直虎の前評判について
おんな城主直虎の前評判はお世辞にも高いとは言えなかった。
まず21世紀に入ってから増えてきた女性脚本家による女性を主人公とした大河ドラマであることや主人公の井伊直虎が史料のほとんど残っていないこと、さらに前年に放映された真田丸が近年の大河として視聴率・評価と共に高い記録を残したことや、女子会を思わせるPVなどから「スイーツ大河確定」「2年前の悪夢を思い出す」といった声も少なくなかった。
いざ放映されると……
そんな前評判でスタートした直虎だったが、第1話でいきなり直虎の大叔父・井伊直満が北条との内通を疑われて処刑されてしまい、さらには直虎の許嫁で直満の子である亀乃丞(のちの井伊直親が今川から命を狙われたため信濃へ逃亡するという史実における悲劇が描かれた。
さらには今川家からの圧力によって翻弄される井伊の人々、直親の子である虎松(のちの井伊直政)以外の井伊の男子や家臣が相次いで亡くなっていくことでロクな人材が無くなっていく展開、さらには同局のタイムスクープハンターしか焦点に当てなかった怪死人・人身売買といった戦国時代におけるシビアさも描いた。もちろん直虎もこの困難に立ち向かって行く為に限りある人材や資源を武器に、時に厳しさや非情な決意を持って立ち向かって行くことになる。
そもそも、直虎の生存していた時期は本能寺の変や山崎の戦い付近までになるので、最期まで状勢が混沌としている状態にあり、ちょうど『直虎』終了辺りから物語がスタートする『真田丸』の方が実は平和な時期が長かったりする。
「スイーツ大河」という前評判とは裏腹に戦国時代の過酷さを描いた本作品に付けられた愛称がこの「ハバネロ大河」であり、他にも「激辛スイーツ大河」「視聴者のほうが『戦はいやにございまする』と言いたくなる大河」と言われた。
関連タグ
- スイーツ大河…対義語
- 平清盛…2012年大河ドラマ。視聴率は低迷していたが、内容的には平安時代のシビアさをこれでもかと描いている大河。
- 八重の桜……2013年大河ドラマ。直虎同様に前評判は高くなかったのだが、いざ放映されると時代のシビアさを見せつけたことが共通している大河。ただしあっちはストーリーの後半はスイーツ大河と言われることが多い。