概要
1997年2月26日生まれ、オストラヴァ出身。
身長175㎝。
チェコ・エクストラリーガ(1993年に設立されたチェコの野球リーグ)のアローズ・オストラヴァに所属。
普段は、チェコ国内の国営の電力会社で電子技師(正確には契約や手続きなどのオフィス勤務)として働いている(そのため、便宜上親記事を「プロ野球選手」としているが、厳密にはセミプロ、日本で言えば社会人野球のアマチュア選手に近い立ち位置である)。
2015年に開催されたWBSCU-18ワールドカップで一度大阪を訪れたことがある(日本戦は未登板)。
チームの投手では唯一の170センチ台と小柄で、対戦した吉田正尚曰く「すごくきれいでしなやかなフォーム」のオーバースローで最速127km/hの低速ストレート、ツーシーム、カーブ、チェンジアップを武器にした投球をする。
こう聞くとまるで日本のアマチュアレベルの投手に感じるかもしれないが、優れたコントロールと落差の大きいチェンジアップに多くの打者が惑わされており、奪三振数も多い。サトリアは決め球のチェンジアップを「dělník(デルニク:"仕事人"の意)」と呼んでおり、この球速に慣れない日本人選手だけでなく、チェコの国内リーグや欧州のナショナルチームもサトリアの投球にかなり苦戦している様子。
チェコ代表に2022年のWBC予選、2023年の本戦でそれぞれ選出。
2023年の本戦で、1ラウンドB組の日本代表戦では、ストレートとチェンジアップを巧みに操り、1番ラーズ・ヌートバーを空振り三振、2番近藤健介を見逃し三振、3番大谷翔平をボテボテの一ゴロで凡退、2回には4番村上宗隆、3回で大谷を三振に仕留めるなど、3回までに4奪三振(3失点)を奪った。
日本ではあまり見る機会のない投球戦術で世界最高峰の侍打線を打ち取っていく姿は日本人に衝撃を与え、かつて似たような投球スタイルで活躍した星野伸之投手を彷彿させるとして彼の名前までトレンド入りしたほどだった。
更には配球データがリアル野球BANの対チーム石橋用のものと似ていた事や、安打を打った選手が山田哲人等この企画の経験者だったことからこちらもトレンド入りした。
最終的に投球制限で交代し、その後登板したリリーフが打ち込まれて2-10で敗れるものの、その個性は予選リーグ内でもひと際目立ったため、その後日本人がチェコ野球並びにチェコ共和国に興味を持つという大きな成果を残している。なお、大谷から三振を奪ったボールは持ち帰って大切に保管しているとのこと。
漫画だと最速130km/h足らずのストレートとコントロールだけで勝負する投手がいたが・・・
大谷翔平は漫画のような選手とよく言われるが、サトリアも別の方向で漫画のような選手と言えるのかもしれない。
チェコ代表のハディム監督によれば、サトリアの活躍はチェコ野球全体に大きな活気を与えており、国内リーグ(エクストラ・リーガ)が始まると打者たちは打倒サトリアに燃えており、子供達からも憧れの選手の一人となっているらしい。
チェコ国内に在籍する代表選手とリーグ内選抜オールスターの試合では先発出場し、リーグのオールスターに選ばれた日本人の坂下空投手と対戦した。
9月から始まった欧州選手権では予選ラウンドのギリシャ戦、決勝ラウンド敗退後のフランス戦に登板し、両試合合計1失点と勝利に貢献した。
大会直前には長男が誕生している。
WBC以降は日本での経験に感動したのか、ツイッターのアカウント名にカタカナ表記を加えたり、日本の国際交流イベントやインタビューにも複数回招待されている。
機会があれば日本の野球リーグ挑戦もしてみたいと語る。
WBCで対戦した宮城大弥とはユニフォームを交換しており(※)、2023年の日本シリーズで彼の登板が予告されるとSNSでエールを送っている。二人とも身長170cm代と野球選手としては小柄で、速球と緩急をつけた投球を武器とする共通点がある。
※野球はサッカーに見られるような試合後のユニフォーム交換の文化がなく、このような選手間のやり取りは非常にレアなケースである。後の証言でこの時の侍ジャパン各選手に支給されているユニフォームは2着分しかない事も判明しており、試合中にベース間でやり取りした大谷翔平とチェコ代表のフィリップ・スモラのユニフォーム交換は大谷が許可を出したものの侍ジャパン側のスタッフの説得で認められなかった。