された。
東京モノレールでは初のVVVFインバータ車で、車体はこれまた初の両開き扉を採用している。
10000形
2014年に登場した最新鋭車両。車内に公衆無線LANを設置、スーツケース置き場も拡大し、空港アクセスの快適性をよりアップさせた。
黄緑とブルーのカラーリングも特徴。
2022年5月に一部編成で台車枠の亀裂が発覚し、修理に伴い朝ラッシュ時の列車が一部減便される事態となった。
注意
同じく東京都内のモノレールでは、この東京モノレールとお台場エリアを走るゆりかもめとが混同されることもある。
JR東日本が発売する『休日おでかけパス』で1日乗り放題になるのは、規定エリア内のJR線・東京モノレール・東京臨海高速鉄道であり、ゆりかもめは乗り放題の対象外なので注意。
鉄道むすめ
トミーテックが展開する鉄道むすめにおいて、東京モノレールからは二人登場しており、姉妹という設定となっている。
尤も2012年に自社のマスコット「モノルン」が登場して以降は次第にフェードアウトし、現在は使用停止状態にある(同じ傾向はJR東日本グループの鉄道むすめ全般に見られる)。
関連タグ
モノレール 羽田空港 羽田空港駅 羽田あいる 羽田みなと JR東日本
サンリオ:サンリオキャラクター大賞開催期間中にコラボ企画を実施している。
京急空港線:競合路線。京浜急行電鉄が運営、羽田空港乗り入れ前は天空橋駅でモノレール乗り継ぎを行っていた。
モンキーパークモノレール線:名古屋鉄道により建設されたモノレール。この路線で得たデータが東京モノレールに活用された。また開業前の職員の教育もモンキーパークモノレール線で行われた。