概要
アメリカの社会学者エズラ・ヴォーゲルの著書。1979年に刊行。
高度経済成長期を経て目覚ましい成長を遂げた日本を分析し、その教訓を発信するために執筆された本である。
日本でも翻訳版が発売され、ベストセラーとなった。
1970年代からの安定成長期時代の日本企業は世界中に進出を強め、飛ぶ鳥を落とす勢いを持っていた。特に家電や半導体は向かうところ敵なしで、本書が刊行されたアメリカでも日本製品は大きなシェアとなっていた。
故に、世界中のビジネスマンが教訓を学ぼうとこの本を手に取り、やがてタイトルは日本の無双ぶりを示す標語としても広まった。
しかし、戦後日本のこうした栄華もバブル崩壊とその後の経済的低迷、1995年を境に起こり始める災害の数々であっさりと終わりを告げる。企業は売り上げアップよりも当座の負債の圧縮に汲々とするようになり、就職難に陥った当時の若者はブラック企業からゴミのように扱われ疲弊。「技術立国」を担ったエンジニアや町工場の親父たちも技術をアジア諸国に移転した後は使い捨てられ(この時期の日本人は技術移転しても、日本以外のアジア人にハイテクができるわけないという選民意識があり、それを本気で信じていた。おそらく団塊世代は今でもその神話を信じているだろう)、経済政策の誤り、数十年は日本に追いつけないだろうという楽観的な経営戦略が仇となり、団塊世代が壮年期を終え、老年期に入る2000年代前半を最後に、ほぼ自滅の形で国家の衰退期を迎え、現在の「安い日本」が形成された。今や不況の慢性化で好景気を想像もできない最初の世代が30代を迎え、青年期を終えつつある中では、かつての栄華も歴史の一ページでしかない。今の日本から教訓にされているのが「経営と経済政策の失敗による国家の衰退」である点は皮肉と言うほかない。今では「ジャパン・アズ・ナンバーワン」は、1980年代以前の日本の繁栄を懐古する際のフレーズとして使われることが多い。
関連項目
- 24時間戦えますか:同じく、イケイケドンドンで、飛ぶ鳥を落とす勢いだった頃の日本を象徴するフレーズ。現在では真っ向から否定されるのも同じである。
- バック・トゥ・ザ・フューチャー:1985年公開の映画。作中に「いいものはみんな日本製だ*というセリフがあり、当時に最盛期であった日本製品の評価が垣間見える。