概要
クワガタムシ亜科に分類される属の一つで、台湾からベトナムにかけて分布している。
学名は「Pseudorhaetus」で、「Pseudo」は偽物の意味である。そのため、「ニセシカクワガタ属」と呼ばれることも多い。
体長は大型個体で60mm程度となる。
一見するとシカクワガタに類似しているが、近縁の別属である。
大顎は根本で折れ曲がらず緩やかな弓形に湾曲する。
鏡面のような光沢を持ち、種によって光沢の出る部位が異なる。
成虫は6月の僅かな時期に野外個体が流通するため、見かける機会はあまり多くない。但し、生息地からの輸入自体は容易なことと需要が多くないため、そこまで高額とはならず、1ペア2万円以下が相場となる。
学名に「rhaetus」と付くように、産卵の傾向などから生態はシカクワガタ属(Rhaetulus)よりもオオシカクワガタ属(Rhaetus)とより近縁とされている。
主な種
オーベルチュールクロツヤシカクワガタ(R oberthueri)
本属の基準種。オーベルチュールニセシカクワガタ、オーベルチュールシカクワガタとも呼ばれる。
全身にエナメル質の光沢が入るため、タランドゥスオオツヤクワガタを彷彿とさせる体表となり、上翅と脚の体節は赤みを帯びる。
チュウゴククロツヤシカクワガタ(P sinicus)
チュウゴクニセシカクワガタ、チュウゴクシカクワガタとも呼ばれる。
前胸と上翅に光沢が入り、脚の体節が赤みを帯びる。
ザウテルクロツヤシカクワガ(ssp.concolor)
チュウゴククロツヤシカクワガタの亜種で、台湾に分布している。
ザウテルニセシカクワガタ、ザウテルシカクワガタとも呼ばれる。
光沢は上翅のみに入り、脚の体節は黒くなる。
当初は別種「Pseudorhaetus sauteri」として扱われており、その時の小種名がそのまま標準名として使われている。