「俺はサハスラーラの孫。名はサハラ」
概要
ハイラル城下に住む最強の剣士サハスラーラ老の孫に当たる青年。彼自身もスピアと剣の名手である(剣の方が得意とのこと)。
サハスラーラが興した秘密組織【剣士の翼】の一員であり、主人公ポールの叔父アトラスも同僚となっている(ポールは名前こそ違うが外見はリンク)。
後にポールの親友となり、共にゼルダ姫の救出に向かう。
ゼルダ姫とは幼少期に一度しか会っていないが、その時から神と称えるほどに恋い焦がれるようになる。ポールに協力しているのもゼルダ姫を助けるためというのが大きい。
しかし、ゼルダ姫のテレパシーを聞くことが出来たのも、マスターソードの使い手になれたのもハイリア人の末裔であるポールのみ。
サハラは嫉妬しながらもポールへの友情とゼルダ姫への愛情を胸に戦い続ける。
なお、この作品ではサハスラーラは賢者の末裔でなくなっている。このためサハラも賢者の血は引いていない普通の人間である。
容姿
ポールより1つか2つは年上で大人びているが小柄な部類。イラストでは幼さの残る少年の顔立ちをしており、ポールより背が高い。
常にターバンのように見える帽子をかぶっている(サハラ=砂漠からの連想だろうか?)。
性格
生真面目で自信家。反骨精神も旺盛で相手が大人でも噛み付く。
悪を許さぬ正義の持ち主であり、裏切りはもちろんどっち付かずのコウモリも許さない。
特にゼルダ姫に対する恋心は誰よりも強く、それが彼の正義の原動力になっている。
活躍
ゼルダ姫誘拐の烙印を押され、巡回兵たちに囚われていたポールを助けたのが出会いの始まり。当初は巡回兵に化けて潜り込んでおり、瞬く間に4人の兵士を倒してポールを救った(ポールの叔父さんから話を聞いていたのでポールのことは知っていた)。
過去に【剣士の翼】はマスターソードの在り処を探し出しており、使い手の候補も何人か見出していた(その内の1人がサハラの父親であり、紋章の1つを手に入れていた)。
サハラの協力によりポールは勇気の紋章を獲得し、正式にマスターソードの使い手となる。
(実はアトラスとポールに血の繋がりはなく、ポールをマスターソードの使い手にするために引き取って育てていた)。
勇気の紋章を手に入れた東の神殿にて、サハラは妖精から「あなたの命を必要とする者がいる。その時に備えて命を渡す術を授ける。必要な時は呼びなさい」と告げられていた。この時は何のことなのかわからなかったのだが……。
やがてポールとサハラは、お互いにゼルダ姫に惚れていると判明する。
サハラ「きさまは、ゼルダ姫が好きか」
ポール「ああ。好きだ。きみは」
サハラ「きさま以上に。よし。正々堂々とやろう]
ポール「わかった。抜け駆けは無しだ。剣に誓おう」
サハラは「ポールが勇者なら俺も勇者のはず。ゼルダ姫を想う気持ちは俺の方が強い」と考えており、自分も勇者の資格があると考えていた。しかし、退魔の剣を扱えるのは長い耳を持つポールのみ。サハラは嫉妬心を押し隠してポールを支え、時には命すら懸けた覚悟で困難に立ち向かった。
終盤では【剣士の翼】の面々と共にハイラル城へと乗り込む。ポールと行動を共にしアグニムと対峙するが、眠りの呪文であっさりと意識を失ってしまう。ポールもアグニムによって闇の世界へと落とされてしまい、意識を取り戻したサハラはポールの後を追うべく躍起になる。
しかし、眠りの呪文の後遺症により右足がマヒしていたため戦線離脱を余儀なくされる(神経が切断されているため二度と治らないが、そのことはサハラには伏せられていた)。
その最中、闇の世界の入り口と化したハイラル城から魔物の群れが出現。各地に魔物が現れるようになってしまう。【剣士の翼】は魔物の侵攻を止めるべくハイラル城前に陣取り、魔物たちを次々と打ち滅ぼして行った。更に危機を察知した剣士たちも加勢に現れる。
一方その頃、サハラは夢を見ていた。それはゼルダ姫から銀の矢をポールに渡してほしいというものだった。ついに彼もゼルダ姫の声を聞くことが出来たのだ。
跳び起きたサハラは祖父と神父に闇の世界へ行く方法を尋ねるが、そんな方法はないと一蹴される。そこでサハラは神父に剣を突き付けてまで聞き出そうとする。しかし既に彼の意を汲んでいた神父は一枚の鏡を渡してきた。これに太陽の光を集め、闇の世界の入り口に向ければ道は開かれるという。
旅立つ直前、孫はもう生きて帰って来ないと察した祖父と抱き合い、無言の別れを迎えた。
ガノンは凄まじい巨体を誇る巨人であった。サハラがポールの下へ駆け付けた時、まさにポールはガノンによって命を奪われたところだった。サハラは妖精に呼び掛け「俺の命をポールに!」と声を上げる。
こうしてサハラは自らを犠牲にポールを生き返らせた。そしてサハラの形見である銀の弓矢はポールの手に渡り、勝利へと導いたのだった。
ガノンが倒れた後、ポールは冷たくなったサハラの下へゼルダ姫を連れて行く。そして、こう告げた。
「僕の親友です。ともに戦いました」
ゼルダ姫がサハラに触れた瞬間、一陣の風が彼女の美しい金髪をなびかせるのだった。
余談
あとがきにて著者は、
「ポールはゼルダ姫のために思う存分戦えたが、サハラにはそれができなかった。
それでもサハラはポールと同じ道を歩もうとして命を落とした。
しかしこの二人に決定的な差はあっただろうか?
ゼルダ姫を救うことが最大の目的ならば、それを果たしたのはポールなのか?
より美しく生きたのは、英雄の振り子が振れたのは、どちらだったのか」
と述べている。
著者も原作をプレイしているのだが、エンディングを見た時に「プレイヤーを置き去りにしてリンク一人がさっさと英雄になってしまった気がする」と嫉妬心めいたものを感じたという。
実はサハラは、そんな感情から生まれた脇役とのこと。
後に発売された古代の石盤には、サハスラーラの弟アジナが登場する。
今では定番となった「ラストバトルでラスボスを倒すための武器をリンクに授ける」という役回りの先駆けと言える存在である。
関連タグ
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