概要
ビゼンクラゲの仲間で、傘が2m、重さが200kgにも及ぶ世界最大級のクラゲの仲間。
1922年、東京帝国大学の水産生物研究者、岸上鎌吉博士が福井県高浜町で採集された標本を新種として命名した。58年、95年にも大量発生したが、2002年からはほぼ毎年大量発生し、漁業に深刻な被害を与えている。
受精卵からかえった幼生が冬に岩場につき、2ミリほどのポリプになる。翌年初夏、水温上昇でポリプからクラゲが発生、対馬海流に乗って日本海に運ばれる。秋に一部のクラゲが津軽海峡を通過して太平洋側へ抜け、房総半島に達し、冬に日本近海で死滅する。
人が刺されると、激しい痛みの後赤みや腫れ、痒みなどの症状を引き起こす。毒は比較的弱いとされているものの、エチゼンクラゲの毒液は複雑な成分の混合物であるため、何が原因で被害を及ぼすのかは未だ研究中である。
中国では「沙海蜇皮」の名前で食用クラゲの一種として食べられている。
日本では、ビゼンクラゲなどと比べると食感が固く、コストパフォーマンスも特別優れているわけでないためあまり食べられていない。近年では、大量発生により漁場の被害を受けた地域を中心に加工食品としての開発が進められ、いくつかの企業から餅やアイスクリーム、ゼリーなどの商品が販売されている。
なお、「エチゼン(越前)」の名前は、前述の通り福井県で新種が登録されたことに由来するが、福井県が報道各社に「大型クラゲ」への呼び替えを要求しており、放送禁止用語として扱われることもある。