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インダストリア

いんだすとりあ

宮崎駿監督によるアニメ「未来少年コナン」に登場する都市、及びその都市を本拠とした勢力の呼称。もしくはそれを由来とした2019年生まれの競走馬名。ここでは前者について解説する。
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概要編集

未来少年コナン」は、西暦2008年の最終戦争により崩壊した世界の20年後を描いた作品であり、陸地の大部分が水没している世界観である。

インダストリアはその中で僅かに残った比較的広大な陸地(といっても大部分が砂漠)の海岸部に位置する都市であり、最終戦争から辛くも生き延びた人類が、戦争前からの最新鋭の科学施設の中で唯一まともな形で残存した「三角塔」の最深部にあたるコアブロックに避難し、結果的にこの三角塔を中心に都市が形成されたことで成立した。


…とはいっても、人がまともに住めるような居住区は最早三角塔内部にしか殆ど残っておらず、一見すると三角塔周辺に市街地らしきものは形成されているが、その殆どが廃墟と化している。

加えて、後述する四等市民らは三角塔の中でも下層の地下区域へと押し込められており、そのため地下はスラムじみた様相を呈している。

ただし、三角塔に隣接する港湾部はバラクーダ号をはじめとする船艇が離着岸するためか整備されており、罪人を収容しておく牢屋など、現役で使われている建物もいくつか存在している。


また、三角塔から離れた(どのぐらいの距離があるかは不明)場所の海沿いにも「サルベージ船」と呼ばれるインダストリアの海中作業用の施設があり、サルベージ船本体のほか、作業員の宿舎とおぼしき小屋がいくつか点在している。


食料事情については、バラクーダ号がプラスチップ島から集めてきたプラスチップ(プラスチックごみ)を石油に再生し、その再生石油を工場で加工する事によって合成食料を生産している。なお味は非常に不味いらしい。また衣服等の生活物資も再生石油を合成する事で生産している。いちおう大破壊以前に蓄えられていた保存食などの人工ではない食料もあるが、それらを口にできるのは上級市民のみであり、下級市民は不味い合成食料で我満せねばならず、さらに原子炉の老朽化に伴うエネルギー不足で工場の生産力が年々減少しており、下級市民たちの生活物資が滞りがちとなっている。


ちなみに、作中時間での人口ラオ博士いわく「千人にも満たない」程度らしい。



ここを拠点とする「勢力としての『インダストリア』」は、最終戦争の生き残りであるモウら10人の老科学者たちによる最高委員会をトップとして運営されており、その下に「行政局」や「貿易局」などの部署が存在している。


特にレプカが局長を務める行政局は強力な警察権や裁判権を有しており、三角塔内のロストテクノロジーを制御できる数少ない人材である科学者たちは、有能な彼を重用しつつもその醜悪な野心を警戒してもおり、エネルギー配分などを盾にすることで彼やモンスリーら行政局のタカ派を牽制していた。

しかし中盤で遂にしびれを切らしたレプカは、大義名分も何もない武力示威による独裁政治を開始。ダイスやモンスリーもそんな彼についていけなくなり、改心・離反する事になる。


インダストリアは一等市民から四等市民まで存在する階級社会で構成されており、特に最下層の四等市民は奴隷同然の扱いで、劣悪な環境の三角塔の地下に住んで貧困にあえぐ生活をしており、レプカの圧政に反発した市民の中には囚人として十字の焼き印を押された者も少なくない。


そのため、彼らが住まう地下区画はレプカと行政局に対する憎悪が蓄積しており、それ故か余所者であるコナンやお尋ね者のラオ博士といった、レプカに敵対する者に対しては同情的かつ協力的な人たちが多い。

物語終盤にはレプカの暴虐により積もり積もった不平不満が爆発したことで、下級市民たちがついに決起。三角塔を中心に大規模な暴動が発生することとなった。



インダストリアのエネルギーは原子炉により稼働しているが、その寿命はもってあと数年であり、負荷が大きくエネルギーの消耗も激しい三角塔の大型設備や兵器類はむやみに使うことができない。

そのため、レプカは解決策として太陽エネルギーの復活を目指しているが、実際はインダストリアの地下に隠されている破壊兵器ギガントを復活させ、これを自身の世界征服のために利用するという野望があり、太陽エネルギー復活の方法を知るラオ博士を捕えてこれを得ようと目論んでいた。


そのラオ博士は、近い将来インダストリアが地殻変動により海に沈む事を予見しており、インダストリア内の市民を脱出させる方法を考えていた。

彼は当初「パッチ」の偽名で前述のサルベージ船で働いていたが、これも大勢の市民達を脱出させられるだけの移動手段として、沈没した大型客船を引き揚げて再利用するためであった。


物語終盤、コナンたちの活躍や地下住民らの決起によりレプカの独裁体制は崩壊。

密かに脱出したレプカは半ば強引に従えた少数の部下(抗弁した者は見せしめに他の部下の前で射殺されている。但し、幾らレプカが強権的で手段を択ばぬ人物とはいえ、レプカ本人はギガント等の事情に他者より明るいだけで個人としての戦闘力等はまるで大したことがない中年男でしかなく、その気になれば反乱や脱走する機会は幾らでもあったことから、レプカの世界征服に相乗りすることで利を得ようという打算があった部下が大半だろう)と共にギガントを復活させるも、乗り込んできたコナンらによって内部を散々に破壊されて墜落、あえなく海の藻屑となった。


その一方で、インダストリアの市民達はインダストリアが海に沈む直前に脱出に成功。

最高委員会の老科学者達は、けじめと贖罪のため自分たちも海に沈むインダストリアと運命を共にする選択をして旅立つ市民達を見送るのであった。船の出航から間もなく、インダストリアと周辺の大地は大地震と大噴火を起こしながら、海に沈んでいった。


余談編集

アレクサンダー・ケイによる原作「残された人ひと」においてはかつての超大国の片割れである「平和同盟」の残党によって築き上げられ、「新社会」と称している勢力の首都に当たる工業都市という設定で、労働長官や貿易長官等の複数の長官により運営されており、アニメと比べると一艦隊と呼ばれるぐらいには船舶を多数所有している。

アニメと共通する点として一等市民から四等市民までの厳しい階級制が敷かれて最下級の市民は十字の焼き印を押されている等があるが、三角塔は登場しない。

モデルはどう考えても当時の東側陣営と思われるが、宮崎駿が東側を露骨に悪役にするはずもなくアニメ版ではなかったことにされている。



関連タグ編集

未来少年コナン

宮崎駿

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