概要
漢字表記は「自援護」。文字通り「自分を自分で援護する」という意味。
プロ野球において投手は投球術のスキルを磨くことに専念し、打撃については軽視される傾向が強い(=投手の打率は野手と違って2割を切ることが多い)。指名打者制の採用によって先発投手が打席に立つこと自体が無く、また指名打者制の設定が無くても代打と投手分業制の導入で救援投手も打席に入らない。
しかしその中には野手顔負けのホームラン・タイムリーヒットを放つ投手もあり、投手に打たれた相手チームのダメージは計り知れない。日本のプロ野球ではセ・リーグの試合及び交流戦におけるセ・リーグ主催試合で見られ、ファンが打点をあげた投手に対して「ジエンゴはエースの証」と称えるのはお約束。
アマチュア野球では、試合にケリを付けるために投手も安打を打って勝利を掴み取るのもさほど珍しくもないが、専門性が求められるプロになると話はまた別となり、投手が打席に入るのは登板する試合のみとなり、野手並みに安打を打つ投手はごく一握りしかいないのが寂しい現状である。
実例
昭和時代なら金田正一氏、堀内恒夫氏、桑田真澄氏など野手顔負けな打撃力が高い投手が存在し、彼らがその気になれば二刀流も可能な選手達だった。
しかし時代の流れと変遷によりプロ野球界の専門性はますます顕著となっていき、打撃力が高い投手はほぼ絶滅危惧種となりつつあった。
そんなプロ野球界の既成概念を良くも悪くも見事に覆したのが、他ならぬあの本格的二刀流の大谷翔平選手であり、二刀流同様「自援護」も今ではすっかり彼の代名詞となっている。
二刀流元年2013年から10年経過した2023年には日ハムから矢澤宏太選手が基本中継ぎ兼任1番右翼手の二刀流選手としてプロデビューを果たし、大谷選手とはまた一味違った二刀流像や自援護ぶりを展開していき、日ハムの優勝に貢献しようと奮闘している。
なお、大谷翔平選手ほどでなくとも広島の森下暢仁投手は専業投手でありながら、安打をコンスタントに量産したり猛打賞を度々マークし二刀流&自援護プレイができるなど、ファンからはカープの大谷翔平、リトル大谷翔平と呼称されるほどの人気選手となっている。
っていうか「2022年シーズン中に打撃・走塁中のアクシデントで右足関節骨折で離脱、不安視されていたら2023年シーズンは打率.275(で防御率2.19)」とか色々おかしい床田寛樹を始めカープにはやたらジエンゴが得意な投手が多い。
どんなに好投しても味方の援護がなく負け投手になるエースは枚挙に暇がない。
勝ち星をゲットできず不貞腐れる暇があるのなら、大谷選手のように自分で打って試合を決めるしかないだろう。
余談
- ウィーランド式防御率
2017・18年に横浜DeNAベイスターズでプレーしたジョー・ウィーランド投手に由来するワード。打撃に定評のあるジエンゴ投手として有名になってしまい、本来の防御率の計算から打点分を差し引いた数値を「ウィーランド式防御率」と命名。
通常の防御率は「自責点×9÷投球回」で計算されるが、ウィーランド式防御率は「(自責点-打点)×9÷投球回」。