概要
人類銀河同盟軍の兵士であるレドが搭乗する対ヒディアーズ殲滅兵器。
レド機の機体ナンバーはK-6821。
マシンキャリバーにカテゴライズされている機体であり、上位機種である指揮官機「ストライカー」やタンデム仕様の練習機(スピンオフノベル「少年と巨人」に登場)など、様々なバリエーションが存在する。
人型をしているのは人類銀河同盟が「人を賛美する」思想を持ち、自らが用いる兵器も人型でなければならないという考えに基いた結果である(それ故に同盟が用いる艦艇もまた人型をモチーフとした形状となっている)。
本機にはパイロットをサポートする為の人工知能「パイロット支援啓発インターフェイスシステム(CV:杉田智和)」が搭載されており、パイロットと対話し、より優秀なパイロットの育成を促す他、周囲の情報を収集・判断し、ホログラム投射機を備えた通信端末を使えばパイロットの命令を受けての無人行動も行える他、離れた場所でも対話が出来る(普段はパイロットスーツの首元に備え付けられているが、状況に応じて耳にかけて使う事も可能)。
ただし無人行動は内容によっては融通が利かなくなる部分も多く、パイロットの搭乗が必要になる場合もある。
コックピットの位置は頭部(その為前述の練習機は頭部が大型化している)。
コックピットにはシートが無く、身体を支えるアームとパイロットスーツの背面・両手足が接続され、その動きで機体を制御する。
また前述の通信端末はコックピット内のホログラム投射機として機能する。
チェインバーは同盟の所有するものであり、行動理念も同盟の思想に基づくものだが、同盟の支援が望めない状況では独自の推論や結論を導き出すこともある。
ガルガンティア船団及び地球人の思想の一端を同盟にはない言葉「共存共栄」と表現したり、ヒディアーズの真実に動揺し戦うことを躊躇うレドに同盟とは違う戦うことの意義を語ったりできる。
言うなればレドと共に学び、成長する相棒であり、その結果「知性を持ち思考する事が人類が人類たる定義である」という持論を持つに至る。
そしてその定義を逸脱する存在となってしまったストライカーと対立。ガルガンティアを危険な存在と認識したストライカーを阻止すべく激闘を繰り広げる。
機械化融合の最終意思確認の中で、命を捨ててまで守ろうとするガルガンティアへの思いを聞き取ったチェインバーはレドの軍籍を剥奪した上で自らコクピットを分離。
共に降り立った翠の星で彼に兵士ではなく一人の人間として生きることを告げた後、一人ストライカーに立ち向かう。
激戦の中ストライカーから告げられた最後通告に対し「くたばれ、ブリキ野郎」と返答した後、自分と引き換えにストライカーを倒す。
そして海中に沈んだ機体はクジライカの巣礁となり、会話に使っていた通信デバイスは探検家となったレドが今も大切に身に着けている。
性能
装甲は原始的な工具では傷ひとつつかない程の強度を誇る。
特徴的なオレンジ色のラインはヒディアーズに対する警戒色である。
メインカラーが黒の為に熱が集まりやすく、焼肉パーティの際に肉を焼く為に鉄板代わりにされた事もある(ちなみその際は若干キレ気味だった)。
大股後ろに設けられた「量子インテーク」より物質を吸入することでエネルギーを補充し、稼働する(吸入さえ出来ればどのような物質でもエネルギーたりえる)。
飛行時には頭上に薄暗い球体と光のリングを合わせたような形状のフローターが出現し、これに牽引されて飛行する。
これは重力制御の産物であり、その為飛行の際には周辺の物体も浮遊させる為、貨物運搬といった用途に応用可能となる。
全身にディフレクタービーム(デブリスイーパー)、腰部に重力兵器グラビティウェーバーを装備し、掌にも熱線を放射する機構が備わっている。
また、限定解除命令(マキシマイズ)により一定期間機体の攻撃能力を向上させる事も可能(ただし機体に負荷をかける為多用は出来ない)。
更に奥の手として搭乗者の中枢神経に機体の全システムを接続して性能を底上げさせる機械化融合(ニューロプラスパワード)があるが、これは機体だけではなく搭乗者にも負担をかけ、他からのサポートがなければ最悪死に至るとすら言われる諸刃の剣である。
更には広範囲に分散した敵味方を識別し、ターゲットのみを殲滅するだけの戦闘能力を有している(艦艇はもちろんであるが、生物である人間すらも施設内に居る者を含めて敵味方識別が可能)。
また携行武装として機体の全長を超える大型熱線銃とシールドがセットされた集団戦用装備「ファランクス」、二機一組で運用される大型兵装「マルチコアキャノン」等を装備する(レド機はファランクス部隊に所属していたが、それら装備は撤退時に投棄されている)。
レドの機体は地球でヒディアーズと戦闘を行う際、ピニオンからハルバードを託されており、先端部にワイヤーとウォータージェット、爆雷を装備して範囲攻撃が行えるようになっている。
またストライカーと戦闘になった際にはガトリングガンとミサイルランチャー、銃剣付きのビームライフルを装備している。
人類銀河同盟軍において大量に量産されている機体ではあるが、そのスペックは地球で用いられるユンボロ(ユンボロイド)と比較すればオーバーテクノロジーそのもの(本人曰く「超強い」)。
しかし裏を返せば、このような機体を量産してもなお人類銀河同盟はヒディアーズを相手に苦戦を強いられているとも言える。
余談
デザイナーの石渡マコト氏は、脚本の虚淵玄氏から誘われる形で本作のデザインに参加。
その際に虚淵氏から物語の骨子を教えて貰い、チェインバーの初期稿を描いている。
この時点で既に基本的なデザインの方向性は決まっているが、村田和也監督とのやり取りによって決定稿が完成した。
頭身の低さについては物語がレドという少年の成長物語であり、レドの相棒としての役割を持たせるという意味合いから、親しみやすいように低めにデザインしたと語られている。
また人型ではあるが、関節構造などあえて人型から外れてデザインされているのも特徴である。
なお、作中においてレドの機体は地球語の言語サンプルを収集する事でこれを翻訳し、お互いの言語を理解出来ないレドとガルガンティア船団の面々との間を取り持つ通訳としての役割を担っているが、スラングやことわざ、微妙な言い回しに関しては翻訳サイトのように頓珍漢な直訳をしてしまうこともあり、ネット上では
「チェインバー!彼は何と言っている?」→「~~~と言っている」
というやり取りをテンプレート化した大喜利が流行した(Twitter上のまとめ)。
また、コックピットも再現した1/1スケールのチェインバー頭部が各イベントにおいてお披露目されている。
関連イラスト
関連項目
ガンヘッド507…ある意味先輩と言える主人公メカ。