概要
田中芳樹の小説『銀河英雄伝説』の登場人物。自由惑星同盟軍少佐。
本名は「スーン・スールズカリッター」、優秀な成績で同盟軍士官学校に入学。
他に例のない珍名であり、その名を聞いた他人に笑われることが多かった。石黒版では任命式でウォルター・アイランズが読みに難儀するシーンもある。
そのため、厳粛な新入生代表挨拶が爆笑に包まれることを気に病んでいたが、その座は首席入学のアンドリュー・フォークに譲ることとなり、本人は胸をなでおろしている。
卒業後、スールズカリッターがいつ同盟軍宇宙艦隊司令長官・アレクサンドル・ビュコック元帥の部下になったかは不明。
が、元帥の副官・ファイフェル少佐が心臓麻痺により意識不明となった直後、副官に抜擢される。
「スールズカリッター少佐というのは呼びにくいから」という単純な理由でビュコック元帥に「スール少佐」と略称で呼ばれるようになり、喜んだスールズカリッターは「スール」をそのまま本名にしている。
バーラトの和約後も軍に残り、引き続き宇宙艦隊勤務を続けていた。高等弁務官・ヘルムート・レンネンカンプ上級大将の横死後、同盟の責任を問うため侵攻する帝国軍を迎え撃つため、退役していたビュコックは現役復帰。
スールはマル・アデッタ星域の戦いにも同行しようとするが、負けることがわかっているビュコックに「30歳以下の未成年は参加できない」と拒絶され(この当時、スールは27歳)、「(イゼルローン要塞に向かった)ヤン・ウェンリーに秘蔵のウィスキーを届けるよう」命令される。
ヤンのもとにたどりついたスールは、そのままヤンの部下になり、イゼルローン回廊で帝国軍を迎え撃ったのち、ヤンと皇帝・ラインハルト・フォン・ローエングラムとの会見にも同行。
その道中、ヤン・ウェンリー元帥とエル・ファシル政府代表のロムスキー医師の一行を乗せた巡航艦・レダⅡ号は地球教からの襲撃を受けてしまう(このとき、刺客たちは帝国軍軍服を着ており、彼らが帝国軍内の地球教徒か、帝国軍に擬装した地球教徒かは歴史の謎となっている)。
刺客に応対したロムスキー医師が死亡した直後、必死の防戦もむなしくスールは銃弾を受け昏倒、その直後、副参謀長・フョードル・パトリチェフ少将、ライナー・ブルームハルト中佐、ヤン・ウェンリー元帥も相次いで死亡、スールだけが唯一生き残ることとなった。
意識を取り戻したスールはユリアン・ミンツに面会、「生き残ってしまったよ、ひとりだけ・・・」と語り、アレクサンドル・ビュコック、ヤン・ウェンリーと、敬愛する二人の上司を相次いで亡くした無念さと失意の表情をユリアンに見せている。
復帰後、ダスティ・アッテンボロー中将の麾下に入り、イゼルローン軍解体に従事している。
石黒OVA版では「三次元チェスがヤン並みに弱い」という設定が追加され、回廊の戦いの後のラインハルトとの会談への随員の人選は「ヤンが三次元チェスで勝てそうな相手だけを選んだ」と噂されることとなった(同行のパトリチェフ、ブルームハルトは小説版でも弱いと設定されていた)。
なお、本作の登場人物の名前は国際年鑑から引用したものばかりだが、この「スールズカリッター」という苗字だけは作者が考案した架空の名前である。ある日、スールズカリッターという人が誰かに追い掛け回される夢を見たため、面白い響きだからとキャラクターに取り入れることを決めたと語っている。
藤崎版
まさかのオミット。
原作で倒れたファイフェル少佐が倒れておらず、スールの役割はそのままファイフェルが担っている。