概要
地球連合軍で開発されたフェイズシフト装甲(PS装甲)の改良型。作中では「トランスフェイズ装甲」「トランスフェイズ」と呼ばれているが、作外での通称は「TP装甲」。
機能・特性
通常装甲の内側にPS装甲を備えた二重構造とし、通常装甲内のセンサーが衝撃を感知した時にPS装甲に通電させることで、被弾時のみフェイズシフトするようになっている。
これにより、欠点だったエネルギー消費を大幅に軽減することに成功し、余剰電力を潤沢に兵装に回せるようになった。
外観は通常の装甲であるため、フェイズシフトダウンを敵に悟らせないという特徴もある(整備場でカラーを保っているのはそのため)。
主に後期GAT-Xシリーズのカラミティ、フォビドゥン、レイダー(先行仕様)とその系列機のみに使用されている印象が強いものの、ディープフォビドゥンやフォビドゥンヴォーテクスと言った水中戦用MS、レイダー(制式仕様)の空戦用MSなどの量産機(GATシリーズ)にも採用されている。そもそもの話しだが、この量産機群の中ではレイダー(制式仕様)が先に開発されているなど、元々が「量産機向けの装甲」として開発されている側面が強い。『ECLIPSE』では、カラミティが「エースパイロット向けに少数生産されている」と言う設定とされ、それに伴いTP装甲が生産性を強化した装甲である点が強調されている。
省エネルギー化を実現させるために『実装個所は動力部やコクピット周辺などの機体の重要箇所に限定されている』とされている。また、重要箇所にのみPS装甲を施すという点はコストカットにも貢献している。その影響か、実際の実弾防御力はPS装甲には見劣りするとも低く評価される。
一方で、少なくとも第2期GAT-XシリーズのTP装甲がPS装甲に劣る描写は存在しない。それどころか、動力部やコクピット周辺以外もPS装甲並に堅牢となっている。
また、通常装甲とPS装甲の二重構造の装甲によってPS装甲よりも重量が増加したともされているが、増加している具体的な設定は不明となっている。そもそも、TP装甲はパワーダウンを隠す意図や衝撃に反応するセンサーを挟む関係から、通常装甲に厚みが求められていない。
該当機種
第2期GAT-Xシリーズ
- GAT-X131 カラミティ
- GAT-X252 フォビドゥン
- GAT-X370 レイダー(先行仕様)
GATシリーズ
- GAT-706S ディープフォビドゥン
- GAT-707E フォビドゥンヴォーテクス
- GAT-333 レイダー(制式仕様)
類似技術・後継技術
ブルーフレームセカンドLの改良型PS装甲
アストレイ ブルーフレームセカンドLにもコクピット周辺の装甲として、通常装甲とPS装甲を重ねた二重装甲が採用されているが、これはブルーフレームの改修に関わったロウ・ギュールの独自案によるもので、地球連合で開発されたTP装甲とは機能が同じだけの別物である。
ヴァリアブルフェイズシフト装甲
後年は、ザフトから強奪したZGMF-X12A テスタメントのPS装甲を改良した際に偶然ながら装甲の赤色化に成功、そのデータを元に地球連合製のヴァリアブルフェイズシフト装甲が実現される事になり、モルゲンレーテ社で開発された大容量バッテリーの『パワーエクステンダー』の技術流出も合わさった事で、MS改良計画アクタイオン・プロジェクトで改良された機体群にVPS装甲が採用される事になった。良く誤解されるが、テスタメントの赤色化は地球連合での改良によるもので、ザフトで実装された機能では無い。
ちなみに、『DESTINY』放送当時のVPS装甲についてはザフトのセカンドステージシリーズ向けにデュートリオンビーム送電システムと共に開発された次世代の装甲技術と記述があり「パワーエクステンダーとPS装甲を組み合わせる事で省電力化に成功した」と言う設定だった。
余談
- ガンダム作品において標準的なMSでの複合装甲は珍しいが、初代『機動戦士ガンダム』時点のムック『ガンダムセンチュリー』版設定では「発泡金属や複合材を重ねた重装甲がジオン・連邦軍機を問わず採用されている」という設定であった。
- 後に既存の超鋼スチールやガンダリウム合金との設定的兼ね合いから初代ガンダムの設定は変遷していき、複合装甲の設定はRX-78の一次装甲の構造として名残が見られる程度となったが、ある意味でTP装甲は先祖返りした設定と言えるのかもしれない。
- カラミティ、レイダー、フォビドゥンの3機がアニメで初登場した際、駐機状態にもかかわらずカラーリングを施してしまい、急遽PS装甲とは別の装甲として設定されたという逸話がある(PS装甲なら灰色のディアクティブモードになるはずである)。
- 後に『DESTINY』で登場したGAT-04 ウィンダムやGFAS-X1 デストロイの装甲にVPS装甲が設定される事になるが、両機ともに駐機状態にカラーリングが施されている事で共通している。ゲーム作品では劇中に準じてTP装甲へ改変する場合もある。特に、前者は『ストライクの性能を持つ』と明言されているのでTP装甲かVPS装甲の何れかの搭載が記載されるようになっているが、艦艇の機関砲はおろかMSの近接防御火器で撃墜される描写が散見され、本当に施されているのかは不明となる。
- アストレイ ブルーフレームセカンドLにもコクピット周辺の装甲としてPS装甲と通常装甲による二重装甲が採用されている。この装甲は、ブルーフレームの改修に関わったロウ・ギュールの独自案によるもので、地球連合で開発されたPS装甲とは機能が似ただけの別物である。
- ブルーフレームLの二重装甲は別物のはずだったが、後にガンプラのブルーフレームセカンドリバイやゲーム媒体ではTP装甲と明記されている。
- 第2期GAT-XシリーズのTP装甲の扱いは媒体によって一定しておらず、アニメ劇中では友軍機への被弾が指摘された際「TP装甲であれば大丈夫」といった台詞も存在している。ただし、設定担当者のコラムによっては同シリーズのTP装甲も『実装個所は動力部やコクピット周辺などの機体の重要箇所に限定されている』と説明があり、後の書籍ににおいても同様の説明がなされているケースがある。
- 尚、アニメ劇中で3機の第2期GAT-Xが実体攻撃を被弾したケースは少なく、フォビドゥンが腹部や盾部にレールガンを受けている。
- その他、『DESTINY』ではフォビドゥンヴォーテクスがフォノンメーザーと同時攻撃される形で魚雷を受け、『DESTINY ASTRAY』の漫画版では、大気圏に突入した際にレイダー制式仕様の装甲が部分的にダメージを受けている。
- 最新の立体物である「1/100 フルメカニクス」でのカラミティとレイダーにTP装甲の解説が記述されているが、実装個所は明言されなかった。
- もっとも、MGなどのプラモデルなどは解説書で設定が盛られて本編の設定との齟齬が発生する事も多く、情報の正確さには欠けている。
- 基礎技術がフェイズシフト装甲という名称であるため、トランスフェイズシフト装甲と間違えて覚えている人もわりと多い。
関連タグ
機動戦士ガンダムSEED 機動戦士ガンダムSEED DESTINY 機動戦士ガンダムSEED ASTRAY 機動戦士ガンダムSEED ECLIPSE