ギャリソンキャップとは帽子の一種で、一般的に芯の入っていない布製の帽子で有ることが多い。
形態から舟形帽やサイドキャップとも呼ばれる。
ギャリソン(Garrison:駐屯地の) キャップ(cap:帽子)に由来する。
概要
一般的に、長方形または頭頂部側が円弧を描く方形の布地2枚の布を縫い合わせて、その間に頭頂部を覆う袋状の構造物が縫い付けられる。
着用状態で前から見ると舟形、或いは二等辺三角形ないし紡錘型を描くように見える。
簡単な構造で生産性が高く、また外見もスマートなので、世界各国の軍や治安機関、交通機関などで使用される。
軍隊においては通常勤務時の略帽として用いられることが多い。
構造上防御力は作業帽に劣るので前線では作業帽を用いることが多いものの、携帯性の良さから戦場でも愛用者がいたり、物資欠乏で作業帽が支給されずにやむなく着用していた者もいた。
イギリス
19世紀末に英国陸軍に「トリン・キャップ」と呼ばれる帽子が導入された。これが現在のギャリソンキャップの始まりとされている。
アメリカ
アメリカの影響を受けた国ではアメリカ式のギャリソンキャップが使用されている。
ドイツ
第二次世界大戦時には、ドイツ国防軍や武装親衛隊などで使用された。
ソビエト連邦
この種の帽子はソビエト連邦においてはピロートカと呼ばれて広く着用された。
ソビエト連邦崩壊後は、ロシア連邦軍においては従前ほど盛んに着用される様子は無いものの、式典での制服着用時や、士官学校生徒、民警等では未だに多くの着用者がいる様子である。
日本
大日本帝国陸軍において、略帽として採用が検討された事があったが、最終的に舟形帽は採用されず、舟形帽を簡略化して庇を付けた戦闘帽が採用された。
また、戦後は航空自衛隊が略帽として採用している。色合いは制服と同じものである。
軍用以外では、昭和期の婦人警察官や国鉄の女子職員の制服として、またバスガイドや客室乗務員といったサービス業務に従事する人員や飲食店の従業員の制服に使用されている。