概要
国鉄の分割民営化後、JR西日本はアーバンネットワークのテコ入れのため221系・207系を開発・投入したが、新しい特急形電車の開発はそちらを優先したため後回しになった。しかし、特急「雷鳥」(東海道本線〈JR京都線・琵琶湖線〉・湖西線・北陸本線経由)においてライバルとなる高速バスが台頭してきたため、テコ入れする必要にも迫られたため、「雷鳥」よりも停車駅を絞った上位の特急を新設することとなった。
1989年(平成元年)3月11日のダイヤ改正にて、特急「スーパー雷鳥」が運転を開始した。湖西線内および北陸トンネル上り線の最高速度が130 km/hに引き上げられ、大阪駅〜金沢駅間の所要時間は最速2時間39分に短縮された。スーパーを名乗らない「雷鳥」(18往復)の列車号数は11号から始まることになった。また、「スーパー雷鳥」のうち1往復は東海道本線・山陽本線(JR神戸線)へ乗り入れて神戸駅発着で運転された。
車両については既存の485系電車の内外装をグレードアップすることにし、パノラマ型グリーン車と「和風車だんらん」を再改造した「ラウンジカー」(半室グリーン車)が連結された。当列車は紀伊方面の「スーパーくろしお」と共に、両者とも改造車ながら初期のJR西日本の看板特急の役割を担うこととなった。
所要時間短縮も同時に行われたが、いわゆる「600m条項」を湖西線内と北陸トンネル内に限って例外扱いすることで130km/h運転を行い実現した。当時130km/h運転を行ったのはJR東日本の特急「スーパーひたち」(651系)と当列車のみだった。
1991年(平成3年)9月1日には七尾線の直流電化完成に伴い、「雷鳥」と共に和倉温泉駅発着列車が設定された。
その後、新型特急電車681系(車両愛称:サンダーバード)が開発され、それを用いて1995年(平成7年)4月20日から特急「スーパー雷鳥(サンダーバード)」が運転を開始。「スーパー雷鳥(サンダーバード)」は全区間130km/h運転の実施により、最速所要時間が大阪駅〜金沢駅間を2時間29分、大阪駅〜富山駅間を3時間07分にそれぞれ短縮された。この時点で「雷鳥」が11往復、「スーパー雷鳥」が4往復、「スーパー雷鳥(サンダーバード)」が8往復となり、3列車の列車号数が通し番号になる。また、「スーパー雷鳥」のグリーン車のみ「サンダーバード」と同じく大阪寄りに変更された。
1997年(平成9年)3月22日には「スーパー雷鳥(サンダーバード)」が「サンダーバード」に改称され、神戸始発の「スーパー雷鳥」が大阪始発に見直された。当初、大阪駅〜和倉温泉駅・富山駅間の「雷鳥」・「サンダーバード」は基本編成が和倉温泉駅発着編成、付属編成が富山駅発着編成にそれぞれ充当されていたが、利用率などを考慮して基本編成が富山駅発着編成、付属編成が和倉温泉駅発着編成と逆転された。
2001年(平成13年)3月3日には683系の投入に伴い、「スーパー雷鳥」の愛称は「サンダーバード」に統合される形で廃止された。また、「雷鳥」系統を富山駅・和倉温泉駅発着の「サンダーバード」(15往復)と、金沢駅発着の「雷鳥」(10往復)に再編された。
車両
大きな特徴は、富山方の先頭車としてサロ481等からの改造により誕生した、非常に大きなフロントガラスを採用した流線型のパノラマグリーン車「クロ481形2000番台」、その次位に連結された、サシ481等から改造され和風車「だんらん」として運用された物をラウンジ付グリーン車に再改造した「サロ481形2000番台」がある。また、後に七尾線電化の際に3両の付属編成を設けるために生まれた低運転台の改造先頭車「クモハ485形200番台」がある。
ちなみに、クロ481は初期の短期間のみ前面帯の塗り分けが異なり、側面と前面の帯がつながっていたほか、1両のみ種車がサハ481の「2101」が存在して異彩を放っていた。
当列車の運行終了後、クロ481-2000とクモハ485-200は国鉄特急色に塗られて特急「しらさぎ」へコンバートされ、後にいわゆる「青さぎ色」に塗色変更された。しらさぎが683系2000番台に置き換えられるとクロ481-2000は再度国鉄色に塗られ「雷鳥」へ再度コンバートされた。
また、クモハ485-200は廃車となった1両を除き、交流機器の運用を停止して「クモハ183形200番台」となり北近畿方面の特急に転用された。やっつけの改造に見える外観に反して意外と重宝された。
いずれの車両もJR西日本における485系・183系全廃により2013年までに廃車された。