- 古代エジプトのファラオ。本項で解説する。
- クトゥルフ神話に登場する物品。→ニトクリスの鏡
- ハワード・フィリップ・ラヴクラフトの作品の登場人物。→小説『ファラオと共に幽閉されて(Imprisoned with the Pharaohs)』
- Fateシリーズにおける二トクリス。→ニトクリス(Fate)
概要
古代エジプトの第6王朝の最後、女性ファラオ。時代的には紀元前22世紀の人物。
ヘロドトスの記述と、紀元前3世紀のエジプトの歴史家マネトーの散逸した著作の断片で言及される。彼女以前にも同名の女王がバビロニアにいたという。
人物像
神官で歴史家のマネトによると、ニトクリスは「あらゆる男より雄々しく、白い肌と赤い頬をした美しい」人物であったという。ヘロドトスの著作によると彼女の兄弟も「エジプトの王」であったが、謀殺されてしまう。彼女は復讐のため策を練った。
彼女は巨大な地下室を作らせ、完成するとその記念の宴と称して兄弟の死に関与した者たちを地下室に招き、集まったところで封鎖してナイル川の水を流し込んで溺死させた。
しかし彼女自身も復讐者の手にかかることを恐れ、「灰の詰まった部屋」に身を投げ自殺したという。この死は一酸化炭素中毒によるものと考えられ、原理としては「練炭自殺」と考えられる。
実在性
ヘロドトスはこの話をエジプトの祭司たちから聞いたという。彼らは説明にあたって歴史の巻物を開いて解説したと『歴史』に記している。マネトーも、史実として書いている。
しかしながら、考古学上では彼女の実在を証明する証拠は無い。「トリノ王名表」のパピルスに「ニトケルティ」とあるのが彼女ではないか、ともされたが、後に該当箇所の読み取り方が誤っている事が判明。実際は男性の王ネチェルカラーを指すものであった。
ファラオと共に幽閉されて
ラヴクラフトが脱出王フーディーニの依頼で彼の自伝を装ったフィクション小説に登場させた。
ギザの大ピラミッドの地下に広がる名伏し難いスフィンクス神殿でミイラ化した彼女が同じくファラオのカフラー王(ケフレン)と結婚している。金髪、白い肌だが顔の半分が腐り落ちている。