げえっ むむむの概要
「むむむ」は、苦悩・沈痛・苦悶・感嘆などの場面で思わずのどを鳴らす唸り声を表すセリフ。
特に横山光輝作品によく見られるセリフで、氏の代表作のひとつ『三国志』(いわゆる横山三国志)は駆け引きと謀略飛び交う歴史ドラマだけに、多くの登場人物が「むむむ」を発しており、ネット上では同作の名物セリフの一つとして扱われることが多い。
カタカナの「ムムム」や、「むむむ……無念」のように別のセリフにつながる場合もあるが、句読点や三点リーダーもつけずに「むむむ」とひらがな3文字だけで発せられる場面が最も多い。
むむむの調査結果でございます
『横山三国志』は希望コミックス全60巻という長大な作品だが、人気作における特徴的なセリフだけに数多くのファン有志によって「むむむ」に関する調査と集計が行われている。
まず、記念すべき作中初の「むむむ」はコミックス1巻の張飛によるもので、
「むむむ 一生に一度はこんな剣を持ってみたいと思っておった」
である。
そして、調査方法によって回数に揺れはあるようだが、最も多くの「むむむ」を発したのは曹操。作品の早期から長きにわたって登場する主要人物のひとりということもあるが、「乱世の奸雄」もそれだけ悩みながら権力の座に上っていったことを示しているだろう。
次いで「むむむ」が多いのは、劉備・孫権・周瑜といった面々。蜀と呉の国王として曹操と覇を競った劉備や孫権の回数が多いのは納得だが、35歳で病没し作中の登場期間も限られている周瑜の「むむむ」の多さは特筆すべきものがある。『三国志演義』の影響もあるが、諸葛亮に翻弄される役回りになってしまっていることが大きいだろう。
その諸葛亮は作品の早期から登場しつつも、むしろ敵将たちに「むむむ」と言わせる側の立場であったために中盤までは全く発言しない。しかし49巻で初めて「むむむ」と唸って以降、死没までに複数回発言している。北伐に苦戦する時期と一致しており、人に歴史ありと感じさせる。
なにがむむむだ!
作中唯一「むむむ」という発言にツッコミが入ったシーン。コミックス35巻、当時張魯に従っていた馬超を味方に引き抜くため、劉備陣営の使者・李恢(りかい)が説得に訪れた場面である。
李恢「名もなき暴戦をし その才能を意義もなく捨てようとする呆れた愚者!
父の馬騰もあの世で泣いているであろう」
馬超「むむむ」
李恢「なにがむむむだ! この戦いでおぬしが玄徳に勝ったら誰が一番喜ぶ
おまえの父の仇 曹操ではないか」
馬超「(沈黙)」
「そうだった おれの敵は曹操…」
この説得により、馬超は劉備に投降。以降、蜀の主要武将の一人として活躍することとなる。