概要
東方Projectに登場する比那名居天子、少名針妙丸、依神紫苑の三名のグループ。
グループ名の順では針妙丸(しん)、天子(てん)、紫苑(しおん)となる。
天子は『東方緋想天』(弾幕アクション作品)、針妙丸は『東方輝針城』(STG作品)、紫苑は『東方憑依華』(弾幕アクション作品)にそれぞれ初登場した。
針妙丸と天子、天子と紫苑は『憑依華』で出会っており、同作時点では三名は主に天子を軸とした縁の結びつきをもつ。三名については二次創作でも様々な姿が想像されている。
三名の登場作品
先述の通り『憑依華』では三名それぞれの登場があり、作中では針妙丸と天子が完全憑依のコンビとしてストーリーを共にし、後にとある場面で天子と紫苑が出会いコンビを組むこととなる。
天子と針妙丸、天子と紫苑はそれぞれ相性の良い様子が語られている。
天子にとって針妙丸は高貴な自らにふさわしい由緒正しいコンビ相手であり、針妙丸にとっては強大な力を持つ天子は自らが探し求めた存在でもある。紫苑にとって天子はある事情からこれまでに出会ったことのない存在との出会いでもあり、天子もまた新しい刺激である紫苑を気に入っている。
ストーリー上では天子と針妙丸のコンビはCPUとしても登場しており、例えば河城にとりと秦こころのルートでは針妙丸が天子とコンビを組む前と天子とコンビを組んだ後の二度登場している。こころの感情分析によれば、針妙丸と天子の結びつきの間には「 脳みそ空っぽ気持ちいいぃぃ 」という感情がある。
また天子と針妙丸、天子と紫苑のそれぞれのコンビは各々の形で人々の間で有名になっている。
なお針妙丸と紫苑の間柄としては、針妙丸が所有する打ち出の小槌から打ちだす大判小判と金銭が常に欠乏する紫苑という対比的な間柄も見ることが出来る。
その他の関連
完全憑依の打破
『憑依華』において紫苑らが発生させた完全憑依異変は紫苑らの性質もあって八雲紫も対応に苦慮したが、作中で紫は複数の出会いを通して徐々にこれを打ち破る方法へと近づいていく。
例えば主要なものとしては聖白蓮や豊聡耳神子らの調査研究の情報やドレミー・スイートの語る夢の世界への影響の情報などがある。そして紫はそういった幻想郷の人々から得た情報を確固たる手段へと移行させるに足る現象を目にするわけであるが、その現象こそ、天子に憑依した夢の世界の針妙丸である。
夢の世界の針妙丸はそれまで天子に憑依していた現側の針妙丸を押しのける形で、天子にそうと気付かれることのないまま憑依しており、この様を通して紫は夢の世界を介した完全憑依とその境界を操るというこれまで積み重ねた情報を基にした具体的な方法のアイデアを得ることとなる。
紫苑らの引き起こした完全憑依異変の打破には紫の智慧と能力とが不可欠であったが、それを実現するには図らずも強力な力を以て異変に臨んだ天子とその天子とコンビを組んだ現側の針妙丸、そして天子の力に目を付けた夢の世界の針妙丸の存在が大きく影響したのである。
完全憑依の打破はそのまま紫苑にとっても「新しい人生」の始まりともなり、後には天子というこれまでにない出会いにも結び付くものであるため、異変の解決というだけでなく針妙丸や天子、紫苑のそれぞれのこれからにも関わる意義深い交錯であるといえるものでもある。
博麗神社
三名はいずれもそれぞれの形で博麗神社と縁を持つ。
天子は『緋想天』において博麗神社を倒壊させ、後には自らの敗北を受けてこれを再建したがその際に自らの家系との縁を仕込んで博麗神社を自らの神社としようとしたことで今度は紫によって倒壊させられることとなる。
また博麗神社に地鎮のための要石を打ちこんでおり、こちらは伊吹萃香も認める本物である。
天子は以後も博麗神社を訪れる様子が描かれており、例えば奉納神楽が開催された際などはこれの見物に訪れる天子らしき人物が描かれている(『東方鈴奈庵』)。
針妙丸は『輝針城』の異変で失った打ち出の小槌の魔力が回復するまで博麗神社に居候しており、さらに縮んだ自らのサイズに合わせたドールハウスのような住居も得ている。『鈴奈庵』の番外編的なエピソードながら、博麗霊夢と食料を奪い合ったり時にはお礼に着物を仕立てたりと、博麗神社である程度の時間を霊夢と共にしている様子もみられている。
紫苑は『憑依華』での異変の後、紫苑の貧乏神としての性質から誰もが匙を投げかけたところを博麗神社が引き取った。紫苑は神社での生活に心地よさも感じている。
今日の博麗神社には天子の影響(と実物としての要石)があり、針妙丸や紫苑がこの地を拠り所ともしているなど、多様な存在を受け入れその縁を結ぶ場所でもある幻想郷の要は、天子と針妙丸と紫苑の三人の縁もまた繋いでいる。
異変の中心人物と作品アイコン
三名はいずれも初登場した作品で発生した異変の中心的な位置にある。
天子は天候が変動する異変、針妙丸は道具が動き出す異変(「逆様異変」)をそれぞれ起こし、紫苑は完全憑依の異変(「完全憑依異変」)における紫苑と女苑のコンビの絶対的優位に不可欠な存在であった。
更に天子は結界の要である博麗神社の破壊、針妙丸は幻想郷の現体制に対するクーデター、紫苑は完全憑依の副作用として夢の住人の流出と、いずれも本人の意図しないところで(天子と紫苑は自らの行動が何を招くのかを知らず、針妙丸は真の黒幕に騙されて協力した形)幻想郷存続の危機レベルの事態を招いている。
また作中でのそれぞれの中心性は関連するゲーム作品に同梱のゲーム起動アイコンにも見られている。
天子の初登場した『緋想天』のゲーム起動アイコンは要石、紫苑の初登場した『憑依華』のゲーム起動アイコンは紫苑がもつ欠けた茶碗となっている。
針妙丸については初登場の『輝針城』は針妙丸由来のものではない(STG作品伝統の霧雨魔理沙アイコン)が、『輝針城』から物語が直結する『弾幕アマノジャク』では針妙丸の所有する「打ち出の小槌」をもとに作られた「打ち出の小槌(レプリカ)」がゲーム起動アイコンとなっており、同作中ではかつての同志である鬼人正邪に引導を渡すべく針妙丸も登場しているなど直接的な関わりを持つ。
なお同作には天子も登場しており、正邪と弾幕を交わしている。
それぞれの「食」
三名は三名それぞれの形での「食」の様子も語られている。
例えば天子は天界の食事と地上の食事の対比を語り(『東方文果真報』)、針妙丸は小人サイズで食べ物をほおばる様子が描かれ(『鈴奈庵』)、紫苑はお腹いっぱい食べる夢を見ているとされている(ドレミー・スイート、『憑依華』)。
二次創作では
三名の性格について、傲慢不遜な自信家にして曇りなくまっすぐな憎めない天子、口の悪さもあるもののそれに増して愛嬌に満ちる針妙丸、後ろ向きでネガティブながら明るいノリの良さも備えた紫苑と三人の性格がそれぞれ異なる故の多様な可能性や、あるいは根の部分の素直さをとらえてここに互いの共感を掴むものもあるなど、二次創作でも三人の交流にまつわる想像は多様である。
不運を受け付けない常識はずれな天子と先述のように小槌から大判小判弾幕を発生させる針妙丸、そして富に餓えながらもすべてを不運や借金に変換してしまう紫苑という観点では、最後には誰の力が抜きんでて発揮されるのかといった実験的思考による創作アプローチなどもあり、この視点もまた三人ならではといえるだろう。
また『憑依華』作中では、とある場面では針妙丸が天子を輝針城へと招いており、異変の後は天子と紫苑がともに行動するようになったことから、天子の縁を通して紫苑が輝針城を訪ねるといった想像も広がっている。
特に今日の輝針城には『輝針城』での正邪の出奔以後、先の博麗神社に見る霊夢のように作中で特定のキャラクターが登場していないため、天子、針妙丸、紫苑の三名の水入らずな密な日々をより想像することのできる場所としてとらえられることもある。
ただし紫苑が輝針城にどのような影響を及ぼすかは未知数であるため、例えば紫が指摘したような「輝針城が堕ちる」(対針妙丸勝利セリフ、『憑依華』)といったこともあるいはあるのではといった想像やそんな輝針城崩落の危機を前に大地を操る天子がどのように挑むのかといった三人らしい紆余曲折の様にアプローチするものもある。
時には食にまつわる様子や地上(明るい場所)を三名が楽しむ様子も想像されており、三様な歩みをもつ三名がどのような交流を重ねていくのかについて多様な想像が広がっている。
『不思議の幻想郷』のシリーズの1つであるロータスラビリンスでは紫苑と針妙丸は女苑と正邪も含めて天子チームに所属している。