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概要編集

「ふたりの王女」とは、美内すずえの漫画作品『ガラスの仮面』に登場した劇中劇

単行本22巻からオーディションが始まり、25巻から27巻に渡って演じられた長編舞台劇である。


テレビドラマでは第2シリーズ第八章の作中劇として描かれた。

アニメでは2005年~2006年に深夜アニメとして放送された東京ムービー(トムス・エンタテインメント)版の第37話と第38話でのみ映像化されている。

『ガラスの仮面』が舞台化された際にも舞台中の劇中劇として演じられた。


ストーリーは美内すずえのオリジナルだが、16世紀のエリザベス女王エリザベス1世)とメアリー・ステュアートの関係をモデルにしているらしい。


物語編集

序幕編集

アードルフ一世が支配する北欧の小国ラストニア。

王妃カタジーナは従兄のオーギュスト伯爵の反乱に手を貸した罪で裁判にかけられていた。


王妃は王の愛妾ラグネイドの陰謀であることを訴えたが聞き入れられず、一人娘のオリゲルドに無念を託して処刑された。

遺されたオリゲルドも王との血縁を疑われ、僅か7歳にして監獄での軟禁生活を余儀なくされる。

極寒の監獄で育った第一王女のオリゲルドは、王位継承権を維持するため修道院入りを拒み、復讐の時を待ち続けていた。


第1幕編集

数年後、新たな王妃となったラグネイドにアルディスという名の王女が生まれていた。

何不自由なく育った第二王女のアルディスは、純粋で明るく誰からも愛される天使のような少女だった。

13回目の誕生日を皆に祝われる中、敵国エリンワルドがデンマークと同盟を結んだという報せが届く。

エリンワルドと和平を結ぶためアルディスを嫁がせる計画が立案されるが、アルディスは怖がって泣き出し、国王を始めアルディスを知る者ほぼ全てが計画に反対した。


計画を知ったオリゲルドは、自分が身代わりになってエリンワルドに嫁ぐことを申し出る。

ラストニア王家に恩を売って王族の権威を取り戻したオリゲルドは、エリンワルドに同伴した侍女全員を牢に入れてエリンワルド王の信頼を得る。

全ては母と自身を陥れた故国ラストニアへの復讐のためだった。


半年後、ラストニアは銅山の権利を巡って隣国ハーランドと衝突する。

相手を小国と侮り、内政を疎かにしたことで戦が長引き、王は戦場で傷つき床に伏せ、国は荒れていた。

重税に苦しみ満足に治療も受けられない飢えた国民を目の当たりにしたアルディスは、母国を救うために動き出した。


第2幕編集

アルディスの命を懸けた外交が成功し、ハーランドとの戦は和平の方向に進み始めた。

ラストニアの自滅を狙って暗躍していたオリゲルドは、アルディスの活躍で王家が信頼を取り戻しつつあることを知って憤慨。

オリゲルドはエリンワルドから援軍を送り、勢い付いたラストニアはハーランドとの和平を反故にして戦を再開、圧倒的な戦力差で圧勝し、アルディスを信じたハーランドの王族は全員処刑された。


悲しむアルディスを他所にオリゲルドは救国の王女として祭り上げられ、ラストニア国に帰還する。

ラストニアの王族として返り咲いたオリゲルドは、重病にかかっていた父である国王をその手で毒殺、その罪を大臣になすりつけ、ラグネイド王妃を含む一族郎党を反逆者として処刑。

復讐を遂げたオリゲルドは、ラストニアの女王として君臨した。


オリゲルド暗殺の疑いをかけられ、かつてオリゲルドが軟禁されていた監獄に入れられるアルディス。

濡れ衣を着せられ家族を失い寂しい生活を強いられる中でも、アルディスは希望を失わなかった。

オリゲルドを恨むどころか陰謀の犠牲者として哀れみ、人を愛する心を忘れなかった。


一方、オリゲルドは陰謀の後始末に追われていた。

陰謀に加担した者の口を封じていく内に、宮廷内ではエリンワルド貴族との対立が激化。

不満を持つラストニア貴族の中にはアルディスを新たな女王に立てようとする者達も現れた。

配下からアルディス抹殺を促されるも、第二王位継承者としてのアルディスの存在がエリンワルドの侵略を食い止める切り札と考えたオリゲルドは、アルディスの抹殺に反対した。


不満の声を挙げる貴族たちをなりふり構わず投獄した結果、オリゲルドは誰も愛せず誰からも愛されない女王になっていた。

信頼できる者が一人もいない孤独の苦しみは、極寒の監獄で味わった苦しみと何一つ変わらなかった。


終幕編集

3年後、現状維持を続けていたオリゲルドを形式上の婚約者だったエリンワルド王子が挑発した。

オリゲルドを抹殺して女王となったアルディスと結婚することを仄めかされ、無鉄砲な王子ならやりかねないと判断したオリゲルドは、アルディスを殺害するため監獄に向かう。

自分と同じ厳しい環境に立たされ憎しみに塗れている姿を期待していたが、アルディスの部屋から聞こえてくるのは楽しそうな笑い声であった。


アルディスは以前と変わらぬ天使のような笑顔を見せた。

監獄の貧しい生活が、贅沢な生活に慣れ切った己の傲慢さに気付かせてくれたと語るアルディス。

アルディスの態度にオリゲルドは焦り、なぜ自分を恨まないのか問い詰めた。

その拍子に隠し持っていた短剣を落としてしまう。


この剣を拾ってもいいと言い放つオリゲルド。

自分を殺せばこの場で女王になれるとアルディスを煽り、自身を殺させようとする。

戸惑い悲しむアルディスに対して、オリゲルドは本心を明かした。


誰からも愛されるアルディスを、オリゲルドは昔から憎み続けてきた。

父である国王を殺し、母を処刑したあげく何も知らないアルディスを利用し続けてきた。

その事実を知ってなお相手を憎まずにいられるかと詰め寄るオリゲルド。

しかしアルディスは全く幸せに見えないオリゲルドを哀れみ、自らその命を差し出そうとする。


自身の不幸に気付かされたオリゲルドは泣き崩れ、アルディスは優しく受け止めた。

オリゲルドは別れを告げて、アルディスの脱獄をあえて見逃した。

愛する者たちに支えられながら、暖かい南の国を目指すアルディス。

誰も信じず誰も愛さず、冷たい国の孤独な女王として生き抜く覚悟を決めたオリゲルド。

ふたりの王女は、それぞれの生きる道を見定めて歩んでいった。


関連項目編集

歴史創作 中世ヨーロッパ

カムカムエヴリバディ:作中に登場する『花とおとめ』という架空の雑誌に「ふたりの王女」が載っていることが言及される。作中で連続テレビ小説おしん』の第1話が放送されており『花とゆめ』に「ふたりの王女」が掲載された時期と一致する。

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