概要
遠江(現在の静岡県)の一領主に過ぎなかった井伊家を徳川幕府の重臣となるまでに大きく飛躍させる原動力となった、女性当主:井伊直虎を主人公とした物語。
前作の『真田丸』に続き、戦国時代(安土桃山時代)を舞台としたストーリーが展開される。
なお、直虎は実在の人物だが歴史的資料が少なく、その生涯についてはよくわかっていない。そもそも、直虎が女性であったのかや、井伊直盛の娘と本当に同一人物であったかも未だにはっきりしていない。そのため、本作は大河ドラマとしては非常に珍しく架空のエピソードを中心としたストーリー展開になっているのが特徴である。
ナレーションは歌舞伎俳優の中村梅雀が務める。中村梅雀は2008年の大河ドラマ『篤姫』において井伊直弼を演じており色々と想像を掻き立てられるが、本人はブログで直弼関連の配役でないことを明らかにしている。
登場人物
井伊家
井伊一族
本作の主人公。遠江井伊谷領主・井伊家の姫。幼名は「おとわ」。
男同然に育てられたためか、男勝りでさばさばとした性格の持ち主。
許嫁関係にあった亀之丞(直親)が追われる身となった後、鶴丸(政次)との夫婦約束を断り、なおかつ家を守るために、出家を選ぶという誰もが予想だにしなかった手段に打って出る。
出家後は龍潭寺に引き取られ、そこで次郎法師という名を与えられ、尼僧としての修業を積む。
当初は、機会を見計らって還俗させることも考えられていたが、色々と考えた末に、(許嫁であった直親が妻を娶ったことなどもあり、)「主君である直親を支えるのが自分の役目である」という結論に至っている。
父・直盛の戦死、その後に後継者となった直親が亡くなったため、「直虎」と名乗り井伊家の事実上の当主として、再興のために奔走することになる。
政治の経験に乏しいのか、しばしば考える前に動いてしまい、あまりの猪突猛進ぶりで周囲を混乱させてしまうことがあった。しかし、徐々に領主としての頭角を現していき、やがては今川家からも一目置かれる存在へと躍進していった。また、元より領地や領民を思う気持ちは強く、そんな彼女の思いの強さが徐々に家臣や領民たちを動かしてゆく。
新野家の三女・桜を今川家の重臣・庵原助右衛門に嫁がせたのち、桜の姉・桔梗を北条家家臣・狩野主膳に嫁がせることを思いつき、妙案に政次も同意、今川家からの了解を得ることに成功する。
武田が今川との同盟破棄に動いたのを見越して、今川・北条・上杉の同盟に徳川を絡めることを独自に画策、徳川とのつながりを持とうとする。
龍雲丸からも「人々を取り込んでいく不思議な魅力がある」と評されている。
政次とは良き幼馴染であったが、直親の死後しばらくはとある事情により反目することになる。しかし燻っていた遺恨を解消したあとは、表向きは当主と奸臣として、裏では良きビジネスパートナーとして囲碁を通じて井伊家の家政を相談し合うようになる。そして33話にて―――
33話の後は自らの判断とは言えその衝撃に片翼をもがれたも同然となった直虎は、精神を病んでしまう。全て自分のせいだと自責の念に囚われていたが、その途上に龍雲丸が堀川城の事件により生死の境を彷徨う事態となる。また近藤康用もその戦いで深手を負い、鈴木重時は戦死してしまう。
これらの物事が重なり、直虎は武家とは何か、家を存続する意味とは何かを再び問い続けることとなる。
直虎と龍雲丸は同じ傷を負う同士、数年間穏やかに農民として寄り添い合って過ごしていた。しかし堺行きに揺れる龍雲丸と武田侵攻により焦土となった井伊谷が気掛かりな直虎改めおとわは、お互いの未来のために別れを選択する。その際の二人のやり取りは必見。
龍雲丸と離れた後は(本人にその気は無いが)井伊谷の裏領主として近藤家の内政に携わる。井伊家の再興よりも井伊谷の平和を選んだ彼女であり、井伊谷も近藤家とよく折り合いをつけつつ平和に過ごしていた。しかし成長した虎松の“井伊を再興する”という野望に、再び奔走することとなる。
井伊家再興の野心にまわりが見えなくなった(松下)虎松改め井伊万千代と一時険悪になるが、家康に仕えるうち徳川家の大事を考えるようになった万千代と和解、井伊家旧臣の中野直之、田中六左衛門に万千代に仕えるよう依頼する。
光秀の末子である自然を匿ったことから本能寺の変のバックアップに携わり、堺にて龍雲丸と再会。光秀が追われたことを知ると井伊に戻り、光秀の子・自然(じねん)の身柄の保護に一役買うが、信長の死の直後から急速に体調を崩し、天正10年(1582年)の晩夏、井伊谷において死去。その弔いは龍潭寺の僧達や近藤家、井伊谷の村人達に見送られてのものとなった。
口癖は「やってみなければわからぬではないか!」。
演:杉本哲太
直虎の父。井伊谷の領主。
1人の父親として一人娘のとわを思う気持ちと、当主として井伊家の家督を守り抜かねばならない使命との狭間で苦悩する。それ故、重要な決断を下せないこともあり、家臣や祖父の直平、妻の千賀からそのことを窘められることもしばしば。
桶狭間の戦いで敵の襲撃を受け討ち死にする。
美しく育った娘には、いずれ真っ赤な辻が花を着せてやりたいと願っていた。
千賀 → 祐椿尼(ゆうちんに)
演:財前直見
直虎の母。
厳格な性格だが夫と同じく娘を思いやる気持ちは強い。
夫の死後は出家するが、それ以降も陰から井伊を支えている。出家後は(既に直虎が成人していることもあるが)若いころの厳しさはほとんど見られなくなり、だいぶ穏やかでお茶目な性格になっている。
とわが穏やかな生活に戻り、直政が出世の糸口に立ったのを見届け、静かに息を引き取る。
演:宇梶剛士
直盛の叔父で、直親の父。
今川家に謀反を企てたことを咎められ、処刑されてしまう。
直親の嫁となるおとわに笛が得意な息子と共に演奏できるよう鼓を贈るが、それは死後に達成されることとなってしまう。
演:前田吟
直虎・直政の曾祖父。井伊谷の北側、川名村に隠居している。
かつて小野家を家臣に加えたものの、政直の増長により現在は小野家を危険視するようになっている。
血の気が盛んな性格であり、今川家からとわを人質に差し出すよう命令された際には、鶴丸を人質にとってこれに対抗しようとした。
直親の帰参後も井伊家の重鎮として今川に対抗し続けたが、その後、天野氏討伐の陣中で不可解な死を迎える。一説には今川一族のお田鶴の方に毒殺されたとされるが、その時点で70代半ば~80代半ばというかなりの高齢でもあり寿命との説もある。ちなみにお田鶴の方は本作では登場しないが、6年後の『どうする家康』に登場する。
彼の領地にはかつて井伊家が危機に陥るたびに利用されてきた「隠し里」があり、彼の死後、井伊家や井伊谷の人々が逃げ生き延びる上で重要な役割を果たすことになる。
井伊直満の子。幼名は亀之丞(かめのじょう)。おとわの幼馴染。
生まれつき病弱な体質の持ち主。
おとわと結婚して家督を継ぐことが決まっていたが、程なくして父が謀反の疑いをかけられて殺害されたために自身も命を狙われることとなり、直盛らの手引きにより井伊谷を脱出する。
その後、潜伏していた南信州に武田軍が侵入してきたことを機に再び井伊谷の地に帰参、幼馴染だった次郎法師(直虎)や政次と再会し、幼いころからの夫婦約束を守ろうとするが父・直満が今川に弓引いて処刑された事実と次郎法師の出家が井伊の本領安堵の条件であることから断念、奥山朝利の娘・しのを妻に迎える。
桶狭間の合戦の後、徳川家に接近したことを今川家に咎められ(実際には今川が仕掛けた罠であった)、その申し開きのために駿府へと向かっていたところを部下ともども暗殺されてしまう。
笛を奏でるのが得意であり、その腕前はおとわや鶴丸も絶賛していたほど。
・・それだけ書くと悲劇の貴公子そのものだが、一見爽やかな好男子の振る舞いに見えてその実他人への共感力の欠如やその場凌ぎのいい加減な面が見え隠れしており、視聴者からは存命時からサイコパスではないかと疑われていた。しのと直虎の両者にいい格好をしながらかつて逃亡中に現地女性との間に高瀬を授かっていた事が発覚して死後、株がさらに大暴落。「スケコマシ」が直親を指す代名詞になってしまった。
なお実子たちは揃って外面の良さを受け継いでいるが、早くに死に別れたこともあり内面の身勝手さまでは受け継がなかった模様。
演:貫地谷しほり
直親の妻で、奥山朝利の娘。
結婚後も夫が次郎法師(直虎)と懇意にしていたことや、その他色々ないざこざがあったことなどもあり、当初は彼女のことを快く思っていなかったが、高瀬が戻ってきた際の騒動の折、直親についての恨み辛みをぶちまけあったことをきっかけに蟠りは解消し、以降は比較的良好な関係になっている。吹っ切れた後は井伊家の奥方として裏向きのことを取り仕切れるようになるまでに成長していった。
のちに徳川との同盟関係を結ぶため、直虎の頼みで徳川家の家臣である松下家へ再嫁することとなる。直虎へは「この婚姻を井伊のために」と約束し、虎松へは「そなたの仲間を増やしに行く」と諭す姿は政次にも立派な奥方様と感心させた。
当初は情の深さが思い込みが激しく浮き沈みの激しい性格となって表れており、夫の死の直後はことさら顕著であった。上記にある流れにより吹っ切れたために、そうした傾向はなくなっていった。また虎松が勝手に井伊を名乗った件について和尚へ直談判したり、松下家の正妻として奔走したりと松下家に再嫁した後はその情の深さが良い方向に作用している。
井伊直親の嫡子で、幼名は「虎松」。
幼少期は気弱な性格であったが、政次に囲碁を通して侍としての心構えを教えられ、直虎の指導により徐々に負けん気の強い少年へと成長していく。
直虎との「井伊を共に守ろう」という約束をずっと抱えていた結果、松下家・井伊家両方に不利益な形で井伊家を復興させようとしてしまう。おとわの奔走・養父松下源太郎の度量によりそれは認められたが、近藤家に無断で井伊谷の材木を利用しようとしたりと次々に周りの大人を翻弄していくこととなる。
その猪突猛進っぷりは直虎の若いころととてもよく似ており、またさまざまな面で井伊谷の人々の面影をうかがわせるようになっている。また逸話にあるような“赤鬼”の片鱗を覗かせるような行動・言動が作中でコミカルに描かれている。
井伊家再興の望みをもって家康に目通りを許され、「井伊万千代」を名乗ることを許されるが、「松下虎松として仕えるなら小姓に取り立てるが、その名で仕えるなら草履取りとして仕えよ」と言われ、腹を立てながらも立派に草履取りの役目をこなし、草履取りから小姓へと昇格。
小姓となった後は、かつて龍譚寺で得た薬の知識を活かし夜に家康の寝所で薬草を煎じることになるが、これが周囲に誤解を生み色小姓だと思われてしまう。しかし、これを逆手に取り他の小姓からの嫌がらせを回避することに成功する。
その後も家康の薫陶を受けながら次第に頭角を現していく。その才能は兵站の管理、恩賞の名簿整理といった重要なものから薬品の扱いといった雑用まで多種にわたり、その才覚の多様さから家康にも将来を嘱望され、ついには信康の家臣として忍び込んでいた武田方のスパイから家康を身を挺して守ったことにより褒賞として知行一万石を与えられる。
しかし、浜松城に置かれていることから良くも悪くも外のことはわかっておらず、所領に住む在地領主や民衆をよく治めることができるか直虎に危惧・忠告される。
井伊家再興に目を囚われているため周囲が見えておらず、そのことを危惧した直虎や主君・家康にたびたび行動を制止される。
信康の死後は主人諸共生気を失っていたが、直虎から瀬名の形見の紅を渡され、碁盤を前に但馬との思い出や教訓を語りつつ家康を立ち直らせると、高天神城攻略のための策を練り、功を認められて一万石を加増される。
武田滅亡後、視野が広くなったことを認められて直虎とも和解、直虎は中野直之、奥山六左衛門に万千代の側近くに仕えるよう依頼する。
直虎の死は看取れず、その葬儀にも参列が出来なかったが、父、政次、直虎の全員からの遺品を受け取り、「直政」として元服を迎える。その際に武田の遺臣である赤備えを受け継いた。
成人後は井伊家きっての武闘派となり、本多忠勝、酒井忠次、榊原康政とともに徳川四天王のひとりに数えられる猛将となる。
後年、関ヶ原の戦い後に石田三成の居城・近江佐和山城を与えられて彦根藩の初代藩主となるが島津惟新・豊久を追撃した時に受けた鉄砲傷が元で42歳で死去。
幕末まで続く徳川幕府筆頭譜代・彦根井伊氏の礎を築き上げることとなった。
井伊直親が逃亡時に世話になった農民の女性との間に設けた隠し子で、後に井伊家に戻ってきた。
生前、直親は自分に娘がいることを周囲に伝えなかったため、当初は半信半疑の目で見られ、間者ではないかと疑われたりもしたが、直親が奏でていた笛のメロディーを口ずさんでいたことから彼の娘であるという確証が得られたため、無事井伊家の一員に加えられた。ただし、この時既に父:直親は死去しており、再会は叶わなかった。
自身を迎え入れるために行動してくれた直虎に対しては恩義を感じており、「母上様」と呼び慕っている。
初登場話で山伏・松下常慶に意味有り気な視線を送っていたが…
井伊家が解散した後は井伊家の使用人・弥吉の孫として近藤康用の側近くに仕えるようになる。誰にも話せない境遇を抱えていたが、武田侵攻の際におとわの機転や母の愛によってその役目による重圧から救われる。その後はもともとの朗らかさに輪をかけて明るくなり、生き生きとした笑顔も増えている。
近藤からは武田侵攻時にも近藤家に留まっていたからか、実の娘のように目をかけられている。
最終回では近藤に万千代との縁談を持ち掛けられて拒否し、明確に出自がばれてしまう。直虎の死後は嫁いだことが語られている。
井伊家の家臣
小野家
演:吹越満
井伊家筆頭家老。
直満とは今川家との関係を巡って対立しており、後に彼を謀殺する。
以降は今川家の存在を後ろ盾に井伊家家臣における権限の拡大を画策するようになり、甲相駿三国同盟の締結と前後して息子・政次と奥山朝利の娘を娶わせることを直盛に建言するが、体調を崩し、そのまま死去する。
死の直前、政次に対して「おまえもいずれ私のようになるぞ」と意味深な言葉を言い残す。
小野和泉守の子。幼名は「鶴丸(つるまる)」。おとわの幼馴染。
おとわと亀之丞との婚約を表向きは祝福しつつも、内心では複雑な思いを抱いている。しかし、出家に嫌気がさし、「こんなことなら鶴丸と夫婦になっていればよかった」と落ち込んでいたおとわに「妻になれなくとも僧として亀之丞を支えるという道もあるのでは」と諭すなど、彼女を支えようという気持ちは今でも強い。
父の病没後は跡を継いで井伊家の重臣となるが、松平への接近を警戒する今川の罠に嵌められた挙句最終的に直親を見殺しにしてでも井伊を守る選択をせざるを得なくなってしまう。
直親の死後、今川家の目付として再び井伊家に戻るものの、直親暗殺や虎松の後見人問題の一件などから、直虎をはじめとする井伊家の面々からは「乗っ取りを画策している」と疑われることになり、激しく対立することになる。
ただ、なつからは「井伊家を守るためにあえて汚れ役を買って出ているのではないか」と思われており、実際本編でもそうしたことを示唆する描写もあった。直虎も後に同じ結論に達することになり、政次との関係もある程度は修復されている。また囲碁を通じて直虎とは良きビジネスパートナーとして井伊家を支えている。
幼い虎松にも手を抜くことなく囲碁を通して勝負の厳しさを説き、厳しい戦国の世を生き延びる侍の心構えを教えていく。
今川家斜陽の折に直虎と再度徳川への接近を試みるが、過去に残した遺恨の一つである近藤康用との確執がきっかけにより命を落とすこととなる。その回の直虎・政次両人はまさに命を賭した騙し合いを見事に演じ切った。
辞世の句は「白黒を つけむと君を ひとり待つ 天伝ふ日ぞ 楽しからずや」
成人後はあまり表情を変えない淡々とした人物として描写されるが、演じる高橋曰く「能面なども意識して演技している」とのことである(政直の自室にも能面が飾ってある)。
終盤には直虎以外の井伊家の面々にも敢えて汚れ役に徹していた事や隠れた優しさを気づかれており、死後懐かしまれている。また、生前の彼の言動がその後の直虎に知恵や解決策を与えることもある。
演:井上芳雄
小野和泉守の子で、政次の弟。
幼名は亥ノ助。
小野家と井伊家の融和策としてなつと政略結婚するが夫婦仲は良好だった。
桶狭間の戦いで討ち死にする。
玄蕃となつの子。虎松とは母方の従兄弟同士。
父が亡くなった時点では小野家当主である政次がまだ未婚であることもあり、小野家の跡取りと考えられている。政次のことをとても尊敬しており、その教えをよく吸収している。
政次の死後は母ともども松下家に身を寄せ、成長後は虎松とともに徳川家に出仕。家康から「万福」の名を貰い、虎松の暴走を制御しつつ支えるという、親世代に果たせなかった「井伊と小野が白日の下で堂々と主従となる」夢を実現させた。
そしてその子孫が井伊家伝記の編纂に関わったとも伝えられている。
なつ
演:山口紗弥加
奥山朝利の娘でしのの妹。玄蕃の妻。
姉とは異なり井伊家との関係は良好で、夫の死後も小野家にとどまり小野家と井伊家の調整役のような役割を担っている。
聡明であり、奸臣として振る舞う政次の考えにいち早く気が付き彼をよく支えていくこととなる。井伊谷開城の直前に彼から求婚され、彼女もそれを受け入れるが…
39話では姉・しの、兄・六左衛門と共に松下家で過ごしている様子。また、松下家でもその聡明さによって常慶の相談役も担っているよう。その常慶からの言葉「兄が善なる者でいてくれるからこそ、安心して悪になれる」という言葉を通し、兄は幸せだったと遠回しにおとわへ伝える。
一人息子が手を離れた後の1578年には出家し、尼となっている。
奥山家
演:でんでん
井伊家重臣。
次郎法師の父・直盛は一時は彼の娘を優秀な政次に娶わせ、直次の子に井伊家の家督を継がせることを考えていたが、直親の帰参後、娘ふたりのうち、しのを直親に、なつを小野玄蕃に娶わせる。
桶狭間の戦いにも参陣し、辛くも井伊谷に生還するものの、徐々に小野家に対する不信感を募らせていき、やがて政次を自宅に招き寄せて始末しようとするも、返り討ちに遭い殺害された。
演:平山祐介
井伊家家臣で、奥山朝利の嫡男。
桶狭間の戦いで直盛から死の間際に伝言を授かり、それを井伊家の面々に伝える。
直親と共に駿府へと向かっている最中、襲撃されて殺害される。
奥山六左衛門(イラスト左の人物)
演:田中美央
通称「六左」。
孫一郎の弟で、兄の死後に家督を継いだ。
家臣の中では周囲の調整に四苦八苦する描写が多く、割と損な役回りをあてがわれることも多い。
また、隠し事が苦手であり、政次に大事な情報をうっかり漏らしてしまったことも何度かある。
当初は(直之ほどではなかったものの)、自家の所領の一部を勝手に方久へと譲り渡したことなどもあり、当主となった直虎に対してやや不信感を抱いていたが、民の困窮のために奔走する直虎の姿を目の当たりにするうちに彼女のことを認めるようになり、以降は彼女の忠臣として井伊家を支えていくことになる。
武芸はからっきしで、近くを通りかかった猪に腰を抜かすなど気弱な性格だが、一度認めた主君に対する忠誠心は厚い。後にその人柄を見込まれて虎松の護衛を任じられ、彼と共に一時三河・鳳来寺に潜伏する。
優しく人の良い性質だが武門の徒としての素質が無く、武功をたててみたいという夢に反して武芸はからっきし。そのせいで武に強い近藤家に仕官した後も苦労していたが、以前に身に着けた木材加工の技術や人を統率する素質を発揮できるようになる。
長篠の戦い後、木材調達の功を信長に認められ、一城に値する茶碗を与えられる。高天神の戦いで家康に目をかけられたことがきっかけで直之ともども直政を支えることとなった。
中野家
演:筧利夫
井伊家重臣。
戦に関する知識が豊富で、直親や直盛からの信頼も厚い。
直盛の遺言により後見人に指名され、井伊家再興の中心として混乱する家中を取りまとめていく。
しかし武官であったことが災いしてか合戦に赴いて戦死し、その家督は息子の直之が受け継いだ。
男として生まれなかった身の上を嘆く次郎法師に、「大切なものを守って死ねる男は幸せ者だ」という言葉を贈る。
演:矢本悠馬
通称「之の字」
直由の嫡男で、父の死後その家督を継いだ。武芸に秀でた勇猛な人物。
当初は(女性であることなどもあり)直虎が当主になったことに対しては猛反発していたが、直虎が(かつての直満や直親のように)駿府へ申し開きに行った際、彼女を助けようと農民たちが立ち上がった様子を見たことで、彼女の当主としての力量をようやく理解し、彼女を刺客の襲撃から救い出した上、その後の寿桂尼との会談を実現させるために一肌脱いでみせた。
それより後は以前のような刺々しさはあまり見られなくなり、家臣として直虎を支えていくようになる(ただし、直虎の突拍子もない行動には相変わらず振り回されており、そのことに苦言を呈することはある)。
井伊家が解散した後は近藤家に仕えているが、中野家は井伊谷の番人であるという矜持の元その武を振るっており、近藤家の家臣としてではなく井伊家の一員として動くことも。
高天神の戦い以降は直虎の頼みで六佐とともに直政の支えとなった。
演じる矢本悠馬は前作『真田丸』のスピンオフ『ダメ田十勇士』に出演しており、その後本編の最終回にも少しだけだが登場している。
演:山田瑛瑠
直由の嫡男で、直之の弟(直之の次男という説もある)。
亥之助や虎松と共に龍潭寺で手習いをしている。
兄と違って武芸の腕はそれほどでもないようだが、機転のきく性格。
41話にて万千代に代わり松下家に養子に入ることが決定した(史実では直之の子供が養子に入っている)。
井伊谷三人衆
演:橋本じゅん
遠三国境の宇利を治める国衆。
龍雲党によって領地の木が盗まれた際には、井伊家の者の仕業であると一方的に決めつけ、直虎と対立した。
その後、領地内の寺社から仏像が盗まれる事件が発生した際には、これを(材木の切り出しに来ていた)龍雲党の仕業であると決めつけ、彼らを招き入れた直虎にも責任があると糾弾するが、実はこれは直虎を貶めるために康用が寺と結託して行った自作自演であり、そのことを南渓和尚に見破られて逆に自身のメンツを潰してしまうことになる。以降は表立った反抗はあまりしなくなったと思われたが心底では長らく根に持っており、32回ではついに・・・。
今川の崩壊と同時に主家を見限って徳川に帰順する。
武田との戦の中で脚に怪我を負う。直虎ら龍譚寺の僧達の治療により、杖無しでは困難になったものの歩くことが出来るようになるまで回復する。その際の経緯もあり、中野家など井伊家の旧家臣たちを引き受けた。
その後は外交・武は近藤家が、内政や農民たちへの対応はおとわが行うような二重政治を二人三脚で行っている。また武田侵攻の戦時でも側に仕えていてくれた高瀬にはずっと目をかけているようで、彼女の言うことにはよく耳を傾けている。
直虎と語らい、信長から主君・家康を超えて与えられた茶碗を恐れ多いとして龍潭寺に預けることを決定する。
高瀬の出自について気付いていながらも黙認していたらしく、最終回では縁談と称して高瀬に異母弟との話を振っている。直虎の死後は元服した直政の配下に入っている。
演:阪田マサノブ
遠三国境近くを治める国衆。
演:菅原大吉
遠三国境の山吉田を治める国衆。
姉は直親の母であり、妻は奥山家出身なので、井伊家とは姻戚関係にある。
井伊家開城の折、近藤の暗躍に気が付いていながら止められなかったことに心を痛める。その直後に今川との戦いで戦死。
演:下川恭平
鈴木重時の嫡男。幼いが武家の嫡男らしくしっかりとした少年。
次郎法師の謡うような経を父のために願い出る。
その他の家臣
たけ
演:梅沢昌代
直虎の乳母。
やんちゃなおとわには手を焼いており、終始彼女に振り回されているが、彼女のことをとても可愛がっている。
情に厚く涙もろい性格。
老齢により思うように仕事ができなくなったことを理由に暇をもらい帰郷するが、自分の代わりに姪の梅(演:梅沢昌代〈二役〉)を新たな奉公人として井伊家へと遣わしていた。なお最終回では梅の妹の松(演:梅沢昌代〈三役〉)が登場している。
演:芹澤興人
井伊直満の家臣。
今川の命令により命を狙われることになった亀之丞をつれ井伊谷より出奔、亀之丞=直親が帰参した後も彼に仕え続けた。
直親と共に駿府へと向かう途中、刺客によって直親や他の家臣共々殺害される。
弥吉
演:藤本康文
井伊直盛の家臣。直親暗殺の際も同行しており、命からがらその様子を井伊家に伝える。
35話にて政次の物真似が上手ということが判明した。
井伊家が解散した後、高瀬を自身の孫ということにして共に近藤家に仕えている。
演:ムロツヨシ
元は井伊の里の外れに住むはみ出し者だったが、とわの家出騒動の際、彼女をかくまい、その後井伊家に送り返した功績を認められて褒美をもらい(ただし、最初は人さらいと勘違いされ、危うく処刑されそうになった)、その時に得た資金を元手に商いを初めて成功をおさめ、豪商の地位にまで上り詰めた。
その商才を買われて井伊家の家臣の一員となり、井伊家の立て直しのために活動するようになる。直虎が気賀のいざこざを見事収めたのち、新たに築城された堀川城の城代となる。
今川・徳川との戦が始まった際には真っ先に徳川へ物資提供を行ったがそれが仇となり堀川城・気賀の壊滅を招いてしまう。その後しばらく精神を病んでいたが、“人を生かす”ものである薬に目を付け、「銭の犬」として復活を遂げる。
新野家のあやめの刺繍の腕に惚れこみ、伴侶となる。相変わらずの銭の犬として始まった仲だが夫婦仲は良好なようで、商いから帰還した際には「あやめ~」「殿~」と呼び合うラブラブっぷり。
本能寺の変の裏工作で堺に向かい、直虎に所持金をむしり取られた上に徳川一門を伊賀越えさせるために一芝居打たされる。
直虎の死後、かつて彼女に贈った硯を形見として直政に渡した。
辰
演:山本圭祐
瀬戸方久の配下。方久の口上に合いの手を入れたり、襲撃されたときは機転を利かせて命を守ったりと隠れた忠臣。堀川城壊滅の後主が薬売りに転職した際も、共に剃髪し付き従っている。
龍潭寺
演:小林薫
龍潭寺の住職であり、元は井伊一門の出身(直平の子)であり、現在も井伊家のアドバイザーのような役割を担っている。
飄々とした性格で、供え物の酒を勝手に飲むなど、一見すると掴みどころのない人物に思えるが、博識で洞察眼にも優れた人物であり、家臣や領民からも絶大な信頼を寄せられている。
演:市原隼人
龍潭寺の僧侶。筋骨逞しい体格(通称:傑山フィールド)の持ち主。
武術の心得があり、亀之丞を逃がす際に率先して行動していたり、有事の際には直虎の護衛に当たるなどしている。弓の扱いも得意とする。
おとわの出家後は兄弟子として昊天と共に彼女のことを見守り続けており、彼女が道を踏み外さないよう監視している。
演:小松和重
龍潭寺の僧侶。おとわ、亀之丞、鶴丸に手習いを教えた。
おとわの出家後は兄弟子として傑山と共に彼女のことを見守り続けている。おとわ達と同じく虎松・亥之助・直久にも手習いを教えている。
優し気な雰囲気とは裏腹に武術の心得もあり、獲物は槍を得意とする(史書にも薙刀が得手と記録されており、後の小牧長久手の戦いで活躍したとされる)。
西国にて薬学を学んだ経験があり、その知識は各所で重宝されている。
今川家
今川一族
演:春風亭昇太
駿河国の太守。
とわの出家を認めることで井伊から人質を取らぬことを許し、その恩を売ることで井伊家を三河侵攻の先兵とする策をめぐらす。
桶狭間の戦いで織田軍の奇襲を受け、討ち死にする。
なお、中の人は本業落語家で『笑点』の司会者も務めていたにもかかわらず殆ど台詞がないという異色の配役であり、「噺家なのに喋らない」と話題になった。また、中の人ネタから「山田くん」や「ブラック団」の笑点ネタも飛び交った
義元の嫡子。
幼い頃、とわから井伊家存続をかけた蹴鞠の勝負を持ち掛けられ、困惑しつつもこれに応じる。
成人後は、今川義元の娘が武田信玄の嫡男・義信と、武田信玄の娘の嫡男・氏政と、氏真は北条氏康の娘とそれぞれ婚儀を結び、これにより武田・今川・北条による三国同盟が完成することとなった。
父の死後、今川家の家督を継ぐが混乱する家中をまとめきれずに多くの離反者を出したうえ、甲斐の武田信玄が妹を娶った嫡男・義信を廃嫡後幽閉、妹も送り返されて同盟破棄となったことから、領内の商人に武田に塩を売らないよう命じる。
史実では教養に優れた文化人であったと言われているが本作でも文化人としての面が強調されており、武将や政治家としての器量はあまり無いように描かれている。父の死後、政治的にも家中を支えていた祖母が健康を害したことにより、今川家の衰退に直結するのではないかとの恐怖にとらわれていく。祖母と二人三脚で斜陽の今川を支えるが、祖母の死後そして武田侵攻により掛川にて和睦・降伏を受け入れる。桶狭間後からの自分を「合わぬ鎧を着けられていた」と評していたが、降伏の後は憑き物が落ちたように晴れやかな雰囲気となっている。
今川が滅亡した後は、妻の実家である小田原に居を構える。しかし義父・氏康の死後は家康を頼り浜松へ向かうこととなり、和歌と蹴鞠に興じているところを見た徳川家臣団に「これでは今川が滅びるはずだ」とあきれられていたが、このころより政治的に有能なところも見せるようになり、一時は信長に招かれて京に上るものの、以後は政治顧問として家康に仕える。
その後、信長の命により信康と瀬名の命が危ういことを家康に知らされ、北条と徳川・織田が盟約を結ぶよう密使となることを快く引き受ける。同盟そのものは無事結ばれたものの時すでに遅く、瀬名の首桶を前に泣き崩れる。
武田滅亡後、浜松に訪れた信長を接待するため力士をつれて現れ、父・義元を討ち取り、幼馴染の瀬名とその子・信康を家康に殺させた信長に、一瞬、殺意を込めた視線を投げかけ、その後、信長に家康を殺す意思があることと、明智光秀に謀反を起こす企てがあることを家康に知らせる。
最終回ではかつて自分が殺害の命を下したこともある万千代の元服の願いを承諾している。
上記の通り、井伊家メンバー以外では数少ない序盤から終盤まで継続して出続けた数少ないメンバーであり、義元が桶狭間で戦死したのちも祖母・寿桂尼とともに今川家の再興のため奮闘したこと、結局今川家は滅亡こそしてしまったが氏真は妻とともにしぶとく生き延びたこと、父親や幼馴染の瀬名の仇である信長に表面上は服従しているように見せて腹の奥底ではずっと復讐心をたぎらせている二面性などから反響を呼び、視聴者からは「ぼったま」の愛称で親しまれていた。義元と共に、従来の今川家のイメージを少なからず変えた存在と言える。
演:浅丘ルリ子
義元の母。で氏真の祖母。
既に出家しており隠居の身ではあるが、今川家における権力は今尚絶大である。
直虎に対しては戦国の動乱を駆け抜けた自身と重なるところもあったのか、彼女に対して共感するようなそぶりを見せたことも。
武田義信の幽閉と武田との同盟破棄に前後して死の病にとりつかれるが、北条と上杉と新たな同盟締結に動き、武田包囲網を作り上げる。
黒い帳面に今川の内憂となる者の名を刻んでおり、その中には直虎の名も記されていた。
春:早川殿
演:西原亜希
氏真の正室。同盟の一環として北条家から今川家に輿入れするが夫との仲は良く、今川家が傾いて以降も氏真を側で支え続ける。
佐名
演:花總まり
今川家家臣・関口親永の妻。
元は井伊家の出で、南渓和尚の妹。とわ(直虎)にとっても親戚に当たる。
かつて小野政直の計略によって義元の元に嫁がされて手付きにされ、その後捨てられたも同然の扱いを受けたことから、今川家だけでなく、自らを人質に出した井伊家に対しても複雑な感情を抱いている。
兄からとわの出家を認めるよう書状を通して懇願され、不快感を露わにしながらも寿桂尼にこのことを取り次ぎ、とわの出家を間接的に手助けした。
桶狭間の戦い後は今川家の内情を南渓和尚に伝えると同時に、有事の際には自分たち一家を井伊谷に匿うよう要求した。その後娘婿(元康)の離反のかどで夫ともども自害して果てる。
瀬名:築山殿
佐名の娘。
蹴鞠の勝負で竜王丸に勝ち、彼と結婚することを目指している。
直虎とはほぼ同年代で、初対面ですぐに打ち解けており、以降も文通するなど交流していた。
縁談を断り続けて氏真に想いを寄せていたが、結局氏真は別の女性と結婚してしまい、1人行き遅れたことに対する恨み辛みを次郎法師(直虎)への手紙で書き綴り、今川家の人質になっていた松平広忠の嫡男・竹千代(後の徳川家康)にも辛くあたっていたのだが、義元の命により元服した松平元信(竹千代=徳川家康)と結婚させられることになる。当初はぎくしゃくとした雰囲気だったものの、その後関係は良好な方向へと向かっている。
家康が今川と手を切った際にはあわや殺害されそうになるものの、すんでのところで徳川と人質の交換が行われたことで辛くも難を逃れた。その後は長く岡崎城にも入れず城外の寺で数年を過ごし、息子と織田家の姫の婚姻に際して漸く岡崎への入城を許される。39話では成長した息子の信康と共に岡崎城に暮らしている。
直親暗殺の際のいざこざで次郎とは袂を分かつことになるが、井伊のことは常に気掛かりに思っており、徳川と井伊が再度結ぶ際は家康へ常に「井伊をお忘れなきよう」と伝えている。
家康に三男・長松(後の徳川秀忠)が生まれたことを知り、側室として信康に武田旧臣の娘を娶わせたことが結果として息子・信康の悲劇になってしまう。
最期は自ら武田との内通を偽造し、家康を迎えるときに使っていた紅を形見として直虎に託して汚名を被り死亡。それでも息子の命を救うことは出来なかった。
今川家の家臣
演:苅谷俊介
今川家家臣。千賀の兄。おとわにとっては母方の伯父にあたる。
妹と井伊家の縁組に伴い、目付け役として今川家から井伊家に遣わされているが、心情的には井伊家寄りになっており、現在では実質的に井伊家の家臣の1人のような扱いになっている。
その後、直由と共に合戦に参陣し討ち死にする。
あやめ
演:光浦靖子
新野左馬助の長女。桔梗(演:吉倉あおい)・桜(演:真凛)という妹が居る。
穏やかな性格の女性。刺繍が得意で虎松にも教えている程。
直虎としの双方の立場を案じ、特にしのの良き理解者となっている。
井伊家断絶後、方久に輿入れし、方久の事業拡大に大きな貢献をする。
演:佐野史郎
臨済寺の僧侶で、今川家の軍師。南渓和尚とも顔馴染みである。
とわの出家騒動の際には、義元にとわの頼みを聞き入れるよう進言、彼女の出家をさりげなくサポートすることで、井伊家に恩を売り三河侵攻の先兵とする策を建言した。
とわの出家から桶狭間の戦いまでの間に死去。
余談だが演者の佐野史郎氏は翌年の西郷どんではなんと井伊直弼役で出演した。
演:矢島健一
今川家重臣。常に義元や氏真の側に控え支えている。
井伊や国衆の目付としても動いており、難題を突き付けることも多々。しかし今川家が敗色濃厚となった際、今川重臣21名と共に武田に寝返る。
ちなみに瀬名の実家・関口家の同族。
岩松
演:木村祐一
算術と亡き妻をこよなく愛する今川家臣の侍。
検地奉行として井伊谷を訪れ、その実直さに直親・政次らは手を焼く。
瀬名の手紙によれば、竹千代にも算術を教えていたらしい。
演:山田裕貴
新野家の三女:桜の嫁ぎ先。
忠義に厚い、さわやかな好青年。直虎は内々に彼と会い、気骨ある器量に好感を覚えた。
とある“癖”を持っているらしく、井伊の女性達の話題の種になっていた。
演:ヨシダ朝
今川家臣。直親を暗殺した泰朝の同族。
山県昌景の調略に憤り、調略された家臣の生首を彼に投げつけた。今川家が滅亡後も氏真に忠義を尽くし、長篠の戦いで武田四天王の一人・内藤昌秀の首級を上げたことで家康の目に止まる。
演者のヨシダ朝氏は真田丸では片倉小十郎(重長、景綱の子)を演じていた。
演:嶋田久作
今川家臣、堀江城主。浜名湖湖岸の防衛に当たっている。
当初は気賀を治める命を受けていたが、井伊家との取り引きにより気賀を譲ることになる。
忠誠心に厚く、徳川勢の攻勢に最後まで奮戦。降伏後も本領を安堵され、その後は家康に仕えることになる。
織田家
(本編に、この画像の様なシーンはありません。)
演:市川海老蔵
尾張を治める大名。マント・シャツ・ブーツなどの南蛮装束に身を包むスマートさを見せるが、今作はあらゆる面で常軌を逸した残虐性が強調されている。
桶狭間の戦いで今川軍を破り、その後急速に勢力を拡大していく。
甲斐の武田信玄に今川領侵攻をそそのかし、今川との同盟破棄に反対した信玄の嫡男・義信の処断に暗躍したのではないかとの疑惑が、政次の口から語られている。
武田家との縁組を考えていた家康を恫喝、娘・徳姫を家康の嫡男・竹千代(後の松平信康)に嫁がせることを強要する。
長篠の闘いで木材を調達した褒美として井伊谷に一城にも相当する茶碗を与える。
信康に仕えていた家臣が家康の命を狙ったことと、信康の側室が武田旧臣の娘であることを口実に徳川の力をそぐために信康の処刑を家康に命じる。
高天神城攻略では家康は持久戦に持ち込み、無駄な血を流さないよう苦心していたが、信長はそれを許さず、力攻めをするよう命じ、高天神城は多くの血が流れる地獄と化すこととなった。
直後に武田氏は滅亡、自刃した武田勝頼の首を河原にさらす苛烈さを見せる。
武田滅亡後、浜松に赴いた返礼として家康を安土・京へと招く。光秀は信長が家康を害するために招いたとして警告し、謀反に加担するよう欺くが、信長にその意思はなく、天正10年(1582年)、本能寺で光秀に討たれる。なお、本能寺の変直前には信長自らが家康に渡す茶器を選んでおり、当時から天下の大名物と名高い茶入「九十九髪茄子」をあげようとしていたことから、「この信長、家康のこと大好きじゃん!」とそれまでの残虐っぷりを覆された視聴者の反響は今でも語種である。
また、安土城での家康の饗応では信長自らが膳を運び、中の人の所作の美しさを余すところまで生かしたことでも知られ、「作法の教育ビデオになってもおかしくない」と称されたことでも有名、
演じる海老蔵氏は、2003年の大河ドラマ『武蔵 MUSASHI』で主人公の宮本武蔵役を演じており、その時以来の大河ドラマ出演となる。
演:坂西良太
攻め寄せてくる武田軍を迎え撃つため、徳川家康の要請を受けて援軍を率い浜松城に駆けつけるが、三方ヶ原に打って出て大敗を喫する。
演:光石研
信長の側近く仕え、信康にかけられた謀反の疑いを詮議する。
武田滅亡後、信長に対する謀反の謀議を今川氏真に知らせ、家康にも加担させようと信長に家康を討つ意思があると偽りを述べ、その証として実子・自然(じねん)を氏真に預ける。
が、家康が手勢を率いて上洛しなかったことで計算ちがいに焦りを募らせ、みずからの軍勢のみで信長・信忠父子を討つ。
演:木下政治
織田家家臣。使者としてたびたび浜松城を訪れる。
織田家の家臣。草履番からキャリアをスタートさせて順調に出世している模様。
今作では徳川家の面々の前にすら姿を現さず、伝聞でのみ消息が伝えられる。
武田滅亡後、上野を与えられるが、真田昌幸ら武田旧臣の制御に苦労することになる。
信長の死後、混乱した上野を抑えきれずに追われるように一益が上野から去ったのを皮切りに、徳川・北条・在地領主による主導権争いが勃発、徳川家康が真田昌幸、室賀正武らを配下に置き、北条氏政が真田の城のひとつ・名胡桃城を手中にすることで和睦が成立した。
演:上杉祥三
於大の弟。史実では長らく兄・水野信元と不和で徳川家臣になっていた。信元死後、水野家を継ぎ織田家に属した。また水野勝成の父で関ヶ原の戦い前に石田三成に近い加賀井重望に暗殺された。
徳川家
演:阿部サダヲ
三河の国衆松平家の嫡子。幼名は竹千代、義元に「元」の字を諱として与えられ、まず松平元信、次いで松平元康と名乗る。
義元の死を機に今川家から自立するが、駿河の今川、甲斐の武田、尾張の織田に囲まれた状況に変わりはなく、生き残るために離反したはずの今川家に帰参することを模索するなど、後に狡猾な天下人になる人物とは思えぬほどの気弱さを見せるほか、洞察力はあるが思いつきでものを言い、家臣たちを困惑させる悪癖がある。そのため家臣特に酒井忠次にはそれを憂慮されている。碁を打ちながら策を練る癖もあり、正室の瀬名にはよく盤面を崩される。
戦嫌いの気があり、自らは周囲に担ぎ上げられただけであると考えている。その想いを今川氏真に吐露したことも。
今川家の滅亡後、織田信長の傘下に入って勢力を拡大。その戦中で同盟を結んだ井伊を一度は見捨てざるを得なくなり、政次の死の一因を作ってしまうこととなる。虎松が成長して徳川家に出仕してからはその素質を見抜き、草履番から小姓として成長を促しつつ薫陶を与えていく。
信康にかけられた謀反の嫌疑を弁護しなかった酒井忠次に怒りを募らせるが、それも徳川に力を持たせないための信長の謀略であることも同時に見抜き、いかにことを収めるか苦悩、北条との盟約を手土産に信康の命を救おうとするが失敗、断腸の思いで信康を処断する。
その直後、地位を盤石にするため高天神城攻略に出陣、降伏工作を信長に反故にされるなど苦汁をなめるが、武田滅亡後、恩賞として念願の駿河を与えられる。
今川氏真に信長が利用価値のなくなった家康を殺す考えがあることと、明智光秀に謀反の意思があることを教えられ、罠があることを感じながらも安土城に赴くことを決意する。が、途中でそれらはすべて光秀の謀略で信長には家康を討つ意思がなかったことを見抜く。
信長が討たれると穴山信君を逃げるための餌にしたてて浜松に戻り、軍勢を動かさずに情勢を見極める狡猾さを見せ、北条との講和のため真田昌幸、室賀正武ら武田に従っていた小領主の本領を安堵し、味方につける工作を万千代に命じた。
後に天下人・豊臣秀吉に次ぐ実力者となり、江戸幕府の初代将軍となる。
妻・瀬名の遠縁という近さもあり、直虎とは早い段階でお互いの存在を知っていたが、虎松の出仕以降は度々やり取りを交わすこととなる。その中で直虎の無欲さや己の「厭離穢土欣求浄土」と直虎の悲願である「戦の無い世」が一致することなどから次第に影響を受けるようになっていく。
初登場時13歳の家康の役を当時46歳の阿部サダヲが演じていたことでも話題になった。
演:栗原小巻
家康の母。水野信元の妹。徳川家の奥向きを仕切る女傑。今川の血を引く瀬名と信康を良く思わず、謀反の嫌疑をかけられた孫・信康を、徳川のために切り捨てることを息子の家康に建言する。
お房
於大の方が連れてきた、家康の新しい侍女。
演:中村織央
松平家の筆頭家老。
家康が今川家から離反した際には、自害に追い込まれそうになっていた瀬名と子どもたちを救うために、人質交換の条件を持って駆けつけた。その後も家康・瀬名両人から頼りにされている。
ひそかに瀬名に想いを寄せていたが、瀬名・信康親子を守ることができず、後を追うことを決意する。が、すんでのところで本多忠勝に命を救われる。
その直後、信長に加担したことを悔いる酒井忠次とともに、生涯家康に仕え、徳川のために尽くすことを誓う。が、しかし・・
ちなみに、数正は前作『真田丸』にも(演者は違うが)登場している。
演:六角精児
ふくよかで常に薄ら笑いを浮かべている、どこか頼りなさげに見える中年男性。ただし時折見せる才の切れが只者では無さを思わせる。
今作では期間時期の曖昧さを逆手に取り、最初は元の職である鷹匠・ノブとして初登場。そしてなんと万千代の後輩草履番として再登場を果たす。
三河一向一揆の件から本多忠勝とはやはり折り合いが悪く、忠勝に斬り殺されそうになる。
安土行きにも付き従い、本能寺の変の情報から不信感を抱いた梅雪を「案内」し、家康主従が残党狩りにあわずに無事に浜松に逃げるための餌として利用する不気味さを見せた。
正信も前作『真田丸』に登場しているが、近藤正臣氏と六角氏の見た目やキャラクターの違いぶりを比較されることになった。
演:渡辺哲
織田からの命により、木材を500本揃える算段を家康に相談され、難題に頭を抱える。
演:モロ師岡
信康の傅役。謀反の嫌疑をかけられた信康に代わって腹を切ろうとする。
徳川四天王
※「井伊直政(井伊万千代)」については上記「井伊一族」の節を参照のこと。
演:みのすけ
徳川家の重臣の1人で、後の徳川四天王の1人。
忠義に厚い謀臣で家康の甘さを誰よりも危惧しており、後顧の憂いを完全に無くすため堀川城の悲劇を引き起こす。
通常時はその甘さに小言を言ったり、よく支えたりと良い家臣であったが、今川の血を引く瀬名と信康にいい感情を持っていなかったことから、信康にかけられた謀反の嫌疑をあえて弁護することなく信長の謀略に(結果的に)加担。しかし、北条と密約を結ぼうという家康の時間稼ぎにより、信康がいつまでたっても処刑されなかったことに焦りを見せたことで家康と徳川家中の信頼を失う。
信康の死後、家康と徳川家中の信頼を失ったことを悔い、石川数正とともに恥を甘んじて受け入れながら生涯徳川のために仕えることを誓う。
演:高嶋政宏
武勇に優れた徳川家臣。
家臣や下の者にも優しく、草履番に奮闘する万千代・万福にも涼やかに声を掛ける。面食いの気があり、浜松を訪れた直虎に鼻の下を伸ばしたことも。
なお高嶋氏は前年、藤岡弘、氏が演じた忠勝を意識して演じている部分があると語っている。また、2002年の大河ドラマ『利家とまつ』では家康を演じている。
演:尾美としのり
猛将というイメージが強いが、今作では常に冷静さを忘れず家康のために策を弄する。
軍規に厳しいうるさ型の切れ者でもあり、味方の士気が下がり、徳川のためにならないと判断すれば、たとえ重臣であろうと叱咤激励するため軍議の場から外す厳しさもあわせ持っている。
四天王のなかで家康は最も康政と語らい、直政の立てた策が有効かを確かめ実行に移している。
北条と盟約を結ぶ家康の秘策を知らされず、信康が処刑されていないことに焦りを見せる酒井忠次に冷ややかな視線を浴びせる。
演:古舘寛治
常慶の兄でしのの再嫁先。朗らかな性格で、養子となる虎松を快く受け入れる。
しののことも大切にしているようで、虎松の聡明さを彼女へ嬉しそうに話していたが、虎松の井伊家再興の志を弟・常慶から知らされ昏倒する。しかしそれでも大人として、父として万千代を送り出す度量を見せた。
万千代が井伊家の家督を継ぐと中野直久を養子として迎え、「松下一定」と名乗らせている。
ドラマでは語られていないが、後に井伊家家老となって直政を支え、一定以後も代々重臣として井伊家を支えていくこととなる。
演:平埜生成
家康と瀬名の長男で跡取り息子。母方の曽祖父が直平であり、万千代とは遠縁にあたる。
父が前線の浜松に詰めているため母と共に岡崎を取り仕切っている。囲碁を好み、思慮深く、度量もあるという所謂「非の打ちどころのないイケメン」で家康からも「自慢の息子」「歳の近い万千代といい主従になるのではないか」と期待を寄せられており、それを誇りに思っている。
父・家康に異母弟・長松が生まれ、自分と正室・徳姫の間にはいまだ嫡男をもうけることができないことを理由に武田旧臣の娘を側室に迎え、父・家康の命を狙った刺客が信康の家臣でもあったことから、義父・信長に謀反を疑われ、両親の死に物狂いの策も空しく自刃して果てる。
家康の三男、後の江戸幕府2代将軍・徳川秀忠。信康の異母弟。於大からは兄・信元の生まれ変わりと言われた。
武田家
演:松平健
甲斐や信濃の国主。今川との同盟破棄に反対した嫡男・義信を幽閉、廃嫡する。
今作ではお茶目で抜け目のない所謂生臭坊主然に描かれており、前年の真田昌幸を彷彿とさせる(昌幸の最初の主君は信玄である)。
北条家の当主・氏康と今川家を牛耳る寿桂尼を警戒視しており、義元の死後もしばらくは三国同盟を維持しつつ織田信長と同盟を締結。しかし、寿桂尼が亡くなると駿河に侵攻し北条軍を撃破。36回で北条氏康が亡くなると、マツケンサンバを彷彿させる舞を披露し(演者の松平健のアドリブ)、上杉と和睦し北条と再び同盟を締結すると徳川領への侵攻を開始した。
徳川との戦の最中、夜伽としてやってきた侍女に寿桂尼の幻覚を見、その場で吐血して死亡する。直前のシーンで氏真が寿桂尼を偲んで笛を吹いており、視聴者間ではこの音色によって現れた寿桂尼の亡霊の祟りではないかとも言われている。
甲斐国主・武田信玄の嫡男で、今川氏真の妹婿。通称は太郎。
織田信長の謀略もあり政策方針をめぐって父と対立し、それを理由に東光寺へと幽閉され、最終的に病没。これにより今川とは手切れとなり、武田・今川・北条の三国同盟は崩れることとなる。
鈴:嶺松院
演:岸茉莉
今川義元の娘。義信の正室だったが、彼の死後は今川家に戻る。
演:奥野瑛太
信玄の四男。異母兄・義信の死後嫡男となる。信玄の死後に武田家を継ぎ、期間をおいて侵攻を開始する。
わずか一月半のうちに織田方の18個もの城を陥落させ、父・信玄でさえ落とせなかった高天神城などを陥落させたが、重臣・山県昌景の建言を聞き入れなかったばかりに長篠で大敗し多数の重臣を失う。のちに上杉家と同盟を締結して勢力挽回を図るが、高天神城の戦いに援軍を送らなかったために全滅を招き(和睦を却下した信長の策でもあった)、木曾義昌の離反をきっかけに信長、家康や北条軍の侵攻を受け、穴山信君にも離反される。天正10年(1582年)3月、天目山の戦いにて自害、首を河原にさらされるが、宿敵・織田信長が本能寺に斃れたのはそのわずか3ヶ月後であった。
作中での台詞は掛け声のみであった。
織田信長の実姪にして養女。
甲尾同盟の一環として武田勝頼の正室となる。
彼女の没後、甲尾同盟は破綻し武田と織田は敵対する。
演:山本龍二
信玄の重臣で、武田四天王の一人。調略の名手でもあり、信玄同様抜け目のない策士ぶりを躊躇なく発揮する。
「長篠城さえ落とせば目的が達せられるので、無理に織田・徳川と戦わなくてもいい」と勝頼に建言するが、聞き入れなかった勝頼は長篠に軍を進め大敗。昌景も敗死する。
武田滅亡後、彼の家臣団は直政へと引き継がれた。
名前だけ登場。武田四天王の一人で昌景同様、長篠で討死した。
演:田中要次
信玄の甥で、正室は見性院(信玄の次女)。
演者は違う(前年は榎木孝明)が二年連続で登場。甲州征伐の際、義弟の勝頼を見限り織田方に降る。武田滅亡後、甲斐を治めることを許され安土での饗応にも同席し、京の手前でも再会する。本能寺の変を事前に知っていたために不審な行動を取る徳川一門を訝しみ、一芝居打たれた上に野伏に襲われて昨年同様のナレ死で命を落とす。
武田家滅亡後、織田家に服属。本作では名前だけ登場。
昌幸同様、武田家滅亡後、織田家に服属。前作の「黙れ小童!」の人。こちらも名前だけ登場。
北条家
演:鶴田忍
娘の春と共に落ち延びてきた今川氏真を快く迎え入れるが、武田軍との合戦(三増峠の戦い)に敗北。のちに急死してしまう。
父・氏康の死後、かくまっていた今川氏真、異母姉・春を追放、武田家と再び同盟する。
長篠の戦い後に武田と断交すると、家康の密使として訪れた今川氏真の誘いを受け入れ、織田・徳川との同盟を結び、武田領に侵攻する。
武田滅亡後、織田・徳川と同盟を結んでいたにもかかわらず、信長が上野を滝川一益に、駿河を徳川家康に与えたことに不満を抱き、両者が治める国境で不穏な動きを見せていたが、信長の横死により混乱する上野に進攻、みずからの力を強めようとする徳川軍と戦う。
その一方で武田に従っていた真田昌幸・室賀正武ら小領主が調略により徳川方についたことを知り、真田昌幸の勢力下にある沼田城をみずからのものとする条件で徳川方と和睦する。
演:品川徹
北条早雲の末子で氏康の大叔父。義元の敗死、寿桂尼の病臥を機に同盟破棄に動く武田を牽制すべく、新たに今川・北条・上杉との同盟を結ぶ。老獪な策士であり、山県昌景との駆け引きを有利に進める。
ちなみに品川徹は、『風林火山(大河ドラマ)』にて幻庵の兄・北条氏綱役として出演していた。
上杉家
武田と同盟を破棄した今川からの懇請を受けて、旧敵・今川・北条との同盟を結ぶ。北条氏康の死後、北条との同盟が破綻する。武田と和睦した後、織田軍を手取川の戦いにて撃破する。
毛利家
毛利輝元の軍師。飛ぶ鳥を落とす勢いの織田信長が近いうちに高転びすることを予言する。
その他
龍雲党
気賀に拠点を置いて活動している義賊集団。
その出自から様々な技術を会得しており、後に直虎の勧めにより井伊谷で材木の切り出しを請け負うようになる。木材の扱い方や建築技術、牢屋破りなどは作中でも大変重宝された。
盗人であることから当初は家臣からも警戒され、領民とも様々なトラブルを引き起こしたが、後に直虎の計らいで開かれた宴会で領民たちとも和解することに成功する。
井伊を出た後は気賀にて万事屋を営み、堀川城建築にも携わることとなる。気賀の商人からも頼られ、本格的にこの地に根を下ろすことになるが…
演:柳楽優弥
史実には存在しない、本作オリジナルの人物。
詳細はリンク先を参照。
ゴクウ / カジ / モグラ / 力也
演:前田航基(ゴクウ) / 吉田健悟(カジ) / マキタスポーツ(モグラ) / 真壁刀義(力也)
龍雲党の構成員で、龍雲丸の配下の者たち。
市井の人々
演:ダンカン
井伊領の祝田村にある蜂前神社の禰宜。
政次の意を受けて、今川家に向けて徳政令を願う出るよう、祝田・瀬戸両村の人々を扇動する。
甚兵衛 / 八助 / 角太郎 / 富助 / 福蔵
演:山本學(甚兵衛) / 山中崇(八助) / 前原滉(角太郎) / 木本武宏(富助) / 木下隆行(福蔵)
いずれも瀬戸村・祝田(ほうだ)村の百姓。
当初は徳政令騒動もあって直虎に反発していたが、後に彼女の考えに触れ和解する。
その後の「文字を覚えたい」という願いが直虎を救うこととなる。
戦の疲弊による逃散で村人の減少が止まらなかったが、綿の生産と人集めに成功したことで安定した暮らしを送れている。
又吉
演:すわ親治
瀬戸村に流れてきた百姓で、村人たちに綿の生産の指導に当たっている。
五平
演:おかやまはじめ
井平村の刀鍛冶。
直之から火縄銃の製作を依頼されるが、何者かに作りかけの部品共々盗み出されてしまうという憂き目に遭う。
松下常慶
演:和田正人
秋葉山の山伏で、南渓和尚の旧友。虎松の養父・松下源太郎の弟。
情勢に詳しく、井伊家にも様々な情報を提供すると同時に徳川家康の密使を務める。
感情に乏しく見えるが心の底では義心を持ち合わせているため、井伊家の惨状に心を痛め、徳川家康に仕える兄・源太郎としのの再嫁、虎松を源太郎の養子にすることを申し入れる。
中村代太夫
演:本田博太郎
今川領でありながら商人による自治を認められた遠江国気賀にあって最も有力な豪商。
綿織物の販売を直虎からもちかけられ、浜名湖から海外に向けた販売方法をアドバイスする。
直虎が龍雲党に捕らえられて一時消息不明になった際には、捜索を請け負った。
堀川城の戦いの後に堺へ拠点を移し、本能寺の変の直前には直虎たちと共に家康一行を逃がすための根回しを行う。
そのほか
古くから井伊谷に伝わる伝説に登場する、童の姿をした存在。誰かが疲れたり困っていたりすると、竜宮小僧がこっそり手助けをしてくれると言い伝えられている。
上記のとおり伝説上の存在であるため、完全に姿を見せたことは無いし、実在もあやふやである。しかし物語のなかでは、幼少期に淵に落ちたおとわの前に、徳政令に悩む直虎の前に、大雨のふる井伊谷を心配する甚兵衛の横などに、それらしき後姿や髪が登場する。そして、出家したおとわにとっての最初の道しるべとなる。
そして最後に竜宮小僧の鈴がなった時、直虎は……
物語の幕引きとなる総集編の最後で流される曲のタイトルは「わたしが竜宮小僧だった頃」。竜宮小僧とはどのようなありようだったのか、は物語を見てきたひとならば、わかるはずである。
評価
高評価
昨年の大ヒットの後の無名な女性という積み重なったハンデもあり視聴率は当時の歴代ワースト3位と苦杯を喫するが、『平清盛』同様ファンからの評価は極めて高い。放送終了後もその骨太なストーリー構成から「スイーツ大河と見せかけたハバネロ大河」として大河ファンの間では不動の地位を築いている。また『平清盛』同様に根強いファンがおり、このようなファンの方々は『清盛』ファンの通称である「海の底の民」と井伊氏発祥の地であるとされる「井戸」に因んで「井戸の底の民」と呼ばれている。
「武力を持たない国衆にとって戦国とはどんな時代だったのか」という、綿花や材木に代表される地域経済や徳政令のような内政から首桶(時に生首)や虐殺といった残酷な史実までも躊躇せずに描き、全話見事に張り巡らされた伏線と最終話での回収、史実を遵守しながらも説得力のある新しい解釈を取り入れたストーリーに複雑に流転する人物描写など、史料の少なさを逆手に取った大胆な試みが徹底された。
また史実準拠とはいえ放送コードギリギリのネタが飛び交ったのも近年には稀な特徴の一つ。
なお、大河ドラマ館(毎年放送開始~翌年の一月まで地元に設置されるNHK公式の資料館)の入場者数は「篤姫」を抜いて歴代2位を記録している。
批判
一方で、小野政次処刑後の話では直虎と龍雲丸との恋愛シーンがまるでメロドラマのような描かれ方になっており、従来の大河ファンの中には、こうした描写に苦言を呈す人も少なくない。
他大河ドラマとの繋がり
真田丸
2016年度大河ドラマ。第44話で、真田信繁と高梨内記が自分たちと同じ赤備えを纏った徳川方の井伊直孝の軍勢が真田丸に攻め寄せてくるのを見て、信繁が「あちらにも我らとちがう様々な物語があるのだろうな」と感慨深げに語ると、内記も「機会があればじっくり話を聞きたいものですな」と返すシーンがある。
これは当然ながら次回作『おんな城主 直虎』を意識しての台詞であり、脚本を手掛けた三谷幸喜氏なりの次回作へのエールでもあった。
赤備え・地方国衆からの視点などの共通点や史実上の人物が多く続投していることもあり(演者は異なる)、視聴者からはしばしば「同一線上の未来(過去)の物語」という扱いを受けている。
物語終盤の1582年(=真田丸の物語開始の年でもある)では直政の視点からの武田家滅亡や伊賀越えの道中のカット、最終回での真田に対する言及など、一年越しの真田丸に対するアンサーと取れるシーンが多数存在した。
大坂冬の陣では直政の次男・井伊直孝が率いる彦根勢が信繁の籠もる「真田丸」を攻略するも失敗。大坂夏の陣でも討って出た真田軍と激戦をくり広げている。
どうする家康
2023年大河ドラマ。描かれている時代が同じ。演者は菅田将暉ではなく板垣李光人だが直政が登場する。また直虎が登場する可能性もあり、柴崎の再登板を期待する声も出ている。
余談
サブタイトルは殆どが他作品からのパロディであり、そのインパクトから「次はどの作品が使われるのか」も話題になった。
終盤に公式アカウントによる答え合わせが行われている。
・綿毛の案
・死の帳面
・天正の草履番(※)
・逃げるは恥だが時に勝つ(総集編)
等々。
※2015年版ドラマの脚本は「直虎」脚本を担当した森下佳子が担当したことから、サブタイトルが公表された際には話題となった。
関連イラスト
関連タグ
虎絵 - 本作のファンアートにつけられるタグ。カップリングタグについてはこちら。