概要
アイオーン（ギリシャ語：αἰών（aiōn）、英語：aeon,eon、ラテン語：aeon）とは：
- 古代ギリシャ語で「ある期間の時間」を指し、時代や世紀、人の生涯、長い期間、永遠というような意味を表す。短い期間ではなく、非常に長い期間を通常示す。キリスト教『新約聖書』には、「諸アイオーンの諸アイオーン」という表現が出てくるが、通常、これを「永遠」と訳す。（ラテン語では、このギリシア語表現を、in saecula saeclorum［イン・セクラ・セクロールム］と訳し、カトリックでは典礼の祈りの言葉において頻繁に使う）。
- 古代ギリシャ神話で時または永劫を司るとされる神。
- グノーシス主義における高位霊。いわゆる天使のような存在（後述）。
- 日本のサブカルチャーのキャラクター名（後述）。
※.ピクシブではキャラクターの名前として扱われることがほとんどである。
ギリシア語 aion からの派生語
・ラテン語では、aeon（アエオーン、アイオーン、エーオン）となる。意味は、ギリシア語のアイオーンとほぼ同じ（発音は、歴史的な変遷。中世・近世ラテン語では、エーオンである）。
・英語では、aeon（イーオン）または eon となる。永遠という意味と、グノーシス主義のアイオーンを意味する。
・ドイツ語では、Äon（エオン）となる。
グノーシス主義のアイオーン
原初に存在したとされる「至高者（プロパトール）」のもとに集う高次元の霊的存在。
アブラハムの宗教の概念では、「天使」に対応するとも言える。しかし、至高神に対応する「先在の父・原父（プロパトール）」もアイオーンであるので、キリスト教・ユダヤ教とはかなり異なる。
それ故、その権能は一般的にイメージされる天使とは異なり、一柱で世界に多大な影響を及ぼすほどの力を持つ。
グノーシス主義においては「アイオーンこそ真に信仰されるべき神」であり、男女一対で両性具有を構成しているとされる。
彼らのいる次元を「プレーローマ（Pleroma）」と呼び、永遠の世界であるとしている。
オグドアス・アイオーンの表
プレーローマの中心には、八体の至高アイオーンが存在するとされ、この永遠界を「オグドアス・アイオーン（Ogdoas Aion）」と呼ぶ。次の表では、男神と次にくる女神が「対」となっている。これを「シュジュギア」とも呼ぶ。
| 名称 | 男女 | ラテン文字 | 意味 |
|---|---|---|---|
| プロパトール | 男神 | Propator | 原父 |
| エンノイア | 女神 | Ennoia | 思考 |
| ヌース | 男神 | Nous | 叡智 |
| アレーテイア | 女神 | Aleteia | 真理 |
| ロゴス | 男神 | Logos | 理性 |
| ゾーエー | 女神 | Zoe | 生命 |
| アントローポス | 男神 | Anthropos | 人間 |
| エクレシアー | 女神 | Ekklesia | 教会 |
ソピアー神話
またこれとは別にソピアーと呼ばれる下級の女性アイオーンがおり、プロパトールを理解したいという欲望を持ったが故に、プレーローマから失墜した。ソピアーからは、分身として女神アカモートが派生し、更にアカモートからデーミウルゴスが派生し、デーミウルゴスが人間を創造して現在に至るとしている。
これらの過程で、アイオーン・ソピアー自身は、救済され、アイオーン界に帰還している。グノーシス主義では、ソピアーの帰還にならって、人間の霊魂が、肉体の桎梏から離れ、アイオーン界へと帰還することが救済として望まれている。
（補足：アカモートは、ヘブライ語で智慧を意味する「ホクマー」から派生している）。
日本のサブカルチャーでの派生
個別記事有り
- アイオーン(SHOWBYROCK!!)：『SHOWBYROCK!!』の登場人物
- Aeon(スカルガールズ)：『スカルガールズ』の登場人物
- アイオーン・カルコス：『ソウルキャリバー』シリーズに登場するリザードマン。
- 泡沫のアイオーン：『アイドルマスターシンデレラガールズ』の「荒木比奈」のソロ歌唱楽曲。
パスファインダーRPG のモンスター名
パスファインダーRPGにおけるモンスターの分類の一つ。1eでは中立来訪者だったが、2eではアクシアマイト達と共に秩序の象徴に。
クロノクルセイド
罪人たちのリーダーで、全ての元凶の悪魔。
目的のために仲間を犠牲にする非情さを持ち合わせているが、時にはお茶目な面も覗かせるなど紳士的な雰囲気も持っている。パンデモニウムで成人の儀式を受けた際に「世界の真理」を知ったことがきっかけで、パンデモニウムから離反した。パンデモニウムの中枢ユニットとなった女性を母親に持つ双子が、兄アイオーンと弟クロノである。
原作漫画とアニメでは、別人のように雰囲気が異なる。
デモンベインシリーズ
ネクロノミコンの原書たる魔導書アル・アジフの鬼械神。鬼械神の中でも最上級の力を持つが、代償として魔力消費が尋常ではないため稼働時間が短く、それでも魔力が足りない場合は主機関である「アルハザードのランプ」の力で搭乗する魔導師の生命力を魔力に変換して吸い上げる。
機神召喚の魔術によって造り上げられるため、術者の属性、位階、能力によって形状が変化する。
斬魔大聖/機神咆吼デモンベインのプロローグで破壊されるが、機神飛翔や外伝小説では活躍する。
一切を虚無に還す強大な力を有し、その力の前では死の概念すら虚無と化す。
尚、アル・アジフ自体が写本でありオリジナルの作者によって複製され、その際に記憶記述が劣化して生まれた物がアイオーンであり、そのためオリジナルのアル・アジフはアイオーンの記述が無い。
オリジナルの記憶とは即ち、無限熱量にて邪悪を昇華する白亜の機械仕掛けの巨人、無垢なる魔を断つ剣の戦いの記憶である。
悪魔城ドラキュラジャッジメント
CV：神谷浩史
皆を時の狭間に導いた謎の人物。丁寧な言葉使いですべてを見透かしているような雰囲気を持つ。
召喚された者たちに対して試練を課し、それによって生成される「魂のカギ」を集めている。
崩壊:スターレイル
星神と書いてアイオーンと読む。
作中世界に置いて無敵と言っても過言ではない力を持つが、しかし自らが司る「運命」に縛られその「原動力」の内核に従うことでしか行動できないなど制約もある模様。
詳細は該当記事参照。
メイン画像
このような象徴的で哲学的な思索を含む概念には、適切な画像がないので、光の放射イメージの絵をメイン画像とする。実際に、アイオーンやプレーローマを画像で示すとき、このような光の充満で描かれる。ただ、暗黒も描かれているのが通常である。無の暗黒に対する光のアイオーンという概念である。
関連タグ
ギリシャ語 宗教 哲学 ギリシャ神話 神秘主義 グノーシス主義 自然科学 宇宙 時間 単位 劫 / 劫波 / カルパ イオン AEON eon
外部リンク
アイオーン（wikipedia）
