概要
・・・ではあるが、架線試験車だけではなく高速試験車両としての側面も持ち合わせている。
製作の目的は、もちろん当時計画中の東海道新幹線に向けてのデータ集めである。
概要
元々40系のモハ40を、戦時改造で51系に編入したモハ51078号を元にした車両である。
しかし流用されたのは台枠のみであり、車体や台車などは新製されたものを使用しており、種車の面影は無い。
前面は当時流行した湘南顔に、大型の3つの前照灯を取り付けたユーモラスなデザイン。
塗装パターンはEF58によく似ている。
主電動機は定格出力158kWという大出力のMT901を採用。しかし駆動方式は吊り掛け駆動のいわゆる旧性能電車である。
吊り掛け駆動で高速運転を狙った車両・・・確かどこかの変態紳士の国にもこんな車両があったような・・・?
MT901という、国鉄の主電動機の付番としては妙な番号を振られているが、これはMT901が試作品だったため。
ちなみに当時の国鉄にはMT900という主電動機もあったが、これは阪和電気鉄道から買収した電車たちが装備していた150KW電動機に国鉄が付番した番号だったりする。
台車は川崎重工製の「OK台車」シリーズのOK-4型に変更されている。
パンタグラフは前後に2台搭載。もちろん、「本業」の架線試験車としての任務を果たすため、車体上部には架線の状態を確認するための天窓が据え付けられ、また投光機も設置されている。
湘南顔でダブルパンタの単行電車という一見漫画の世界の電車みたいなデザインの車両だが、1954年12月に東海道本線で165km/h、1960年2月に東北本線で167km/h、そして同年11月に東海道本線で175km/hの最高速度を記録している。
お前のような旧型国電がいるか!
1980年3月26日付けで廃車となり、解体処分されている。
ああもったいない。
余談
東海道本線で叩き出した175km/hは、当時の狭軌世界最速記録だった。
場所は島田駅と藤枝駅の間で、後に建設された六合駅の付近である。
六合駅のホームにはこの記録を記した案内板が設置され、クモヤ93が生きた証を伝えている。