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スイーツ大河

すいーつたいが

大河ドラマの中で、完成度が低く時代の雰囲気を再現をしていない作品に対する蔑称のこと
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概要

大河ドラマと言えば、朝ドラと並ぶNHKを代表するコンテンツであり、クオリティーと視聴率の高さは日本国内トップクラスと言われている。
しかし21世紀に入ると『風林火山』や『平清盛(大河ドラマ)』、『真田丸』などのように骨太なものもないではないが、クオリティーの低下が指摘されており、視聴率も減少傾向に入っている。

その中でもクオリティーがとても低い作品は「スイーツ大河」と呼ばれている。
その言葉は『篤姫』に対して批判的な人たちが使っていた言葉であるが、『』が内容で批判を買った当たりから大河ファンに浸透していった。

由来は、主に女性層をターゲットにした流行への迎合を揶揄するスイーツ(笑)から。

概念成立までの経緯

はっきりと言えば、事の発端は大河ドラマというビッグコンテンツにおけるマンネリ化防止の為のテコ入れの一環から出発している。

「大型時代劇」または「大型歴史ドラマ」と呼ばれていた頃を含めて、1963年(昭和38年)の第1作『花の生涯』(主人公はなんと井伊直弼)から出発して2022年(令和4年)放送予定の『鎌倉殿の13人』で61作目を迎える大河ドラマだが、やはり人気を集めるのは戦国時代幕末明治初頭にかけての期間の人物・出来事が主題のものに集中しているため、ぶっちゃけネタ的にはやり尽されているのが現状である。

従来の時代劇を下地にさらに叙事詩戦記の要素を強く打ち出すことで強い人気を博してきた大河シリーズだが、ネタ切れとマンネリ化だけは如何ともしがたかった。
そこで、今まで男性主人公と男同士のドラマを中心に描かれてきた大河世界に、2000年代以降から女性主人公や女性視点の要素を多く盛り込むことで新しい風を吹き込もうという機運が芽吹いてくる。嚆矢となったのは41作目の『利家とまつ』で、賛否両論でこそあったものの、一定の評価を得ることに成功した。(ただし、女性が主人公の作品はその以前にもいくつか存在している。)
だが、時代劇における女性主人公物には1つのジレンマが存在し、現実として男の主観で動かされてきた歴史上の事件(言い換えるなら、ストーリー上の見せ場)には当然ながら多くの場合は女性は不在であり、女性視点となると必然としてドラマの本筋はホームドラマ調にならざるを得ず、当初もこの部分が「大河らしさ」を減じてしまうのでないかと危惧された。もっとも、これらの問題は歴史考証の堅実さや女性主人公の配偶者となる武将等の男たちが狂言回しの役割を果たすことで多くは補えるものであり、後発の45作目『功名が辻』でもまずまずの評価を得ることに成功する。
勘違いされやすいが、この段階で女性主人公物&ホームドラマ調の作品はあくまで従来のテンプレートで制作された大河作品の合間に試みられた実験作の側面があり、大河ドラマ本来の様式を大きく逸脱するものではなかった。

だが、46作目『風林火山』の前後からインターネット等のテレビ以外の情報媒体やサブカルコンテンツが充実してきたこと等を背景に、そもそも視聴者の「テレビ離れ」が徐々に表れ出した反動で大河ドラマそのものの視聴率が以前より振るわなくなってきたことをNHK側が問題視しはじめ、徐々になりふり構わくなってきたことで話しがこじれ始めた。
詳細は後述を参照してもらいたいが、早い話が制作側が固定ファンよりもいわゆる流動票の獲得に躍起になるようになり、「歴史に関して知識と理解を持った」脚本家監督等よりも、民放などでの 一般ドラマ (つまり、その多くが普通のホームドラマや恋愛ドラマを手掛けていた時代劇系のズブの素人)で高い評価を受けた(と判断された)脚本家等が多く起用されるようになった。

明らかに、従来の大河ファンではなくミーハーな女性層(主婦ect)を標的に絞ったのだ。

これの実質的な始まりが47作目『篤姫』であり、同作は従来の作品よりもホームドラマ成分と恋愛要素の多さや狂言回しの不在(つまり、 直接の男目線という補助が無い )から難色を示すファンが多くいたが、大河としての要点自体は踏襲していた為に評価自体はそれなりではあった。
しかし、これ以降『大河ドラマ』という枠組み(史実との整合性やそれと創作との融合によって生じる大河独特のクオリティect)が無視・軽視されはじめ、現代社会の思想および流行への迎合や話題性にリソースをガン振りする部分が多くなり出し、創作方針は明らかに(かなり的外れな)ホームドラマや恋愛重視と史実無視な奇抜路線としかとれない方向に舵を切っていった。
48作目『天地人』はその典型とされ、2020年現在で最後の平均視聴率20%を達成するも、その内容たるや露骨なラブ&ピース(=恋愛反戦平和を全面的に打ち出すという、題材となった時代風土なぞ一切無視した現代チックな価値観で彩られているフィクション世界が繰り広げられていた。その内容があまりにも少女漫画然としていた為に、某八百科事典にて「クオリティを捨てて多数派に媚びた」「一部女性層の願望に阿っている」という趣旨の(サイトの性質を差し引いても非常に生々しい)評価をされるに至った。ついに恐れられていた「大河らしさ」が大きく損なわれていく事態となると同時に、それに比例するかのようにストーリー内容そのものにもご都合主義矛盾が多くなりはじめ違和感を覚える視聴者が出始めてしまった。
そうなってくると、もはや時代劇やホームドラマであるかどうかすら関係なしにドラマ本体が低クオリティと評価され始めてしまった。そして、先にあげた50作目『』においてその脚本やキャスティングがあまりにも常軌を逸していたために、ついに破綻をきたしたのが真相であった。

こうして概念は確立した…

スイーツ大河という概念がネット界隈や大河ファンの間で急速に広がった理由は、大河ドラマのテンプレートがある意味でゲシュタルト崩壊を起こしていく『篤姫』~『江』までのスパンが従来型の作品が49作目『龍馬伝』を挟むだけの短期間であったことも関係している。
そして、有名コンテンツが小手先のテコ入れが原因でドンドン劣化してしていく有様をまざまざと見せつけられた視聴者や批評家の一部からは、制作側が大河作品に実験的な試みや現代調の価値観を安易に持ち込むことに対してある種のアレルギー反応を示すようになってしまった。

スイーツ大河の爪痕

  • 『江』の翌年に制作された51作目『平清盛(大河ドラマ)』は今までとは真逆な「玄人向け」な内容として制作されたが、素人が引いてしまうレベルで作り込まれていたことで平均視聴率12%という当時のワースト記録を叩き出してしまう。


  •  その翌年、『八重の桜』は前半は大河らしい骨太な戦闘シーンと役者に迫真の演技で好評を得たもの、視聴率は振るわず、後半から作風をホームドラマチックに変えてしまい硬派な描写に引き込まれた前半の視聴者から不満が爆発してしまった

  • 『平清盛』の爆散を受けたからか、54作目の『花燃ゆ』は「やっぱり素人に媚びなきゃやってられないぜ!」とばかりに歴史考証は二の次でホームドラマ成分とイケメン俳優等での話題性ガン振りで臨むが、これまでの迷走が祟ってか、その頃には「安易なホームドラマや荒唐無稽な史実無視は大河に似合わない」という先入観がネット界隈を中心に広がってしまっており、「まるで成長していないのか!?」と大きく非難されてしまい、結果は『平清盛』と同じ平均視聴率12%という同じく当時のワースト記録を叩き出してしまう。
(一部メディアからは平均視聴率11%と、最ワースト更新と報じられる。)

  • 『花燃ゆ』爆散以降は、55作目『真田丸』や56作目『おんな城主直虎』は歴史考証を確実にした上で「歴史物として真面目に面白く」作られ、主人の立場を揺るがすほどの人気キャラも登場して史実での彼らの人気も高めたほどの作品が続いた。しかし、57作目『西郷どん』は制作発表時に「BL大河にしたい」と宣言したことが大河ファンから非難が殺到するだけでなく、主人公が西郷隆盛といういささか濃いキャラクターであったのをマイルドな雰囲気にするためか、西郷が「あらゆる問題は恋愛で解決できる」と考え「ラブ&ピースのために明治維新を起こした」と描写。結果、「西郷の座右の銘である敬天愛人の意味を改竄するな‼」と批判される。(ちなみに島津家現当主からも評価は低い)

  • 「それなら脚本家さえマトモで配置が適当なら文句ないんだろ!?なら、宮藤官九郎を呼んでオリンピックとの相乗効果で『あまちゃん』フィーバーをもう一度‼」…とばかりに制作された『いだてん〜東京オリムピック噺〜』は好評意見は少なくなかったものの、実験的にすぎてほとんどの視聴者がついてこれず、『平清盛』・『花燃ゆ』をこえる歴代大河ドラマ最ワーストとなる5.0%を記録してしまった。


さすがにこうなってしまっては軌道修正を図らざるを得なかったようで、2020年現在で放送されている59作目『麒麟がくる』では奇抜な脚本は鳴りを潜め、堅実かつ重厚なストーリーと、大河本来の原点回帰と言っていい状況にある。
ただし、視聴率は20%を上回ることは無くむしろ減少傾向にあるため、『大河ドラマ』というコンテンツが逆境にある状況には変わりがない。

余談ながら、近年の大河ドラマ制作に関するこれらの混乱は、突き詰めれば地上波放送という一代隆盛を誇ったコンテンツそのものが時代の岐路に立っていることの裏返しでもある。時代の変遷に伴う規制ニーズの多様化に対応するために、海外では複数のケーブルテレビ衛星放送が併存・躍進しており専門的・多様化に著しく、実質的に地上波1本の日本のテレビ業界も少しずつ対抗をせまられつつある。
『スイーツ大河』という概念の登場は、そうした根本的な問題が背景にある大河ドラマの視聴率低迷が小手先程度の誤魔化しでは決して補えないことを端的に示している。


スイーツ大河の特徴

時代にそぐわない価値観

  • 「戦は嫌にございます」といった反戦出張
  • フェミニズム側室の否定(側室を置かなかった主人公が増えているのはそのため)、女性が時代に翻弄されるなど)を取り入れる
  • 時代を先取りしすぎて、人物を未来人や神のように描く

主人公補正

  • 主人公を「正義の味方」「戦が嫌い」といった善人として描き、一方で敵対した人物を悪人として描く
  • 主人公のマイナスポイントを描かない
  • 「残酷な行い(ただし当時としてはその行為は必要悪である)」だという理由で、象徴的なものであっても主人公の一部エピソードをカット(またはそれを美談として扱う)
  • 味方であっても主人公ではない人物を無能に見える人物として描き、挙げ句には史実におけるその人物の功績を主人公の功績として描く
  • 史実では主人公及び主人公の一族や関係者と後に離縁することになる婚約者やその一族を嫌味な人物として描く。

時代から逃げている

  • 戦いや政治といった歴史的出来事より、ホームドラマを重視している
  • 時代に基づいた残酷な描写を描かない

その他

  • コメディアン、アイドル、モデル、旬の俳優、文化人といった演技力より話題性を重視したキャスティング(ただしそれらの俳優も演技が上手いこともあるのだが)
  • 登場人物の年齢を反映したメイクを施さない(ただし役者の事情もあるのだが)

スイーツ大河と勘違いされやすい要素

脚本が女性

スイーツ大河の代表例として扱われる『天地人』、『江』、『花燃ゆ』の脚本家は女性であることは事実であるが、女性の脚本家を起用したためそのような出来になった訳ではない。
名作とされている『国盗り物語』、『花神』、『おんな太閤記』、『翔ぶが如く』、『毛利元就』、『おんな城主直虎』といった大河でも女性の脚本家が起用されている。
前者と後者が同じ女性脚本家なのに出来が差が出来たのは歴史に対するリスペクトの差である。
前者の作品を手掛けた脚本家には歴史に対する理解がなく、『江』の脚本家・田渕久美子は「私は歴史に詳しくない、けどそれが強み」だと語り、『花燃ゆ』の大島里美は「家長とは一緒に食事しないとか、各自にお膳があることも初めて知った」と語っている。

そもそも脚本家の腕と性別は関係ない。
批判されるべきなのは、歴史に詳しくない脚本家を起用する事である。

恋愛要素

スイーツ大河と呼ばれる作品は恋愛要素が批判されているが、恋愛要素を入れる事は悪い事ではない。
かつての大河も『風と雲と虹と』、『武田信玄』、『風林火山』といった大河では恋愛要素も描かれているが、それらはおまけ程度であると同時に恋愛作品としても出来が良かったので批判されることは少ない。

批判されるべきなのは恋愛要素を入れる事ではなく、恋愛要素をメインとして描く事である。

史実通りではない

そもそも大河ドラマは歴史書や論文ではなく娯楽作品であり、話を面白くする為にはある程度の創作を入れざるを得ない。
『武田信玄』の様に、架空の人物をストーリーに絡ませたことで好評を得た作品もあり、『おんな城主直虎』も史料の少なさを逆手にとって創作を入れたことで好評を得た作品もある。
ただし史実通りに描きすぎると、歴史ファンではない方や現代人には分かりづらくなるため、真田丸ではヒロインのきり(同じポジションの人物は主人公・信繁の側室として実在したのだが、史料がほとんど残っていないので設定の大半はオリジナルとなっている)を現代に近い感覚を持った狂言回し的な人物としストーリーに絡ませることで、内容を分かりやすく描いている。

それらは史実の雰囲気を壊さずに創作を入れており、しかも創作としても出来が良かったので批判はほとんど無い。

一方で史実通りに描いても歴史ファンから批判されることもあり、三谷幸喜は『新選組!』を手掛けた時、時代考証の歴史学者の意見まで聞いて史実通りに描いたにも関わらず、自身の特徴的な作風のせいで意識の高い歴史ファンから「史実通りじゃない」「考証が酷い」と言われたらしい。
そういうこともあり、2019年大河『いだてん〜東京オリムピック噺〜』では「この作品は史実を基にしたフィクションです」というテロップが放送終了後に表示されるようになる。

批判されるべきなのは史実通りに歴史描かない事ではなく、歴史を面白く描けない事である。

主人公が女性

当時の雰囲気を再現したり、狂言回しを上手く扱えばスイーツと呼ばれることはない。

スイーツ大河と言われている主な作品

上述ほどではないがスイーツ大河と言われやすい作品


関連タグ

おんな城主直虎』……女性脚本・女性主人公といった点からスイーツ大河と言われることが多かったものの、ハードな内容から「ハバネロ大河」と称された。

スイーツ(笑)
ダサピンク現象
メアリー・スー
主人公補正


韓流ドラマケータイ小説なろう系トレンディドラマ……共通点が多い。特に、スイーツ(笑)文化の代表格とされると同時に2000年代中盤からブームが到来していた韓流ドラマとケータイ小説のテンプレートの少なからぬ部分が、マダム層若者層を取り込むために一部引用されたと考察されている。なろう系に至っては「ご都合主義が多い」「主人公が理由もなく周りから好かれている」という点が共通している。

月9……この枠のドラマたちに影響を受けたとされているものの、近年は路線変更によりスイーツとは程遠い骨太な作品が増えている

半沢直樹……現代劇でありながら、内容が「骨太な世界観」「恋愛やホームドラマ要素がない」「ルックスより演技力を重視したキャスティング」などから「現代劇の皮を被った時代劇」と言われ、ある意味スイーツ大河とは真逆な作品。

利休にたずねよ女信長……スイーツ大河に近い評価を受けている大河以外の時代劇たち

どんど晴れわろてんか半分、青い。なつぞら……スイーツ大河に近い評価を受けている朝ドラ

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