概要
クワガタムシ亜科に含まれるクワガタムシの属の1つ。およびそのうちの1種。
学名は「Rhaetulus」。
鹿の角のように二又に分かれている身体の比率に対して大きな大顎と縁がギザギザした前胸背板が特徴。
南アジアやマレー半島に生息する種は前胸や上翅が色付く種が多く、奇抜な大アゴやクワガタの中では飼育しやすい部類に入ることも相まってそこそこの人気がある。
系統的にはノコギリクワガタやフタマタクワガタに近く、生態面にも類似点が多く見られる。
ただしノコギリやフタマタと比べやや湿度が低い環境を好むとされる。
近縁の属にオオシカクワガタ属(Rhaetus)、ニセシカクワガタ属(pseudorhaetus)、ベトナムシカクワガタ属(Weinreichius)、マキシカクワガタ属(Yumikoi)が存在する。
種としてのシカクワガタ
学名は「Rhaetulus crenatus」。
台湾〜中国、南アジアにかけて分布しており、形態によって亜種に分類される。大別すると全身黒色のものと上翅や前胸に模様が乗るものに分けられ、後者はかつてスペキオススシカクワガタ及びその亜種として別種とされていた。しかし中国本土で中間となる個体が発見されたことにより同種として扱われるようになった。
飼育(ブリード)は容易で、朽木にもマットにもよく産卵し、幼虫も菌糸、マット両方で育てることが可能とされている。
ただし亜種にもよるが、成熟に時間がかかり、繁殖に使えるようになるまで平均して半年程度かかる。
亜種
8亜種に分類される。
原名亜種(ssp.crenatus)
台湾に分布するためタイワンシカクワガタと呼ばれる。
全身黒色。小型種ではあるが、最大63mmの個体が確認されている。
最も一般的な種で安価で購入できるため、夏場になると総合ペットショップやホームセンターでも取り扱うことがある。
チュウゴクシカクワガタ(ssp.rubrifemoratus)
中国福建省に分布。
全身黒色だが、帯節(脚の付け根)に模様を有する。また、栗色を帯びる個体が多いとされる。
フキヌキシカクワガタ(ssp.fukinukii)
全身黒色で雌雄共に原名亜種よりも光沢が強い。雄は大顎先端に三角形の内歯を持つ。
カワノシカクワガタ(ssp.kawanoi)
中国広西チワン族自治区、ベトナム北部に分布する。
大顎の根本下の内歯が前を向く。上翅には黄色い模様が乗る。
ボイレアウシカクワガタ(ssp.boileaui)
ラオス、ベトナムに分布する。
カワノに似るが大顎根本下の内歯は下を向く。
スペキオススシカクワガタ(ssp.speciosus)
タイに分布する。詳細は当該記事参照。
ガードナーシカクワガタ(ssp.gardneri)
ミャンマーに分布するとされている。
スペキオススに似ており、統一されシノニム(無効名)となっているとされるが詳細は不明。
レーマンシカクワガタ(ssp.lehmanni)
ミャンマー南部に分布。
大顎が真っ直ぐ伸び、張り出しが弱い点が特徴。雄はややスレンダーな体つきをしており、上翅には黄色い模様が乗る。
ツツイシカクワガタ(ssp.tsutsuii)
ベトナム南部、カンボジアに分布。
レーマンによく似るが前胸や帯節が黒い点で見分けられる。全亜種中最も大型化する亜種で、野外で76mmにもなる個体が得られている。
海南シカクワガタ
中国の海南島に分布。
大顎はチュウゴクとツツイの中間の形状をしているとされ、上翅には紅い模様が乗る。
まだ亜種名が定まっていないが、今後付けられるものと思われる。
主な種
アマミシカクワガタ(R recticornis)
日本に生息している唯一の本属のクワガタ。小型で大顎もシカクワガタと比較してあまり発達しない。条例で保護されており、採集が禁止されている。
ディディエールシカクワガタ(R didieri)
マレー半島に生息する本属最大種。大鎌のように湾曲した大顎と個体によっては上翅が赤みがかることが特徴。
詳細は当該記事を参照。
甲虫王者ムシキングシリーズでのシカクワガタ
2種(とオオシカクワガタ)が登場している。ゲーム内では性格がディフェンスタイプに設定されているため、温厚な性格だと誤解されがちだが、現実には近縁のノコギリクワガタやフタマタクワガタのように気性が荒いことが多いので注意。ただし喧嘩が長引くのを嫌い、長期戦になりそうになったら身を引く一面もある。
スペキオシスシカクワガタ
最初期より参戦。詳細は当該記事を参照。
ディディエールシカクワガタ
2005ファーストより参戦。詳細は当該記事を参照。
また、オオシカクワガタ属ではあるがオオシカクワガタ(再録時にウエストウッドオオシカクワガタに改名)が新甲虫王者ムシキングに参戦している。