概要
CV:藤原啓治
ニフルハイム帝国に所属する男。
赤い髪と無精ひげが特徴で、身長190㎝の長身。頭には黒い帽子をかぶっている。
頭が良く、飄々とした掴み所のない人物。誕生日は4月30日
『巨神』タイタンを巡る旅の中で一行と出会い、タイタンの場所まで案内する。
それ以降、何かにつけてノクト達の前に現れる。
敵側でありながら作中では何度もノクトを手助けしていた。
ノクト本人は「うさんくさい男」と警戒しつつもアーデンの提案に乗らざるを得ない流れに持ち込まれていく。
正体
その正体はニフルハイム帝国の宰相であり、FF15における全ての元凶にして、黒幕。
帝国内では「政府首脳部」と「研究機関」を統轄する。
本編から34年前にニフルハイムに入国、魔導兵の考案によって地位を確立した。
その名前と存在自体は有名であったようだが、相当な情報統制が敷かれていたのか、顔を知る者は少なかったようで、軍師として教育を受けていたはずのイグニスでさえ、本名を名乗られるまでその正体が分からなかった。
作中の世界であるイオスの成り立ちに関わる知識に詳しく、ゲンティアナと同レベルで神々についての情報を与えてくれる他、「神様の言葉は人間には分からない」「頭が痛くなるかもね」などとノクトくらいしか分からない事を呟くなど、非常に謎が多い。
遺跡の案内役にアラネアを同行させる。ノクト達に敵意を剥き出しにするレイヴスを諫める。等、ノクト達を助ける一方で、ノクトの目の前で婚約者であるルーナを殺害し、仲間の一人であるプロンプトを帝国に拉致する。等、ノクト達を助けながらも危機に陥らせると言った、トリックスターとして活躍する。
更なる正体と真の目的
実は、アーデン・イズニアという名前は、過去に居た人物の姓を何らかの形で名乗っているだけの仮の名であり、その真の名は、アーデン・ルシス・チェラム。
即ち、ノクティス・ルシス・チェラムと同じくルシス王家の人間。
約2000年程前の人物で、ノクティスやレギスらルシス王家の血筋、その先祖(厳密に言えば少し違うが)に当たる。
本人曰く、アーデン・イズニアは本名であり、アーデン・ルシス・チェラムは正式名。
どうも、二つの名前を使い分けている様である。
かつての彼は、シガイとなってしまった生物と人間を治療できる唯一の人間であった。
人間や生物をシガイに変異させてしまう寄生虫を取り込む事のできる特異体質で合ったことから、それを利用して、彼は感染者の寄生虫を自らの体に取り込むという方法で治療を行っており、民から寄生虫を取り除き続けた結果、自身のシガイ化が進み、不老不死の身となってしまう。
つまり、元々のアーデンは、我が身を犠牲にして人々を癒し、救い出していた慈愛の人であったのだ。
だが、シガイという星を脅かす力によって不浄の存在となった為にクリスタルに拒絶されてしまい、ルシス王家からは「化け物」として迫害・追放され、最期は実の弟によって一度殺され、歴史からもその存在は抹消されたという。
その時の弟こそ、ルシス王国初代国王ソムヌス・ルシス・チェラム。
後に、この弟は夜叉王という名前で知られる王で、インソムニアの決戦ではアーデンにより復活させられ、強制的にノクト達と戦うことになる。
ただ、弟本人はノクト達に倒された際に、「兄を、アーデンを解放してやってくれ」と発言していたことから、この時の行動を深く後悔していたことが窺える。
また、アーデンは賢王の剣をもっぱら使っているが、戦闘時などでは夜叉王の刀剣をよく使っており、複雑なものが見て取れる。
その後、シガイの元凶である寄生虫と一体化して復活。ニフルハイム帝国の宰相という地位を利用して世界を闇に多い、イオスを滅ぼすべく暗躍するようになる。
ストーリー終盤では、『剣神』バハムート曰く、シガイの元凶たる虫を取り込み、星に害なす力で不老不死になった者であり、「その穢れた身を聖石に拒まれ、王位に就くことなく葬られた哀れな男」と言われており、ルシス王国の創成期に何があったのかは詳しくは語られていないが、少なくともアーデン自身は善意と正義から人々を救うためにシガイを自身の身体に取り込み、それに対して周囲の人間が恩を仇で返す形で敵対したことが事実であったことが明かされている。
その不老不死の肉体は本人曰く、「死にたくても死ねない」。
事実、一度はゲンティアナの正体である『氷神』シヴァによって氷漬けにされたのちに、粉々にされたが、すぐに何事も無かったかのように蘇り、背後からグラディオに斬られ、プロンプトに銃撃されても、平然と立ち上がるなど、その姿はまさしく不死身の人間そのものである。
その真の目的は、ルシス王国への復讐。
それもただの復讐では無く、真の王として覚醒したノクトをクリスタルごと消し去るという、ルシス王家を完全消滅させる事であり、同時にそれは、結果的に『星の病』に侵されたイオスを滅ぼすことであった。
殺したいほど憎いはずのノクトを生かしていたのは、この為。
ノクトが『真の王』として覚醒するためには、幾つもの試練を乗り越えて成長していかなければならない為、皮肉なことに「復讐の為にノクト達の使命を助ける」という、矛盾した行動をとっていた。
ノクトが帝国に確保されたクリスタルの元に辿り着いたことで、その正体と真の目的を語り、ノクトを『真の王』にするべくクリスタルに取り込ませる。
その後、ノクトが不在の十年の間に世界を闇に覆い、人類はおろか、世界そのものを滅亡の縁に追いやっていた。
末路
クリスタルの力を手に入れ、『真の王』として覚醒したノクト達を、シガイとして蘇った『炎神』イフリートと結託し、ルシス王国の王城で待ち受ける。
その際に、ノクトの父・レギスを真似て魔力障壁を張る。歴代の王をシガイとして復活させてノクト達と戦わせる。玉座の間にルーナやレギスなどの死体を吊るすと言った嫌がらせを行い、ノクトとの戦いに────『王の戦い』に臨む。
元々王族であったからなのか、それとも単純に模倣品を集めたのか、赤いファントムソードを武器に魔法やシフトを使って『選ばれし王』ノクトと『弾かれた王』として、激しい舌戦と死闘を繰り広げる。
王城門前の通りでの白兵戦から、インソムニア上空でのファントムソードを用いた空中戦、そして歴代王の英霊が見守る王城前広場で、傷ついた身体での最終決戦。
────どちらが先に倒れるか。
互いに死力を尽くし剣を振るう中、ノクトが叫ぶ。
「闇とお前を切り離してやるよ」
「そっち側には、誰もいないだろ」
「闇はお前の味方じゃない!」
「そこにいる限り、お前は一人だ!」
「早く帰って来いよ……!」
「────優しき王様だったんだろ……!」
その言葉を前に、アーデンは遂に本音を叫ぶ。
「俺を諭したつもりか」
「慕われる王を気取っているのか……!」
「父親が死んだ時────バカ騒ぎして遊び呆けていたガキが」
「恋人が死んだ時────疲れ切って横で伸びてたマヌケが」
「随分生意気な口を利くねぇ……!」
「10年程度で俺を超えたと思うなよ」
「俺がどれだけ────闇の中を生きてきたと思ってる!」
賢王の剣、修羅王の刃、聖王の杖、獅子王の双剣、飛王の弓、夜叉王の刀剣、覇王の大剣、神凪の逆鉾、伏龍王の投剣、闘王の刀、鬼王の枉駕、慈王の盾────全てにおいて上回られ、アーデンは無念、絶望、復讐、羨望、そして孤独……様々な感情を剥き出しにしつつ、最後は父王の剣を突き立てられる。
その際に「へぇ……最後、それ選んだんだ……」と溢しているが、何か思うものがあったのだろうか。
そうして地面に倒れ伏したアーデンは、『真の王』となったノクトに対して、疲れ果てたように呟いた。
「終わったね、王様。シガイを排除して平和な世界を作るのかい?また俺を、歴史から消し去って」
そんなアーデンの傍にしゃがみ込んだノクトは、静かに答えを返す。
「でも今度は眠れるだろ?もう目は覚まさねーよ」
その言葉に、アーデンは穏やかな笑みを浮かべると、そのまま跡形もなく消滅していった。
かつての時代、王家の人間として、或いは慈愛の人として我が身を犠牲に人を助けていた、消された王は、助けたはずの人々に迫害され、親族からすら裏切られる非業の末路の末に、死にたくても死ねない苦しみと星を滅ぼすほどの憎しみに身を焦がし、復讐の為に全てを捧げて消えて行ったのだった。
キャラクターの総評
ボスキャラとしては、実はそこまで強くはない。しかし、そのキャラクター性からか、FFシリーズでも屈指のカリスマ悪役とも言われる。
実際、作中では過去にルシス王家の人間としてシガイとなりながらも人を助け、現在においては帝国出身でないにもかかわらず身一つで帝国宰相という重役に就いたことから、優れた指導力と先見の明を持つ切れ者であった様である。
ストーリー上においては、謎多きトリックスターとして活躍している中で、心中はともかくとしてレイヴスやアラネアと言った腹に一物あるようなタイプの人間ですら手綱を握っていたことから、帝国内に置いての信頼度は高かったようだ。
一方で、星を滅ぼすほどの悪行を働きながらも、その目的は個人的な復讐に終始しており、その目的の為には手段を選ばず、ニフルハイム帝国の宰相という地位に就きながらも、平然とその国を滅ぼし国民を見捨てるなど、過去には身を捨てた献身の人であった面影はどこにもない。
復讐という、分りやすく人間的な目的は共感する者は多いだろうが、その反面、完全に私情と私怨だけで、世界を滅ぼす様はある意味で最も身勝手で我儘な人間のそれにも見える。
また、ルシス王家に対する恨みが執着が相当なものである反面、飄々とした態度は一貫して変わることはなく、ノクトとの戦闘中ですら軽口をたたくなど、この辺りは、ルシス王家を憎みつつもノクト達を助け続けた、アーデンという人間の複雑性が垣間見えるような描写である。
また、シリーズの中では珍しいことに、ノクトとの最終決戦を通してまで人型を崩すことなく最後まで主人公に立ちふさがったラスボスであり、戦闘には関係ないストーリーの最終盤である星の病の元凶を倒す時ですら、その姿はアーデンのままであった。
表面的には復讐こそが目的ではあったものの、『真の王』であるノクトの使命を知り、その覚醒を助けるために暗躍し、自身の不老不死の肉体を差して、「死にたくても、死ねない」とこぼす。
更には、死の間際においては安らかな死に顔をしたことからも、彼の本当の目的は復讐では無く、不老不死の苦しみを終わらせてくれることでは無かったのかと考察する者も多い。
その過去から分かる通りに哀しき悪役であり、経緯はどうあれ、過去には寄生虫を吸収することで人々を救い、現在においては『真の王』を覚醒させて人々を救った、一種のダークヒーローとも言える。
余談
担当声優の藤原啓治氏は過去にFF7AC・CCFF7のレノ、FF零式のイザナ・クナギリ、WOFFのイフリート、メビウスFFのガーランドを演じていた。KHのアクセルを演じ、スクエニ作品では赤毛の人物と縁がある。