「反乱軍の誕生を目撃せよ」(予告編より)
<スター・ウォーズ最高傑作>と評される『ローグ・ワン』で、冷静沈着な情報将校として命懸けのミッションに挑んだキャシアン・アンドー。彼はいかにして反乱軍の英雄になったのか? 『エピソード4』の5年前、帝国軍の恐怖に支配された時代を舞台に、伝説の原点へと続く反乱軍誕生の物語が幕を開ける!(公式作品紹介)
概要
映画「STARWARS」のスピンオフ作品である映画「ローグ・ワン」の登場人物キャシアン・アンドーを主役に据えたスピンオフドラマ。
2022年9月、season1(全12話)がDisney+にて配信開始。
2023年4月現在、season2が制作中であり、2024年8月の公開を目指しているほか「ローグ・ワン」におけるK-2SO役の俳優が登場を仄めかしている。
また、「オビ=ワン・ケノービ」のユアン・マクレーガー同様、主演のディエゴ・ルナがトニー・ギルロイ(「ローグ・ワン」脚本担当)とともにエグゼクティブプロデューサーに就任している。ちなみにルナは「ローグ・ワン」以前にも複数の作品に俳優のみならず監督としても関わっており、監督としても一流の人物である。
あらすじ
ヤヴィンの戦いの5年前。交易惑星フェリクスで暮らす青年、キャシアン・アンドーは自らの出生の、そして生き別れとなった妹に関する情報を得るため工業惑星モーラーナ・ワンの怪しげなバーに赴くが、そこで現地の不良警官とトラブルになり、意図せず警官を殺してしまう。
当局から指名手配犯とされたキャシアンは潜伏資金捻出のためそれまで取っておいた帝国軍からの盗品を売り払おうとするが、買取に来た男から目的は盗品ではなくキャシアン自身であることを告げられ...。
登場人物
キャシアン・アンドー
交易惑星フェリクスに暮らす青年。21歳。のちに「ローグ・ワン」を率い、反乱軍の英雄となる男。
本作では彼の出生の秘密が明らかになる。
この時点で反乱活動に従事し帝国軍施設への潜入に成功し機密装置を盗み出していたり、帝国軍施設を破壊したり帝国軍兵士に暴行したりして刑務所で服役経験がある。
マーヴァ・アンドー
キャシアンの養母。元は戦場の墜落船から金目のものを失敬するスカベンジャーで、クローン戦争中にキャシアンと出会い自らの手で育てた。そのためキャシアンの出生の秘密も知っている。ちなみにクレムという夫がいたが、劇中の時代には亡くなっている。
無謀な行動を起こし傷だらけで帰ってくるキャシアンを案じているが、アルダーニ要塞襲撃の一報を聞いて自らもまた帝国に反抗することを決意する。
B2EMO
マーヴァに長く付き添っているサルベージ・アシスタント・ドロイド。通称「ビィ」。すでに15年以上稼働しているため至る所がボロボロかつ若干ポンコツだが、キャシアンの協力者として彼を案じる。
ちなみに冒頭のSTARWARSシリーズロゴのカットではC-3POやカイロ・レン、マンドーなどに混じって、ビィが本作の「顔」を務めている。
ビックス・カリーン
中古メカの卸売り商店を経営する女性。キャシアンの元カノだが、今はティムという彼氏がいる。キャシアンの協力者で彼が費用を捻出する際の「買い手の男」への連絡係を務めている。劇中では「ビックス」呼び。
ティム・カルロ
ビックスの彼氏で商店を共同で経営している。連絡員としてキャシアンと接するビックスの様子に「ヨリを戻そうとしているのではないか?」と不信感を募らせ、大変な騒動を引き起こしてしまう。劇中では「ティム」呼び。
シリル・カーン
(右の男性)
モーラーナ・ワンを含む宙域の治安を守るコーポレート保安本部に所属する士官。生真面目かつ職務に忠実な熱血漢だが、事なかれ主義の部長の下で鬱屈した日々を送っている。配下の警官が2名殺されたことで実行犯としてキャシアンに目をつけ彼を追いかける。
なお、職務に忠実すぎるゆえに部下からは煙たがれている。また、熱意はあるも経験がないため、いざ陣頭指揮を執ってもアラが目立ちがち。
コルサントの集合住宅に母親がおり、キャシアン捕縛失敗という自身の失態による保安部門の解散と帝国への接収を機に母親の下に戻る。なお、母親はシリルが警備士官になることに反対していた模様。
その後親類のツテでコルサントの統計局のしたっぱ職員として雇われ事務仕事を充てがわれるが、未だにキャシアン逮捕に執念を燃やしている。
自分と同じくキャシアンのことを危険視するデドラに共感し、独自に行動を開始する。
デドラ・ミーロ
(左の女性)
帝国保安局(ISB)本部に務める若き女性捜査官。二つのセクターの犯罪捜査を担当しており、うち一つはキャシアンが装置を盗み出した現場である。そのことからフェリクスでの一件に関心を持つが、若く経験不足であることから組織内では軽んじられている。しかし、自分の仮説を立証するため各宙域での帝国軍の備品盗難の全容を突き止めるべく独自に捜査を開始する。ヒアートという男性補佐官がおり、彼もまた優秀で、彼女を励ましながら手がかりを分析している。
男所帯のISB上層部にあって女性かつ新人ゆえに周囲の捜査官から軽んじられがちだが、会議の議長であるパータガス少佐からはその才能を評価されつつ、野心的すぎるところを心配されている。のちにフェリクスの一件およびキャシアン追跡(とその裏にある「アクシス」追跡)を任され現地に降り立つ。
リーナス・モスク
企業保安部門の実働部隊隊長。カーン同様職務に忠実な熱血漢であり、彼と同調しキャシアンを追いかける。暑苦しい性格だが、有事にはカーンに撤退を進言するなど状況判断は的確...なのだが如何せん肥満体であり、視聴者からは「帝国の前線部隊の指揮官がデブかよ」と言われたい放題言われている(かといって別に作戦行動に支障は出ていないのだが)。
保安本部が帝国に接収された後の消息は不明だったが、のちにモーラーナの工場に左遷されていたことが判明。左遷されつつも元仲間たちと密に連絡をとり、キャシアンのことを追っている。
ルーセン・ライエル
キャシアンの盗品を買取にくる謎の男。キャシアンが帝国の機密装置を盗み出したことを聞き、彼の才能を見抜く。杖をつき質素な佇まいながら風格のある格好をしているが、戦闘能力も十分にあり廃墟と化した工場でキャシアンと対面した際には事前に爆弾を仕掛けておき、「自分の扱えないものは身につけるな」「退路は事前に確保しておけ」という訓戒を彼に与える。
また、フェリクスで殺されたキャシアンの父についても知っているなど底知れない人物。
普段は帝国の首都惑星コルサントで骨董品屋の店主として活動、その伝手でモン・モスマとも密に連絡をとっている。その正体は帝国保安局から「アクシス」のコードネームで警戒されている反乱分子であり、帝国の追跡を巧みにかわしながら暗躍する。
また、帝国保安局内や反乱組織の中でも過激派筆頭であるソウ・ゲレラにも情報網を持つなど反乱組織の中でも特に優秀な指導者である一方、帝国保安局に手の内を晒さないためなら30人以上の同志の犠牲も厭わないなど冷徹かつ現実的な思考も持つ。
モン・モスマ
ご存じ反乱同盟の重鎮で、のちの新共和国初代議長。だが、作中の時期にはまだ反乱同盟は設立されておらず、モスマも帝国元老院議員の身分を隠れ蓑に水面下で反乱活動を支援しているに留まっている。その役割は主に資金援助だが、すでに帝国当局に目をつけられており身辺にスパイを送り込まれるなどかなり追い込まれている。
また本作にて夫と娘の存在が明らかになったのだが、正直家族仲は良好とはいえない。
テイ・コルマ
モスマの幼馴染で惑星シャンドリラでも有数の銀行家。モスマの夫曰く「元カレ」(モスマ自身は「小学校が一緒だっただけ」と否定しているが、娘にすら「元カレ」扱いされている)。資産の移動に対する帝国の監査が厳格化していくなか、モスマの資産のうち帳簿に合わない40万クレジットの工面に尽力する。
幼馴染の縁で実の夫以上にモスマから信頼されており、明言はされていないながらも彼女が反乱活動に関わっていることを暗に示されている。
アルダーニの反乱チーム
(左からシンタ、ヴェル(リーダー)、クレム(キャシアンの偽名)、ネミック、スキーン、バルコナ、ゴーン中尉)
ルーセンの手引きでキャシアンが協力することになった帝国に反抗するチーム。惑星アルダーニの遊牧民族に偽装しつつ、同惑星にある帝国軍基地から帝国の一宙域(複数の星系を含む行政区分)の四半期分の給与を盗み出すことを計画している。それぞれが帝国と何らかの因縁があるほか、アルダーニ基地の士官が内通している。3年に一度起こる壮大な流星群「アルダーニの"目"」により生じる通信障害に乗じて行動を起こす。
ちなみにチームを率いる女性ヴェルはモスマの従姉妹である。
アント・クリーガー
反乱者の一派を率いる指導者。元分離主義者。30人の同志と共に帝国への奇襲作戦などを行なっている。作中ではスペルハウスという場所にある帝国の発電所の奇襲を計画しているが、連絡員のパイロットが偶然帝国の監査に引っかかってしまい計画が露呈。パイロットが尋問のうえ殺害されたのも知らず、窮地に立たされることになる。
なお、ソウ・ゲレラはクリーガーが元分離主義者であることを理由に手を組むことを拒んでいる。
メルシ
アルダーニ襲撃後、身分を偽り逃亡していたキャシアンがひょんなことで収監されてしまった監獄で出会った囚人。キャシアンと同じ労働チームに所属している。
「ここから出られるわけがない」「(他の階の連中が全員殺されたと聞いて)釈放された」など心が完全に折れてしまっているのか囚人たちの中でも特にネガティブな発言が多く、監督役のキノ・ロイから鉄拳制裁を受けることも多い。
名前から察するに、「ローグ・ワン」作中でキャシアンと共にジンの作戦に志願、地上戦の指揮をとったルースコット・メルシ軍曹その人である。映画では明確には描かれなかったが、設定では「ローグ・ワン」の時代にはキャシアンと親友同士とのことだが...?
余談
時代背景
本作はアニメ「反乱者たち」とほぼ同時期を舞台としており、「反乱者たち」ではヤヴィンの戦いの2年前に「反乱宣言」を発表し反乱同盟が正式に発足するという歴史的なターニングポイントが描かれている。
そのため、本作の予告編の宣伝文句も併せて考えると、「反乱宣言」公表前の初期反乱運動がメインになるのではないかと予想するファンも多い。
また、モスマが度々「ゴーマン」のことを話題に出しているが、惑星ゴーマンは「ゴーマンの虐殺」という凄惨な事件が起きた場所であり、この事件はモスマが皇帝を面と向かって非難し当局から追われる身となったきっかけとなった事件でもある。「ゴーマンの虐殺」の設定自体は「反乱者たち」でも言及されたが、本作で詳しい内容が描かれる可能性が高い。
キャラクター造形
全体的にヴィラン側にも焦点が当たっていることが特徴。特に、キャシアンの最初の敵となったシリル・カーンについては家族との関係や左遷された後のエピソードも語られている。また、キャシアンの盗品に関して注目しているデドラは組織の中で軽んじられていることに鬱屈を感じながらもいつか見返すことを誓い腹心のヒアートに励まされつつサプリメントをがぶ飲みしながら業務に励むなど、見る人によっては同情してしまうような造形がなされている。それ以外にも、侵入する敵基地の司令官の家族が登場したり、司令官の家族を人質に取った際に同行していた帝国軍士官が「子供を離せ」と真っ先に司令官の息子(まだ12歳)を気にかけるなど、帝国軍もまた人の子であるという描写が目立つ。
小ネタ
歴代スターウォーズ作品お馴染みの小ネタも充実しているが、中にはレジェンズ世界の設定の根幹に関わるものも存在する。
- ルーセンがキャシアンに前金としてスカイ・カイバー(時価3万クレジット=作中世界ではかなりの大金で、中古宇宙船くらいならその場で買えるクラス)を渡す際、「ラカタンの侵略者に対する反乱を記念する品」と説明していたが、ラカタン(ラカタン無限帝国 / ラカタ)とはレジェンズの世界線において、共和国が誕生するずっと以前に初の銀河間政府を作り上げた種族である。彼らはフォースの力を用いて強大な力を得た種族で、スターウォーズ銀河の成立に係る重要種族であるが、カノン作品群で言及されたのは今回が初で、おそらく今後はカノンの世界線にも導入されると思われる。
- スピンオフ作品で登場することの多い帝国保安局(ISB)だが、コルサントにあるISB本部がはじめて映像作品で登場した。
- 帝国保安局の会合で、スカリフへの貨物輸送が活発化していると言及されているが、それはこいつのせいである。(建造場所はスカリフ軌道上)
- キャシアンが収容された強制労働施設のグループの監督役キノ・ロイを演じるアンディ・サーキスはシークエル・トリロジーにおける最高指導者スノークの演者その人である。
- ちなみにこの方、2014年ハリウッド版ゴジラのモーションキャプチャーを担当したり、「猿の惑星:創世記」で猿側の主人公シーザーのモーションキャプチャーを担当するなど、その界隈で有名なスゴいお方である。ちなみに2005年版キングコングのモーションキャプチャーも担当していた。
- ルーセンの店にあるマンダロリアンのアーマーがどうみてもこの人の兜。