生涯
父は三河・上ノ郷城城主の鵜殿長持、母は今川氏親の娘で今川義元の妹または義妹であるため義元は伯父にあたる。また徳川家康の正室である築山殿とは今川氏の同族で母同士が義理の姉妹にあたる。
引間城の城主である飯尾連龍に嫁いだが、桶狭間の戦いで今川義元が戦死し、三河で松平氏が今川氏から離反すると、夫の連龍は徳川家康に内通し、病気という理由で引間城に引き返し、白須賀宿に放火したという疑惑に氏真は怒り、真偽を問うために新野親矩を大将とした3000の兵を引間城に攻め込ませた。
連龍は防戦して撃退することに成功したが、氏真はさらに怒り、朝比奈泰能等を付き添わせて再び攻め込ませたが城は落ちなかった。連龍は敵陣に自分は無実だという起請文を送り朝比奈達はそれを受け取り退いた。後に連龍は氏真に罪を許され駿府に礼謝に行くも氏真に謀殺された。お田鶴の方は夫の死に怒り、夫の後を継いで城を守ることを決意し武田に内通した。
しかし夫の死後、お田鶴の方は引間城に立て籠もり夫は無実だと駿府に訴えたが、連龍の家臣は内通していたという記録が残っている史料も存在する。
永禄11年(1568年)12月に、家康が使者を派遣して、城を渡せば妻子家族共に面倒を見ると降伏を勧めたが、お田鶴の方はどうしても応じなかった(この時、お田鶴の方は「妾(わらわ)婦女と雖(いえど)も己に武夫(もののふ)の家に生(はべ)るものなり、おめおめ城を開きて降参するは妾(わらわ)の志にあらず」と言ったという話もある)。
家康は12月24日の夜に酒井忠次と石川数正に引間城を攻め込ませるが、城兵300人余り従えて城を守っていたお田鶴の方が防戦の指揮を執り、家康の兵は300人討死した上に酒井・石川両名は敗走。しかし、城兵も200余りが討死。翌日、酒井・石川が攻め込み城の外郭に乗り込むが、お田鶴の方が緋威の鎧と兜を着て薙刀を振って切って入り、侍女7、8または18人もお田鶴の方と同じ格好で左右に並び、門を開けて突戦して共に戦ったが全員討死にした。この最期にお田鶴の方の志操の節烈ぶりは男にも勝っていると感じない者はいなかった。
異説
しかし、この最期とは異なることが記述されている史料もあり、それには、連龍が家康への内通を疑いを噂された為、永禄8年(1565年)12月20日に氏真は連龍を駿府の城内へ呼び100名の兵に襲わせた。しかし、連龍の兵2、30名と共にお田鶴の方が無双の強力で戦ったので、氏真の兵も多く戦死したという。
人物・逸話
- 明治時代から女武者、烈女としてそれなりに知られており、「武勇は巴御前や板額御前にも劣らず、節操は細川ガラシャにも勝る」、「女の身でありながら戦い、節義に死んだ、お田鶴の方の如きは最も美しいとすべきものであり」と評価されている。
- 父は鵜殿長持で母は今川義元の妹だったため、義元は姪にあたる。築山殿は義理姉妹で、祖父母は寿桂尼と今川氏親である。
- 伝説などでは徳川家康の初恋の人である亀姫としても知られており、一部の創作作品ではその逸話を採用したものもある。
- 彼女を祀った椿姫観音の伝説などでは夫の死後、女城主として城を守り、死後敵ながら天晴れに思った家康が塚を建て、築山殿も塚の周囲に100余株の椿を植えた。椿は毎年美しく咲き、付近の人々がその塚を椿姫塚と呼んで、お田鶴の方の冥福を祈って供養を行ったという逸話から椿姫とも呼ばれている。しかし、史実では女城主になったという記録は今の所存在していない。
創作物での扱い
戦国無双
武器:大太刀 声:鹿野潤(シナリオボイス)、鈴木麻里子(新武将・冷静の流用:4のみ)、斉藤佑圭(新武将・活発の流用:4Empires)
「巴板額に比する武勇、味わってみる?」(4Empires特殊台詞)
概要
『Chronicle2nd』にて初登場。井伊直虎とは親友同士だったが、今川から徳川に寝返ろうとした為に今川家や直虎と戦う事になる。家康からは「田鶴の方」、直虎からは「お田鶴ちゃん」と呼ばれる。
その死後は弔いに椿を植えられた。
『4』の流浪演武にもイベント内で登場。とある条件を満たすとパートナー武将として使用可能となる。
4-2では流浪演武が削除されたために登場しないが、4Empiresにて姫武将の1人として再登場。ボイスが冷静から活発に変更され、特殊台詞が追加された。
また、作品次第では直虎自身が討ったことになっており彼女自身のトラウマとなっている。
戦国大戦
夫・飯尾連竜とともに今川家の武将として参戦。
二つ名は、上の伝承どおり「椿姫」。
見出し画像は、戦国大戦のイラストがモデルになっている。
今川家特有のフェイスペイントは、額の花模様。
台詞周りも『誰が相手でも一歩も退かないから!』(虎口攻め成功時)や、『たとえ一人になっても、私は戦い抜く!』(落城勝利時)など、勇猛さが見てとれる。
スペックはコスト1 武力1/統率6の弓足軽で、特技は「魅力」。
能力面では頼りないが、持ち計略が強いためこのステータスなのだろう。
その持ち計略「三色八重散椿(さんしきやえちりつばき)」は、効果中に「お田鶴の方が与えた弓ダメージを受け続けている敵部隊」の「武力」「統率」「移動速度」をまとめて低下させる弓強化計略。
また、効果としては自身に対する強化計略のため、敵の計略対象にならなくなる効果である「母衣武者の構え」や、「母衣衆の采配」を無視できるのが強み。
終了時に兵力が(100%基準の)70%固定で低下するが、自身がコスト1であるためある程度は許容できる。
さまざまな効果を一括でぶつけるため、後方援護としてはかなり強い部類。
ただし乱戦はもちろん、弓足軽の常である「静止していないと撃てない」ことから「挑発」(黄梅院など)や「誘導の術」(関口氏広)、「猿回しの術」(松下之綱)といった、「強制的に移動」させるものに弱いのが弱点。
素の武力も1と低く、これを使っても武力が上がらないこともあり、敵の鉄砲隊や弓足軽などから撃たれると一気に撤退してしまいかねないため、他部隊のフォローも必須である。
また余談ではあるが、弓強化計略ではあるが効果中は「超絶強化」の計略を自軍が使ったときと同じBGMが流れるのも特徴。
「椿の花、枯れさせはしない!」
どうする家康
演:関水渚
瀬名の幼馴染という設定。
当作では、夫の徳川家康との内通を今川氏真に密告したという設定になっている。
徳川からの降伏勧告を拒否して城に火を放ち、城外にて決戦を挑み討ち死にした。
関連タグ
飯尾連龍 今川義元 今川氏真 徳川家康 鵜殿長持 築山殿 寿桂尼 今川氏親